『』の使い方がややこしくて読みにくくなってしまってごめんなさい
使い所のない命ならば
使い道ぐらい決めてしまおう
2.13 最終幕
「どうも、少し話を聞いていただきたいのですが」
「……君は弦たちを裏切っている認識しているのだが」
「そこはまあ、若気の至りということで……。恥知らずもいいところですが少しお力を貸して頂きたく」
目の前にには頭に?マークが浮かんでいる珍しい翼パパ。どうやら私の顔はまだ指名手配にはなっていないようでお付きの護衛もどう対応すべきが迷っているようだ。
「世界を救うために少し手伝っていただければ」
「……聞くだけ聞いてみよう」
露骨にため息を吐かれた気がするけど気にしなーい。まずはこれで第一関門突破だ。
「……なるほど今回のフィーネを名乗る者たちの騒動は裏に米国が潜んでいたか。それで君は何をしろというのだ?」
「そうですね、今私はどうしても目的地であるフロンティア遺跡へと向かわなければいけません。その上で色々と厄介事をどうにかするために米軍艦隊に相乗りしたいなと」
今の私は立場もなにもない。普通であれば二課に合流するのが一番まっとうな方法だろうけどそれだとほんの少し間に合わない可能性がある。今更お尋ね者の厄介者だ。どうせなら満点の答えを取りに行こう。
「それを私が手助けするとでも? ただでさえ君の持ってきた情報が真実であればそれなりの人数の首が飛び、国家間の関係にも影響するような問題だ。その上我々の陣営を裏切った前科がある君の要望を聞く必要があるとは思えんな」
「首というのでしたら、全部が終わった後にこの首を持っていっていただいて構いませんので」
「君の首にそこまでの価値があるとは思えない」
流石に翼パパ。一筋縄ではいかないわね。こうなりゃ仕方ない使いたくないものでも使うしかない。
「ではここでもう一つ。こちらのディスクには前の大臣暗殺から諸々に彼の国が関与している証拠が入っています。他国に干渉大好きな彼の国の影響力を削ぐことに前向きで、権力を持っている方ご存知ありません?」
「君は……どこまで……」
「もはや畜生の身、使えるものは何でも使う所存」
そうして色々頑張ってもらってなんとか米軍に紛れ込むことに成功、してはいいんだけど
『本場のエスコートって言う割には中々エキサイティングじゃない?』
『いきなりねじ込まれた客人に何も思わないようではこの椅子には座れんよ』
艦隊司令と楽しくおしゃべり、ってのはいいんだけど周りには安全装置を外した屈強なお兄さんに囲まれるのは中々に心外だ。
『さて、客人。私達第7艦隊は大統領からの司令を受けとあるポイントに向かっている。そこには合衆国の未来を脅かすなにかがあると聞いている。それも通常の人間の軍隊ですらない古代の遺物ときた。私もそれなりに長く軍に身をおいているがこのような作戦は記憶にない。そして出向直前に合流した君だ。我々に知らされていないことが多すぎる』
『私としても知っていることを話してもいいんだけど、貴殿の上官から伝わってないことを言いふらすのもお互いのためになるとも思えないし、どうしましょうか?』
出されたから飲んでるけどこのコーヒー薄くない? アメリカンだか船上だからかは知らないけど勘弁して欲しい。
『では、君は我々の味方という認識でいいのだろうか。少なくてもそれぐらいははっきりさせておきたい』
『そうね……、質問を質問で返すようで悪いけど貴殿はなんのために軍に? 長くはないとは言えこっちも命を預ける相手には腹を割って話したいの』
事前に調べた感じ目の前の艦隊司令は腐ったみかんではなさそうだけど、真実なんていくらでも隠せるような肩書だ。今更私にキープ出来るような札はない。このまま体当たりで進めるしかない。
『……私はアメリカを守るために軍にいる』
『それはホワイトハウス?』
『そんな小さなものではない。アメリカとは自由と平等。そして未来へと進むための方舟だ。私はそんのアメリカを守るためにここにいる』
……ああ、この人も立派な軍人だ。正しく守るものために力を震える人なのでしょう。
『ならきっと私達は同士になれるわ。内緒話をしましょう。できれば二人っきりで』
『……いいだろう』
足でしかないと思っていたここで望外に味方を得ることができそうだ。
「どいたどいた! 乙女は急には止まれないわよ!」
着地の勢いそのままに手近なノイズを引き倒していく。色々ややこしい状態けど鉄火場に出てしまえばやることは一つ!
「調ちゃん! 元気している!?」
「な、なにを」
どうやら問題なさそうだ。であれば!
「私は他の船のノイズやってくるから調ちゃんはここの残ったやつをよろしく!」
申し訳ないが色々話し込んでいる時間はない。死人が出る前に一気に回りを制圧する!
「Rei shen shou jing rei zizzl」
ノイズを粗方倒したと思えば耳に聞こえるは神獣鏡の聖詠! ああもう! 忙しい!
「調ちゃん! 生きてる!」
「紫香!?」
「姐さん!?」
急いで帰ってきてみれば調ちゃんはクリスに抑えられてるし、切歌ちゃんは翼ちゃんと奏ちゃんに切っ先を突きつけられている。そしてそんなことより……
「結局こうなっちゃったわけね……、けしかけたのは私なわけだし責任ぐらいは取らないとね」
「なにしに来たんだよ!」
クリスのシンフォギアに目立った外傷なんかはないし、未来ちゃんが来てすぐで間違いないでしょうね。
『ノイズの第二陣が出現した。早急な対処を頼む』
どうやら時間も諸々待ったなしね……。本当であればこの場で私が未来ちゃんの相手をするのが筋でしょうしね。
「弦十郎さん! 私が未来ちゃんを抑えるんで他の装者はノイズの殲滅を!」
「色々聞きたいことも言いたいこともあるが、今は人命を優先しよう。装者は紫香くんをおいて米軍艦艇に出現したノイズの排除を急げ!」
そうは言ってもいきなり動けるような状態でもないか?
「……もうホント何なんだよアンタ! いきなりいなくなったと思ったら今度は米国所属だぁ!? 後で納得するまで聞かせてもらうからな!」
奏ちゃんから文句は言われたけど、すぐさまノイズの対処に動いてくれた。いつの間にか現れた慎次君が調ちゃんを保護してくれたみたいだしひとまずは安心かな。
「…………」
「クリス、あの子がああなったのも私に責任があるの。だからここは私にやらせて? 貴女はノイズのにお願い」
「アタシは……恩人を助けることすらできねえのかよ……!」
唇を噛み締めるクリスの表情は後悔であり、悔しさだ。
「違うわ。貴女に友達に銃口を向けてほしくないの。クリスは優しい子だから」
それでも迷っているみたいだけど隣の艦に乗り移っていった。後は目の前の未来ちゃんだ。
「しれっと合流した感を出しているが未だに君は我々を裏切った二課の敵だからな。後でちゃんと説明をさせるからな」
弦十郎さんから釘を刺されたけど今は気にしなーい。どうせこの後の怪獣大決戦で生き残れるかはわからないし、もう一瞬一瞬を必死に生きるしかない。開き直りだけど気にしない!
「さてと、未来ちゃん。背中を押しちゃった人間としてはちゃんと相手してあげるから。せめて王子様が駆けつけてくるまではダンスの相手をお願いしましょうかね」
「……」
未来ちゃんからの返答はない。でも静かに戦闘態勢に入っている。
「行くわよ!」
未来ちゃんに向かって突っ込む。あの謎ビームなんて打たせる暇なんて与えない!
「ておりゃあ!」
「……」
それなりに本気で蹴りを放ったつもりだけどきれいに避けられる。それでも攻撃の手は緩めない。今の私がどこまで聖遺物と融合しているかわからないけどまともに喰らえば消し飛ぶかもしれない。それでも、ここで引くわけにはいかない。きっと私が未来ちゃんに伝えた言葉なんて彼女の中ではそんなに大きくないかもしれない。でもそれでも私はここまで事態をややこしくした責任もあるし、そして何より私はハッピーエンドしか認めない人間なんだ!
「……!」
「まずい!」
放たれる極太のレーザー攻撃。避けるのなんて簡単だけど避けてしまえば誰かが死ぬ。そんなのは許さない! 元に戻った未来ちゃんが罪を負わなければいけないようなものは私が全部振り払う!
「くっそ! きっついなこれ!」
盾で受けたはいいけど熱量がきつい! なぜだか知らないけど私のシンフォギアは神獣鏡の攻撃に対して分解されることはないようだ。なぜだかわからないけど今はその事実だけでも大助かりだ。それでも……
「きゃっ!」
純粋に力負けして吹き飛ばされる。簡単に負けるつもりはなかったんだけど、これも愛の力ってやつなのかしら?
ゆっくりとこっちに止めを刺そうと近づいてくる。直撃した影響なのか直ぐには動けそうもない。これはいよいよ不味そうかな? そんなことを思ってたら突如水しぶきを上げながら二課の潜水艦が浮上してくる。その上に立つのは響ちゃん。表情を見ればわかる。覚悟を決めたようね……
「一緒に帰ろう、未来!」
「帰れないよ……、だって私にはやらないといけないことがあるもの」
「やらないといけないこと?」
「このギアの放つ光は新たな光を照らすんだって。そこには争いもなく誰もが穏やかに笑って暮らせる世界なんだよ?」
「争いのない世界……」
「私は響に戦ってほしくない、だから響が戦わなくていい世界を作るの」
二人の静かな問答が続く。未来ちゃんもきっと本心なんだろう。響ちゃんが傷つかなくてもいいように彼女なりに出した答えなのだろう。でも
「たとえ未来と戦ってでもそんなことはさせない……!」
「私は響を戦わせたくないの」
「ありがとう。でも私……戦うよ!」
「Balwisyall nescell gungnir tron」
シンフォギアを使った世にも珍しい夫婦げんかの始まりだ。こうなってしまったは私が手を出してしまうのは野暮の極み。最初の目的どおり未来ちゃんの攻撃に巻き込まれる人命が出ないようにがんばりますか!
「こんななの脱いじゃえ! 未来ぅ!!」
なんとか最終的にはうまく行ったようで何より。さてはて私も御暇しますか。
「弦十郎さん。荷物甲板に置いておくので回収をお願いします。私のことをまだ信じていただけるなら中のメモどおりにお願いします」
「君はどこに行こうとしてるんだ?」
「最初に言ったじゃないですか。自分の船に戻るんですよ」
『司令、戻ったわ。被害は?』
『かなりの数の艦が深刻なダメージを受けた。殉職者もだ』
『……力不足だった。申し訳ない』
『彼らとて覚悟をしてここに来ている。そして作戦本部から次の指令が来た。あの突如浮上した遺跡を確保せよとのことだ。手伝ってくれるな?』
確か、このまま行けばウェルのせいで……
『申し訳ないけど今の艦隊の状態じゃ足手まといね。これなら私一人で向かったほうがまだましよ』
『昨日までであれば冗談にしか聞こえんが、この有様ではな……。足を用意しよう。それ以外に出来ることは?』
『本来であればなにもない。だけど最悪の事態になった場合は火力で助けてもらうかもしれないわ』
『最悪の事態とは?』
『それは……』
「さて、なんとか無事にここまで来れたわね」
足代わりにヘリを借りてなんとかここまで運転できた。後はウェルを殴ってネフィリムを殴れば終わりなはずだけど……
「クリスがどう出るか、マリアがどうなるか、こればっかりは行き当たりばったりでいくしかないわね」
フロンティアに到着することだけ考えてたけど、周りには二課の潜水艦も、戦いの音も聞こえない。どうしたものかと考えていたら懐かしいところから通信が入ってくる。
「あおいちゃん? どうしたの。私は敵のはずよ?」
「もう司令から聞いています。そのうえで協力するようにとも」
「……こりゃまた、お優しいことで。で、何か有ったの?」
「マリア・カデンツァヴナ・イヴが放送で声明を話し出しました。それと、クリスさんと翼さんがウェル博士とソロモンの杖を追跡中。奏さんと響さんが遺跡に向かっています」
どうやら色々ややこしいことになっているようだ。
そんなことを考えていたら目の前の地面がゆっくりと隆起していく。
「……あおいちゃん、私の前方になにか聖遺物反応ある?」
「いえ、こちらでは特に反応などありませんが」
「そう、どうやらネフィリムのやつ神獣鏡の欠片でも食ってたのか、センサーには映らないようだけど目の間に出てきたわ」
この段階で出てくるのは予想外だし、しかも結構でかい。
「とりあえず、私のやることは決まったわ。みんなの準備が終わるまでこの木偶の坊と遊んでるわ」
「危険です! 他の装者を直ぐに!」
「だめよ、みんな自分の生きざまにケリをつけようとしてるはず。それを邪魔しちゃいけないわ。安心しなさい。みんなが来るまでの時間を稼ぐぐらいどうにでもなるし、何なら倒しちゃうかもね?」
さあ、大団円目指して最後の踏ん張りどころだ!