前回みたいな主人公以外の視点の話に関してアンケート置いておくのでよければお願いします
「というわけでシンフォギア装者を一人拾ってきたわ」
なんてマリアに紹介されるけどわたしゃ猫か。結局あの後二課からだけでなく新しい職場への言い訳も考えるために文字通りの逃避行を続けてやっとマリア達の新しいアジトに付いたのは日も沈み始めたような時間だ。途中でマリアが無事の連絡を入れていたので少しはマシなのだろうけど、それでも目の前のリアクションはひどいものだ。
「……言いたいことは山のようにありますが、まずはちゃんと説明しなさい」
大きなため息を付きながらナスターシャ教授が話を促す。まあ、拾ってきたで納得できるわけ無いわよね。
「街での買い出し中にこれと出会って、今騒ぎを起こすわけにもいかないから話で煙に巻こうとしたらこいつから私達の方に力を貸したいと申し出があったのよ。詳しく理由を聞いたら納得できるものだから連れてきたわ」
「ではその理由とは?」
「それは本人の口から話してもらうわ」
マリアに話を振られ全員の視線がこちらに集まる。さて大枠は決めているけどどう話したものか。
「……どこから話しましょうかね。私は少し前まで櫻井了子と友人だった。あのルナアタック騒動の時フィーネと話す機会が結構あったんだけど、あの人結構お人好しのロマンチストでその時言ってたのよ。もしフィーネの目的が誰にも迷惑を掛けないものであるならば私は全力で助けるってね。こんなに早くその機会が来るとは思ってなかったけど、約束は約束。それにみんながやろうとしていることは私もやらないといけないこと。なら選択肢なんて単純なものよ」
さっきまでマリアと必死に相談していた内容だ。流石に酔っ払って同衾して意気投合しました、なんて口が裂けても言えるわけもない。それなりに真実も混ぜ込んでるから押し通せるとは思うけどどうなるか。
「先日の戦闘では貴女はマリアに対して騙りと言い切り怒りをぶつけていませんでしたか?」
ウェルが微妙に嫌な指摘を投げてくる。クソ、流石に頭の回転早いな。
「それに関しては私が未だ完全に覚醒できていないからだ。フィーネとしての意識や記憶も完全ではない。その中で抜け落ちた部分がこれということだ」
「あの後話し合ってみればフィーネはここにいるって分かったからね。お互い仲良く仲直りってこと」
「……なるほどありがとうございます」
ありゃ納得してないわね。でも付け入るほどの手札がないから静観てとこかしら。
「裏切りはフェイクということありませんか?」
「大丈夫、こいつのシンフォギアは私が預かっている。仮に逃げ出したとしてもシンフォギアがなければ戦えず、これが居なければ敵の装者など気にする必要もなくなる」
ナスターシャ教授はマリアがフィーネで無いと知っているだろうけどどんな考えなのか。この人はOTONA族だし大丈夫だとは思うけど。
ちびっこ装者組の反応はセレナちゃんがおおよそ納得、切歌ちゃんは怪しんでいる。調ちゃんは……
「調、どうしたの震えているわよ」
「だ、大丈夫よ。ちょっと緊張しちゃっただけ」
なーんか怪しいけど、現状は放置かな。問題は
「嘘をつくなデス! お前が寝返るなんて信じられないデス!」
動物のように髪の毛を逆立てて威嚇している切歌ちゃんをどうしましょうかね。
「そうは言っても本当のことだからね、どうしたら信じてくれる?」
「信じるなんてあり得ない! どうせフィーネとの話も適当なでっちあげに決まってるデス!」
ほう
「貴様、人の友情に踏み込んでくるのならその対価は高く付くぞ? 暁切歌」
無意識に出たそれは声音も内容も私らしくなく、さっきまでの強気はどこに行ったのか切歌ちゃん尻もちを付いてしまった。
「あ……あ、お、お前……」
「ごめんなさいね、今のはイラッと来ちゃっただけだから」
ごまかしながら起こそうと手を差し伸ばすと切歌ちゃんがそれを掴むより前に横からプスッと息が抜ける音がした。そちらを見ればどう考えても笑いを堪えているようにしか見えない調ちゃんがいた。
「し、調! 何を笑ってるデスか!?」
「ご、ゴメンね、切ちゃん。ちょっと変なツボ入って」
ザババの夫婦漫才が始まって場の空気が少し緩くなるけど、調ちゃんこんなキャラだっけ?
「あ、あのーーー」
「ああごめんなさい。改めてよろしくね、セレナちゃん」
放置気味だったセレナちゃんがちっちゃくアピールしてくるから謝罪がてらに手を差し出す。それでもじっとも見つめるだけで取ってはくれない。やっぱり無理があったかなー?」
「……私はマリア姉さんを信じます。だから貴女のことも信じます。私達を裏切らないでくださいね?」
そんな事を言われながらゆっくりと手を取ってくれた。でもそんな可愛い所見せられたら。
「大丈夫よ! 安心してお姉さんに任せなさい!」
「キャッ!? わ、私のお姉さんはマリア姉さんだけです!」
そのまま取ってくれた手を引っ張って抱きしめる。いやだってね? こんな可愛い子抱きしめないわけにはいかないじゃない? 年長者の義務よ義務。
「いい加減にしなさい。はしゃぎすぎよ」
マリアに頭をはたかれる。事前にお姉様と私はみんなの前では封印。てことに成ってるけど今の所ちゃんとできてるわね。
「……仕方ありませんね。ナスターシャといいます。以後よろしく」
「ええ、立浪紫香よ、よろしく。私もマムって呼んだほうが良いかしら?」
「流石に貴女のような大きな娘は遠慮します」
「ありゃりゃ」
しれっと言われたけど結構腹黒いなこの人。
「では僕も改めて。気軽にウェルとでもお呼びください」
「こちらこそ改めてよろしく、気軽に異性に呼ばせる名前は持っていないので、ご自由に」
必要以上に大きく手を振って友好を深める。お互い役者ね。さて残る駄々っ子といえば
「嫌です。あたしは認めてないデス!」
強情だこと、そういう時は
「あっそ、じゃあお近づきの印に買ってきた一つ5000円の特製和牛弁当。切歌ちゃんいらないわね」
後ろに隠しておいたとっておかなくても別に問題ないとっておきを指差す。値段を聞いて実物をみてアワアワしだしちゃった。
「ご、5000円!? いつものご馳走何個分になるデスか!?」
さて、仲良くなるにはご飯からってね。
結局切歌ちゃんの強情も和牛には勝てずひとまずはみんなでご飯となった。もともと肉が好物なナスターシャ教授や、食事にこだわるマリアは上機嫌で食事を進めている。
「しかし、マリア。シンフォギア装者を拾ったってのはひどくない?」
早くに食べ終わってしまった私はマナー違反なんて気にせずマリアに話しかける。
「出会ったのは偶然だった。であれば拾ったというのが丁度いい。しかし運がいい。これも私達が成すべき事が正しいと神が認めているからかもしれないわね」
わざとらしい言い方でマリアが答える。……神様ねえ……?
調ちゃんにセレナちゃんもいつもとは違いすぎる食事に驚きながらもどんどん食べている。そんな中問題の切歌ちゃんは
「…………」
途中までは騒ぎながら食べていたのに、急に食べるのをやめてしまった。そのまま下を向いて動かなくなってしまった。そこまで嫌われちゃったか。
「切歌ちゃん、食べれないものでも無いのなら食べちゃいなさい。私のことは嫌いでもいいけど、お弁当に罪はないんだから」
促してもそれでも反応がない。流石に不審に思い近づこうとしたらポツリポツリと話し始めた。
「……マリア達とみんなを守るためにあたし達は立ち上がった。それが世界から極悪人と後ろ指を指されようとそれでも自分たちの正義のために我慢してきた。廃墟に潜もうが、ご飯もあんまり食べれなくても仕方ないと思ってたデス。でも、ふとした時に考えてしまうのデス。本当に正しいのか、たとえ不自由でも研究所に居たほうが良かったんじゃないかって。もちろんそんな事はありえないデス。でも……どうしても考えてしまうのデス……」
静かな懺悔だった。いつも明るく見える切歌ちゃんだけど、誰よりも優しくで誰よりも誰かのために真摯なんだ。
「こんな……、こんな美味しいものが食べれるってことは私達は間違ってないんデスよね?」
それは誰に向けた言葉なのか。でもそんな事は関係ない。
「そうよ。切歌ちゃん達はみんなのために頑張ってるんだから。他の誰が否定しても私が肯定してあげる。間違ってないって。それに私よりももっと貴女を信じている人たちが居るでしょ?」
そっと切歌ちゃんを抱きしめる。込めるのは力ではなく心。ゆっくりとでもちゃんと抱きしめる。
「あ……」
顔を上げた切歌ちゃんが私を、そしてマリア達の見回す。
「良いのよ助けを求めれば。辛い時悲しい時、誰かに頼るのは間違いじゃない。だって貴方達は家族なんでしょ?」
「うぇ……、う、うわぁあああんん!!」
ついに泣き出してしまった。きっと不安だったのだろう。でも誰にも吐き出せずにずっと抱え込んでしまったんだろう。私は少しだけ抱きしめる腕に力を込めた。
「マリア、タバコ吸いたいから星でも見に行きましょ?」
「自分の立場が分かっているのか?」
「諦めなさい。これが中毒者の末路よ」
流石に外に出るのは見つかる危険性もあると、入口近くの非常口を開けての喫煙となった。もちろん付いてくるのはマリアだけ。小さい子に煙吸わせるわけにはいかないし、吸わないと私が枯れちゃうし難しい。
「やっぱり私はだめねお姉様。切歌があんなに思い込んでるのに気づかないなんて」
周りの目がなくなったからか。マリアがどんより妹に戻ってしまう。
「どちらかと言うと切歌ちゃんの強さを褒めてあげなさい。なんでもかんでも背負い込んじゃうとパンクしちゃうわよ?」
「ふ、敵である私達まで背負ったお姉様が言うセリフかしら?」
「そ、大人は背負うものが多くなっちゃうの。そのせいで最近肩こりができた気がして困るわ」
私が背負えるものなんてたかが知れている。貴方達に敵う訳もない。そうして静かに姉妹のおしゃべりを楽しんでいると小さな駆動音が近づいてきた。
「やはりそうなのですね。貴女達の関係も本当は何なのですか?」
「マム!?」
「マリア、声が大きいですよ」
「こんばんは。火、消したほうが?」
「ええ、こんばんは。大丈夫です」
ありゃ、こんなに早くにバレるとは。ナスターシャ教授の性格を考えると煙に巻くのはやめたほうが良いでしょうね。
「泣いてるこの子を見ちゃってね。捨て置けなくなっちゃって」
「お姉様!?」
「こんな感じで大きな手のかかる可愛い妹です」
いつもどおりに答えればナスターシャ教授が頭を抱えてしまった。なにかおかしかったかな?
「……貴女達の関係に関しては何も言いません。ただ未成年も居ることを忘れないで」
「……マム!」
突然の爆弾にマリアのメンタルが弾けとぶ。だがそんな事を気にもせず真面目な顔でこちらに問いかけてくる。
「一つだけ質問です。貴女はこの子達の味方ですか」
「なにがあろうと。世界を敵に回そうが、神様に殴り込まれようが、……元の仲間たちと戦うことになっても泣いている妹を見捨てれないですね」
「……この子達をお願いします」
車椅子のままナスターシャ教授が深く頭を下げる。
「大事なお子さんたちをしっかり守らせてもらいます」
私も仕事での礼とは違う、心からのお辞儀を返す。
「二人共……、何をやっているの?」
親の心子知らずなんて言葉を思い出す。
深夜を深まってきた頃、私はベッドを抜け出す。なんとまたマリアと同衾だ。監視なんてお題目だが、セレナちゃんには可愛く睨まれ、ナスターシャ教授には白い目で見られてしまった。
一人空の見える場所でタバコに火を付ける。買っておいた缶ビールあおりながら空を見上げればそこには欠けた月が雲に隠されて光も遮られている。こんな夜は静かにアルコールに溺れよう。
そんな風に浸っていると背後から足音が聞こえてきた。音的にはちびっこの誰かだろうけどこんな時間になんだろう。
「紫香、こんな時間に何をしているの」
調ちゃんの声だった。
「大人にはね一人にならないと行けないときがあるの」
「怪しい。外に連絡しようとしているんじゃないの?」
声を掛けながら調ちゃんが近づいてくる。ちょうどその時雲が晴れ薄い月明かりが差し込んでくる。
ああこれは……
「何なら弦十郎さんに連絡してあげましょうか?」
「遠慮しておくわ。ひさしぶりね、友人さん?」
差し込む光に照らされて、調ちゃんではない月読調がそこに居た。
主人公以外の視点の話は読みたいですか?
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二課の話が読みたい
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いらない
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