「鬼殺隊レビュアーだったが…」抜かねば無作法な「世界に飛ばされた件…」   作:抜かねば無作法

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 見切り発車した小説がとんでもないことになってる!!
 評価、ランキング入り、お気に入り登録本当にありがとうございます。

 こりゃ口が裂けてもストックが無いと言えませんね…





 *注意*
 この小説は瞬瞬必生で書いているため順番が単行本通りでないことが多々あります。どうかご了承ください。

TS回を書くために本来後で書く予定だった内容を先倒しにしてしまった。

 …でもこれくらいしないと無理そうだったから仕方がないんや(思考放棄)


(元)上司の気持ちになるのですよ!

 

 「……」

 

 流れるようにきれいな黒髪、胸は決して大きいわけではないものの数々の鍛錬と実戦で鍛え抜かれ無駄というものが一切省かれた実に完成された体つき、美麗でありながらも精悍さも兼ね備えたその顔は六つ眼と痣を差し引いても十分に美人と言えるもので、その姿は一つの芸術品のようであった。

 そしてそんな和服を着た女性剣士は絶賛不機嫌であった。

 

 「だははははっ!!いかん苦しい!!笑い過ぎて腹が!」

 

 「滅茶苦茶美人になってんじゃねーか!!ヤベェ、マジうけるわ!!」

 

 「……貴様ら命が惜しくないようだな…」 

 

 「そう怒らないでよ黒死牟、その姿ならどんな男もイチコロ間違いなしだよ!!」

 

 「……全員纏めてで構わん…来い!!」

 

 美人の正体…怪しい薬を飲まされ女となっていた黒死牟…もとい黒死嬢は額に青筋を浮かべてキレかかっていた。 

 

 

 

 

 

 (…全く…とんでもない店もあったものだ…)

 

 ここは大魔導師デミア製の性転換薬剤をくれる宿屋。

 変身した後は提携しているサキュバス店からサキュ嬢を呼んで、経験豊富なお姉さんに手解きされる百合百合プレイが体験できるという何とも業が深い店だ。

 

 

 

 「お客様!女の子のままじゃないですか、申し訳ありませんが部屋へお戻りください。」

 

 そして変身中の間は様々なトラブルの原因になるため、外出は厳禁となる。今もまさにクリムが店員の召喚術により拘束されている。

 

 「そんな!どうして出たらいけないんですか!?」

 

 「(…大太刀が無くなっている…)…確かに…クリムならば現状の状態でも外に出ても問題ないように思えるが…」

 

 クリムの見た目は非常に整った中性的な顔立ちの童だ。そもそも今は大太刀(意味深)が無いにせよ、普段の顔立ちとも別段変化した点もない。何が問題なのかと黒死嬢は疑問に思うが、その疑問にゼルが答える。

 

 「じゃあさ、お前らもし出られたらどうする?」

 

 「別に何もしませんけど…だから出してください!!」

 

 「…恥を晒すつもりはない…薬が切れるまで大人しくする…」

 

 クリムとは違い黒死嬢ならば力ずくでもここを突破することなど容易いが、わざわざ衆目に恥を晒したくはないため今は大人しくすることにしている。

 

 「女湯に行く!」

 

 「素人の裸を見まくってやる!」

 

 「…確かに出たら問題ですね。」

 

 「……清々しいぐらいに強靭な精神力だ…」

 

 さも当然とばかりに堂々と宣言するスタンクとカンチャルを見て、このままの姿で出てはいけない理由を痛感する黒死嬢とクリム。しかし話はこれだけでは終わらなかった。

 

 「だが、こんなのはまだかわいい方でな。ここで女になって男に告白しに行くやつが結構いたんだ。」

 

 「え、それって…」

 

 「……まさか…正気か?」

 

 「フフフフフ…そして一夜を過ごし翌朝布団で男に戻るという恐怖の話が、外出禁止が徹底された原因ともいわれている。」

 

 「…冗談ですよね?」

 

 「……度しがたいにも程がある…ん?」

 

 実におぞましく聞くに堪えない話を聞き黒死牟はあることを思い出す。

 かつての上司であった鬼舞辻無惨は鬼殺隊から身を隠す隠れ蓑を作るため、そして青い彼岸花の情報を得るためにいくつかの人間の一家に姿を変えて潜伏していた。富豪の家に養子として入り込んだり、貿易業の人脈目当てに夫を殺し、新たな夫の座と社長の地位を手に入れたりと、まぁいろいろやっていた。

 そういう事情もあってか鬼舞辻無惨は様々な場所に入り込むために、姿かたちを変化させることが出来るのだが、その中には女性の姿もあった。…もう一度言おう、何を血迷ったのか女性の姿もあったのだ。そしてゼルの話を聞いてある考えがよぎる。

 

 (…よもや…いや流石にそのようなことが…)

 

 鬼舞辻無惨が女性の姿になって何をしていたのかを黒死嬢は考えてしまう。さすがに自分の思い過ごしではないだろうかと思うが、思い返せばあの上司は気分気分で動きまくっていたのでふとしたきっかけでどういう行動をするか分からないところもあった。

 もしもゼルが話したようにナニを行っているとしたら…そこまで考えて黒死嬢は気分が悪くなった。

 

 「…うっ…」

 

 「どうしたんですか黒死牟さん、気分でも悪いのですか?もしかして薬が体に合わなかったとか…」

 

 「いやそれは無いはずだ、この薬はあらゆる種族に対応してる。それが例え転移者であってもだ。」

 

 「でも黒死牟は他の転移者たちと種族が違うよね、それでもしかしたら…」

 

 「お客様方!当店の薬は政府公認のクリーンな物で怪しい薬剤は一切入っていません!!」

 

 何やらややこしそうなことになってきたので事情を話そうか迷う黒死嬢。もしも鬼舞辻無惨の支配がまだ存続している状態ならばさすがに話す気にはなれなかったが、今となっては元上司だ。ぶっちゃけあのブラック組織に特に未練も何もない、なので話すことにした。

 

 「…いや問題はない…私のかつての上役のことを思い出しただけだ…」

 

 「上役?ああ、そういえばお前元は別の鬼の眷属だったとか言っていたな。」

 

 「確か、鬼舞辻無惨とかいう名前だっけ。そいつがどうかしたのか?」

 

 「……その上役が先の話と同じようなことをしていた疑いがある。」

 

 「…マジか!?一応聞いておくがお前の元上司って元は男だよな?」

 

 「…ああ…しかも一夜ではない可能性すらある…」

 

 実際には呼吸法の開祖者に死の直前まで追いやられた時に隠れ住むときや、開祖者の関係者から隠れるために少しでもバレない確率を上げるために女性の姿を取っていただけなのだが、いかんせん気配や体のつくり(声以外)まで変えていたため勘違いが加速した。

 

 「異世界にもそういった趣味と技法があるのか。こいつはまた勉強になったぜ。しかし一夜ではないかもしれないか、こいつはまたレベルが高いな。さすがにそこまではマネしたくはないな。」

 

 「俺も同意見だ。」

 

 「ボクもだよ。さすがにそんなことしてたら男に戻れなくなりそうだよ。」

 

 かつての上司に言われの無いレッテルを張り付ける黒死嬢。上司にあらぬ疑惑を植え付ける部下の屑の行いだ。その上司に下がる評価が残っているかどうかこの場では言及しないでおくが…

 

 「それはともかく、選ぶとしよう!!」

 

 「俺らを女にしてくれるお姉さまを!!」

 

 「経験豊富なお姉さんに手ほどきされる百合百合プレイを体験だ!!」

 

 「……改めて…凄いところに来てしまったものだ…」

 

 ノリノリでカタログを見だすスタンク達を見てかなり引き気味になる黒死牟。ふとクリムの方に目をやる。クリムは顔を赤らめて男娼用のカタログを見ていた。この店ではサキュ嬢の男版であるインキュバスボーイを呼ぶこともできる。…誰得かまでは分からないが。

 

 (……両性だからどちらもいけるのか…そういえば男が女になって…女と遊ぶ…これは何というのだ?)

 

 男同士ならば戦国時代にもあった衆道と言えるのだろう。男と女ならば普通の関係だろう。しかし、男が女になって女と遊ぶなどというのはさすがにどういうことなのかは黒死嬢の知識にも存在しなかった。

 元上司ならばそのあたりも知っているのかもしれないのだが、今はいないので聞くことも出来ない。…まぁいたとしても聞く気にはなれないだろうが。

 

 「……ともあれこのようなことには興が乗らん…」

 

 この店はあくまでサキュバス店ではなく宿屋という体なので別に嬢を呼ばなくても、ただのお宿としてパートナーと楽しんだり、一人で異性の体を楽しんでもいい。 そう聞いていた黒死嬢はこのまま薬の効果が切れ、黒死牟に戻るまでやり過ごそうと画策する。

 

 「いや、お前それじゃレビューにならないだろうが!!」

 

 「そうだぜ、今更逃げるなんてのは無しだ。折角美人になったんだから楽しめよ!」

 

 「騎士…そっちだと武士っていうのか、目の前の戦いから逃げるなんて名折れだよ。」

 

 「あのー黒死牟さん、皆さんもこう言っていることですし観念したほうがよろしいかと。」

 

 無論そうは問屋が卸さない、そもそもここにはレビューを書きに来ているのだ。

 しかし黒死嬢はそれを無視してその場からやり過ごそうとする。膠着状態となりこのまま黒死嬢以外が呼び出されるかもしれない時間となったとき、店員がこちらにやってきた。

 

 「えーっと…そちらの六つ眼の方、少しよろしいでしょうか?」

 

 「…何だ?」

 

 「こちらを…」

 

 黒死嬢は自分に何の用か尋ねるが、店員は黒死嬢に何かを手渡すとそのまま何も言わずに戻っていった。渡されたのは何かが書かれた紙だった。

 

 「……」

 

 「黒死牟さん一体何を貰ったんですか?」

 

 「もしかして裏オプションか何かの紹介か?それだったらちょっとズルいぞ!!」

 

 話しかけられるが黒死嬢は何のリアクションも起こさなかった。食い入るように紙を眺めている。

 

 「なんだか様子がおかしいぞ黒死牟の奴。」

 

 「だね、随分思いつめた様子をしているみたいだけど。」

 

 「……この話…受けざるを得ないか…」

 

 「何だ何だ!?急にヤル気になりやがって、そんなにいいオプションだったのか?」

 

 「…いや…そういうものではない…」

 

 「じゃあ何だよ?」

 

 「……探し物が…見つかるかもしれない…」

 

 黒死嬢はもう一度その紙を見つめる。そこには『あなたと同類の転移者の情報があるから指名してほしい』と書かれていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「手紙ちゃんと読んでくれたんだ。指名してくれてありがとね♪コッチのほうは久しぶりだから」

 

 「……そんなことはどうでもいい…それより研究と言っていたが…学者あるいは医者なのか?」

 

 「しがないけどね。なので今はこういう店にも顔を出してるの。」

 

 どこか妙な女だった。マナも体の作りも一見おかしく見える部分が無いがどこか違和感がある…ここにいるのにここにはいない、そう感じる存在だった。そういう種族なのだろうかと黒死牟は考えるが、警戒しておくことに越したことはない。

 

 「プレイの前に一応聞いておくけどあなた転移者さんよね?向こうがいつの時に来たの平成?令和?それとも西暦で聞いた方が良かったかしら?」

 

 「……平成…令和…聞いたことが無い…年号が変わっているのか…私がいたときの最後は大正だ…」

 

 「ということはやっぱり過去…っていいのかは分からないけど他の大部分の転移者さんたちと違う時代からここに来たんだ。」

 

 「……」

 

 『やはり』や『大部分』といった言葉を使うあたりこの女は自身の探し物と何らかのかかわりがある。なぜなら自身が探している存在もそうだからだ。

 そしてここまでくれば多少の対価は覚悟するつもりだ、これを逃せば次はいつになるか分からない。

 

 「……協力の見返りは…」

 

 「もう本題?もう少しトークを楽しんでくれたっていいじゃない♪」

 

 「…人形相手に長々と話すつもりはない…」

 

 「あら、気づいてたの?結構苦労してコレ作ったんだけど、ねぇねぇどうやって見破ったの?教えて欲しいな♪」

 

 先ほどから感じていた違和感。この感覚に近いものを黒死嬢は知っていた。鬼という生物の中には血鬼術と呼ばれる特殊能力を持つ鬼がいるのだが、その中には自身の分身を作り出すというものがある。純粋に戦闘に特化したものもあれば、相手をかく乱させるために自身とそん色ない正にもう一人の自分と呼べるもの等様々な種類があるが、この女もそういった術の一種に近いものなのだろうと黒死嬢は判断する。

 

 「…いいから本題に入れ…」

 

 「いけずね、まぁいいわ。そんなに難しいことじゃないわよ。まず一つにこのまま私とプレイを楽しんでもらうこと。」

 

 「……一つということは…まだあるのだな…」

 

 「もう一つはそのうちでいいからこちらに店のどちらか、あるいは両方に来てくれること。なるべく早い方がいいけど。」

 

 そう言って女は二枚の紙を黒死嬢に手渡す。

 

 「できればご友人たちも誘ってあげてね、その方が色々と捗るし。」

 

 「…良かろう…ただし強制はせぬぞ…」

 

 「そこは多分大丈夫でしょ。あの人たちの感じなら自分から進んでくると思うわよ。」

 

 「……その点については同意しておこう…」

 

 黒死嬢は女の言葉に同意する。しかし彼は気づいてなかった、その女の中では自身も同類という扱いになっていることを。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ベッドの上で二人の女性が戦い合っていた。その内目が六つあるほうの女性は苦戦を強いられており、防戦するので手いっぱいだった。

 

 「その蕩けを必死に耐えるお顔もすごく可愛いね。じゃあ、次はこっち行ってみようか」

 

 女の手つきに頭に霞がかかったような感覚に陥りる。まるで酸欠状態にでもなったかのようだが、体力的には特に消耗しているわけではない。にもかかわらず体が上手く動かない。

 

 「…ぐ…少し待て…」

 

 「だーめ、待ちません」

 

 女がそう宣告した瞬間、電流が流れるような感覚が下腹部を中心に全身に広がっていった。 ビクビクと身体が意思に反して跳ねそうになり、声にならない嬌声が出そうになる。

 …がそれを精神力で跳ねのける。正直刀傷に耐えるよりもよっぽどきついが、こんなことに屈してしまえば生き恥どころの騒ぎではない。

 

 「おお、いい反応。やっぱり初めてなんだね♪ま、地球から来たんなら当たり前か。」

 

 「……経験があると思うか…そんなものを経験した者は元上役だけで十分だ…」

 

 「え?向こうにもこういう事できる存在がいるの!すごく興味ある!!教えて!!教えて!!」

 

 「……思い出したくはない…吐き気がする…」

 

 「そんなこと言われたら意地でも聞きたくなっちゃうなぁ…えい!」

 

 「…ぅ……貴様…」

 

 長年生きた勘でこの女の好きにさせるのは不味いと感じた黒死嬢は切りたくはないが切り札を斬ることにする。それにこれ以上やられっぱなしは性にも合わなかった。

 

 「どうかな?答える気になってくれたかな?」

 

 「……好き勝手やってくれたが…それも終わりだ…」

 

 「えっ、は……!?すっご……いぃ!?ゆび、ふかいぃ!」

 

 最初受け身でいたのはこの状態になったときの体の感覚を慣らすためと、どのようにすれば相手にイニシアチブを取れるかを知るためだ。相手はかなり人間に近い種族なため感覚器官も人に準ずるのだろうと判断した黒死嬢は自身を犠牲にして得た情報をもとに攻めに転じる。

 

 「ちょ、いく、いっちゃうからぁ!もっとやさしく……!」

 

 無論このようなことは黒死嬢も初めての経験だ。しかしそこは己の技術をもってカバーする。この世界に来てマナの流れまでわかるようになったこの技術にかかれば相手の体の流れもより正確に読み取れる。

 無論それが人形相手にどこまで有効かはさすがに黒死嬢にも分からなかったが、相手はとにかく精巧な人形だった。故にそういった感覚までも網羅されており、弱点も引き継がれていた。

 

 「え?っうううううう!!ダメぇぇえええまたきちゃうううう!!」

 

 今は事情があって刀(意味深)を抜くことは出来ないが、それでも体術がある。抵抗を許さない体勢に組み敷きさらに即興で作り出した体術(意味深)で相手の力を奪い取る。

 …恐らく歴史上初の透き通る世界の使い方である。と同時に絶対に記録に残してはいけないものだ。

 

 (……私は一体何をしているのだ?)

 

 その疑問に答えてくれる人材はここにはいない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鬼:黒死嬢

 

 

 

 ……初めての経験であった……最初は戦場での刀傷よりも余程耐え難いと思っていたが…慣れれば何とかなるものである…相手が底意地悪かったため最初は受身に甘んじざるを得なかったが…最終的には攻めに転じることが出来たため良しとしよう…しかし女というのはかのようなものに耐えていたとは驚きだった…後、戦いの中で元上役を思い出すのはいただけない…とはいえ今回は得るものがあったため悪い気はしない…非常に不本意ではあるが…

 

 

 「あーやっぱ元上司を思い出すのはキツイか。元上司の性転換百合百合プレイとか想像したくはないわな。」

 

 「でも得るものがあると言ってるあたりちゃっかり楽しんでやがるなコイツ。もしかしてソッチもいける口か?」

 

 「でも黒死牟、どうやって攻めに転じたの?初めてだと難しいと思うんだけど。」

 

 「……道を極めていけば…そのうち分かる…」

 

 「道ねぇ…さすが黒死牟先生は言うことが違いますなぁ、俺たちも精進しなくては。」

 

 「……」

 

 黒死牟は思った。こいつらならばおのれの欲望の赴くままに本当に透き通る世界にたどり着きかねないと。無論それを見たいかどうかは別ではあるが。

 

 「どうしよう、クリム君も両刀疑い大なのに黒死牟さんまで…常識人がどんどんいなくなってく…」

 

 「……待て…疑いがあるのは上役だ…私は普通だ…それにクリムは…いや何でもない…」

 

 「(クリム君がどうかしたのかしら?)でもその上司の血が…もしかしてそれが悪影響を及ぼして…黒死牟さん一度検査してもらった方がいいと思いますよ。」

 

 「……否定はしないでおこう…」

 

 冷静に考えれば確かにあの上司の血で鬼になったのは、不味かったのかもしれない。昔は『ありがたき血だ』などと考えていたが、今となってはただの変態の血を自分に入れてしまったのではないかと思うようになり始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 《性転換の宿屋》にて

 

 「種族は人間じゃないみたいだけど、いろいろと似てるのよね。顔立ちとか真っ赤な痣が特に。」

 

 最初は偶然だった。情報収集をしていた時に偶然見かけたレビュー記事の写真を見かけたのが切っ掛けだった

 

 「師匠、また危険なことに首を突っ込んでるんですか?以前酷い目に遭ったのを忘れたわけじゃないでしょうに。」

 

 「失礼ね、あまり下手なことをして敵対するのは避けるべきだと私も考えているわよ。貴重なデータを二つも録れなくなるなんて大損したくもないわ。」

 

 「ああ、さすがに懲りてましたか。」

 

 ティエスは師の言葉を聞いて安堵した。目の前の師は世界最高位の大魔導士には違いないのだが、如何せん知識欲が強すぎるところがあり、そのせいで以前とある転移者とひと悶着あり手痛い目に遭ったことがある。

 しかも今回の客はその対象と深い関係がある人物ときた。一応普段とは違う姿のデコイで接客したらしいが正直聞いていて気が気でない。

 

 「なので、今度はもっと深く調べられる店に来てもらうことにするわ。今回のだけじゃデータは全然足りないし、やはり血液か精液が欲しいものね。まさか《性転換の宿屋》に来るなんてね、てっきり私の店か《水槽のハーレム》の方に来ると思ってたんだけど…まぁデコイの転移が間に合ったから結果オーライか。」

 

 全くこりていない師を見てティエスは溜息を吐く。

 

 「そもそも、店を紹介したところで来てくれる保証などどこにもないのでは?」

 

 「その心配は無用よ、つるんでいるお仲間さんたちのことを考えれば私が何もしなくてもいずれはどちらか…あるいは両方の店に来るはずよ。」

 

 「だったら今回は余計なことしなくても良かったんじゃないのですか?」

 

 「保険よ、万が一のためのね。」

 

 「保険ですか?」

 

 「そっ、まず第一に天使の子なんだけど、これまでの記録では天使があそこまで直接的に現世の存在に触れあったことはない。おそらくは輪が欠けている影響でしょうけど、記録がない以上この現世にいつまでとどまっているかが定かではない。」

 

 「もう一つは何です?」

 

 「もしもあの黒死牟とかいう異世界人があちこち動き回ってばったりと出会って殺し合いとか始めたらそれこそもったいないわよ。」

 

 黒死牟という異世界人と、彼と深い因縁にあるであろう人物。もしも両者が出会えば高確率で争いごとになると、その女性は考えていた。なのでそのあたりを調整するため、こちらから接触し情報を与えることにしたのだ。そして現在それは上手くいっている、次に自分の店に来るときは天使の少年も一緒に来てくれるだろう。

 

 「それにしても継国縁壱ねぇ…あなたはあのイレギュラー(・・・・・)とどんな因縁があるのかしら?黒死牟サン♪」

 

 

 今回はそこまでは聞けなかったが、イレギュラー(・・・・・)の名を口にした時の黒死牟の顔はあらゆる感情が混ざり、非常に複雑だった。

 まぁ自分としては研究が進めば問題は無いと考えているのだが。




 
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