後翼のセリフが防人でもそうじゃなくても難しい…
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休めるときに休めるのは贅沢なのだろう
役割から離れたときにこそ真価が見えるのかも知れない
4,休日の方が疲れない?
司令とフィーネというか了子さんとの敵味方両陣営とのお話も数日前の話。あれ以降は特に大事もなく平和な日々が続き念の為にと数日間の面会謝絶も解け今日からは普通の入院患者である。普通の入院患者というのも変な表現だが、今はベッドでゴロゴロするだけの優雅な生活だ。しかも二課の予算で個室なのでもはや言うことはない。強いて言うなら煙が恋しいがまあそこはもう少ししたら喫煙所を探そう。……あるよね喫煙所?時代の流れで全館禁煙とか心折れちゃう
「姐さーん、入っていいかー?」
早速のお客様だ。前回の訪問の最後があんな感じだからお説教長くならないと嬉しいんだけど……
「はいはい、どうぞどうぞ」
「邪魔するぜー、お見舞いに来たぞー」
「邪魔するなら帰って-」
昔にテレビで見た記憶のある芸人の舞台の懐かしいネタだ。奏ちゃんのことだしリアクションくれるでしょ。一回やってみたかったんだよねこの流れ。
「えっ……、アタシのこと嫌いになったの……?」
いやいや!?いつものノリはどうしたの!?何か滅茶苦茶深刻に受け止められてるんだけど!?
「冗談!冗談だから!」
「本当だよな?姐さんアタシのこと嫌いになったりしないよな?」
「立浪さん、奏は前回の喧嘩みたいになったことを気にしてるみたいなの。あんまりいじめないであげて」
どうやら思ってた以上に奏ちゃんは前回のことを気にしてたらしい。
(なんか奏ちゃん原作より幼くなってる?年上の私がいるからかな?)
「ま、まあ。二人共お見舞いに来てくれて嬉しいよ。」
「アタシもまだ入院してるしお見舞いって言っても変な感じするけどな」
そういえば奏ちゃんも絶唱を使わなかったとはいえリンカー無しでの戦闘でかなり負担があったはずだ。今は元気に見えるけど実際のところどうなんだろう。
「前回最後有耶無耶になっちゃったけど奏ちゃんは体調どうなの?」
「了子さんにも確認してもらったけど疲労とリンカーなしでの戦闘の影響で少しの間入院だけどその後は問題なく復帰できるらしい」
それは良かった。命は助かっても今後一切シンフォギアを使えない可能性も考えていたけどとりあえずは問題なそう。
「そんなことより、姐さんアタシをこんなに心配させたんだ。山のように言いたいことはあるけどこれで勘弁してやるよっと!」
そんなことを言いながら悪い顔をしながら奏ちゃんがデコピンをしてくる。きっと優しいこの子のことだこれで全部チャラにしてくれるのだろう。ここは甘んじて受け止めるべきなんだろう……
「でも避けちゃうんだよねー」
「あっ!?」
ごめんね私は汚い大人だからそういう青春的なものは受け取り拒否できちゃうのよね、首だけで避けたし向こうも腕だけを伸ばしてたから特になにか起きたわけじゃないけど、避けられると思ってなかったであろう奏ちゃんがすごい顔でこっちを見てくる。
「いや、それは駄目だろ。今のはちゃんと受け止めていい感じに終わる流れだったじゃん」
「私としては受け止めて上げたいんだけど、同じように無茶やった奏ちゃんから受けるのはな-てなるのよね、というわけで……」
ここでわざとらしく翼ちゃんの方に視線を向ける。奏ちゃんも意図をわかってくれたみたいで先程よりも悪い顔をしている。
「そっかー、なら仕方ないなー。私でも姐さんでもない無茶をやってない奴にやってもらうしか無いなー」
見事なまでの棒読みである。発言者二人の性格とこの言い方を考えればわかりそうなものだけど
「え?もしかして私が? なんで!?」
翼ちゃんは純粋な子だしこうなっちゃうよね。
こうなると自称風鳴翼を愛でるの会らしい奏ちゃんの矛先は完全に私から離れていく。なんかあのライブを乗り越えたあとにこうやって二人が他愛もないことでふざけあってるのを見ると涙腺が緩くなりそうになってしまう。だってどうじゃない?この二人がずっと仲良くい続けてくれることがどんなに得難いものなのか。
「立浪さん?泣いてるんですか」
「姐さん、どこか痛むのか…?」
おっと、どうやら気を抜きすぎていたようだ。心配させてしまうようではまだまだオトナに成れていない証拠かも。
「いやね、あんなことがあったのにまた三人でこうして過ごせることがこんなに嬉しいとは思わなくて」
……どうやら今日は涙腺に続いて口周りも出血大放出キャンペーン開催中らしい。
私が急にしんみりしたことを言うのを予想できなかったみたいで、奏ちゃんも翼ちゃんも一気に暗く、下を向いてしまっている。ここは私の責任でもあるし空気を変えないと。
「いや、大丈……」
「そうですね!私がどれほど心配したか二人には身を持って受け取ってもらいます!」
私の話を遮るように急に翼ちゃんが立ち上がりながらそう宣言した。いつもなら人の話に割り込んだりはしない子なのにどうしたんだろうと思っていると私のオデコにそれなりの衝撃が飛んでくる。
「って~……」
横を向けば奏ちゃんもオデコを擦っている。翼ちゃんを見返してみればどうやら二人同時にデコピンをしたようで、なかなか面白い体制で立っている。それをからかおうとすると噛み殺したような涙声で話かかられる。
「わ、私が…どれだけ心配したか、わかってる?奏が絶唱を歌おうとして、立浪さんが止めてくれたと思ったらそのまま今度は絶唱を歌ってしまうし。立浪さんが気を失ったあと奏も倒れてしまうし…… 私は!二人を失っても一人で飛んで行けるほど強くはないのよ……!」
どうやら想像以上に翼ちゃんは限界だったようだ。必死に我慢してたんだろうけど私が背中を押してしまったようで、一気に感情が溢れてきているのだろう。
(いやはや、ほんとに自分が嫌になるよ…)
「ごめんな翼…… そこまで心配かけてるなんて思いもしなかったよ。アタシからすれば血を吐くのも倒れるのもいつもの延長線上だったんだ。でも翼のことをちゃんと考えれてなかったよ。」
奏ちゃんも翼ちゃんの状態にショックを申し訳無さを受けているようで、真剣な顔で慰めている。何から何まで年下の子にやらせてしまっている自分が本当に情けない。
「二人共ごめん、少しこっちに来てもらえるかな?」
未だベッドから立ち上がるのは少しきついので二人こっちに来てもらう。二人共首をかしげながらも言う通りにしてくれる。そうして私のそばまで来てくれた二人をまとめて抱きしめる。
「私はあの時あれが最善だと思った。だから謝ることはできないんだ。でもね、代わりに約束するよ。もう軽々しく絶唱とか命をかけるなんてしない。ちゃんと自分の命を大事にするね」
急に抱き寄せられて驚いていた二人は私の言葉を聞いて奏ちゃんはすがるような顔で翼ちゃんは少し怒っているような顔で返答してくれる。
「絶対だぞ、絶対命を捨てるようなことをしないでくれよ……」
「当たり前です!ちゃんと私達をもっと頼ってください!」
この年下の先輩二人は本当に頼りになるし、可愛い子たちだ。
(安心して軽々しくなんて使わないから。命の使い所はちゃんと見極めるから……)
さてそろそろしんみりした雰囲気を続けるのもあれだし、どう空気を変えたものかと考えていたら奏ちゃんが聞き捨てならないことを言い出した
「……翼バスト大きくなった?これそろそろ姐さん抜くんじゃない?」
「……!」
ちょっと待てそこの双翼。私も自称スレンダーだけど流石に防盛バストには負ける予定は無いぞ。
「そうなの! この前の検診で測ってもらったら大きくなっていたの!」
おーおー、早々見せないいい笑顔しちゃってそんなに嬉しいのか、でも翼ちゃんの未来は知ってるんだけどなー大きくならないんだよな-(
「今のサイズが……」
「翼ちゃん!いえ翼さん!なにをしたら大きくなるか教えて下さい!」
まだ私のほうが大きとはいえこのままだと負けてしまう…… 防盛バストに負けてしまと今後仲間になってくれるはずの乳ラッシュに心が折れてしまう……
「わ、私は成長期ですので特に何もしていないです……」
(神は死んだ、いやそのうち神殺しを揃えて殴り込みに行ってやる……)
私が憤怒の表情で天を仰いでいると横から持つ者が心無い一言をぶつけてくる。
「二人共アタシからしたら変わんないじゃん、いやーアタシも邪魔だし小さい方が良かったなー」
奏ちゃんは人の気にしていることを進んでネタにするような子じゃないはず、ならばこれは煽りなしの本心ということ……その事実が私達二人を大いに傷つけた……
「天羽さんは良いですね、そういうことが言えて」
「そうですね、天羽さんにはわからないでしょうね」
突然の名字呼びと声音が三段階ぐらい下がっているのを聞いて、始めて奏ちゃんが地雷を踏んでしまったことを自覚したようだ。
「いや、二人共さっきのはそんな意味じゃなくて……」
一歩引いてみてみればそこには少女たちが他愛もない話で盛り上げっているどこにでもある日常があった。
私はこれを守ると決めたんだ。例え私がどうなろうとこの笑顔を守るのであれば世界すら敵に回してでも立ち回って見せよう……
そんなこんなでこの二人は奏ちゃんが退院するまでは毎日、退院してからも三日を開けずに来てくれていた。本当に私なんかには出来すぎた子たちだ。
どうやら、私の人間関係の形成は上手く行っているようでオペレーターを代表して朔也くんとあおいちゃんがお見舞いに来てくれた。
そうだ、朔也くんとあおいちゃんなのだ。私は藤尭さんと友里さんと呼べる年齢では無いのだ…… この事実を知った時割とショックだった記憶…
「どうぞこれみんなからです」
「二人共ありがとね。忙しいのにわざわざ悪いわね」
「いやいや立浪さん俺たちオペレータたちからの人気すごいの知らないんですか?今回も見舞いに行くの男女関係なく立候補が多すぎて、司令に怒られてくじで決めたぐらいなんですから」
くじで決めてこの二人というのはなにか作為的なものを感じないでもないけどそれよりも確認しないといけないことがある。
「私って人気あるの?ツヴァイウィングのおまけ程度に認識されてると思ってたんだけど。」
「私達女性陣からしたら相談しやすいし、奏ちゃん翼ちゃんの二人との間をうまいこと取り持ってくれたりで仕事でもプライベートでも人気ありますよ」
「男組は……、えーと……」
朔也くんは歯切れ悪そうにししてるけど、昔は男だったんだ。ぼんやりとは自分の見られ方は想像がつく。
「もうここまで来たんだから言ってしまいなさいな、あおいちゃんも怒ったり白い目で見ちゃ駄目よ」
「ツヴァイウィングの二人は流石に年下過ぎて父性が出てくるけど立浪さんは、年齢も近いのでほら?色々と……」
「まあ、部署内のアイドル扱いってことにしておいてあげるわ。実害が出たら司令に報告はするけど」
朔也くんは青い顔をするけど代表に来た彼だけが責められるのは些か可愛そうだし、まあ今の所実害はないし。トップアイドルを差し置いて理由はどうあれ人気があるというのは気分がいいものだ。
その横であおいちゃんは未だよくわかってないらしく首をかしげている。彼女が仕事の上では大変優秀なのだがこの辺りは男ゆえの感性が無いと想像しにくいだろう。
「そういえば二人は怪我とかはなかったの?詳しくは知らされていないけどそれなりに大変だって聞いてるけど」
「私達は当時は現場ではなく本部にいたので怪我などはないです。現場にいた人たちに関しては……」
まあそう暗くなるよね。私としてもお茶会友達やしょうもない話で盛り上がった彼らがどうなったかは心配だ。
でも、彼らの犠牲は私が選んでしまったものだ。同じ顔見知りでも私はツヴァイウィングの二人を選択したのだ。後悔など許されるわけがない。これは血を吐きながらでも背負って行かなければいけないものだ。
「あれは誰にも予想できないものでした。装者の方たちの責任では有りません。そんなに自分を責めないでください……」
また顔に出ていたのだろう。あおいちゃんが慰めてくれる。横にいる朔也くんも先程までの慌てふためいた様子はなくまっすぐこちらを見てくれている。
「ありがとうね、大丈夫だから…」
私は顔をそらしながらそう答えることしかできない。だって予想どころか予測していたのだから。実行犯以外に責任があるとしたら私でしか無いのだ。私だけが責任を負わなければいけないのだ。
「立浪さんがいつもみんなの事を考えて色々してくれているの私達も知っています。今回の事故は起きてはしまいましたが、きっと一番マシな結果になったんだと信じてます」
やめて…やめてくれ……
その真心は私の心を死に至らせるものだ。私はそれを受け取ることは許されないのだ。
「……二人共ありがとうね。あんな規模の現場にいるとどうしても気分が落ち込んでしまって」
「いつでも何かあれば私達に相談してくださいね」
「俺たちいつも助けられてますから、たまには恩返しさせてください」
「……ありがとう、何かあればまたお願いするわね」
その後とりとめのない雑談を数十分続け二人は帰っていった。
今回が一番きつかったかも知れない。自分のしでかしたことを突きつけられたような気がして…
でもこれからも自分は分不相応にも選択を繰り返していかなければ行けないのだ。早く心を固く強くしなければ
お見舞いに来てくれるのはみんないい人ばっかりだけど持ってくる話が全部いい話とは限らない
「紫香さん、体調はいかがでしょうか」
失礼しますと、丁寧に声をかけながら慎次くんが病室に入ってくる。入ってくるのはいいのだけれど顔がお見舞いに来た人のものではない感じ。
「どうしたの慎次くんそんな暗い顔して。私のお見舞いそんなに嫌だった?」
「今日は真面目な話でお邪魔しました」
こっちのボケにすらリアクションくれないところを見るにマジな案件だし相当嫌な話なんだろうな
「なら仕方ない。嫌な話はさっさと終わらせるに限る。どうぞ?」
そこから慎次くんがしてくれた話は以前に司令が言っていた私に監視がつく話が実行されるそうだ。んでその監視担当が慎次くんだと。
「いやそれ言っていいの?今から私が監視しますって名乗るものじゃないよね?」
「司令から事前に伝えるように言われています。これが紫香さんへの信頼だと」
「そっか、なら仕方ないね。いやー慎次くんに監視されるならついでに部屋の片付けまで頼んじゃおうかなー」
翼ちゃんの部屋を片付けれるぐらいの手腕だ私の部屋ぐらいどうということは無いだろう。ついでに冷蔵庫の補充もお願いしよっかな-。とか考えてる彼にしては珍しい荒げた声が飛んで来る。
「どうしてそんな軽く受け止めれるんですか!?仲間に疑われ監視されるんですよ!?」
「司令とは話したけど状況がそうなってるし仕方ないよねって。まあ当面プライバシーはなくなるだろうけど赤の他人じゃなく慎次くんならまあ良いかなって」
だってこの子は何よりも周りのことを考え公私を使い分けれる優秀な人だから
「僕は仲間を監視するために二課にいるわけではないんですよ!」
ああそうか。この子は身内を疑い監視することと、自分が学んできた誇りを持っている技術を使わないといけないことが辛いんだ。
(ほんとにもう、真面目で良い子ばかりな職場ですこと)
「慎次くん一つお願いを聞いてもらえるかしら」
「任務に関係ないことでしたら」
「私はね、自分が無実であるとわかっているんだ。でも状況がそれを許さない。だから慎次くん、あなたが全力で私を監視して怪しいことが無いことを証明してね。大丈夫、君ならきっとできる」
「…あなたはいつも優しいですね」
「いやいや自己中なアラサーだよ。そんな幻影は早く捨てるのがオススメよ」
幾分軽くなった空気の中改めてお見舞いらしく会話を続けていく。そうだ原作の中ではほぼ完璧人間として描かれていても目の間にいるのはただの生きている一人の人間なんだ。悩むし迷う。そんな人を見つけたらせめて話を聞いてできるのであれば背中を押すぐらいはしていきたいな。
こうして一度は沈んだ私の心だけど最終的にはいつもどおりというラインまでは復活できたと思う。
背負わないといけないことから目をそらしてるだけかも知れないけどそれでも私が選んだんだ。進むしか無いんだ。
真面目な話はこれぐらいにするけどさ、あの後もう一度来たうちの司令は
「体調はどうだ!元気が出るような映画を持ってきたぞ!」
だし、一応敵のボスのハズの人は
「やっほー!暇だと思うから私オススメの恋愛小説持ってきてあげたわよー!」
もう、似た者夫婦はさっさと結婚して世界を平和にして欲しい。