小さな親切、大きな愛 [G編]   作:冬眠復帰

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日常ほのぼのな話は書きやすいので好きです。そして文字数もどんどん増える。

ちょっとどうしたら表示的に見やすいか色々テスト中です


12,悪意なく良心より

悪意のない邪悪こそ真の邪悪である。

悪意のある邪悪が許されるわけではない。

 

12,悪意なく良心より

 

 

 奏ちゃんと響ちゃんの確執も大分解消され、私の職場に平穏が戻ってきた。口では

「まだ認めてないからな!」

と言っている奏ちゃんだけどあれはもう殆ど意地を張ってるだけだろう。実際二人で訓練しているところも見るし後は時間が過ぎれば一件落着だろう。それの煽りを受けて少し距離を置いている翼ちゃんもいるがあれはこの前プッツンしたのが恥ずかしいだけだろう。訓練後なんかは三人で仲良くしてるし見ていて安心できる。

 

そんな三人をさて置き私の方は

 

「書類が減らない!」

 

 シンフォギア装者のリーダー(事務職)というものを舐めていた。何かするたびに書類書類、出動があれば 追加で書類書類。何故かツヴァイウイングとしての活動でも書類書類。もう椅子に根が生えそう……

まあ、シンフォギアを使っての訓練にはリンカーが必須だし、出動すれば被害報告書。ツヴァイウイングとしての活動であろうとも装者が離れるのであれば色々下準備と、理由は分かるのだがこれ一人でやっていい仕事量じゃないでしょ。

この前今までの前例を出してくれと司令に申請したら、ここまでの事務仕事はなかったようだ。そもそもシンフォギアの存在は機密であり、それを管理できる立場の人間など二課内では司令ぐらいで、司令が事務仕事に忙殺されては運営が成り立たないと特例で書類免除を押し通していたらしい。流石にノイズ襲撃の増加と響ちゃんの加入で上からせっつかれたらしく、ちょうどいい事務仕事ができる人間として私が担ぎ上げられたということだ。

 

(これはもう諦めるとしても、情報こっちに流しすぎじゃない?)

 

 司令の好意なのか、直接関係有る連絡意外にも外部との折衝関係の報告が私の所に来るようになっていた。何かするわけではないし、外部から見た自分たちの立場を把握できるのは有り難いが、魑魅魍魎が牽制し合うメールとか書簡とか目を通すだけでも胃が痛くなる。

 

(それでも、色々準備ができそうなのは有り難いか)

 

ややこしい話も基本的には事前に分かるし、外部から疎まれそうな所もフォローできるし、今の状態は割と良いものだろう。

私の人権が無視されていなければ……

 

残業代で稼げるから豪遊しようと月末の明細見ると計算よりも低く、司令に文句を言いに行くと

 

「君は管理者扱いだから残業代は出ないぞ? 管理手当が付いてるだろう」

 

 

(確かにその分増えてますけど! 残業代の方が多い!)

 

 とは流石に言えないのでオブラートに包みながら現状を嘆いたら、アシスタントを付けてくれることになった。ただ、扱う情報が情報なので人選には時間がかかるのこと。そんなわけで当面はピンチヒッターで対応することに。そんなピンチヒッターとして最近手伝ってくれてるのが

 

「立浪さん、泣いてても仕事は減りませんよ。はいあったかいものどうぞ」

 

「あったかいものどうも、あおいちゃんも切りが良いなら休憩にしよっか?」

 

「私は大丈夫ですけど、立浪さんは良いんですか?」

 

「いーのいーの。秘蔵のいいお菓子あるから食べちゃいましょ」

 

 いやーあおいちゃんは優秀で助かる。というより司令室に詰めてる人で私より仕事遅い人いないんじゃないの? やっぱ国家機関の極秘部署となると人員も厳選されてるんでしょうね。

 

「司令室の方はあおいちゃんいなくても大丈夫なの?」

 

「それはもちろん。私一人いないだけで回らない組織だとまずいですしね」

 

「あおいちゃんと朔也くんてデスクが一段高いけどやっぱ強いの?」

 

「強いってなんですか強いって…… 一応私達二人がメインのオペレータという肩書にはなりますね。メインと言ってもみんなが調べてことをまとめて司令や了子さん、装者の人たちに伝えるだけでので」

 

 それをだけって言えるのは相当に優秀な証拠なんですけどね…… 戦闘時を始めとしたその情報の奔流をまとめて適切に流せるだけですごいんだけどね。

 

「私もそれなりにここ長いけどみんなの仕事あんまり知らないのまずいわよね」

 

「立浪さんはほとんど前線に出ずっぱりですからね。仕方ないですよ」

 

「それでも、課内の調整もお仕事になっちゃったし、その辺りも進めていかないとね」

 

 

(自分で言っててあれだけどスポーツ選手が引退後のキャリアの準備してるみたい)

 

 私も全部が終わるまでは現役でいるつもりだけど昔よりは無理ができなってるのは事実だ。だから言って後ろに下がるわけにもいかないし鍛えないとな~

 

ノイズとだけ戦っているだけならまだマシでしょうけど、こっから先はそうはいかないからね。

 

「あら、このお菓子すごい美味しいですね、どうしたんですか?」

 

「世の中便利なもので買いに行かなくても適当にカタログ眺めて指先一つでお家に届くのよ」

 

「こう言ってはあれですけど、立浪さんがお菓子のカタログを眺めてるのなんというか……」

 

「似合わないって? ひどいこと言うのね」

 

「い、いやそういうわけでは」

 

「まあ、いつもの私見てればそうなると思うわ。最近家とかこの部屋に甘味をたかりに来る子が増えてね」

 

「装者四人仲良さそうで何よりです」

 

噂をすれば今日も甘味限定の強盗団が近づいてきたようだ。

 

「姐さーん、お菓子くれー」

 

「立浪さん、あ、友里さんも、失礼します!」

 

「響ちゃん、奏ちゃん。お疲れ様」

 

「はいはい、今日も元気なのは結構。 それでも奏ちゃんノックぐらいしなさいな。来客中だったらどうするの」

 

「だって、扉の表示来客になってなかったし」

 

ほんとにもうこの子は…… がさつに見えて周りをよく見てるんだから

 

「私の負けで良いわよ。でご用件は?」

 

「この後響と模擬戦したいんだけど部屋開いてる?」

 

 これも仕事が増える残念な変化だ。今までは自分でやってた部屋の場所取りとかを結構な頻度でこっちに丸投げし始めている。多分一応上司である私の顔を立てようしているのが半分、不器用な甘え方というのが半分と勝手に解釈している。そして今回は残念ながら

 

「ダメです。最近響ちゃんと一緒が楽しいのかもしれないけどちょっと頻度が高いわ。リンカーの数もそうだけどあなたの体調も心配だし許可できません。翼ちゃんが朝からトレーニングルームに居るはずだからそっちに行ってらっしゃい」

 

「ちぇ、響はどうする?」

 

「久しぶりに装者四人で特訓です! 筋トレでも大丈夫です!」

 

どうやら私も数に入っているようだが残念ながら私の机の上には未だ書類の山が鎮座している。そうなれば答えはもちろん

 

「残念私は忙しいのでいけません」

 

「姐さんおやつ食べてサボってるじゃん。行こうぜー」

 

「これは適切な休憩です。ほら三人分のお菓子持たせてあげるから行ってきなさい」

 

 

 

「最近付き合い悪いぞー」

 

そんな捨て台詞を残して二人は部屋を後にした。時間にしたら数分だというのに、賑やかなことだ。

 

「じゃあ、私達もそろそろ再開しますか?」

 

「そうね、あおいちゃんももう少しの間お手伝いよろしくね。ここにいる間はそこのお菓子は好きに食べていいからね」

 

 私達はリラックスも出来たのでお仕事を再開する。オペレーターとしての経験からか山のような書類を要点だけどまとめてこちらに回してくれるので仕事が捗る捗る。おあおいちゃんの力も有って昼食で休憩を挟み夕方頃には今日の書類の山は消え去っていた。内容的には直近の山場は越えたと思うし、明日からは少しは装者としての時間も取れそうだ。最近響ちゃんは司令に弟子入りしたようだし私もちゃんと鍛えないとどんどん置いていかれてしまう。

 

 

 

 

 

「とか予定立ててたんだけど、どうして出勤早々私は悪い顔してるあなたに捕まってるのかな? ねえ、慎次くん?」

 

「いえ、少しお願いしたいことがありまして」

 

 今日は事務仕事もそこそこに身体を動かそうと思っていたら、怪しい笑顔の慎次君に捕まってしまった。だいたいこんな顔をしている時は面倒事を持ってくるときなのよね。それでも身内には迷惑をかけないタイプのものなので甘んじて受けさせてもらってるけど。

 

「そんな顔してる時の君の話は大体厄介事だった記憶があるんだけどね。とりあえず話して頂戴」

 

「それでは、少しお耳を拝借して……」

 

 私は話を聞きながら口角が上がるのが分かってしまう。こんなタイプな厄介事なら全然ウエルカムだ。これはさっさと準備しないと。私は話を聞きながら使用申請するリストを頭の中でまとめていく。

 

 

 

 

 

 

 次の日、私は執務室に装者全員を朝から集めていた。学生と芸能人という忙しいみんなを休日に丸々確保出来たのは幸いだ。私は出来る限り真面目な顔を作り、シリアスな空気を出す努力をする。

 

「今日、みんなに集まってもらったのは他でもない。今日は特殊任務のために集まってもらったの」

 

私の発言に三人の表情が固くなる。これはいけそうだ。

 

「今回の相手はノイズではない。厄介なゴミたちを掃除することが任務になります。また今回は任務の性質上二課のオペレートは受けれません。緊張して臨んでください」

 

「そこまでの話となると相当厄介な相手が出てきそうだな」

 

「そうね、そんな任務は私も初めてね」

 

 ツヴァイウィングの二人は引き締めた顔中にも余裕が見えるのは経験からくるものだろうか。響ちゃんは緊張と困惑で顔が青くなっている。

 

「立花、安心しなさい。私たちがちゃんとフォローしてあげるから、いつもどおりに動けるようにしなさい」

 

「翼張り切ってるじゃん。アタシも負けてられねーな」

 

「はい!よろしくお願いします!」

 

「みんな気合十分ね、今回はさっきも言ったけどノイズが標的では無いけど最悪の場合はシンフォギアを使用する可能性も考えて行動すること。じゃあ二〇分後に駐車場に集合。そこから車で向かうわ」

 

「「「はい(おう)!!」」」

 

 

 

 

 予定通り私達三人は車で移動している。必要な道具は昨日のうちに積み込んであるから大丈夫だ。

 

「後ろに積んである荷物はなんなんだ?」

 

「現場で使う予定よ、とりあえずはそのまま置いといて」

 

「こんな市街に巨悪が潜んでいるとは…… しかもこの辺りは私の家の近くではないか…… 何たる不覚!」

 

「翼さんてこの辺りに住んでるんですか? 今度遊びに行ってもいいですか?」

 

「えっ、ま、まあ大丈夫よ。いない時も多いから早めに相談してね?」

 

大丈夫だよ、響ちゃん。その願いはそう遠くなく叶うから……

 

 

そんなこんなで到着したわ高級マンション。響ちゃんは緊張した目で見上げているが残りの二人は違う表情だ。

 

「た、立浪さん。ここは私の住んでいるマンションなんですが……」

 

「もしかして任務って…… さっきから姐さんもなんか怪しいし」

 

そろそろ奏ちゃんにはバレちゃったかな? まあ、ここまでくればもう良いかな

 

「はーい、それじゃあみんなトランクの中身手分けして持っていくわよー 準備してー」

 

「……あれ? なんか空気が?」

 

 響ちゃんも何かがおかしいのに気づいたかな?

そのまま私達四人は荷物を担いで高層階のとある部屋の前に到着する。その部屋の掲げている表札の名前に奏ちゃんは笑いをなんとか堪え、響ちゃんは困惑。翼ちゃんは察したのか青い顔をしている。

 

「はーいでは突入ー」

 

私は機を逃さず借りている合鍵でドアを開ける。

 

「ちょ、ちょっとまって!? なんで、私の部屋!?」

 

「え!? 翼さんのお家なんですか?」

 

 

 

 

「こ、これは!? 大変です! 翼さんのお家に強盗が!!」

 

 扉を開けた私達の視界に飛び込んできたの玄関から物が散乱し、半開きの扉の向こうに見えるリビングも同じ様な光景は知らない人間が見れば強盗が過ぎ去った後にしか見えないだろう。

 

「……」

 

横で先程までの青い顔を急激に赤くしていく翼ちゃんを眺めながら、答え合わせをしていこう。

 

「はい、では今日の任務です。依頼者は慎次くん。内容は翼ちゃんの部屋のお片付けです。」

 

「な、なんでこんな事に…… て立浪さんさっき、シンフォギアを使うかもしれないって、私の部屋を何だと思ってるんですか!?」

 

「ははは!! もうダメだ! お腹痛い!!」

 

奏ちゃんが静かだと思ったら笑うのを我慢してたようだ。泣きながら大笑いしている。

 

 

 

 響ちゃんに翼ちゃんは片付けができないことを説明しながら分担して掃除と整理整頓を進めていく。翼ちゃんは戦力外なのでソファーで人形になってもらってる。ずっと小声で。どうして…… なんで…… と呟いているが手伝ってもらうと悪気はなくても仕事が増えるだけなので大人しくしてもらうしか無い。

 

三人で進めれば慎次くんと同じぐらいの時間で終わるかなー?

 

 

 

 

 

 朝から初めて、終わったのは昼食を取るのにも遅いような時間だった。そのまま解散というわけにもいかないので私の行きつけの喫茶店に連れて行く。ここの私のお気に入りの席は奥まっているから芸能人二人連れ込んでも騒がれないのでありがたい。

 

「ここは喫茶店だけどご飯も美味しいから好きなもの頼みなさい。もちろんちゃんと奢ってあげるから」

 

「何にしよっかな~ おお、ほんとにメニュー色々あるな」

 

「私このスタミナランチにします!」

 

「そのメニューほんとに喫茶店のものなの?」

 

三人でメニューを見てワイワイ騒いでるのを見るだけで心が豊かになる。

 

「はいこれ、珍しく大人っぽいことしてるじゃないか」

 

マスターがいつものコーヒーを持ってきてくれる。いつも注文しすぎてもはや頼む前から出てくるレベルだ。いつもならここに灰皿がつくんだけどメンバーを見て持ってこない辺り流石だ。

 

「お嬢ちゃんたちはどうする?食後にするかい?」

 

 そりゃそうか。普通は食後のコーヒーになるか。私は普通にカフェイン中毒なので先にも後にも飲むので問題ないが、先に出てきても困るものかも。

 

 

 

 結局響ちゃんと奏ちゃんはボリューム重視、翼ちゃんは和食御膳。私は軽めのサンドイッチと個性が出るメニューを頂くことになった。完食後改めて食後の飲み物を入れて貰い談笑に移っている。

 

 

「今更ですけど、どうして私の部屋の掃除だったんですか?」

 

「慎次くんに頼まれてね、別件で動けないから定期の掃除を頼まれてね」

 

「定期って、緒川さんが翼さんの部屋をいつも掃除してるんですか?」

 

「ちなみに前回の掃除、一週間前な。あそこまで散らかせる翼は才能あると思うぞ」

 

「もう! 奏もみんなも意地悪だ……」

 

 

「ぷ、ぷははは!」

 

「立花もそんなに笑わないで!」

 

「ご、ごめんなさい。私よく同室の親友に怒られるんですけど、翼さんも一緒なんだなって思って」

 

「そう、この子も響ちゃんと同じ花の女子高生。最近響ちゃんと奏ちゃんよく二人で訓練とかしてるでしょ?翼ちゃん拗ねちゃうぞ?」

 

横に座る翼ちゃんを撫でながらそう言うと顔を赤くしながら怒られる。

 

「立浪さんはもう!」

 

それでも否定しない所から完全に間違いでは無いようだ。

 

「先輩後輩。アーティストとファン。色々あると思うけど、仲間でお友達でしょ」

 

「ゴメンな翼、アタシ響を鍛えなきゃと思って……」

 

「私が悪いんです。奏さんに特訓をお願いしすぎて」

 

「いえ、私も自分からもっと交流を持てば良かったわね……」

 

 

「誰が悪いとかの話はもう終わりにして、仲良く遊びにでも行ってきなさいな」

 

「姐さんは?」

 

「私はこの後本部に戻ってお仕事の続き。安心しなさい、三人とも今日は午後から休みにしてあるから」

 

 三人は少しこちらを 名残惜しそうに見てくるが、笑いながら手を降ってあげると切り替えたのかいい笑顔で店を出ていった。この後は若者らしくカラオケにでも行くのかな?

 

「はい、おつかれさん。おかわりは?」

 

 マスターがタイミング良く灰皿を持ってきてくれたので、ついでの三杯目のコーヒーを頼む。そろそろ胃に悪そうだなと煙草に火をつけながら考えていると入り口の方からベルの音が流れてくる。

 

この時間だとそれなりにお客もいるおかなと思っていると入店してきた客はどうやら私の横のテーブルに座ったようだ。わざわざ奥に来るとは珍しい。

 

 

 

 特段気にすることもなく煙草を吸っていると隣から咳き込む声が聞こえてきた。この店は近頃珍しい全席喫煙の店だから問題ないと思っていたが、お隣さんが苦手そうなら控えたほうが良いかな。とりあえず一言謝っておこう。

 

「すみません、煙おきらいで、す、か……?」

 

「ああ、わりぃがアタシがいる間は勘弁してくれよ」

 

 

 

ど、どうして私の隣には雪音クリスちゃんがメニュー片手に座っているんでしょうか?

 




気がつけば予定にないクリスが出てきでびっくり
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