小さな親切、大きな愛 [G編]   作:冬眠復帰

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本筋進めないとなのにどうしてこんな内容ばっかり書いてしまうのか

主人公の秘密( 公開の巻


2.4 呪いの祝福

重荷を背負うことが責務だ

重荷を伝えることが責務だ

 

2.4 呪いの祝福

 

 

そんなわけでやってきました夜の廃病院。私がもう少し若かったら肝試し気分で少しははしゃげるかもしれないけどもう時間外勤務に対する殺意しかわかないわ。

 

「なあ、姐さん。やっぱアタシも突入班にしてくれよ。」

 

「そうです。やっぱりみんなと一緒に戦いたいです!」

 

「はいはい、貴方達の意見は出発前に却下されていますよっと。後響ちゃんもうちょっと声のボリューム落としてね? 大丈夫だとは思うけどそれなりには近づいてるから」

 

私以上に不満げなガングニール姉妹を適当にあやしておく。響ちゃんは本心かもしれないけど奏ちゃんは不貞腐れ半分冗談半分だろうし真面目に相手をする必要もないでしょ。どちらかと言うとこれから敵の本拠地(仮)に突入する私達の緊張を和らげようって心遣いでしょうしね。

 さてはてなんでこんなことになっているのかと言うと話は数時間前に遡る。

 

 

 

 

「学園祭前の忙しい時にすまないが作戦は今言ったように今夜突入して一気に終わらせるぞ!」

 

 学生組が本部に来たところで今夜の突入作戦のお話が司令から改めて通達される。作戦の詳細はさっきまで詰めてきたし大丈夫でしょう。

 

「ここからが具体的な作戦の内容に入る。現地での指揮全般を担当する紫香君から頼む」

 

「はい、今回の作戦の実働指揮を取ることになった立浪紫香です。よろしく」

 

 知ってるー、なんてヤジが飛んでくるけどこういうのは形が大事なのだ。あの子達も後10年もしたらわかるでしょう。

 

「具体的な作戦ていってもみんなで敵の根城である可能性が高い廃病院に潜入して、敵を見つけたら人間以外は排除、人間は第一目標で確保な感じのシンプルなお話。んで編成に関してだけど、潜入班は私とクリス、後は翼ちゃん。奏ちゃんと響ちゃんは外側で指定の位置で待機。細かいタイムテーブルは後で資料で配るけど今晩は徹夜を覚悟しておいてね。この後は作戦開始まで仮眠を取っておくように」

 

 質問させないためにも一気にまくし立てる。見渡せば案の定納得が言っていないのが二人。残りの二人も疑問は持ってそうだ。

 

「とりあえず、概要は以上だからここから質問タイム。で、内容も予想できるそこのガングニールコンビどうぞ」

 

「なんでアタシが待機なんだよ!」

 

「私もです!」

 

「予想通りの質問をありがとう。まず外に待機を置くのは敵の本拠地の全員で突っ込んで罠でもあったらやばいからよ。前回戦った感じ私がマリア・カデンツァヴナ・イヴを押さえれば後の三人は翼ちゃんとクリスで抑えれると思うわ。でそれぞれの選考理由だけど、奏ちゃん貴女は時間の問題よ。言いたくないけど今回の作戦は敵がいた場合は終了時間が見えない。そうなった場合、作戦中に敵の本拠地でシンフォギアが使えなくなる可能性がある貴女は連れていけない。で響ちゃん貴女はちょっと建物に対して火力が高すぎるかなって。この前のソロモンの杖の輸送作戦の報告書見たけど貴女が全力で殴ったら最悪建物崩れかねないと判断したから」

 

「クソッ!」

 

「いやー、あれはその自分でもちょっとやりすぎたかなとは……」

 

 困り顔で頭を掻く響ちゃんは良いとして奏ちゃんはフォローしておかないといけないでしょうね。

 

「奏ちゃん、そう腐らないの。逆に言えば貴方達が戦闘に入るっていうことは私達だけで対抗できないやばいやつがいるはずだから、その時はいきなりフルスロットルで殴り込んでもらうから。できないことよりもできることをどうするかを考えて欲しいの。さっきの選考の理由の裏返しだけど潜入班だけでこの前の増殖型のノイズみたいのが出たらまずいからその時までに即応で待機しておいてね」

 

「最後の切り札ってやつですね! 奏さん! やっちゃいましょー!」

 

「……はは、そうだな。どうせなら意地悪な姐さんごと殴ってやろうぜ」

 

 口は悪いけど、表情は幾分マシになったから一応良しとしましょう。実際はアンチリンカーの存在も考えると絶対閉鎖空間には連れていけないのよね。

 

「で、クリスと翼ちゃんも建物内での戦いでは高火力のものは控えること。さもないと巻き込んで生き埋めになっちゃうかもしれないからね」

 

「私は剣一本あれば問題ありません。十全にこなしてみせましょう」

 

「あたしも爆発物使えないと囲まれるとやべえかもな。気をつけねえと」

 

「建物内では基本的に二人でコンビで動いてもらうから、ぶっつけ本番で悪いけどコンビネーション期待してるわ」

 

「あたしがこいつと!?」

 

「なんだ、雪音。私では不満なのか?」

 

「あんたがっていうよりいきなりコンビ組めっていうのが……」

 

 クリスがちょっと顔を赤くしててるのが相変わらず可愛い子だこと。もちろんそんな気持ちは表情には出さないけど、許されるなら写真撮って本部内の掲示板に貼っていきたいぐらい。

 

「戦い方が制限される中で、遠距離への対応が大技になりやすい翼ちゃんと囲まれたり数で接近される可能性があるクリスてコンビだから組ませるに決まってるでしょ」

 

 ちゃんと理由を言えば最終的はちゃんと納得してくれるいい子たちだ。二人共装者の中でも真面目なトップ2だしこの後戦い方の確認とかも大丈夫でしょ。流石に模擬戦とか言い出したら止めるけど。

 

「じゃあ、姐さん一人ぼっちかよ。やーいやーい」

 

「はいはい、寂しく一人ぼっちですよと」

 

「じゃあ、紫香さん囲まれたりしたらどうするんですか?」

 

「その時は適当に大技ブッパするわよ」

 

 自分はいいのかよー、なんてヤジがさっきよりも人数を増やして飛んでくる。あんまり言いたくないけど仕方ないか。

 

「私は良いの建物内の図面みて柱の位置とか全部頭に入れたから。壊さないように暴れるから」

 

「それで来たらアタシもいい!?」

 

「考えてあげてもいいど、柱の位置に各種配管図も合わせたら数十枚あるけど全部覚えれる?」

 

 自分も中に入れる可能性をついてくる奏ちゃんだけど、申し訳ないけど流石に専門外の図面数十枚を短時間で覚えて意識しながら戦うのは難しいでしょう。私は昔から建物とか道路壊すとなぜか私だけ始末書書かされてきたから必死に身に着けたのよ。

 さて、また変なものを見るような目で見られるけど、和やかなお話もここまで。ここからは嫌な話だ。

 

「さて、楽しい遠足のお話はここまで。こっから汚い大人の話よ」

 

「紫香君! それを装者に開示するのは許可が出てないぞ!」

 

「まあ、そうですよね。でも、ここで言わないことのほうが不誠実だと思って」

 

 司令の剣幕と私の態度で流れが変わったことに気づいてくれたのだろう。先程までの緩んだ空気は一気に霧散した。

 

「さて、どこから話しましょうか。そうね、まずは相手の処遇。さっき確保を第一目標って言ったけど、それが達成不可能の場合は殺害の指示が出ているわ」

 

 殺害という言葉の重さに装者に驚きと不信感が広がる。こんなことは言いたくないけど、実行する気もないけどもし最悪の事態になった場合の可能性を考えると言わないわけにもいかない

 

「理由の詳細はややこしいから端折るけど、おエライさんは装者ではなくてシンフォギアだけあればいいと考えている。司令の方で動いてもらってなんとか確保の可能性を残せたって感じ。もし司令が動いてなければ確保した場合でもここでないどこかに連れて行かれたわ」

 

 このあたりは流石の風鳴の権力ね。ほんと権力を持ちながらまともな大人の司令達がいてくれてよかったわ。

 

「ショックなところ悪いけどもう一つ。現場は住宅街から離れているとはいえ無人地域じゃない。でも周囲に避難なんかの連絡は回らない。ノイズなんかが外に出て初めて動き始めるわ。これは作戦を気取られないため納得できなくても理解してほしいの」

 

 自分たちが成すかもしれない最悪の可能性に、おかれた環境を思い格段に空気が重くなる。

 

「……なあ紫香。アタシたちはなんのために戦ってるんだ?」

 

 この中でも一番に人の死に近い環境で生きていたかもしれないクリスがなんとかという感じで問いかけてくる。他のみんなも口には出さなくても同じようなものだろう。

 

「その理由は自分の中に見つけなさい。それを他人に委ねると心が死んでしまうかもしれない。自分がなんのためにシンフォギアを纏うのかしっかり考えなさい。それに安心しなさい、何かあっても私がどうにかしてあげるから」

 

 できるだけ明るい表情を作ったつもりだけどちゃんと笑えているだろうか。私個人としては命を奪うなんてつもりは欠片もないけど、組織の歯車としての私はそれを貫けるだろうか。

 

「……大丈夫です! その人達も他の人も私達が頑張ればどうにかなります! そのために私達がいるんです!」

 

 ……本当に響ちゃんは強いわね。前も合わせれば私の半分も生きていないはずなのに、私も答えが出ないことをこんなにも簡単に言えちゃうんだからね。

 

「そうね、私達が頑張ればいい話ね。特に響ちゃんと奏ちゃんは文字通り最後の壁になるかもしれないからその時はお願いね」

 

「はい!」

 

「……ああ!」

 

 暗い空気に包まれていた司令室だけど最後はちょっとはマシになったかな。

 

 

 

 そんなこんなで今は装者は作戦前の確認と調整も済ませ仮眠の時間だ。仮眠の時間なはずだけど私といえば……

 

 

「っすーーー、はぁぁーーー」

 

 いつもどおりとも言える喫煙所で煙を吐き出していた。こんな状態で仮眠できるほど私の神経は図太くないのだ。煙と一緒に悩みも吐き出せと言わんばかりにあたりを白くしていれば、珍しく来客が

 

「この時間は装者は仮眠のはずだろ、君が守らなくてどうする」

 

「おばんです、残念ながら私の場合は装者の前に管理職って肩書がついちゃうので」

 

 そう言いながら司令は飲み物を渡してくれる。缶コーヒーかと思えばホットココアで心づかいに涙がでちゃう。

 そのまま二人何も言わない時間が流れていく。司令は吸う人じゃないし長居させるのもあれ出し適当に雑談して本題を話してもらおう。

 

「……司令とはここで話すことも多いですけど匂いとか大丈夫です?」

 

「おかげさまでこの前服をクリーニングに出したらタバコのニオイでいい人ができたのかと聞かれたさ」

 

「はは、昔のドラマならタバコのニオイでバレるのは男の役だったと思うんですがね。いかがです? 売れ残りなんでお安くしておきますよ?」

 

「残念ながら俺にも選ぶ権利はあるんでな」

 

 あんまりな言い方に二人で方を揺らして笑い合う。そんなしょうもない冗談で温まったところで司令が本題を話し始める。

 

「君は大丈夫なのか? なにもかも背負い込む必要はないんだぞ」

 

「背負い込めてるんですかね? 今になって思えばあれもあの子達のためって言いながら自分の責任を軽くするために話したんじゃないかっていつまで経っても晴れないですよ」

 

「そんなことを考えるような人間が自分のためだけに動くことはないさ。知らないかもしれないが、俺もそれなりに色々できる方でなもっと頼って欲しいものだ」

 

「司令にはいつも必要以上に助けてもらってますよ。いつも上からのクソみたいな命令をなんとかしてもらってるんですから。逆にこっちを頼ってほしいぐらいですよ」

 

 もし、司令が何らかの理由で更迭でもされてクソみたいな人間が後釜に来ればおそらく二課は一瞬で崩れ去るだろう。文字通りいるだけで壁になってくれているのだ。

 

「君は本当に自分を大切にできないんだな。周りの人間の心配をわかっているのか?」

 

 まあ、司令ならいっか。

 

「私の名前知ってます?」

 

「急になんだ、立浪紫香。君の名前だろう」

 

「はい、立浪の草に紫の香りでニオイムラサキ。すごいですよね。名に縛られるって本当なんですね。まあ、私は強制されたわけでもなく、受け入れた人間ですが」

 

「何をいっているんだ?」

 

「だめですよー、花言葉の一つでも知らないモテませんよ?」

 

 軽口をたたきながら火を消して、出る準備をする。

 

「あ、さっきの話秘密ですからね。意味はないですけどペラペラ話す内容でもないので」

 

 出際に一応の釘刺し。しかし、喫煙所まで心配できてくれた司令を置いていくとか私最悪だな。流石に申し訳なくて振り返ってみれば眉間にシワを寄せて考えている司令がいた。その姿ちょっと面白くて小さく笑ってしまった。

 

 

 肩越しに見た喫煙所は煙も晴れ穏やかな空気になっていた。

 

 

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