小さな親切、大きな愛 [G編]   作:冬眠復帰

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評価いただいたり、ランキングで初めての所まで行けたりと嬉しくてつい勢いで書いちゃいました。これからも色々頑張っていきます。


20,微笑みの隠したもの

愛は何より美しい

愛は何より醜い

 

20,微笑みの隠したもの

 

「ツヴァイウイングの奏さん……?」

 

そう言いながら信じられないような表情で固まっていいる女の子は間違い無く小日向未来ちゃんだ。しかし、さっき響ちゃんをご飯に誘ったら今日は家でご飯が用意されていると言っていたはずだ。であればここのいるのはおかしいはず。

 

「どうしたんだい? 今日は一人なのかい」

 

場所的にこちらからは見えない店の外まで見えていたのだろう。ふらわーのおばちゃんがそんな事を言う。そうであれば更に謎が深まる。

 

「はい…… 響、今日は用事があるらしくて…… 一人で御飯食べるのも寂しいんで来ちゃいました」

 

「あらまあ、それは残念ね」

 

やっぱり響ちゃんとすれ違いが有ったのだろう。その表情は暗いものだ。そこを指摘すればややこしいことになるのは確実なので出来る限りスルーさせてもらう。

 

既に響ちゃんとここの常連になっているのだろう、おばちゃんの話し方も私達に対するものと比べて大分砕けたものだ。

 

「……それで、ツヴァイウィングの奏さんですよね?」

 

そして最初の話題に戻ってくる。自分の行きつけの店に憧れのアイドルがいればそういうリアクションにもなるわよね。

 

「そうそう未来ちゃん。この人達響ちゃんの知り合いみたいよ。ファンなんだったらサインとかお願いしてみたら?」

 

「響の……?」

 

きっと善意100%なんだろうけど説明出来ない関係だしどうすれば良いのか。こっちを向き直した奏ちゃんも困り顔だ。どう返答するか考える時間は欲しいけど、このまま無言が続けばその時間がイコールで不信感になりそうだ。ただでさえ今は響ちゃんと未来ちゃんの間で関係がギクシャクしているはずだし。

 

「あなた響ちゃんの友達なの? 良かったらこっちに来る?」

 

そう言って手招きすると迷いながらも未来ちゃんはこっちに向かってくる。

 

(姐さん! 何考えてんだよ!)

 

(ここで突き放すほうが怪しいし後で響ちゃんが誤魔化せると思う?)

 

小声で奏ちゃんに怒られるけど私の考えは返答の通りだ。ここで私達が不審な動きをすればそのまま響ちゃんへの不信感に繋がってしまうだろう。

 

「えーと、今更ですけどお邪魔していんですか?」

 

「いらっしゃい。奏ちゃんの隣と向かいどっちが良い?」

 

そう迎えれば少し迷って奏ちゃんの隣に腰を下ろした。ここまでくれば腹を括ったのか奏ちゃんも営業スマイルだ。この辺りは流石芸能人という感じ。

 

「改めまして自己紹介と行きましょうか。私は立浪紫香。よろしくね」

 

「アタシの説明はいらないかもだけど、天羽奏だ。よろしく」

 

「わ、私は小日向未来です。ずっとツヴァイウィングのファンでした!宜しくおねがいします!」

 

緊張と勢いで首を痛めそうな勢いでおじぎする未来ちゃん。やっぱり純粋で可愛い。愛は重いのかもしれないけどそれも純粋故なのでしょうね。

 

「私達はあんまり長くは居れないけど折角の機会だし、奏ちゃんに甘えちゃいなさい。ああでもその前に注文しちゃいなさい。お腹空いてるんでしょ?」

 

そう言われてメニューを迷ってくれればその間に言い訳を考えれるけど常連らしく既に決まっていたようだ。あっという間に席に戻ってきてしまった。

 

「お待たせしました。それでなんですけど、響とどこで知り合ったか教えてもらっていいですか」

 

やっぱりそうなっちゃうか。奏ちゃんの方に興味と話題が行ってくれれば良かったけど、人生そんなに甘くはないか。

さてどうしましょう。大きく分ければ道は二つ。正直に話すか誤魔化すか。どっちにしても各方面に迷惑と悪影響が飛ぶからどっちも選びたくないんだけどね。それでもここまで来て何も話さないのが一番まずいだろうし、話しながら考えましょう。今までもいきあたりばったりだし今回もそれで行くしか無いか。

 

「そうね、私達はノイズの被害に対応する組織なの。私とかはお給料をもらう職員だけど響ちゃんはボランティアとして助けてもらってるの」

 

「響に聞いても何も教えてもらえなかったんですけど、なにか言えないような理由があるんですか」

 

さっきから語尾は疑問形だけど完全に問い詰める感じになっているの本人気づいてるのかしら。まあ良いけどね。

 

「言えない理由は貴方の隣に座ってるじゃない」

 

「アタシか?」

 

奏ちゃんが素っ頓狂な声を上げるから未来ちゃん私と奏ちゃんの顔を見比べながら混乱してそうだ。奏ちゃんも事前打ち合わせなんて余裕なかったしキョトンとしてる。

 

「ツヴァイウイングの二人も個人的に協力してくれててね、あんまり広がっちゃううとあんまり私達の活動に興味がないけどツヴァイウイングに会いたいって人が増えそうで基本内緒にしてもらってるの」

 

「……そうなんですか、奏さん?」

 

「えっ、いや……」

 

いやー、怪しまれてるねぇ。まあ、あんな三文芝居見せられてらそうもなるか。

 

「今まで本人たちにも秘密にしていたの。自分たちのせいで募集に影響があるってなんか嫌じゃない?折角善意で協力してくれてるのに嫌な思いはして欲しくないし」

 

「そこまではわかりました。でも最近響帰りが遅かったり、生傷増えてるんです。そんな怪我をするような事響にさせてるんですか!?」

 

「落ち着いて、他にお客さん居なくてもお店だから。それに関しては響ちゃん体力使う部門のお手伝いしてもらってるかトレーニングしてるんだと思う。でも女の子が怪我するのは良くないわよね。私から担当に人に声を掛けておくわ」

 

ここまで聞いて少しは納得してくれたのだろうか、それ以上の質問は続くことはなかった。

 

「聞きたいことはこれぐらいかしらね。じゃあ、今日私が話したことは響ちゃんには内緒にしておいてね」

 

「どうしてですか?」

 

「折角響ちゃんがルールを守って秘密を守ってくれているのに、それを私が横から教えちゃったらちょっと良くないでしょ?」

 

断言しないような煙に巻く言い方だったけど、納得してくれたのか小さく頷いてくれた。少し緊張も緩み時計を見ればそろそろ戻らないと時間に間に合うかが怪しくなってくるような時間だ。

 

「ごめんなさい。私達そろそろ出ないといけないの」

 

「色々聞いちゃってごめんなさい。……あ、サイン……」

 

そう行って残念そうにしている表情は年相応の可愛い女の子だ。

 

「安心しな、翼の分も付けて書いてやるよ。後で響に渡しておけばいいか?」

 

「良いんですか!? ありがとうございます!」

 

その後なにか用があればと連絡先を交換しておく。奏ちゃんは流石に立場もあるので一旦保留ということにしてもらう。そうして、三人分の会計を済ませ店を出れば陽は完全に落ちていた。

 

「良いのかあれで。嘘ついたこと何処かでバレると思うぞ」

 

「そうだろうね。その時は謝るよ。許してもらえなくても私一人嫌われれば済む話だ」

 

「その、自分が悪者になって解決させようとするの大嫌いだ」

 

あらあら、奏ちゃんにまで嫌われちゃったら心折れちゃいそう、なんておどけて見せても非難するようね視線は変わらない。でも響ちゃんが頑張って秘密を守ろうとしてるのにホイホイ簡単に言ってしまうわけにもいかないしこんな方法しか思いつかない自分が嫌になる。

 

私達は帰り途中に適当に買い物をして二課に帰る。少し文句を言われたがそれでも大凡は納得してくれたので変な空気にもならず、楽しい外食で終えることが出来た。

 

 

二課に帰った私は何処にも寄らずに喫煙所に直行し火を付ける。未来ちゃんを嘘で丸め込んだこと、純粋に心配している未来ちゃんを騙すのに顔色一つ変えることのない自分の面の皮の厚さ。それらが自分を攻め立てる。嫌な気持ちを煙に乗せて吐き出そうとしてもそれらは消えることなく私の中に居続ける。ペースが早いのだろう。換気が追いつかず少しずつ視界が白くなっていくがその煙が吐き出した自分自身への嫌悪感が可視化した物に見えてくる。

 

(あれで良かったはず。本当の事を言えないし、何も言わないのも怪しいし)

 

必死に自分を正当化するが、直ぐに反論が自分の中から襲いかかる。

 

(違う、嘘で誤魔化したところで未来ちゃんが真実を知った時の振れ幅を大きくするだけじゃないのか。問題を大きくして先送り。解決どころか酷くしているだけじゃないの。それに同席していた奏ちゃんも嘘つきにしてしまった。言えないのであればはっきりとそう説明するほうが真摯な対応じゃないのか。その場しのぎの嘘に逃げたんじゃないのか)

 

こうなり始めるともう止まらない。自己嫌悪が一旦始まると中々抜け出せなくなる。ストレスで胃が痛くなりそうだ。最近はダウナーに入ると周りの誰かが手を差し伸べてくれてたけど今は重要な作戦前のみんな忙しくてピリピリしているような状況だ。誰かを当てにしちゃいけない。そもそも私はこれでも管理職のはずだ。周りのフォローをしないといけない人間がイライラを周りに振りまくなんて言語道断。

 

(自分を騙せ私。腹の中はともかく外面ぐらいはまともにしろ。私が原因で作戦失敗なんて許されない)

 

そう言い聞かせ続けて少しずつ心を落ち着かせていく。時間的に寝るまでにはまだ少し余裕があるとはいえ確認しないといけないことはいくらでもある。こんなところで時間を無駄にする訳にはいかないのだ。

 

気が付けばしゃがみこんでいた身体に活を入れ立ち上がる。決めてしまえば動くしか無いのだ。何もしていないから考えが止まらない。無理やり身体を動かして明日の準備をしよう。

行動を始めてしまえば案外呆気ないもので気がつけば日付も変わろうかという時刻になっていた。流石にこれ以上は明日に響くので手早く机の上を散らかしている書類などを整理して仮眠に移る。仮眠室に行けばまともな寝具は有るだろうが今は誰にも会いたくないし、この寝心地なんて考えていないソファぐらいが今の私には丁度いい。精神的な疲れも有ったのか気がつけば意識を手放していた。

 

 

 

目覚ましの音で起きれば丁度いい時刻。泣いても笑ってもなにかが変わるはずのデュランダル移送計画が今始まる。

 

 




次を一気に書きたいので短いし話ほとんど進んで無いけどここで区切ってます
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