小さな親切、大きな愛 [G編]   作:冬眠復帰

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G編からの登場人物話し方難しすぎません?
違和感あったら教えてほしいです


2.2 背負う重さ

輝くものは綺麗なのか

濁ったものは醜いのか

 

2.2 背負う重さ

 

「正義の味方だと……」

 

「あら? テクマクマヤコンで変身の方がお好みだったかしら?」

 

 ありゃりゃ、久しぶりの大一番だし渾身カッコつけが華麗にスルーされてしまった。マリアのことだからそれなりに煽ってあげればボロ出すかと思ったんだけど。

 

「貴様も権力の犬の立場で正義を謳うのか……!」

 

 こりゃ結構真面目なやつじゃない。でもアレぐらいで激昂してくれるならボロも出してくれるかな。

 しかし、このまま二人を守りながら戦うのは結構厳しそうだ。今はまだノイズも大人しいけど見た感じマリアがソロモンの杖を持っている様子もないし他の誰か、おそらくはウェルが持っているのだろう。であれば好機と見ればノイズをけしかけてくる可能性もあるしどうしたものか。このままマリアとお話でもして時間を稼ごうと思ったけど

どうしてか怒らせちゃったみたいだし難しいかも。

 

「良いだろう、まずは貴様から相手をしてやる!」

 

 そう叫びながらマリアがこっちに突っ込んでくる。今の彼女はアームドギアを展開していない状態だし軽くいなせるかな?

 

 

 

 そう思っていたけど結構ヤバそうな雰囲気が出てきたわね。こっちがアームドギアを展開していないけどそれは向こうも同じ。お互い手足を使った肉弾戦がメインになってるけど戦況は五分五分といったところだ。今の私はそれなりに強いと思うんだけど真正面から崩せないってマリアこんなに強かったっけ?

 

「結構やるじゃない? 私これでも素手での戦闘は結構自信有ったんだけど」

 

「何を言うか。手を抜いている人間に褒められたところで何も嬉しくない!」

 

 一旦距離を取って体勢を整える。今の所お互い決定打は無いけれど、いつまでもノイズが大人しくしてくれるのかもわからないし結構まずいかも。

 

 「さあどうする、風鳴翼! 天羽奏! このまま傍観者を続けるのか!?」

 

 「くっ……」

 

 ツヴァイウィングの二人に煽りが飛ぶけど今の二人はシンフォギアを使うわけにも行かず、かと言って撤退するのも彼女たちの性格を考えれば選ばないだろう。私としてはこのまま時間を稼いでも良いんだけど若い二人がどこまで我慢できるかは別問題かな。

 そして何をスイッチにしたのかノイズ達が徐々に距離を詰めて包囲の輪を狭めている。それどころかこのまま行けば……

 

「勝手なことを!」

 

 考え事をしていて動くのが一瞬遅れた瞬間にノイズが二人に飛びかかった! 嘘でしょ!

 

 

 

 ノイズの攻撃の煙が晴れた後そこには二人分の灰が……

 

「あまり私達を見くびらないでほしいものだ」

 

「だな、簡単にこの生命くれてやるわけにはいかないからな」

 

 舞うこともなくシンフォギアを纏った二人がそこには居た。クソ! 私の判断ミスで二人の姿を全世界に流してしまった……!

 そんなことを思っていたらやっぱりうちの皆は優秀なようで。

 

「なに!? 映像が切れた!?」

 

 マリアの驚きにつられて周りも見渡せばさっきまで律儀にステージ上の映像を流していたモニタが全て切れ砂嵐と耳障りな雑音だけを流している。

 

『間に合いました! 中継はすべて切りました! これで全力で戦えます!』

 

 どうやら慎次くんが間に合ったようだ。多少イレギュラーは有ったけど大凡私の記憶通りの流れになってるかな。であれば

 

「ふー、これでやっとこれ脱げるわ。これ蒸れるのよね」

 

「姐さん!?」

 

「立浪さんだったの!?」

 

「あなた達気づいてなかったの?」 

 

 被っていた仮面を放り投げる。二人が気づいていなかったことを不思議に思い改めて自分の姿を見てみればどうやらいつものシンフォギアと比べて結構見た目が変わっていたようだ。なんと言えば良いのか軽装になってる感じかな? これとフルフェイスのマスクはまあまあ怪しく見えたでしょうね。

 

「やはり貴様か立浪紫香! 貴様が正義を謳うのか!?」

 

 やっぱり私のことは調査済みのようで、フルネームで威嚇されちゃった。それに勢いで名乗った正義の味方がお気に召さないようで。

 

「あんなもんノリと勢いよ。私が正義の味方を名乗れるなら、全世界に70億の正義の味方が居ることになっちゃう」

 

「そうやってどこまで煙に巻くか! 貴様だけはここで討つ!」

 

「ありゃりゃ、奏ちゃん、翼ちゃん。私がご指名らしいから周りのノイズよろしく。言いたいことは有るだろうけど今は我慢してちょうだいね」

 

 二人共自分たちのステージを利用されたり言いたいことは山程ありそうだけど今は我慢してもらわないと。多分だけどのあのマリアは私以外の装者より強そうなんだよね。お互い手抜きだったけど私とおんなじぐらいだし、多分リンカーを使えていない奏ちゃんも考えると二人に任せるのは少しまずい。

 

「熱烈なラブコールありがとう、こんな無作法で良ければ相手になるわ」

 

 いざ二回戦、私とマリアお互い近距離主体である以上距離は一瞬で詰めてしまう。手足をいつも以上に使って攻め立てるけどなかなか崩せない。あのガングニールのマント便利すぎない? 攻撃防御だけでなく姿勢制御にも使えるようで押し込まれはしないけど中々にきつい。

 

 一対一で二人ぶつけ合っていたけどそんな時間は早くも終わりのようで

 

「やらせはしない……!」

「行くデス!」

 

 私の方へは緑とピンクの凶刃が

 

「どしゃぶりな十億連発!」

 

 マリアの方へは文字通りの銃弾の雨が

 

 

「マリア!?」

 

「姐さん!」

 

 それぞれの陣営が相手を倒さんと放った遠距離攻撃は私とマリアの距離が近いことも有って二人の周囲を吹き飛ばすほどの威力になっていた。シンフォギア3人分の攻撃による破壊音とそれ相応の煙を撒き散らしていたが、ほんの数秒後突如の突風で煙は吹き飛ばされそこには無傷の私とマリアが居た。

 

「防御にかぜおこしにホントのそのマント反則ね」

 

「素手で二人分の攻撃を難なく捌いた貴方に言われたくは無いわね」

 

 

 やっぱりマリアなんか強くなってない?

 

 

「奏さん、これ!」

 

「サンキューな」

 

 どうやら響ちゃんがリンカーを持ってきてくれたようだ。これで私達は5人。向こうは3人で人数的にも有利に……

 

「マリア姉さん! 大丈夫!?」

 

「ええ、大丈夫よ、セレナ。ありがとう」

 

 ……見間違えじゃなければ向こうにセレナが居る気がするんだけどなんで?

 

 

 お互い装者がおそらく全員揃い、相手を変えて戦闘が再開された。リンカーも使ったとこで翼ちゃん、奏ちゃんのコンビがマリアに、クリスと響ちゃんが調ちゃんと切歌ちゃんに。人数差があるところも有るけど戦況は拮抗している。そして私の目の前には

 

「……!」

 

 覚悟を決めたような表情のセレナがいる。そんな小動物みたいな目で睨まれると罪悪感がすごいからやめてほしんだけどな……。

 

「まあ、とりあえず……!」

 

 軽くこちらから先手を打つ。確かセレナはFIS組で唯一のリンカー無し組だった気がするし、どの程度の強さ課わからない以上戦闘の主導権は渡したくない。

 

 ……だけど

 

「キャッ!?」

 

 牽制のつもりで放った蹴りでちゃんと防御できずに押し込まれるセレナを見ていると大丈夫かなって。

 

「あー、セレナちゃん? でいんだっけ? 大丈夫?」

 

「どうして私の名前を知ってるんですか!?」

 

「いや、だってさっき思っきりマリアが名前呼んでたじゃん。それにマリア姉さんて言ってたけど貴方マリアの妹?」

 

「……!?」

 

 これぐらいのことでそんなこの世の終わりみたいな顔しないで欲しいな。どんどん罪悪感が大きくなる。なんか思った以上毒気を抜かれちゃったし対話フェイズと行きましょうか。

 

「なんか貴方と戦う気無くなっちゃったし、お話でもしましょうか」

 

「わ、私だけ戦わないなんて、そんな事できません!」

 

 真面目に返されてしまった。これはやりにくい。性格的には翼ちゃんに近いのかもしれないけど見た目がかなり年下に見える状態でそれされるとかなり厳しい。

 

「こう考えましょう。私は私達の中で一番強い。そんな私を会話で足止めできると考えれば貢献してると言えないかしら?」

 

「え……、でも……」

 

 こんな簡単に相手の口車に乗っちゃうのは心配だけど今は好都合。純粋な子を利用するのは気がひけるけど殴りつけるよりはマシと考えましょう。

 

「私は立浪紫香よ。貴方のお名前は?」

 

 そう、握手をしようと右手を差し出しながら問いかける。少し迷ってセレナも私の手を取ろうとしてくれるが。

 

「何をしている、立浪紫香!!」

 

 突然飛んできたマリアの飛び蹴りに転がりながらなんとか回避する。

 

「なにするのよ。私はただそこのセレナちゃんと仲良くなろうと自己紹介してただけよ。何でもかんでも突っかかって貴方もしかしてシスコン?」

 

「ふざけるな! セレナもアイツの口車にのるんじゃない。あれは口では友好を言いながら背中から刺してくるような人間だ!」

 

 流石にそこまではひどくないはずだ。精々笑顔で握手した後蹴落とすぐらいだ。

 マリアがこちらに来たことでなんとなく予想は着いたけど横目に視線をやればツヴァイウィングの二人が倒れていて響ちゃんとクリスがフォローに入っている。流石に全力の二人なら大丈夫だと思っていたけど思った以上にこのマリアは強いみたいだ。

 

「しっかし、私の可愛い妹二人を瞬殺なんてえらく強いわね?」

 

 探りを兼ねてまた口でジャブを投げてみる。さっきの言動を見れば無視されるかもと思ったけど律儀にも返答が返ってきた。

 

「私は強くなんて無いわ。ただこんな弱い私を信じて着いてきてくれる仲間と、こんな情けない姉を憧れの姉と言ってくれる妹が居る。であれば私はその期待に答えなければいけない。そこに弱いも強いも無いわよ」

 

 そう、堂々と言い放ったマリアは正しく強い人に見えた。なるほど、なんでか知らないけどどうやら覚悟が決まっているようね。

 

「特異災害対策機動部所属、アキレウスがシンフォギア装者立浪紫香」

 

 先程までのヘラヘラした表情を完全に消して私は戦士として、同じものを背負う姉としてマリアに向き合う。彼女も何かを感じ取ってくれたのか真剣な表情で構えてくれる。

 

「所属なんて無い、私はガングニールのマリア」

 

 私とマリア、お互いに相手だけを見据え構える。今度こそ真剣で真剣に相手を倒さんと腰を沈め気を貯める。そして二人の間の緊張感が高まった瞬間

 

 

「マリア!」

 

「立浪さん!」

 

 外野の声にそちらを向けばステージ中央に緑色の巨大ノイズが出現していた。それを見て一瞬あっけに取られた私と、意味を正しく理解していたマリアで行動に差がついた。

 

「……」

 

 無言のままアームドギアを展開したマリアはそのまま突如現れたノイズの攻撃を放つ。

 

「同士打ちだと!?」

 

「何考えてやがんだ!?」

 

 翼ちゃんやクリスの疑問も次の瞬間に回答が投げつけられる。マリアが攻撃し爆発したかと思えば急激に増殖と拡大し始めた。

 

「この場は預ける! 行くぞ!」

 

 マリアの号令に続いて他の相手も戦闘をやめて撤退していく。残されたのは私達二課のシンフォギア装者と未だ大きくなっているノイズだけだ。

 

「皆、これの始末は任せるわよ。前練習していたやつでなんとかなるでしょ」

 

「紫香さんはどうするんですか?」

 

「逃げたアイツラを追うわ。ここでこいつを外に出すわけにはいかないけど貴方たちなら大丈夫でしょ。だから追跡は任せて」

 

 そう言って返事も待たずに私は逃げたFIS組を追いかける。どうやら会場のすぐ外ではなく少し離れた場所で合流したようだ。

 

「はぁい、あれだけ大事にしておいて簡単に逃げれると思った?」

 

 私の声に戦闘態勢に入ったのマリア以外の装者たち。マリアも構えこそ取っていないがいつでも動けるように気を張っていいるみたいだ。

 

「いやはや、あの現場を放置して我々を追ってくるなんて人の命をなんだと思っているのですか」

 

 耳障りな猫なで声で居るであろうと踏んでいためんどくさい人物が出てくる。

 

「Dr.ウェル。やはり貴方も黒でしたか」

 

「やはりと、まるで私を疑っていたかのような発言ですね。貴方とは初対面だったかと記憶していますが?」

 

「これでも管理職でね、任務の関係者ぐらいは調べます。さてこれ以上は取調室でお聞きしましょうか」

 

「四対一で勝てるとおもってるのデスか!?」

 

 切歌ちゃんに睨まれるけど、ごめんなさいねからくり知ってるのよね。

 

「もちろん。時間は私と貴方たちどちらの味方でしょうね」

 

 そういえばリンカー組の表情が暗くなる。ほんとこの子たち駆け引きも下手だし、純粋過ぎて心配になるわね。

 

「それでは! このような催しは如何でしょうか!?」

 

 そうな叫ぶなりDr.ウェルがノイズを20体ぐらい出してくる。

 

「やはり、ソロモンの杖も有るのね。確認の手間が省けて助かったわ。今更その数のノイズでどうにかなると思ってるの?」

 

 ノイズなんて数の問題ではないし、この程度の数なら無視してもソロモンの杖を取りに行っても良いわけだし。

 

「その余裕いつまで保ってられますか!?」

 

 そう居ながらウェルが杖を振ればノイズが一斉に私に突撃……してこずに私を無視して路地をかけていく。

 

「この先は繁華街! どうしますか早くいかないと人が死んでしまいますよ!?」

 

「ドクター!? こんな手段私は許可していない!?」

 

 マリアたちに怒鳴り込まれてもウェルは涼しい顔をしている。きっと彼の中ではこれが最善手だったんでしょうね。でも

 

「やっぱり貴方バカね」

 

「なに?」

 

「私の目の前にはノイズを操る聖遺物を持ち世界に宣戦布告したテロリスト。それを今確保できるのであれば20人の犠牲程度私が許容できないとでも?」

 

 私にとってもはや人間とは半分数で考えるものだ。これまでだってそんな生き方をしてきたのだ。今更善人のように振る舞う権利なんて許されるわけがない。

 

「貴様も……人の命を数字で数えるのか!?」

 

「それが私の責任よ。というかあんたたちやってることの割に純粋すぎない? 敵だけどちょっと心配になってくるわよ」

 

 

「流石にそれは言いすぎだと思うぞ姐さん」

 

 居るはずがないと思っていた声に振り返ればそこには奏ちゃんが居た。

 

「向こうは翼たちに任せて、加勢に来たぜ。さっきのノイズ達ももちろん片付けた」

 

「なるほど援軍ですか、貴方も中々役者ですね……」

 

 ウェルの言葉をきっかけにどうやらみんな勘違いしてる気がするけどまあいっか。

 

「さてこれでも後顧の憂いもなくなっブッヘェ!!」

 

 最後通告をしようと思ったら突然すごい衝撃が私を襲った。かろうじてそちらを見れば

 

「何をしているのですか! 早くここから撤収しますよ!」

 

 どうやらナスターシャ教授が車で突っ込んできたらしい。奏ちゃんもあまりに突然のことで呆然としてる間に車は行ってしまう。

 

「あいたー、流石に車に突っ込まれるのはきついわね、奏ちゃんは大丈夫?」

 

「あ、ああ。アタシはなんとも無いぜ」

 

「そ、じゃあちゃっちゃと戻って報告しに行きましょう」

 

 私はそう言ってライブ会場に戻るべきか直接二課に行くべきか考えていた。そうして私の後ろで悲しそうな目をしている奏ちゃんの呟きを聞き逃していた。

 

「姐さん……、姐さんはアタシが追ってきているの知らなかったはずだよな?」

 

 

主人公以外の視点の話は読みたいですか?

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  • FIS組の話が読みたい
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