別原作の投稿を始めたのでこちらの投稿頻度も早くししていきたいと思うのでがんばります
積んだものは崩れてしまう
崩れたのなら積むしか無いのだ
25,崩して積み直して
未来ちゃんとの胃が痛くなる面談も昨日の話。あの後装者三人は色々有ったこともあり、そのまま解散となっていた。そして明日響ちゃんの学校が終わった後改めて三人で面談をする予定だ。
今日はこのまま私も家に帰る予定だ。今の気持ちで仕事をする気に成れないし、無理やったところで悲惨なミスの嵐になるだけだろう。こうして嫌なこと明日に回せるのも大人の特権であり悪い癖だ。
車で帰る気もせずに夜の街をぼんやり歩いている。別に年柄もなく深夜徘徊をしたいわけでもなくこんな日は外食と決めているのだ。こんな落ち込んだ気持ちでスーパーやコンビニで半額シールの貼った萎びた惣菜と缶ビールなんてもう明日まで余計なものまで引きずってしまうこと間違いなしだ。
「何食べましょうかね、取り敢えずアルコールは入れるからそれを基準に考えましょうか……」
そんなわけでこの前教えてもらったふらわーはなし。そもそも響ちゃんや未来ちゃんと出会ってしまえば気まずさ120%でなんのために外食したのかわからなくなってしまう。
そんなふうに宛もないことも無いけど決めきれずにぼんやり歩いていれば不意に綺麗な歌声が聞こえてくる。そしてその声にも心覚えがあるときた
「歌なんて大嫌いだ…… 特に壊すことしかできないアタシの歌はな……」
「クリスちゃんの歌はそんな悲しいものじゃないと思うけどね。私はクリスちゃんの歌大好きよ?」
そう言いながら子供二人と手を繋ぎながら仲良く歩いているクリスちゃんの頭を撫でる。突然の登場に声も出すこともできずに口をパクパクさせているクリスちゃんを他所に一緒に歩いている兄弟二人のほうが私に答えてくれる。
「わたしもおねえちゃんのおうたすき!」
「そう、この歌は歌っているこの子が優しい子だから綺麗な歌なのよ。このお姉ちゃん優しいでしょ?」
そう問いかければ二人顔を見合わせしっかりと頷いてくれる。
「お、お前何してるんだよ!」
「あら、私もこの辺りのお店にちょくちょく顔を出すからね」
「おっきなおねえちゃんはおねえちゃんのお友達なの?」
「そうね…… このおねえちゃんのお姉さんてところかしらね?」
そういった瞬間クリスちゃんが露骨に嫌な顔をしているのがよく分かる。そりゃそうよね。最近敵対して彼女からしたら庇われてしまったわけだから。
「……今は一旦我慢してね。ここで騒ぎを起こすのは嫌でしょ。私は困らないけどね」
そんな感じに少し脅してあげれば不機嫌ながらも大人しくしてくれる。いやはや助かるわ、絶対ないって言い切れるけどここで戦闘になろうものならどんな被害が出ることやら。
そうして兄弟二人と敵対組織のシンフォギア装者計二名というなんとも言えないパーティーで交番に向かって歩いていく。私の言葉にはあんまり反応してくれないクリスちゃんだけど小さな子どもを無下に扱えるほどの冷たさも無いので四人で話せばそれなりに会話をしてくれる。並び方的には兄弟を中心に私とクリスちゃんが両端、という並びで直接は手を繋げていないけどそれでも確かに今争うことなく共に手を取り合って歩けているということが私の心にゆっくりと染み込んでくる。今は壁にぶつかっているけど希望はあると、この手に伝わる温もりがそのまま胸に広がっているのを感じることができる。
そうしてどちらかと言うと私が助けられている迷子の案内ツアーは直に終わりを迎える。交番では必死に探していたのであろう父親の姿があり、それを見た瞬間の兄弟の笑顔はやはり良い家族なんだと見ているだけでも心が暖かくなった。
そうしてクリスちゃんが仲良くするコツを質問し、喧嘩しても仲直り。簡単だけど大人になるほど難しくなるそのコツを教えてもら、彼女達三人と別れた。
そうすればそこに残るのは敵対する二人。しかも私の目の前にいるのは保護対象である少女だ。
「んで、あんたはどうするんだ。生憎アタシはこんな所で捕まってやる気はねえぜ」
「そうねえ、確かに貴方を見つけ次第本部に連絡保護するように指令は受けているけど今日はそんな気分じゃないのよね」
「んだよそりゃ!? 真面目にやる気あんのかよ?」
「真面目にやってもいいけど困るのはクリスちゃんでしょ?」
「うっ……」
実際私は何を言われてもこんな街中で戦う気は無いし、今の私は多少回復したといっても絶不調だし、こんな辛そうなクリスちゃんを追い込むなんてもっとできないし。今日は何もしないのは確定事項だ。それをクリスちゃんに伝えないのはその方が面白そう、ただそれだけ。
「このまま睨み合っても仕方ないわよ? それよりご飯いかない?」
「……分かってんのか? アンタとアタシは敵同士。前までは知らないからってことで流すにしてもアンタはあの時アタシの名前を呼んだんだ。あの時からアタシ達はもう前みたいに馴れ合え無いんだぜ?」
これはクリスちゃんが正しいのだろう。私達は最早敵同士。前みたいに仲良く食事する関係ではなくなったのだろう。それは間違いない、それでも
「だからもう一度お話をしましょう? さっき教えてもらったじゃない、喧嘩したなら仲直りをしましょう? 私はクリスちゃんの事を何も知らない。クリスちゃんも私のことを知らないと思う。話し合えば誰とでも仲良く慣れるなんて純粋に信じるには私は擦れてしまっているけど、それでも諦めたくないの」
「んだよそれ…… アンタいつも勝手に意味のわからないことばっかりだ……」
そう呟きながら私が差し出した手を握り返してはくれない。流石に都合良すぎたかな? 弱ってる子に付け入るのは自分でも趣味が悪いとは思うけど、それでお手を差し伸べることを止めたくはない。この子は大人の被害者なのだ。なら大人が助けてあげないといけない。まあ、そんなことしなくても仲間たちと傷を癒やしていくのだろうけど、それでも責任は取らねければいけない。
そうして二人道の真ん中で立ち止まっていれば周囲の視線を集め始めてしまう。特にクリスちゃんはこんなにも可愛いのだ。それにちょっと服装がセクシー過ぎない? ドレスみたいでフォーマルな場では問題ないのだろうけど残念ながらこの場は普通の商店街。少し浮いてしまっている。
どうしたものかと迷っていてるうちにいつまでも手を差し出していたことを思い出して諦めようとも思いま初めて所に小さな声がかかる。
「……今その手をとることはできねえ。自分のしたことにケジメを付けれてないからな。でも…… もしそれが終わったらアンタはまだ手を出してくれるか……?」
今まで一番か細い消え入りそうな声だった。彼女自身も考えがまとまっていないのだろう。そんな心境では言葉に自信を込めることはできないだろう。でも。それでも彼女は一歩を踏み出そうとしてくれたのだ。そして私はそんな頑張りを無下にできるようには出来ていないのだ。
「もちろんじゃない! それに私はこの手を貴方が取ってくれるまで下ろす気は無いし、私だけでもないわよ?」
感極まってクリスちゃんを抱きしめてしまう。あんなに可愛いところ見せられたら我慢なんてできるわけがない。
「ちょ!? 何やってんだよこんな往来で!」
私の腕の中で暴れるクリスちゃんだけど、体格も生身での身体能力どちらも私のほうが上の方なのだ、逃すわけは無い。暴れるのも少しの間だけで、直ぐに大人しく抱きしめられてくれる。私は抱きしめる腕を少し強くしてクリスちゃんの暖かさと優しさを感じる。
しかし、私年下の女の子に抱きつきすぎじゃない? もう男の頃の感覚なんて全く無いし、純粋に親愛だから無罪を主張するけど。
少しして開放すればクリスちゃんは顔を真赤にしながら離れてしまった。いけない、軽率な行動で詰めてくれた距離をまた離してしまった。
「お前距離が近すぎだ! 何なんだよほんと……」
「あはは、ごめんごめん。さてご飯何食べに行く? 後をこれを羽織っておきなさい」
そう言いつつ上着を渡す。今日肌寒いから持ってきておいて正解だったわね。
「はあ~? まだ言うのかよ? それになんだよこれ、私は別に寒くねえぞ」
「いやね? 今のクリスチャンは街中ではちょっと魅力的というか、セクシーというか?」
「……、はあ!? なんだよそれ!」
一瞬考え込んだ後上着を引ったくって羽織ってくれる。良かったよかった。時間も遅いしクリスちゃんのの体を不躾な輩に見せずに済んだ。
「その服を選んだのが誰かは聞かないけど、もう少し自分の魅力を知りなさい。貴方がチンピラに負けるとは思わないけど、それでも女の子なんだからね」
フィーネの趣味だろうな。後々のクリスちゃんの服装はセクシーと言うより可愛い系の方が多かったはずだ。いやー今思い出してもあのモコモコのクリスちゃん可愛かったなあ…… 早く抱きしめたい。
「はあー、はいはいわかりましたよっと」
「あらえらく素直じゃない」
「アンタに関して反論するだけ無駄だし、余計に面倒なことになるって分かったからな」
あらあら、そう言われては何も言えないわね。でも安心するのはまだ早いわよ私以外もしつこく仲良くしようとする子はまだまだま居るんだから。
「あら残念。でそろそろ何食べるか決めない?」
「だから行かねえて言ってるだろ…… アンタが嫌なわけじゃないんだ。でもアタシはさっきも言ったけどまだケジメを着けれてない。それにあの子達も言ってただろ?喧嘩したなら仲直りすればいいって。一度フィーネに会ってくるよ。会って話をしてくる」
「喧嘩でもしてるのかしら? そう。なら行ってらっしゃい。私は貴方を信じてるし応援してるわ」
「おいおい、いいのかよ。敵がギクシャクしてて、それを解消しに行くてのに止めなくて良いのか?」
「ええ、それが貴方の望むことなら、私は応援するわ。結果それでまた戦うことになっても貴方が満足して納得できているのならそっちのほうがマシよ」
「なにがマシなんだよ」
「クリスちゃんみたいな年の子が納得も出来ずに戦場に出てくるぐらいなら自分の意志で出てくるほうが十倍ましよ。それだったら私が勝ってお説教すれば終わりだからね」
そう最後に似合わないウィンクを一緒に送ってあげれば大きく口を開けポカンとした表情していた。そしてその後は大声で笑い出した。楽しそうなのは良いけど、目立って欲しくは無いんだよなあ……
「なんだよ、その理論、笑っちまったじゃねえか。ああいいよわかったよ、どんな結果であれ、敵であれそれ以外であれもう一度アンタの所に戻ってきてやるよ。そん時はたらふく飯を奢らしてやるよ」
「ええ、いらっしゃいな。でもいきなりは止めてよ? ちゃんとした所に連れて行ってあげたいから準備が居るんだから。後は、その上着はその時にでも返して頂戴」
「良いのかよ、いつも着てるやつだろこれ。困るんじゃねえのか?」
「社会人だからね、予備はちゃんとあるから大丈夫よ」
そうして追加で少し会話を続け、私達は別れた。最初は気分も落ち込み、考えもまとまっていない状態だった。でも今は答えは出なくても前を向くことが出来ている。もう一度走り出す熱が湧いてきている。あの親子には感謝しないといけないわね。
さあ! もう少し頑張りましょう!