小さな親切、大きな愛 [G編]   作:冬眠復帰

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風でぶっ倒れて速攻で毎日投稿が途切れて軽く落ち込みモード…
UA600、お気に入り20と思ってた以上に読んでいただけてるようで、さすがシンフォギアって感じです。後次指摘も知識不足をフォローしてもらってすごく有り難いです。
次は評価をもらえるのを目標に引き続き書いていきたいと思うので宜しくおねがいします。


2,そんなには知らないけど知ってる天井

人生は選択の連続だそうだ

 

せめて自分の選択は後悔はしても納得はしたい

 

 

2,そんなには知らないけど知ってる天井

 

 

「知らない天井……じゃない…」

 

いつかは言ってみたかったセリフだけど、残念がら全く知らない天井ではないようだ。

おそらくは特異災害対策機動部二課関係の病院の天井だろう。私は運良くリンカーなしでシンフォギアを運用できるのでそこまでここのお世話になってはいなかった。どちらかというとサボりに近い仮眠で使った回数のほうが多いぐらいだった

 

「あの後ここにいるって言うことは、ライブの直後ではないだろうけどいつ頃なんだろ」

 

関係ないことに思考を走らせている間に自分の置かれている状況が徐々に認識できてきた。私はあの原作1話のライブで奏ちゃんの代わりに絶唱を歌ったのだ。切歌ちゃんを参考にリンカーでブーストしてたとはいえ五体満足でいれていることは幸運だろう。

 

「しかし、そろそろ状況を知りたいけど、ナースコールどこにあるんだろう?」

 

幸いなことに起きたての自分だが特に骨折などもしておらず、点滴など動きを邪魔するものもないので部屋を探そうとベッドから降りて立ち上がろうとする。

 

「あっ」

 

どうやら思っていた上に私の体はダメージが残っていたようでうまいこと立ち上がれず地面に伏してしまう。

 

「あ痛~、大怪我するとこうなるんだな」

 

今まで運良く大怪我をしたこともなかったので思った以上の動きにくさにすぐに立ち上がれず地面に大の字になってしまう。そんなことをしていると扉の向こうから足音と知った話し声が聞こえてくる。

 

 

「お前たち、いくら紫香くんが心配だとはいえ毎日来ているのか?お前達二人も万全な状態ではないんだぞ?」

 

「あんなことになったんだ、心配しないわけが……」

 

入ってきたのは我らが風鳴司令と奏ちゃんだった。話の内容的に後ろに翼ちゃんもいるのかな。そして話ながら入ってきた奏ちゃんと目があった。

 

「や、奏ちゃん元気してる?」

 

私としては絶唱を歌わなかったとはいえリンカー無しであそこまで追い詰められた奏ちゃんの心配しかなかった。でもどうやら向こうからしたらそうではなかった様だ。

 

「姐さん!?地面に倒れてどうしたんだ!? ダンナ! 早く医者を呼ばなきゃ!!」

 

「紫香君!?何があったんだ!?」

 

「何があったの!?奏!叔父様!見えない!」

 

さっきまでは何の音もない静寂な病室が一瞬で阿鼻叫喚に。どうやら私は私が思っている以上に心配されたようだ。こんな私にはもったいない。

 

 

「みんなどうしたの?私はちょっと転んでそのまま地面の感覚を楽しんでるだけさ」

 

そう答えるしかできないんだよね。実際に床の冷たさが気持ちよくて少しこのままでもいいかなと思ってたぐらいだし。 

 

「こんなときに冗談はやめてくれ! 本当に大丈夫なのか?」

 

いやはや思っている以上に奏ちゃんに心配されていた様だ。まあ、覚悟を決めたのに目の前で掻っ攫われたらそんな感じにもなるかもね。

 

「まあ、とりあえず起こしてもらっていい?微妙に起きるの体痛くて」

 

実際問題、体の痛みで倒れたのだ。心配される程度には重体なのかも知れない。

そんなこんなで司令に起こしてもらってベットに腰掛け改めて三人の顔をみれば三人とも安心と心配が混ざったような何とも言えない表情をしていた。

 

「見舞いか? いやいや私もそこまで心配してもらえる程度には愛されてたんだな」

 

こんな時どんな顔をしたらいいのか分からないので取り敢えずふざけて場を和ませようとしたがこれが良くなかったようで、3人の顔にドンドン怒りが溜まっていくのがわかってしまう。

 

「姐さん!あんたは自分がどんな状態がわかってるのか! 全身血まみれ、まともなところ探す方が難しい様な状態で運ばれたんだ!」

 

代表してなのか、奏ちゃんが詰め寄ってくる。心配してくれるのは嬉しいし、言ってる内容は理解できる。でも

 

「でもさ、同じことを奏ちゃんはしようとしてたんだよ。リンカーを使ってない分更にひどいことになっていたと思うし」

 

そう言うと奏ちゃんは苦虫を噛み潰したような顔になる。我ながらひどい話し方だ。奏ちゃんもやろうとしたからと言って私が絶唱を使うことが許されるわけではない。

しかし純粋で優しいこの子には効果は抜群のようでそれ以上の追求をできないでいる。

 

(いやはや、我ながら汚い大人だこと)

 

「二人共そこまでだ。お互い思うところはあるだろうが、今は装者三人とも生きていることを喜ぶだけでいい」

 

流石はオトナの司令だこと。いろんなことを棚に上げてこちらに背負わせないようしてくれる。私としてもここでぐだぐだと言い合うの避けたいところだし、乗らしてもらおう。

 

「実際奏ちゃんも大丈夫なの? あの場ではリンカー無しでシンフォギアをまとっていたはずよね。体に問題は無いの?」

 

「……とりあえず命に別状もないし姐さんみたいに寝込んでもいない。細かいところは了子さんに見てもらわないとだけど」

 

「私も特には大丈夫。ノイズの数が多くて疲労感はあるけれど問題は無いわ」

 

奏ちゃんも翼ちゃんもとりあえずは通常の疲労程度らしい。絶唱を使ったとはいえ一番の年長者がこの体たらくは少し悲しいものがある。

 

「まあ、この話はこれぐらいにして、三人ともただのお見舞いなら私はこの通りだから後は少し安静にしてれば大丈夫よ」

 

「俺も本来は様子を見るだけの予定だったが、三人揃っているなら都合がいい。あの後のことを話したいのだが、三人とも大丈夫か?」

 

どうやらここで後始末の話を聞かなくてはいけない様だ。私としてはもちろんあの後のことは気になるので早く聞きたいが、自分のしたことを整理したいので後回しにしたいのが本心だ。

しかし、ここでまだ聞けるほど体調が戻っていないなどと言うとまたややこしいことになるだろう。

 

「私としてもあの後のことは気になるし、二人が問題なければお願いします」

 

さて、司令から聞いた事実だけで言うと、私の知っている流れを大きくは変わらなかった。違いといえば天羽奏が生きていることぐらいだろう。もちろん死傷者の数など細部は違うのだろうけど申し訳ないが今の私からしてもそれは数字の問題でしか無いのだ。

 

(いつの間にか人の命も数字で認識するようになっちゃたか。まあ仕方ないか)

 

私がそんなことを考えていても、こんな事態を初めて当事者で体験してしまった二人の顔は暗いものだった。まあ、自分が生きているから何人死のうが問題なしなんて考えの人間なら私も庇うことなんてなかっただろう。

 

「紫香くんが俺たちと同じ場所にいて動けない状況になっていたら被害はもっと酷いものになっていただろう。最悪の場合奏くんも……」

 

まあ、その話題出てきますよねー。 さてはてどう誤魔化すかを考えないと。

 

「なぜ紫香くんがあの場にいたかは問わないが、君のおかげで最悪の事態は避けられた。本当にありがとう」

 

おや?思っていたのと違う流れになりそうだ。司令からの信頼度がそこまで高かったのかそれとも裏で慎次くんあたりに調査させているのか。まあ答えは見つからないし、ここで変な疑いを掛けられても後々めんどくさいし、ここは素直に受け止めましょうか。

 

「いやいや私のサボりぐせがいい方に働いたみたいで。これからも積極的にサボらせて頂きます」

 

「できれば事前に教えてもらえれば嬉しいがな」

 

司令は全部を筋肉で解決してそうに見えるけど、こんな組織の長なのだ。腹芸の一つや二つできない訳もない。

 

「まあ、とりあえず万々歳と言う訳で、まずは奏ちゃんと翼ちゃんが生きていることを喜びましょう。私達だけですべてを救えるなんて自惚れちゃいけないわ」

 

余計なおせっかいかもだけどフォローを掛けておかないとこの二人は真正面から受け止めてしまうだろう。そんなのは大人の仕事だ。ただでさえ未成年に最前線で命を張らせているのだそれぐらいこちらで受け止めないと。

 

「……そうだな、これ以上の話は三人とも万全になったら行おう。まず君たちの最優先の任務は傷を癒やすことだ」

 

そう言って司令が終わりを告げると、張り詰めていた雰囲気も少し和らぐ。

 

「よっし、真面目な話が終わったならあたしから姐さんに言いたいことは山ほどあるんだしっかり聞いてもらうぜ」

 

「そうね、私もいい機会だから二人にはちゃんと話しておかないといけないと思うわ」

 

微妙に話が噛み合っていない気もするが、二人共しっかりとお説教をしていく気のようだ。さてはてこれから長い話が続きそうでため息を付きそうになると、意外なところから助け舟が出る。

 

「だめだ。まだ三人とも万全ではないし、紫香くんなんて意識が戻ったばかりだ。さっき言っただろう。まずは体を万全にするのが最優先だと」

 

 

どうやらこの場はお開きになりそうだ。申し訳無さも有るけど私の体調を出されては二人共強くは出れないようだ。

 

「仕方ないか……、 でも後でしっかりと話をしてもらうからな!」

 

捨て台詞を投げた後ツヴァイウィングの二人は私の病室を後にした。

 

「あれ?司令は帰らないんですか?」

 

「俺はまだ話さなければいけないことが有るのでな」

 

先んじてお説教を頂かなければならないのかと嘆いていると、続いて出てきた言葉でもっとめんどくさいことになるとわかってしまった。

 

「あの二人にはタイミングを見て伝えるが君には先に話しておこうと思ってな。起動実験を行っていた完全聖遺物ネフシュタンの鎧が何者かに盗まれている」

 

……どうやら私の安息はもう少し先になるようだ。

 

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