小さな親切、大きな愛 [G編]   作:冬眠復帰

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3000字ぐらい書いたのがエラーで消えて一日泣いてました……

感想評価本当にありがとうございます。最近このまま書き続けていいか迷っていたので背中を押してもらえるとすごくすごく励みになります


23,心ここにあらず

何をすればいいのだろう

何ができるかすらわからないのに

 

 

23,心ここにあらず

 

 翼ちゃんにちょっかいを掛けながら何度目かの退院をしたのが昨日の話。いつも以上に仕事に行きたくない病が発症している。

 

「あー、了子さんと会いたくない……」

 

 デュランダルのゴタゴタでどう考えても怪しい了子さんを見てしまったのが二課に行きたくない理由の筆頭だ。なんで了子さんが謎バリアを貼ることができたのか。答えを知っているけど今の立場を考えれば問い詰めないといけない内容だ。やぶ蛇どころかヤブから龍が出てきそうな気すらする。どうして弱みを握っているはずのこちらが追い詰められているのかこれがわからない。

 それでも時間はまってくれない。今日は司令が殺害された大臣の法要に出席するから私がいろいろやらないといけないのよね。そもそも司令なんて肩書だから錯覚するけどあくまで二課のリーダー、つまりは課長になるのよね。もちろんノイズなんて厄介なものを相手にする以上、権限は大きいでしょうけどあくまで国の機関の課長でしかないのだ。

 

「課長なんて肩書に釣り合ってない権限と責任よね……」

 

 出勤の準備を終え家を出る前にいつもどおりタバコとコーヒーを摂取しながら思考を続けていく。

 どうして今更こんなことを考えているかって? さっきも言ったけど今日は司令が居ないのでその間私が二課の責任者になってしまうのだ。実務の上では慎次くんだったり、あおいちゃんを始めとしたオペレータの人たちで回るだろうけど書類上は私が責任者になってしまうのだ。普通の会社とかに当てはめると係長みたいな感じだろうか。了子さんは了子さんで技術顧問のようなな別系統の指示系統になっている。私なんかがエリートしかいない二課に指示を出すなんて考えてだけでも胃が痛くなる。

 

「……もうこんな時間じゃない、嫌だけど行きましょうか」

 

 部屋の時計を見ればいつもよりは早い時間。それでも今日だけは早目に行かないといけないのが余計に気分を落ち込ませる。

 いつもより1時間程度早く走った通勤路は空いていても心に重くするものだった。

 

 

「おはようごさいます」

 

 いつもより気持ち真面目な挨拶をしながら司令室へと入っていく。本当なら自分の執務室にこもって昨日の高速道路や薬品工場でのドンパチの後始末を進めたいところだけど一応は本日の司令代理ここに顔を出さないわけにも行かない。

 

「おはようございます。昨日司令より預かっている確認して置いてほしい資料だそうです」

 

 あおいちゃんから渡されてたのはA4一枚だけ。これは楽勝かなと目を通せば書いてあるのは確認と作成が必要な資料の一覧…… お役所仕事はあんな激しい現場の後でも優しくはしてくれないようだ。

 

「なによこの量…… しかも半分ぐらい締め切りがすぐじゃない……」

 

「お疲れさまです、司令からも緊急事態が起きない限り書類仕事を優先して問題ないとのことです」

 

「あおいちゃんたちとか他の部署のタスク管理は?」

 

「そちらも大丈夫です。良くないことですけど最近の出動ラッシュでどこも慣れてきましたので」

 

 あおいちゃんから苦笑いとともに遠回しのここに仕事はないからと言われてしまう。なるほど最近のノイズ騒ぎでレベルアップしたのは装者だけでなく事務方もいろいろ成長している訳ね。

 

「了解、連絡ありがと。お言葉に甘えて部屋で仕事してくるわ。 あ、そうそう了子さんは?」

 

「司令に同行で外出しています。なにか用事がありましたか?」

 

「それならいいわ。時間があるなら現場にいた技術者に報告書の内容で相談したかっただけだから。じゃあそろそろ部屋にこもるから何かあったら内線頂戴」

 

 あおいちゃんの返事を受けて司令室をでる。しかし気になるのが了子さんが大臣の法要に出ているということだ。記憶が確かなら二課からの出席は司令だけだったはず。了子さんの行動が変わっているって少し嫌な予感がする。司令と一緒と言うなら裏で直接行動を起こしているわけではないと思うけどそれでも不気味だ。

 

 不良管理職なので仕事に直行せずにいつもの喫煙所に入る。これから事態は一気に動き出すからいったん流れを整理しておこう。本来の流れであればこの後のイベントと言えば響ちゃんと翼ちゃんの和解。その後クリスちゃんのシンフォギアお披露目、響ちゃんと未来ちゃんの不仲と仲直り。そこからクリスちゃんフィーネから離反。翼ちゃんの復帰ライブ。その後は最終決戦だ。今の所原作と大ききな乖離はないがそれでも細かく違う部分は多い。そもそも奏ちゃんと私の存在が大きな違いだ。ほぼ間違いなくこれは何らかのトリガーになるだろう。そして今日の了子さんの本来と違う行動。そろそろ原作知識を少し横においておいたほうがいい時期なのかも。

 

「私は神様なんて大層なものじゃないし考えても仕方ないんだけどね」

 

 それでも考えることを止めてはいけない。原作を知っているということは利点もあるが違いが出た時に迷いが出るかもしれない。それにここはもうシンフォギアという作品の世界ではなく私と私たちが生きる現実なのだ。考えろ考え続けろ。私にできる有利な点はそこしかないのだ。

 

「それでもまずは目の前のお仕事から片付けていきますか」

 

 灰皿に火を押し付けて気分一新とはならないけどそれでもお仕事を進めなければいざという時に動けないかもしれない。できる時に必要なことをする。それが大人なのだろう。

 

 

 

「ったくどれだけ書類を書かないといけないのよ……」

 

 作戦で使った高速道路、市街地、化学工場の被害状況の確認。戦闘の詳細報。時系列順の各種報告内容の確認。やらないといけないことなのは分かるけど書類仕事が多すぎる…… 各担当から草案やら一次報告は上がってきてる分0からじゃないだけでマシだけどそれでも簡単に終わる量ではない。

 そうして書類の山を片付けていれば気がつけば昼を大きく過ぎている。集中しすぎていたようだ。少し息抜きと昼食を取ろうとすれば内線がかかってくる。

 

「はい、立浪です」

 

「あ、紫香ちゃん? この前の話をしたいから私の部屋まで来てくれる?」

 

「……了解です。今から了子さんの部屋行きますね」

 

 ……特に意味はないのだけれど大魔王からは逃げられない、なんてセリフを思い出したわ……

 

 

 そうして特に準備もできていないまま了子さんと相対することになった。

 

「さて、呼んだのは私だけど聞きたいことがあるのは紫香ちゃんの方じゃないかしら?」

 

「そうですね。単刀直入に聞きますが、あなたは何者ですか? あの時ノイズの攻撃を防いだのは私の見間違いでは無いでしょう」

 

 こうなりゃヤケだ。口と脊髄をつなげて喋ってやろう。オペレーション後は野となれ山となれだ。

 

「何者なんてまた大げさね。私はタダの完璧で可愛い科学者の櫻井了子でしか無いわよ。あの時ノイズを防げたのも持っていた聖遺物のおかげね」

 

「了子さんがそんなもの持っているなんて事前説明にありませんでしたが。それならどんな聖遺物なのか見せてもらっていいですか?」

 

「悪いけどそれはできないわ。ちょっと入手経路が綺麗じゃなくてね? もう少し落ち着いたらみんなに話す予定だったの。そしてどうやらその聖遺物は使い捨てだったようであの時壊れちゃってもう無いの」

 

「二課を騙して居たということですか?」

 

「そんな大げさな話じゃないわよ。ただちょーと非合法なルートで手に入ったからどうしようか迷っていて報告が遅れたの。それで命の危険が迫ったから使ってしまったというわけよ」

 

詭弁だ。正しく詭弁だ。そして同時に追求できる穴が弱い。どれも今までの了子さんを見れば有り得る話と感じてしまう。そして了子さんのおかげで響ちゃんが助けられてる以上これを大ごとにしても簡単な注意かそれプラスアルファで終わってしまうだろう。

 

「納得はできませんが理解はしましょう。この件は司令に報告させてもらいますよ?」

 

「仕方ないわよね。あーあ、またお小言をもらわないといけないかしら」

 

 この場で了子さんを捕えればいいのか、今なら聖遺物の融合もしていない以上シンフォギアを使えば勝てる見込みを十分ある。でもここで了子さんを止めてしまえば月の落下は起こらない。そうなればF.I.S組が表に出てこない可能性が高い。そして最悪7つの音階がそろわずにシェムハを止めれなくなる? いやそもそもマリアによる70億の絶唱、バラルの呪詛の限定的な脱却が起きなければそもそも何も起こらないのか? ダメだやっぱり中途半端な知識が足を引っ張る……

 

「まあ、この話は横に置いておいて紫香ちゃんの話をしましょうか」

 

「私の?」

 

 突然の話題転換。それも自分の事と言われれば一瞬体が強張ってしまう。落ち着け私。そんな隙を見せていい相手じゃない。

 

「あの時いつもと違う聖詠、それも既にシンフォギアを纏った状態で行った。その後私から見れば突然のパワーアップ、科学者としては見逃せないじゃない?」

 

「あの時は…… 私にもよくわかりません。ただあの完全聖遺物。デュランダルの輝きを見た時胸の奥から今までとは違う歌がこみ上げてきました。なんというか言葉にしにくいんですが感情のこもったそんな歌でした」

 

「今までに一度浮かび上がった聖詠が変わるなんて事聞いたこと無いの。どうしてあなただけが、どうしてあの場で。それは今いろいろ忙しい状況だけど調べないといけないことだと思うの」

 

 確かにあの現象は私も気になるものだ。そして今の時期を逃せば聖遺物に関して一番詳しい了子さんに診てもらう機会は永遠に失われてしまう。であるならば急ぐべきか。

 

「了子さんの方で仮説はあるんですか?」

 

「そうね、気になるのは紫香ちゃんの聖詠ね。他の子は武器なんかの名前だけど紫香ちゃんだけはアキレウスって名前でしょ? アキレウスの盾が元になっているからだと思っていたけど、もしかしたらなにか違うのかも知れないわね。そもそも他の三人がオーディンのガングニール、須佐之男の天羽々斬と神が使う武器だけどあなただけはアキレウス、つまりは半神半人なの。もしかしたらあなたが纏うそれはなにか違うものなのかもしれない」

 

「なんというか話の内容はわかってもそこから難しすぎるような話ですね…… なにか検査で分かることあるんですか」

 

「そうね、いつも行っている表面上の検査ではなく、あなたの深層心理にまで入り込むような調査が必要ね」

 

 言葉だけ聞くとそれ洗脳とかされそうで怖いんですけど…… 表情に出ていたのだろう了子さんが笑いながら否定する。

 

「安心しなさいな、あなたに何か悪影響が出るわけじゃないわ。貴重なシンフォギア装者なのだもの。私の知識欲だけでなにかするなんて絶対に無いから安心しなさい」

 

 うーん。信用したいけど信用できない気もする。ただ私の状態が貴重ということであれば直ぐに害されることも無いと思っていいかもしれない。融合症例である響ちゃんも検査はされても細工はされてないと思うし。

 

「了解です。ならさっさとやってしまいましょう。今からでもいけるんですか?」

 

「準備すればできるけどいいの? あなた仕事残ってるんじゃないの?」

 

「今日の書類仕事は閉店です。司令も謎の現象の解明実験といえば納得してくれるでしょう」

 

「そう言うなら早速やってしまいましょうか。今回は深い睡眠に入ってもらいます。それなりに長くなると思うから準備と連絡を済ませておきなさい」

 

 そう言われ司令室に連絡すれば司令も戻っているようで了子さんから受けた説明をそのまま繰り返す。残っている書類に関しても一部貰ってくれるようでお礼を言っておく。了子さんからも連絡があるようでそのまま交代する。

 そうして準備を進め、いざ実験という状況だ。いつもの検査より繋がれている機器も多く、そもそも場所もいつもの検査室ではなく了子さんのラボだ。やはりフィーネとしての興味も大きいような気もするがここまで来てしまえばもう私にできることはない。

 

「では、お願いします」

 

「お願いされました。今回は全身麻酔を使うから意識的には一瞬で終わるわよ」

 

 そう言われマスクを付けられ次の瞬間私以外誰も居ない了子さんのラボに私は居た。検査は終わったの?了子さんが居ない以上勝手に動くわけにも行かず首を振って周りを見ることしかできない。寝起きのような感覚薄れてきた頃手に何か紙を握っていることに気づく。

 

『検査は終わっているわ。意識が戻ったら司令室まで来て頂戴。 櫻井了子』

 

 どうやら私は放置されていたようだ。了子さんらしいといえばそれ迄だけど流石に非道くない? 文句を言う相手も居ないので元の服に着替えて司令室に向かう。携帯で時間を確認すれば既に夜という時間だった

 

「うん?」

 

 ディスプレイにメッセージの通知がある。それだけなら何でも無い話だけど

 

「未来ちゃんから? 何か有ったのかな?」

 

 時に何も考えずにメッセージを開けばそこには文章ですらない短いものがあった

 

『嘘つき』

 

 その文面を見て急激に体温が下がるのを感じる。そして同時に思考が回りだした。そして一つの答えに行き着いた私は司令室へと走り出す。

 

「司令! 何がありました!?」

 

「紫香君! 了子君から検査で動けないと聞いていたがもう大丈夫なのか?」

 

「私は大丈夫です! それより何が有ったんですか!?」

 

「……ノイズの発生に響君が対応。そこでネフシュタンの少女との戦闘になり、ネフシュタンの少女は雪音クリス本来であれば君たちと同様に二課の装者になる予定だった子だったと発覚した。そして彼女は同じく行方不明だったイチイバルを纏い戦闘を続行。翼と奏くんも合流し戦闘は問題無さそうだったがそこにノイズを操る謎の女が現れた」

 

「ノイズを操る……」

 

「雪音クリスはフィーネと呼んでいた。そのままフィーネ及び雪音クリスは逃亡した。ここまでが今のわかったことと起きたことだ」

 

「ありがとうございます。……小日向未来という少女に関して何かありませんでしたか?」

 

「君も彼女を知っているのか…… 小日向くんは響くんと一緒に居て戦闘に巻き込まれた。よって二課で保護、事情を説明し少し前に帰宅したところだ。……どうしたんだ、顔色がまずいぞ」

 

「……いえ、いえ大丈夫です。少し自分の迂闊さを呪いたくなっただけです……」

 

 あの時のその場しのぎの嘘が彼女を傷つけ苦しめてしまったのだろう…… 奏ちゃんにも言われたのに真剣に向き合わずに楽な方に逃げてしまって。中途半端に希望を見せるから裏切られた未来ちゃんはより深く傷つき、響ちゃんも傷つけてしまった。ああもう本当にダメな大人だ。子供守り導くどころか傷つけ迷わしてしまっている。

 

 ああ、もう本当に消えてしまいたい……

 




ネットのフリーの校正サイト使ってみたんですけど文章力低すぎ問題が改めて突きつけられて辛いです…… 今後有効活用していきたいと思います……
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