小さな親切、大きな愛 [G編]   作:冬眠復帰

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少しが間が空きましたごめんなさい。週末に良いものを見れてまた頑張ろうと思いました


16,輝く残酷

花火とはきらびやかに輝くものだ

花火とは一瞬のために生み出される残酷なものだ。

 

16、輝く残酷

 

こと座流星群。それだけではただの流れ星でしか無いが私からすれば本番が始める合図になる。最近はツヴァイウィングの二人は芸能活動が忙しく、響ちゃんも学校の課題なんかで忙しいらしく中々全員が揃う機会がない。こんな緊急時なのだからなんとか都合して欲しいと思ってしまう。もちろん今がそんな事態になっているんだなんて把握しているのは私だけだし、変な動きをすれば私への疑惑が復活しそうだ。動きたくても動けないというのは中々精神に来るものだ。以前はこれで色々と体調を崩して肝心な時に立ち会えなかったし、今度は我慢するしか無いのだ。同じ失敗をするなんて一番無駄なことだ。

 

「それにこの山だしね……」

 

目の前に復活している書類の山にため息しか出ない。最近あおいちゃんが本来の業務で忙しいらしく一人で仕事をこなすしか無いのだが、この量はかなりしんどい。訓練の時間もあまり取れずに書類仕事だけで毎日が過ぎ去っていく現状だ。このままだと勘も鈍っていきそうでこれまた大事なところで失敗しそうな恐怖がある。このまま文句を言いながら仕事を進めるのも精神衛生上非常によろしく無さそうだし一旦休憩を入れよう。こんな感じに自分で自分の時間をコントロールできるようになったのは数少ない今の立場のメリットだ。

 

 

 

「ありゃ、三人お揃いで、今日は遠方で仕事だったんじゃないの?」

 

煙草と缶コーヒーを持ってもはや私の第二の城と言っても過言でない喫煙所に向かおうとすれば今日は本部には居ないと聞いていたツヴァイウィングにマネージャーのフルセットが向こうから歩いてきた。

 

「それが先方の都合で延期になってしまって、今日明日の話ではなくなってしまったので一旦帰って来たところです」

 

「あんな遠くにまで行ったのにさ、やってらんないよ」

 

「仕方ないじゃない、そんな言い方ダメよ、奏」

 

一人でゆっくり休憩をしようと思ってたけどこれならおしゃべりしてるほうが良い気分転換になるかもね。

 

「夕食前の微妙な時間だけど暇なら部屋でおやつでも食べない? 仕事するの疲れちゃって」

 

「僕はこのまま司令に報告することがあるので皆さんで楽しんで来てください」

 

そう言われ私達は三人になり、私の部屋まで並んで歩いていく。緊張しっぱなしの最近だけどたまにこうしてリラックスしないと潰れてしまうからね。

 

「最近私訓練出れてないけど調子はどう?」

 

「響のやつが頑張ってるけどまだアームドギア出せてないな。あいつも頑張ってるのはわかるんだけどこればっかりはアタシたちはどうしようもないからな」

 

「そうね、奏がいるから慣れればすぐにでもと思っていたけど不思議なものね」

 

そうかやはりそうなるか。でもその方が良いんだろうね。彼女の両手は神すら殴り倒す拳だけど同時にみんなと手を繋ぐために開いてないければいけないのだ。

 

「ゆっくり待ってあげましょう。それまでは私達が支えてあげればいいだけの話だし」

 

私がそう言うと二人共ニッコリ笑って返してくれた。これからどんどん難題が続くけどこの笑顔を見ていればなんとかなりそうな自信が湧いてくる。

 

しかし、どうやら事態は私達に休息も安寧も許してくれないようだ。歩いている廊下にけたたましいサイレンが流れ、そのまま緊急放送が続く。

 

「ノイズが2箇所に大量発生。今までにない数です! 装者は直ちに司令室に集合してください!」

 

三人顔を見合わせ急いで今まで歩いた道を全力で走り出す。

 

 

 

「状況報告をお願いします!」

 

「来てくれたか! 事態は急を要する。迅速に行くぞ!」

 

司令より現状の説明が入る。今回発生したノイズは二箇所で暴れまわっているようだ。どちらも人口密集地でではないが少し移動すれば同じことだ。そもそもノイズは人間と対消滅しない限り活動し続けるのだ。こんなものすぐに犠牲が出ないだけで時間を浪費すれば意味がない。

 

「司令、ノイズの数は同じぐらいですが?」

 

「いや、倍近い開きがある。今回は二箇所同時に叩く。響君もこちらに向っているところだ」

 

響ちゃん来ちゃうのか。そろそろ星を見る約束のはずだから来ないでも良いようにしたいけど、今回はかなりやばいし仕方ない。

 

「では数の多い方に奏ちゃん、翼ちゃんと響ちゃんを合流させて対応。少ない方を私が行きます」

 

「なんでだよ! 姐さん一人なんて危ないだろ!」

 

「私もそう思います。三人のうち誰か一人をそちらに」

 

「申し訳ないけど、今の響ちゃんを戦力として数えるのは危ないわ。その状態で二人づつに分ければフォローの分負担がきつくなる。それならこの分け方の方が効率がいい。これ以上話し合いで時間を無駄にするわけにいきません。早く移動!」

 

こんな時に無理やり決めれるのが権限を持つ者の権利で義務だ。二人共不満があると表情が語っているが、時間がないことも理解してくれているのだろう。移動を始めてくれる。ただ、このまま送り出すのもなにかトラブりそうだしひと声かけておきますか。

 

「というわけで、さっさとそっちを片付けてこっち助けに来てね。待ってるから」

 

「ああ!」

 

「はい!」

 

二人共やる気を戻してくれてみたいだ。自分の気持ちで仕事のモチベが変わるのは良くないけどそれは大人の話だしね。さあ、私も早く向かおう。命を守らないと。

 

 

 

 

 

 

「ああ、もう! さっさと突っ込んで来なさいな!」

 

数は想定よりも少ないが逆に時間がかなり長引いて伝わるはずもない怒りをノイズに叩きつける。もちろん反応なんて返ってくるわけもなく、私の一人相撲でしか無いのだが声に出さないとやってられない。

 

「ほんと、何なのよ気持ち悪い……」

 

なぜ、時間がかかっているのか。それはノイズの行動が変なのだ。普通であれば人間を見れば突撃するしか出来ないような奴らが距離を取り、こちらから近づけば微妙に距離を開けられる。私はアームドギアが盾ということもあり遠距離には弱いのだ。予定では突っ込んでくるノイズを捌きながら戦う予定だったのに。それならば私だけにノイズが集中するから逆にやりやすいという計画も崩れるどころかたちが悪くなっている。

 

「三人の方は順調にノイズを倒しています。このまま行けば予定よりも早く合流できるはずなのでこのままお願いします!」

 

あおいちゃんから全体の状況の報告が入る。向こうの方は調子良いみたいだしこのままでも問題ないかな?

 

「しっかし、なんでノイズが変な行動してるんだろうね、命令されてるみたいに同じ動きだ……し……」

 

やらかした! ノイズに命令できるのなって一つしか無いじゃない! タイミング的にもバッチリだし、なんで見落としてた私!

 

クリスちゃんが来てるのはほぼ間違いない。この二箇所同時も陽動と考えれば話が通る。すぐにでもあおいちゃんを通して注意を促さそうとして口が止まってしまう。

 

(なんて説明すればい? ソロモンの鍵もクリスちゃんのことも説明できない!)

 

その一瞬の戸惑いの間に事態は急変したようだ。通信の向こうかが一気に騒がしくなった。

 

「あおいちゃん! 何か有ったの!? 報告早く!?」

 

「ネ、ネフシュタンの反応が奏さん達のいる場所に発生しました……」

 

「はあ!?」

 

間に合わなかった! どうするノイズがこれ以上時間稼ぎに徹底したら合流出来るかも怪しい。

 

 

……いや、まずは落ち着こう。焦って無理をすることが一番まずい。仲間を信じて自分の出来ることをやる。まずはそれからだ。

 

「向こうのチームに伝えて! 無理はせずに情報収集を優先、私もこっちを片付けてすぐに向かうから!」

 

「了解!」

 

そうだ、ここでクリスちゃんを倒せればもっと話は単純にできるかもしれない。今の段階で完全聖遺物相手はきついかもしれない。それでも離れた場所の私に出来るのは信じて託して自分のことに全力を出すだけだ。

 

 

「状況が変わったから一気に行くわよ!」

 

もう待ってられないと多少の無理を承知で突っ込んでいく。そうして戦っていると突然ノイズの動きが乱れだす。一瞬の間をおいていつもどおりの無秩序の攻撃を仕掛けてくる。理由なんてわからないけどラッキーと考えよう。向ってくれるなら手間が省ける。

 

 

 

 

そこから十分を少し超えた頃か、ノイズの最後の一体を倒すことが出来た。元々数は少ないし、向ってきてくれるなら捌いているだけで倒していけるのだ、必然の結果だ。

 

「こちら戦闘終了、向こうの状況は?」

 

「ネフシュタンの鎧を纏った人物との戦闘中! 三人がかりで向っていますが押されています!」

 

「すぐに向かいます、最短経路をよろしく」

 

まだ体力は持つ。輸送隊を待つより走ったほうが早い。これでも一応ギリシャの快足の名前を借りているんだ。ここで使わなきゃ何時使う。

 

 

 

 

 

少しの時間で目標地点に近づいてくる。今の所異常事態の連絡も来ていないから最悪の事態にはなっていないだろうがそれでもさっき押されていると報告があった。奏ちゃんの時間も考えれば少しでも井戸がなければ。

 

「そろそろ着くわ、状況に変化ない……」

 

最新の情報を確認しようとしたその時だ。ほんの少し離れた場所から爆音が飛んでくる。私は更に加速して現場に到着するがそこに有ったのは。

 

「くっ、私達では勝てないの……?」

 

「なんとかして! ガングニール!」

 

なんとか自分の足で立っているがどう見ても満身創痍の翼ちゃんに捕獲されながらもなんとか戦おうともがいている響ちゃん。そして

 

「うっ…… 姐さん……ごめん」

 

翼ちゃんに庇われている位置になんとか意識を保っているという状態の奏ちゃんが居た。 シンフォギアが解除されていないのは不幸中の幸いだ。もしそうなっていたら命が何時消えてもおかしくない

 

 

「おやおや、随分ごゆっくりな登場で。優雅なもんだなぁ、ええ?」

 

「………」

 

そして予想通りネフシュタンを纏ったクリスちゃんがいる。ソロモンの杖も確認できるし、さっきのノイズもそういうことだろう。

 

「始めましてでいいんでしょうかね。何処の誰だか知らないけど仲間を傷つけた分の支払いはしっかりしてもらいましょう」

 

 

目の前にいるのは敵だ。少なくても今この瞬間はそう考え全力で当たらなければどんな事になるか予想できない。

 

 

「翼ちゃんは二人を連れて撤収! 別命ある迄後方待機!」

 

「私はまだ戦えます!」

 

「問答は無用! 二人を殺したいの!」

 

そこまで言ってなんとか二人を抱え離れていってくれた。あれは後でちゃんとフォローしておかないと。もちろん次があればだけど。

 

「見逃してくれるなんて優しい所もあるのかしら?」

 

「あいつらはおまけだからな。予定では少ない方に黄色いやつでこっちにアンタが来ると思ってだんだけどな。予定が崩れて無駄な仕事をしちまったぜ。弱い奴らの相手も大変なんだぜ?」

 

急激に頭に血がのぼるのがわかる。落ち着け私。こんなあからさまな挑発なんて涼しい顔して流してみせろ。

 

「そこまで苦労して、私に会いたかったの? 嬉しくなっちゃうわね」

 

「ウチのボスがアンタを勧誘したいんだと。ったくめんどくさいこった」

 

フィーネが? ……ダメだ顔に出すな。何処から何が漏れるかわからない。

 

「そもそも私はあなた達がなにかもわからないし、ホイホイついて行くと思ってるの?」

 

「まあそうだよな。安心しな。気絶させて抱えてこいって言われてるからな!」

 

言葉と同時にムチの様な攻撃が飛んでくる。

 

「つっ!」

 

真正面からの一撃だったから盾で防ぐことは出来たけど牽制にしては一撃が重すぎる! これが完全聖遺物の力だって言うの?

 

「おー、やるじゃねえーか。ならおしゃべりはここまでにして本格的に行くぞ!」

 

 

そうして、完全聖遺物ネフシュタンの鎧とのタイマンが始まる。しかしそれは戦いと言うには一方的なものだった。飛んでくる攻撃をなんとか捌きながら耐える。私に出来ているのはそれだけだ。途中エネルギー弾の様な攻撃を防いだ時になんとか近づけたがそれでも一撃を入れることは出来なかった。そこからは遠距離からのなぶり殺しだ。

 

「防いでも回り込んできてめんどくさい……!」

 

「中々どうしてうまいもんだろ? そろそろ倒れてくれるとアタシも楽なんだがな」

 

最初は舐められていたのだろう。単調な攻撃ならなんとか捌けていたがそれだと防がれると分かったのだろう。今は向きを変え速さを変え、盾を回り込んでの攻撃ばかりになっている。致命傷だけはなんとか防いでいるがそれ以外の部分にはどんどん傷が増え出血している部分も出てきている。

 

「いつもなら撤退も考えるけど、あなたはあの子達をイジメてくれたからね、ここで倒す!」

 

「弱いやつがよく吠える。ならやってみろよ!」

 

「あぐっ!!」

 

ついに傷つきながらも保っていた均衡も崩れてしまう。キツめの一撃をもらって吹き飛ばされてします。まだ戦闘続行はなんとかできそうだがこのまま勝ち目がない時間を続けることに意味があるのか。そんな不安が湧き出てしまう。

 

「そろそろ、倒れてもらうぜ。これ以上は時間の無駄だ」

 

「まだまだ付き合ってもらわよ」

 

強がりを口にしても解決の糸口は見えない。見えない問題に必死に頭を動かしていると急に目の前のクリスちゃんの動きが不自然に止まる。

 

「なんだ、何をしやがった!?」

 

その問への回答は私ではない所から出てきた。

 

「そうね、これ以上は時間の無駄でしょう。終わりにしましょう」

 

木の陰から出てきたのは後方に居るはずの翼ちゃんだった。そしてその顔には覚悟が有った。

 

「翼ちゃん何してるの!」

 

「私はあの時決めたのです。誰をも守れるように強くなると。そしてそれは今!」

 

影縫いをされているようで動けないクリスちゃんにゆっくりと近づいていく翼ちゃん。私は動けるはずなのに身体が応えてくれない。

 

「まさかお前!?」

 

「今日はこんなにも月も星も私を見てくれている。終わらせましょう……」

 

「翼さん!!」

 

ついには響ちゃんまで来てしまった。私動けるはずなのに翼ちゃんの決意の前に動くことが出来ない。

 

「見ておきなさい立花。私達が人を助けるために必要な覚悟を……」

 

「好き勝手になせるかよ! ……はっ!?」

 

もう止まらない。翼ちゃんから放たれた思いと命を掛けた絶唱。それは辺り一面を光と音で包み込む。ノイズもネフシュタンの鎧も吹き飛ばすが私と響ちゃんには何もなかった。むしろ優しさや暖かさを感じることが出来た。

 

 

 

 

 

少しの間気を失っていたのだろう次に私が目にしたのは倒れた翼ちゃんを抱える司令だった。

 

「私はまた失敗したのかな……」

 

そう口にすることしか出来ない。そして同じく翼ちゃんの覚悟を見せつけられた響ちゃんが心配になって居るはずの場所に顔を向ければ

 

「いやあああああああ!!! 翼さああん!!!!」

 

絶叫し涙を流す姿をがそこに有った。

 

そうか、私は翼ちゃんだけでなく響ちゃんも守れなかったんだ……

 

そして私の意識は闇の中に溶けていった。

 

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