小さな親切、大きな愛 [G編]   作:冬眠復帰

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主人公と周りから見た状態を書きたく成っていろんな視点での前回の事件の後始末です。

書きなれてないキャラも多くておかしい所あったらごめんなさい。できる限り気にはしたんですが……


2.65 彼女と彼女達

悲劇とはたからみれば喜劇である

喜劇の中にも悲劇がある

 

 

2.65 彼女と彼女達

 

 さーてどうしましょうかね? ノリと勢いでやらかしちゃったけどここからどうしましょうか。

 

「お姉様。これからどうするの?」

 

「さあ? 何も考えてなかったからね。取り敢えず車を走らせながら考えてるわ」

 

「……まさか、何の案も考えもなくあんな事をしたっていうの!?」

 

「御名答ー。貴女に会うまで。正確に言うなら今朝貴女と話すまではこんなことになるなんて微塵も考えてなかったわよ。何が悲しくてこの歳で安定した公務員の職を投げ出すような事考えないといけないのよ」

 

 ありのままをマリアに教えてあげると絶句した後思いっきり怒鳴り怒られて一通りお叱りの言葉をぶつけてきた後頭を抱えてしまった。

 

「どうしたの今更二日酔い? ひどいなら適当にコンビニにでも酔って酔止め買ってくるわよ?」

 

「そんなわけないじゃない? お姉様の無計画さに呆れているの!」

 

「あはははは、言われると何も言い返せないなー。それでもね。貴女を見捨てるなんて選択肢は取れなかったそれだけよ」

 

 笑いながら片手でマリアの頭を撫でてあげる。あの特徴的な猫耳のようなところがほんのりと押し返してきて非常に手触りが良い。されるがままに顔を赤らめているマリアを横目で眺めて更に気分がいい。

 

「まあ、人生はケセラセラ、成るようにしか成らないわ。ライブ感重点で生きていきましょう」

 

「……もう」

 

 やっと怒りも沈めてくれたのか優しく笑い返してくれた。色々考えないといけないことは山のようにあるけれど今は憧れの世界の歌姫兼可愛い新妹とのドライブを楽しみましょう。

 

 

 司令にも言われたけどあっちの子たち大丈夫よね?

 

 

 

~風鳴弦十郎

 

 二課の長である俺風弦十郎は勤務開始早々から頭を抱えるような事態に成ってしまった。先程同じく二課所属であり装者達をまとめる立場である立浪紫香君からいきなり投げつけられた離反の連絡のせいだ。

 

「本当にあいつは何を考えているんだ……」

 

 会話の中での憶測にはなるがおそらく彼女は本当の意味で裏切ったのでは無いだろう。露骨な言葉を選んでくれたおかげで俺も昔の記憶を思い出すことができた。今のような非常事態だ。意味もなくこんな事をするはずもない。と思う程度に彼女のことは信頼している。しかし、同時に彼女を裏切り者として扱うこと。それが目的でもあるだろう。

 

「だが、全部が終わった後拳骨と説教でで終わらせれるように動いておくか」

 

 この選択は組織に所属する人間としては間違っているだろう。それでもきっと少しはマシな結果になると信じるしかないな。

 

「俺だ。悪いが兄貴に相談したいことがある。至急時間の調整をしてくれ。緒川もその場に同席するように連絡してくれ。できれば通話ではなく直接あって話がしたい」

 

 さて、ここまで俺たちを振り回すんだ。それなり以上の結果でなければ納得しないぞ?

 

 

~緒川慎次

 

 司令より連絡をもらって車を運転するように言われたのですがどこに向かっているのでしょうか。今朝から立浪さんの姿も見ていませんしあまり本部の戦力を開けるのはまずいと司令も分かっているはずなのですが……

 

「緒川、そこの建物に着けてくれ」

 

「はい、わかりました」

 

 司令からの指示に従って車を停めるが司令は降りる気配がない。気になって外を見回せばその理由がすぐに分かる。

 

「弦、こんな時間から緊急の相談とは」

 

「悪い兄貴。だが耳に入れておかないとまずいと思ってな。緒川、適当に流してくれ」

 

 返事を返し車を出す。どうやら今回の一件相当重要な話題のようだ。通信をすることで二課のメンバーに聞かれることすらマズイ内容となると僕も聞かなかったことにするほうが良さそうですね。

 

「単刀直入に言おう。二課所属シンフォギア装者立浪紫香が二課を裏切った」

 

 司令に言葉に車内に異様な緊張が走る。立浪さんの場合シンフォギア装者である以上に肩書が問題だ。あの人は命令系統的には風鳴司令のすぐ下に位置する。つまりはほぼすべての二課に関する情報を得ることができる人物だ。そんな人が裏切るということは……

 

「……その情報はどこからだ? いきなり裏切ったということも無いだろう」

 

「朝、本人から連絡をもらった。二課を裏切ると」

 

 司令の言葉に風鳴情報官が混乱しているのが見なくてもわかるようです。僕も意味がわかりませんがあの人ならやりかねないという今までの付き合いでなんとか平常心を保てているだけです。

 

「意味がわからない、本人がそれを暴露する利点はあるのか? 彼女はそれなりの権限を持っている。普通であれば潜伏するものだろう」

 

「ああ、そしてここからが本題だ。俺はおそらく彼女が本当の意味で裏切ったとは思っていない。彼女なりのなにか理由があって向こう側に付いたものだと考えている」

 

「なにか根拠はあるのか?」

 

「彼女は昔必要があれば二課の敵になると言っていた。同時に何があっても仲間を裏切ることはないとも言っていた。今回の事は普通ではない俺への連絡も考えればそんな状況になっているかもしれない」

 

「二課にいてはできないことか……、私は彼女のことをそこまで知らない。そこまで信用できる人物なのか?」

 

「ああ、彼女は何があっても俺たちを、それ以上に装者達を裏切らない。もし今までのすべてが演技だというのなら俺達はすでに負けているさ」

 

「……慎次はどうだ?」

 

 今まで聞き役に徹していましたが急にこちらにボールが来ましたね。立浪さんですか……

 

「僕も司令と同じ意見です。あの人は自分の事を投げ捨ててでも誰かのために行動していました。今回もおそらく余計なお節介でもしていると思います」

 

「……分かった。まずはその方向で考えよう。で私に何をしろというのだ」

 

「済まない。すべてが終わった時に彼女が離反者ではなく、作戦として潜入していた形にしたい。その根回しを手伝って欲しい」

 

「それぐらいなら二課の人員だけで可能ではないのか?」

 

「この件は二課には公表しない。おそらくは彼女も実際に裏切ったと扱って欲しいはずだ。であれば事実を知る人間は最小限にしたい」

 

「また、ややこしい話を持ってきてくれたな……。良いだろう今後の連絡は?」

 

「恩に着る、連絡に関しては通信などは使わず基本的には緒川にメッセンジャーを頼む予定だ」

 

 なるほど、そのために僕が呼ばれたわけですね。

 

「今後の方針が決まったら連絡する。……全く彼女には振り回されることばかりだ」

 

「ハハハ、俺達なんてこんなもんじゃないぞ?」

 

 そこからお二人の他愛もない会話を聞きながら車を目的地へと走らせる。どうやらここからは今まで以上に忙しくなりそうですね。全部が解決したら僕もなにか奢ってもらうぐらいは言ってみましょうか。

 

 

 

 

~立花響

 

「おはようございます!」

 

 朝一番二課の本部に来るように言われて学校に連絡して急いで着てみればなにか変な空気? 何故か未来も一緒に来るように言われたのも変だけどなんか司令がすごい顔して考え込んでる。あれはミステリー映画を見ている時よりも考え込んでる顔だ。

 

「ああ、おはよう。それでは全員揃ったので緊急の会議を始めたいと思う」

 

 あれ全員?

 

「司令、紫香さんがまだ来てませんよ?」

 

 確かに私達ちょっと遅れちゃったけど紫香さんの姿は見えない。

 

「その彼女に関してが今回の議題だ。本日朝彼女本人から連絡があり我々二課を裏切ると宣戦布告を行った」

 

 え? どういうこと? 司令の言っていることの意味がわからなくて辺りを見回しても他のみんなも初耳なのか驚いた顔をしている。

 

「おいおいダンナ、いくらなんでも冗談きついぜ。よりにもよって姐さんが裏切るなんて一番ありえないだろう」

 

「そうですね、流石に不謹慎ですが立浪さんのいたずらという方がまだ納得できます」

 

 奏さん、翼さんが言うように私にも紫香さんが裏切るなんて想像もできない。

 

「残念ながら事実だ。連絡後彼女のマンションに緒川をやったが裏付けるような証言が取れた」

 

 司令はちっとも表情を崩さず続ける。もしかして本当に? 少しずつ場の空気が重くなってきた気がする。そしてみんなの視線が緒川さんに集まる。

 

「はい、立浪さんのマンションより司令への連絡の直後にピンクの長髪の女性と出ていく姿を見たとの証言がありました。またその時立浪さんが、新しい妹と逃避行する、と言っていたそうです」

 

 ピンクの長髪でおそらくここにいる全員が同じ人を想像したと思う。マリア・カデンツァヴナ・イヴ。もし本当に紫香さんがあの人と一緒にいたなら……

 

「どういうことだよオッサン! あいつが本当にあたし達の敵に成ったってのかよ!」

 

 クリスちゃんの怒鳴り声が響く。クリスちゃんも怒っているんだけどどこか青ざめているように見える。

 

「そうだと言っている。先程彼女をマリア・カデンツァヴナ・イヴを首魁とする一派のメンバーとして扱うことを決定した。大々的に公表することはないが今後は彼女は我々の敵だ」

 

 司令はそう言い切った…… 嘘……、こんなの全然わかんないよ……

 

「アタシはそんなこと信じないぞ! どうせ寝ぼけて変なこと言っただけだ! 今だって寝坊してるだけだ! 叩き起こしてやる!」

 

 奏さんが携帯を取り出して電話をかけるけど、同時に司令の方から呼び出し音が鳴り響く。

 

「残念だが、彼女の端末は家に放置されていた」

 

 残酷な真実が私達を襲う。もう受け入れるしか無いのかな。連絡も取れないんじゃ話し合うこともできないよ……

 そこまで考えてふと思い出す。

 

「奏さん! 今掛けてる番号見せてください!」

 

 奏さんから携帯を借りて見てみればやっぱりだ!

 

「私、これじゃない紫香さんの番号知ってます!」

 

 昔、あのライブの時に教えてもらった番号と違う番号がそこには表示されていた。いつもは番号を打つことなんて無いからすっかり忘れてた。

 

「本当か! 少し待ってくれ全員に聞こえるように繋いでくれ。同時に逆探知を行う」

 

 私の携帯が本部の機械に繋がれていく。準備ができたのか私のところに返ってくる。これは私がかければいいのいかな?

 胸のドキドキを抑えながら発信ボタンを押す。少しの長めに呼び出し音が流れた後通話がつながる音がした。

 

「紫香さんですか!? 私達を裏切ったなんて嘘ですよね!?」

 

 きっと、いつもの感じで軽く、ごめんね―冗談だよ、なんて返ってくると信じてる。そうでなくてもせめてちゃんと本人の口からどうしてかを聞きたい。けど返ってきたのは残酷なものだった。

 

『うるさいわね。貴方どこの誰かは知らないけどもう少し声を抑えたほうが良いわよ』

 

 返ってきたのは紫香さんではない、でも聞き覚えのある声だった。

 

「おい、てめえ! マリア・カデンツァヴナ・イヴだろ! 姐さんをどうしたんだ!」

 

 奏さんが私から携帯を奪い取って問い詰める。

 

『貴女、天羽奏だったかしら? 貴女も無駄に声が大きいわね。お姉様は今忙しいの貴方達にかまってる暇はないの』

 

「お姉様だぁ!? てめえ! どういうつもりだ!」

 

『どうもこうもないわ。貴方達は捨てられたそれだけよ。じゃあね』

 

 言いたいことだけ言って通話は切られてしまった。友里さんいわく時間が短くて場所はわからなかったようだ。あの後電話の電源も切られて追跡も難しいようだ。

 

「これが事実だ。これからの作戦などは追って指示する。一旦解散とする」

 

 司令の号令で解散となったけど誰も動こうとしない。こんな時みんなを励ましてくれた紫香さんはもういないんだ……

 そんな中クリスちゃんが一人司令室を出ていこうとする。

 

「クリスちゃんどこ行くの?」

 

「もう解散したんだろ? ここにいても仕方ないし、あたしは帰る。何かあったら連絡してくれ」

 

 なんでも無いように言って出ていくクリスちゃん。でも血が出そうなぐらい握った拳は小さく震えていた。

 

「……翼、付き合ってくれ。身体でも動かさないとどうにかなりそうだ」

 

「そうね……、行きましょう」

 

 奏さんと翼さんも最後まで顔を上げることなく出ていった。どうしてなんだろう。昨日までは戦ってはいても私達は一つだった。でもそれが急にこんなことになるなんて……

 

「ねえ、響……。私達もどうする?」

 

 不安そうに未来が聞いてくる。私はどうしたいんだろう。今からもこれからも。こんな大事な仲間で先輩で頼れるお姉さんだった紫香さんが私達の敵に成って誰かを傷つけるかもしれないなんて……

 

「私達の誰かが誰かを傷つける……?」

 

 なんだろう、頭の奥で何かが引っかかるような……

 

「響? どうしたの?」

 

 未来に心配されるけどちょっとまって、なにか思い出せそうなんだ……

 記憶を遡って、会話を思い出して……

 

「あ!?」

 

 突然大声で叫んだ私に視線が集まる、でもそんな事は今は関係ない!

 

「大丈夫だよ未来! 紫香さんは紫香さんで私は私だから!」

 

「響どうしたの……? 本当に大丈夫?」

 

 未来には悪いけど今は言えないんだ。でも大丈夫! これは私と紫香さんの約束! きっと大丈夫!

 

「大丈夫だよ未来! 私に任せて!」

 

 変な顔をされるけど無問題! 考え事したらお腹空いちゃった。

 

「未来、まずはご飯食べに行こう! 腹が減ってはなんとやらだよ!」

 

「……もう、響はいつもどおりなんだから」

 

 苦笑いをする未来の手を引いて司令室を飛び出していく。何を食べようかな。食堂にふらわー、家に帰って未来の手作りごはんもいいな!

 

 

 

 

~風鳴弦十郎

 

 響君はあの時の約束を覚えていたか……。彼女は大丈夫だろうな。

 

「司令、響ちゃんは大丈夫そうですが他の装者達はメンタルサポートが必要そうですね」

 

 友里に言われ、先程の惨状を思い出す。確かにこのままではマズイだろう。

 

「そうだな、では装者のサポートを紫……」

 

 そこまで口にしてその彼女が原因だと思い出す。どうやら何を言おうとしたかを悟られたようで友里から苦笑いが返ってくる。

 

「装者全般を見てもらっていましたからね、いなくなるとどうしていいやら」

 

「いても問題を起こすし、いなくても問題を起こす。本当に厄介だな……」

 

 今ぐらいは愚痴をこぼすのも許されるだろう。ここまでフォローしてやったんだ。どんな答えが聞けるか楽しみだな。

 

 

 

~アラサー問題児

 

「たっだいまー、コンビニのパンも甘く見れないわね。スイーツと合わせて大分悩んじゃった」

 

「昼食を買いにコンビニに行ってこんなに待たされるなんて思わなかったわ」

 

「ごめんなさいって。何かあった?」

 

「いえ、特には。ああお姉様の携帯追跡されても困るから電源切ったわよ」

 

「あら、そういえば。流石マリアね、よく気がつく」

 

「まあね」

 

 そういうマリアだけどなんか想像以上に機嫌がいいな? そんなにお昼ごはんが待ち遠しかったのかな?

 

「携帯で思い出したけど、貴女の方は大丈夫なの? いきなりリーダーが一晩連絡もなしに帰ってこなかったら心配されてるんじゃないの?」

 

 気になったことを聞いてみればすまし顔に一筋の汗が流れる。あれは冷や汗ね、間違いない。

 

「……みんなに謝るのとどう説明したらいいかお姉様も一緒に考えてくれるわよね?」

 

「はいはい、ちゃんと面倒見てあげますから。お昼ごはんでも食べながら考えましょ。この辺りに丁度いい公園知ってるからそっちに行きましょうか。ああちゃんとメールでもいいから連絡しときなさいよ?」

 

 さてもう少しピクニックと行きましょうか。

 

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