小さな親切、大きな愛 [G編]   作:冬眠復帰

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どうしてこうなったなお話です

一応ちゃんとプロットに入ってる内容だったり


2.5 お酒は怖い

やらかした時ほど冷静になろう

冷静になれないなら諦めよう

 

 

2.5 お酒は怖い

 

「夜の廃病院てやっぱりなんか雰囲気あるわね」

 

 そんな緊張感の欠片もないことを呟きながら廊下を進んでいく。まだシンフォギアを纏うことすらしていないけどこんな緊張感なくて良いのかしら。心配になって後ろをついてきているはずの二人を見れば緊張した表情で付いて来ている。どうやら遠足気分は私だけのようだ。こういう時に場の空気を和ましてくれる奏ちゃんと響ちゃんは外で待機。通信封鎖のせいで楽しいおしゃべりともいかないし、仕方ない

 

「二人共肩に力が入りすぎよ。そのままだと何か有る前に疲れちゃうわよ?」

 

「そう入っても私達はこのように敵の本拠地に乗り込むという経験がほとんどありません。であれば気を緩めることはできません」

 

「そうだぜ、どこからノイズが来るかもわからねえんだ。逆になんであんたはそんなに緩いんだ?」

 

「これが大人の余裕よ。サボれる時にサボる。それが必要な時に必要なパフォーマンスを出す秘訣よ」

 

 適当に答えてはいるけど、この段階では二課のメンバーで敵地に強襲を掛けたことってないんだっけ? やっぱり良くも悪くも受け身でしか動けないのが効いてるわね。

 そんなこんなで廃病院を進んでいくと大きな分かれ道に突き当たる。どうやらここの分岐で建屋ごと分かれるみたいね。

 

「どうする? このまま三人で進むか二手に分かれるか」

 

「雁首揃えて歩いても時間がかかるだけだし手分けしてさっさと終わらせちまおーぜ」

 

「私も雪音の意見に賛成です。すでに私達の潜入がバレている可能性もあります。であれば迅速に事を進めることが重要かと」

 

「はい、了解。じゃあ二人はこのまま新館の方の探索を。この先はノイズや敵装者、それ以外でもなにかの痕跡が見つかった段階で通信を解禁。連絡を密にすることは忘れないでね」

 

 二人から無言で了解のジェスチャーをもらい二手に分かれていく。

 

 

「ツッ、ハァー……」

 

 二人と別れ一人になったということで早速タバコに火を付ける。病院なんていう本来絶対に吸えない場所での喫煙は少しワクワクしてしまう。

 そのまま部屋の中なんかを軽く見ながら進んでいいくけどどうやらこちらが当たりかもしれないわね。所々に足跡が薄っすらと残っていたり、よく観察すれば人間が行動しやすいように微妙にものが動かされたあとがある。

 

「あたりかハズレか、どちらなんでしょうね」

 

 そんな他愛もない独り言を呟けば突如別れた二人から通信が入る。

 

「紫香! こっちが当たりだ! ノイズが現れやがった!」

 

 クリスから通信が入るけどどうせなら現在地と敵の数ぐらいは一緒に報告して欲しいものだ。今度装者全体で教育かしら?

 

「それだけじゃわからないわ。場所と敵の規模を報告。待機組は即応体制で突入待機。シンフォギアも準備しておきなさい」

 

 今度は翼ちゃんから場所や数の報告が入る。聞いた限りでは二人でもなんの問題もない数だろう。

 

「立浪さん、こちらは私達で対処できます」

 

「了解、こっちはこっちで捜索を続けるから何かあったらすぐに連絡すること」

 

 おそらくそう遠くない間に何かが起きるでしょうけど。その前にこちらの方が進展ありそうだ。

 

「で、そろそろ出てきたら? 隠れてるつもりだろうけど臭うわよ」

 

「これは失礼を。身だしなみには気をつけているつもりですがこのような環境ではどうしてもまかないきれないものでして」

 

 物陰から出てきたのはウェル博士だ。見た感じ一人ぽいけど、やっぱり未熟よね。隠しきれてない。

 

「そうね、こんな場所だから勘弁してあげるわ。で、その足元に大事そうに置いてあるものは何かしら? 私としてはそっちのほうが見逃せないのだけど」

 

 暗くてよく見えないがおそらくネフィリムのゲージだろう。さてどうしたものか。あれを私一人でどうにかできるだろうか。覚醒しきってなくても完全聖遺物だ。塵も残さずみたいな火力でもないと厳しいかもね。

 そんな風に思考を走らせていると突如クリスから通信が飛んでくる。

 

『やべえぞ! こいつら今までのノイズとなにか違え! 土手っ腹ぶち抜いても再生しやがる!』

 

 早速始まったか。確かに自分の状態に気づけないのならノイズが異常な再生力を持ったようにしか見えないか。

 

「本部! 二人のバイタルチェック! その他装者に集中して何か異常がないかを確認!」

 

「おや、随分落ち着いていますね。僕の事を気にせず向こうに加勢に行っていただいても構いませんよ?」

 

「味方は信じる口でね。それに僕、じゃなくて僕たち、じゃないかしら?」

 

 軽口を軽口で返せばどうやら意表を疲れたようでウェルの表情に驚きの色が入る。そうして

 

「てえりゃぁあああ!」

「……っつ!」

 

 私の左右から緑とピンクの刃物が飛んでくる。コンビネーションもなく来ることを予想できている攻撃なんてどうとでもなる。適当にいなしながらついでに二人をウェルの方に受け流す。どうせならぶつかってくれればよかったけどそこまでは高望みというものだったらしい。

 

「なんで分かったデスか!?」

 

 切歌ちゃん的には今のは結構自身あったようだけど残念ながらバレバレだったんだよね。調ちゃんも声には出さないけど驚いているみたい。動き自体の筋は良かったから訓練はしてきたけど実戦経験が少ないのかな

 

『紫香さん! 解析出ました。翼さん達の適合係数がどんどん下がっています! このままではシンフォギアの維持さえできなくなります!』

 

「了解、待機班! 翼ちゃんとクリスは建物外に緊急退避! 待機組! 確認後全力で吶喊! 建物を崩しなさい!」

 

 まあ、これでいいだろう。何かあっても腐ってもシンフォギアだ。致命傷になることはないだろう。しかしどうやら私の目の前の連中に取ってはそうでもないようで。

 

「お前! 何考えてるデスか!?」

「野蛮……!」

 

「あなた達、そんなこと言ってる暇はあるのかしら? こっちまで崩れたら私達シンフォギア組はともかくそこの一般人はどうなるかわからないわよ?」

 

 私の挑発と同時に建物全体に大きな揺れが走る。相変わらずあの子達は突破力はえげつない。私も棒立ちするはずもなく、頭の中にある地図を読み返してこっちの大黒柱を叩き折る。

 

「そおりゃ! これで早く逃げないと生き埋めよ!」

 

 そう叫びながら私も外へと退避する。

 

 

「姐さん! 大丈夫か!?」

 

 外で煙が晴れるのを待っていれば合流したみんながこちらにかけてくる。見た感じクリスが一番影響が大きそうでかなりキツそうだ。

 

「みんな大丈夫? こっちに敵の装者もいたからまだ終わりじゃない。注意して」

 

 そうして警戒してまま煙が晴れるのを待っていればそこには空に浮かぶノイズがさっきウェルの足元にあったゲージを運ぼうとしているところだった。

 

「待ちなさいって、おお!?」

 

 追いかけようと踏み出した瞬間またしてもザババコンビの攻撃が飛んできて出足を潰される。出どころを見ればあれは私だけでも足止めしようしている。なら

 

「翼ちゃん!」

 

「……はい!」

 

 今動ける中で一番機動力がある翼ちゃんが追いかけてくれる。ゲージを運んでいるノイズはすでに洋上に出ているが間に合うか……?

 

『翼! そのまま飛べ!』

 

 司令達のサポートもあり、仮設本部のお披露目と同時にノイズの撃破に成功する。

 

 しかし、

 

「きゃあ!?」

 

 翼ちゃんがゲージを確保しようしたその時ここにいない誰かからの攻撃によって吹き飛ばされる。

 

「あいつは……」

 

 クリスのつぶやきに応えるように日の出を背にその姿を表したのは

 

「時間通りですよ、フィーネ」

 

「フィーネだと……!」

 

「終わりを意味するなは私達の組織の象徴でもあり、同時に彼女の二つ名でもある」

 

「じゃあ、そんな。あの人が……」

 

「新たに目覚めし再誕したフィーネです!」

 

 陽光を浴びた、マリア・カデンツァヴナ・イヴその人が洋上に佇んでいる。

 

 

 

 

 

「はあーーー、嫌になるわね」

 

 あのクソッタレのフィーネ発言のせいでこっちの士気はボロボロ。二課本部の上でマリアに翼ちゃん、奏ちゃんのコンビで対応しているけど押され気味。今までの感じでいうと勝ち越すのは難しいだろう。方や響ちゃんとクリスはザババコンビに翻弄されている。こっちは実力だけなら上回っているだろうけどメンタル的に厳しいだろう。特にアンチリンカーの影響を受けた二人はまずそうだ。

 

「どっちに行くべきは理性は色々言ってるけど、私と彼女のメンツが最優先かな」

 

 走り出す。シンフォギアを纏っているとはいえ今までにない速度をひねり出す。クリスも響ちゃんも、ザババコンビにウェルもすり抜けて

 

「っちい!」

 

「どっせおりゃあ!!」

 

 マリア目掛けていつぞやぶりの飛び蹴りだ。マリアが受け止めた衝撃で甲板が凹んで司令からなにか飛んできているけど今はそんなもの耳にも入らない。

 

「貴方、フィーネを名乗ったか? その名を意味を知ってか?」

 

「次の相手は貴方がしてくれるのかしら? ええそうよ。私が今代のフィーネ。それがどうかしたか」

 

「そうか、なら質問よ。今回こそ貴方の旦那との痴話喧嘩は終わりそう?」

 

「何を言ってる? 巫山戯ているのか?」

 

「そうか、そうなんだな。なら人の友人を騙った罪を抱いて沈んでいけ」

 

 言葉と同時に0から一気に最高速まで加速し全部を乗せた膝をぶつける。かろうじて反応できたのかギリギリでマントで防御されたけどこの渾身の一撃にそんなものは関係ない。そのままマリアを吹き飛ばして海へと落ちていくのを眺めていく。しかし

 

「見えない輸送機か、やっぱり厄介だな」

 

 空中で突如マリアの姿が消え、そのままその空間に輸送機が現れた。知識では知っていても目視もレーダーにも引っかからないのは面倒くさい。

 よく見ればザババの二人にウェルも回収されどうやらソロモンの杖もまだ向こうの手の内のようだ。

 

「相手の本拠地を潰せたかもだけど、結果だけ見ればボロ負けね。さて、この後始末書類何枚で済むかしら」

 

  岸の方を見れば物理的にも精神的にもメタメタにされた可愛い妹たちを見て今後の厄介にため息が止まらなかった。

 

 

 

 

「みんな、まずはご苦労だった。各自思うところはあるだろうがまずは俺たちで情報を集める。装者諸君はまずは傷を癒やし万全の態勢に戻すことを最優先としてくれ」

 

 司令のひとまずの作戦終了の言葉でみんな三々五々に解散していく。報告やら検査なんかで夕方前の微妙な時間になってしまった。私も色々話を聞いてあげたいけど少しはあの子達自身で考える時間も必要でしょう。

 今回の作戦の後始末書類の枚数だけでも確認しようと自分の執務室に戻ろうとしたら司令に力強く引き止められてしまった。

 

「……司令、最近ボディタッチもセクハラになるってご存知ですか?」

 

「それは大変だな。俺も気をつけるとしよう」

 

「では、離していただけませんかね?」

 

「離したら君は仕事をしようとするだろう。言ったはずだ。装者は傷を癒やすことを最優先するようにと」

 

 こりゃだめだ。多分何言っても仕事はできなさそうだ。いつもはサボってばっかだからこんな時ぐらいは真面目に仕事しようとしたのに。

 

「……了解です。自宅待機してますんで、何かあったら連絡をお願いします」

 

「うむ! ゆっくり休んでくれ!」

 

 仕事したい時に限って帰れと言われるこの寂しさ。誰か分かってくれないかな……

 

 

 

 流石に他の装者を誘ってご飯て感じの空気でもないからいつもの店でご飯でも食べて考えようと思って商店街をぶらぶらしてただけなのに……

 

「こっちかしら? でもセレナは白くて甘そうって言っていたし……」

 

 どうして半日前に殺し合い一歩手前までやらかしていたはずのマリアが不器用な変装した姿でケーキ屋の前で迷っている姿を見つけてしまったのか…… しかたない……

 

「それ多分、このケーキのことだと思うわよ。この辺りでこの見た目のケーキ出しているのこの店だけだし」

 

「そうなの、たすかったわ……!」

 

 完全に外向けの顔貼り付けてお礼を言おうとしたが私の顔を見て絶句しているようだ。私だってそうだ。できれば見なかったことにして通り過ぎたかったぐらいだ。

 

「貴様! 立浪し……」

 

「はいはい、お店では静かにねー」

 

 いきなり大声で叫ぼうとするからとりあえず、口を抑える。いくらなんでも隙だらけ過ぎない? いきなりで混乱してるのかもしれないけど。

 

「とりあえず外でよっか。ここで騒ぐと店に迷惑になるし」

 

 有無を言わせず店の外まで引き連れていく。外と言っても大通りだと目立ってしょうがないし、適当な路地裏に入る。

 

「なんのようだ。貴様と馴れ合うつもりなどないぞ」

 

「カッコつけてる所申し訳ないんだけど、困り顔でケーキとお使いメモを眺めてる子はそんなに怖くないかなって」

 私の指摘に顔を真赤にして反論しようとするがそれより早く誰かのお腹の音がなる。私はそこまで空腹じゃないしとい前を見れば怒り以外の何かを顔を真赤にしたマリアがそこにいた。そういえば確かこの時マリアたちってまともにご飯も食べれてないんだっけ? カップラーメンか何かをご馳走とか言っていたし……、いかん同情してしまう。

 

「あー、私、お腹空いて今からご飯に行くんだけど、よかったらどう?」

 

「な! きさ! お前……!」

 

 まさに言葉にならない叫びってこんな感じなのかもね。なんかもう昨日の怒りも全部吹き飛んじゃった。

 

「私としてはここで騒ぎを起こして貴方を追い詰めても全然良いだんけど、どうする? おすすめはこのまま一緒に御飯を食べて適当におしゃべりして解散が一番だと思うんだけど」

 

 背に腹を変えられぬとはまさにこのことか。それ以上にここで騒ぎを起こせば時間も場所も私の味方になる。それぐらい計算できるのだろう。少しの時間を開けて帰ってきたのは無言の頷きだった。

 

「素直でよろしい。時間的に喫茶店の食事メニューてのもあれ出し、どうせならお酒飲めるとこにしましょっか」

 

「ふん、酔わせて情報を取ろうなど浅はかな考えだな」

 

「別にそっちは飲まなくてもいいわよ。まあ、飲みたかったら注文しなさいな」

 

 そう言ってこの辺りで個室で他人におすすめできる店を思い出す。ここまで警戒されているんだ。楽しい食事会とはいかないでしょうけどまあ、仕方ないわよね。

 

 

 ……なんて思っていたのに……

 

「そうよ! わかる!? ウェルのクソ野郎は無茶苦茶なことばかり言うし、マムは私の苦労を分かってくれない……! セレナ、切歌、調たちは私のことを信じてくれるけど、その期待が辛いの!!」

 

「あー、はいはい。マリアは頑張ってるて私は知ってるから。そうよね、貴方もなんでもできるわけじゃないものね」

 

 どうしてこうなった……。最初はマリアがフィーネの魂を宿していないことを突いて、私の友人を騙った事を謝ってもらおうかと思っただけなのに

 

「そうよ! 私はフィーネなんかじゃないのに!」

 

 何が地雷だったのかただの優しいマリアモードになって、そこからアルコールも入れだして愚痴り続けている。どうして私は敵のボス(暫定)の愚痴を聞いてあやしているのか……

 

「私だってこんなことしたかったわけじゃない! でも私達がやるしかなかったの! 誰も助けてくれなかった!」

 

「頑張ったんだね。大丈夫。私がちゃんと話を聞いてあげるから」

 

「立浪紫香……、いやお姉様! 私に必要なのは貴方だった!」

 

 突然の精神攻撃に飲んでるものを吹き出しそうになる。なんだコレ? 本当に何だこれ?

 

「……もういい、私も飲む! マリア最後まで付き合いなさいよ!」

 

「ええ! お姉様!」

 

 そこからは記憶も曖昧だけどひたすら二人で愚痴を言い合い、慰めあって、おそらく日付が変わっても飲み続けたと思う……

 

 

 

 そこまでが私が覚えている記憶。頭を回せ。今は次の日の朝。場所は私の部屋のベッドで間違いない。昨日のことも大体は思い出せた。思い出せたんだけど……

 

「すー、すー」

 

 どうして私の横でマリアが寝ているんだ!!

 




一線は越えていない。それだけは真実を伝えたかった

主人公以外の視点の話は読みたいですか?

  • 二課の話が読みたい
  • FIS組の話が読みたい
  • いらない
  • 全部書けば良いのでは?
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