小さな親切、大きな愛 [G編]   作:冬眠復帰

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この小説書き溜めはないし、プロットも三行ぐらいしか無いので毎日ヒイヒイ言いながら書いてます。
そんなわけで荒削りなのを磨いてくれる誤字報告や感想評価は非常にありがたいのでいつもありがとうございます。

今回眠気がやばいので誤字すごそうなので起きたら、確認します…


5,日常バンザイ

当たり前の今日が当たり前の明日になると勘違いしていた。

 

当たり前のためにどれだけの血が流れているのか。

 

 

5,日常バンザイ

 

 

やることも無い入院生活も最早数ヶ月前。退院後は特に大きな問題も騒ぎもなくノイズはたまに出るけど平和な日常をエンジョイしてます、はい。いやー病院にいる時は何もしなくても良くて、お給料も出るから天国みたいだったけど喫煙所が遠いのが辛かった…… もし全館禁煙なら脱走まで考えてたわ……

 

まあ、そんなどうでもいいことは放っといて日常生活に戻りましょう。

そんなわけで久しぶりの何もない一日を過ごしていきましょう。

 

 

 

朝起きてまずは時計を見るけど、二度寝できるか微妙なラインのときが一番辛いのよね。今日は余裕があるわけでもないけど、時間がないわけでもないいつもどおりな感じ。

 

「あー、寝っむい…… どうして毎日寝たら起きないと行けないのかしら…」

 

一人暮らしのアラサーの朝なんてこんなもんだ。昔は朝からバッチリ決めてお洒落なカフェで朝食。なんて憧れもあったけど今となっては幻影だったって断言できる。

 

目の前にはビールの空き缶に、山盛りになっている灰皿。三割引のシールが寂しく輝いているパックの惣菜。

ほんと散らかしてないだけで翼ちゃんのこと言えない惨状ね……

 

「ーっあー、仕事行きたくないー」

 

朝起きて先ずすることが一服なんてだいぶ終わってると思うけどもう習慣だしなー

 

とりあえず、コーヒーだけは飲みたいのでインスタントの用意ととケトルでお湯だけを沸かす。一人前なので然程間を開けずにケトルから準備完了の知らせが来る。適量の2倍ぐらいの粉で作るコーヒーを飲むとかなり濃い苦味が口の中に広がっていく。

 

「あー、朝から胃と肺に優しくないメニューだこと」

 

時計を見ればそろそろ家を出る準備を始める時間。学生ではない私は出勤の服装もちゃんとしないといけない。しかし改めて考えると学生かアーティストの二択しか無い装者たちの私服事情が特殊よね。あおいちゃんたちオペレーターは職場で着る用の制服だし、外に出る人は慎次くんを始めみんなスーツだもんね。

司令のいつもの服装もカジュアルにしか見えないけど襟付きシャツにネクタイだから一応整えれば正装になるのよね。赤がマナー的にどうかはもう知らないけど。

 

そんなどうでもいいことを考えているうちに家を出る準備がほぼ完了する。準備と言っても服着替えて携帯と煙草をカバンに突っ込むだけなのでもはや何も考えずにできるレベルになっている。いやー社畜社畜。

 

そんな、なにも面白みも無い準備が完了して家を出る。もはやこのスーツ姿も着慣れて見慣れたものだ。

 

家をいつもの時間に出れば朝に合う人も大体同じになるわけで

 

「立浪さん、おはようございます。行ってらっしゃい」

 

「おはようございます。いつもご苦労さまです」

 

マンションの掃除をしている管理人も挨拶しながら駐車場に歩いて行く。今の職場はラッシュに巻き込まれないだけ大分マシだと思う。

自家用車だけど何となく外車のツーシーターにしたけども今では結構お気に入りに成っている。助手席はもっぱらカバンの指定席になっているけど、昔助手席に荷物を置いてる人は恋人ができないとか見た気がするけど関係ないわよね……

 

「あーなんか渋滞してんじゃない、めんどくさ……」

 

ここまでいつも同じだったはずなのにどうやら今日は定時に出勤させてくれないようだ。とりあえず、適当に近くのコンビニより携帯で確認すればどうやら職場に行くまでに絶対に通る道で事故があり、事故渋滞になっているようだ。そうなれば真面目な社会人としてはやることは一つ。

 

「あ、あおいちゃん?事故渋滞で遅刻するんでよろしくねー」

 

「またですか、立浪さんの通勤路事故よく起きるんですから対策なにかしてくださいよ」

 

「まあ、そのうちそのうち。いつもどおりなら1時間はかからないと思うわ」

 

「もう、わかり……」

 

あれ?どうしたんだろ。急にあおいちゃんが黙っちゃった。

 

「紫香君。今月3回目だな。通勤で大変だろうから本部についたらゆっくり俺が話を聞いてやる」

 

「……ありがとうございます……」

 

私何も悪くないのにお説教コースになるとか二課はブラックだった?いや命の危険がある職場とか迷うことなくブラックだわ。悪い職場では無いんだけどね。

 

こうなったらもうどうにでも良くなるので通勤経路にある行きつけの喫茶店にでもよって英気を養ってから行きましょう…… 司令とのお話は嫌だな……

 

 

 

「おはよーございます」

 

朝の挨拶は大事。昔からそう言われている。とりあえず司令室に顔だして挨拶すると詰めている面々から挨拶を返してもらえる。前病室で言われたけど人間関係はとりあえず問題ないようだ。

 

「おはようございます、飲み物でもいかがですか?」

 

「おはよ、あおいちゃん。仕事してる人の邪魔しちゃ怒られちゃうからね」

 

そうだ、今日一日逃げることができれば許されるはずだと信じたい。

 

「まあ、ちゃんと朝の挨拶できたし、すぐに出ていくよ」

 

「まあ、そんな事言わずにゆっくり話していこうじゃないか」

 

あー、今日はどうやら厄日で決定のようだ。振り返れば司令と慎次くんの今会いたくないトップ2が揃ってるじゃない……

 

「はーい、おはようございます。諦めましたので煮るなり焼くなりご自由にどーぞ」

 

「はあ、おはよう。君はもう少し悪びれるということができないのか?」

 

「私が悪ければちゃんと相応の態度取りますけど、今回は事故渋滞なので私悪くないので」

 

「話はそのことではないのだが…… まあいい昼明けに俺の執務室の方に頼む」

 

「……了解です。立浪紫香 1300に司令執務室にお邪魔します」

 

復唱確認は事故の起きない職場のために大事大事。

 

しかし、今の感じからして結構真面目な話かもね。この時期特にイベントは無いと思ってたけど何かあるのかな。まあ二年間もなにもないなんてあんまり考えれないか。今の段階で数ヶ月平和だったというでけで儲けものかも。

 

「そういえば今日の私の業務どうなってます?今週のスケジュール白紙だったんで、それもあってここに寄ったんですけど」

 

そうなのだ。私が司令にエンカウントする可能性を犯してまで司令室に来たのは私の今週の業務予定が決まっていなかったからだ。いつもなら何日何時から了子さん立ち会いの起動実験、データ測定とかツヴァイウィングとの模擬戦等とかざっくり決まってるはずなのに。

 

「それに関しては了子君が外回りなど出ずっぱりでな、それもあって今週はやってもらうことがない状態だ。その辺りの相談も含めて昼からの打ち合わせで相談する予定だ」

 

「了解です。では午前中は自主トレーニングでよろしいですか」

 

「ああ、問題ない」

 

「第三トレーニング室にいる予定ですので何かあればそちらまでお願いします」

 

そんなわけで今日の午前中は乙女のたしなみ筋トレになりそうだ。着替えて一服してトレーニング室に行こう。

 

さて今日も一日がんばりますか、と気合を入れるために喫煙所に入っていると二人分の缶コーヒーを持った慎次くんが入ってくる。

 

「おやおや、こんな所に来ていいの?匂いがつくと翼ちゃんと奏ちゃんに嫌われちゃうよ」

 

「ここぐらいしか、安心して話せる場所が無いですからね」

 

確かに二課で喫煙者は少ない、もしくは特定の部署に多く、本部内で日常的な喫煙所利用者は私ぐらいなものだ。

 

慎次くんから缶コーヒーを受け取りながら話し出すのを待っているとすごく言い出しそうな顔で話しだした。

 

「このようなことを言うのは間違っているのは分かっているのですが…… 必要なことだと思うので聞いて頂けますか?」

 

どうやら人避けをしていることも含めて結構深刻な話なのかも知れない。少し気持ちを引き締めよう。

 

「成人している紫香さんにこんな事言うのはおこがましいのですが……流石にお酒と煙草が多すぎます…!」

 

前言撤回。二課は今日も平和だったようだ

 

「職務上で知り得たことをこんなことに使うのはいけませんが、それ以上に食生活が酷すぎます!」

 

「あー酒!油!煙!って感じの私の食生活バレちゃった? 慎次くんストーカーはいけないぞー?」

 

「踏み入った事に関しては謝罪しますが、紫香さんの健康のためにですね……」

 

この後慎次くんの健康お説教を聞いて予定より十分ほど遅れてトレーニング室に到着した。

 

もちろん缶コーヒー代は払いましたよ?当然二人分。

 

 

さてはて、やっとお昼の時間だ。私は基本的にはここの食堂を利用している。職員は無料で使えて美味しいし量もしっかりと言うことなし。私は基本的に脂っこいものを好むけどここのメニューはそれも賄ってくれるからありがたい。まあ場所が場所だけに地上が昼休みの時間に外に行かれたら困るからってのも食堂の質が高い理由かもね。

 

「おばちゃーん、私特唐揚げ定食のトッピングで餃子でー!」

 

「あいよ!、相変わらず大食いだね!太らないのかい?」

 

「おばちゃん、今の御時世それ怒られるよー」

 

まあ、明らかに大柄の男性向けのメニューに追加するような私だ。どう考えてもネタになるよなー

 

「あいよ、できたよーおまけしといたからね!」

 

さー、きたきた。相変わらず自分で頼んだとはいえすごい量だ。これ未来の響ちゃんと立ち向かえるレベルなのかもね。基本私は仕事がない時はひたすらトレーニングしてるしこれだけ食べても太らないので安心して食べることができる。

 

どうせなら胸に肉が行ってくれてもいいのにな……

 

 

まあ、どうでもいいことは置いておいて今日はどこで食べようかな? あ、あそこに事務課の子たちがいるじゃない。今日はあそこのグループにお世話になろうかしら。

 

 

 

 

あーいやだいやだ、朝に約束した司令との打ち合わせの時間まで後数分。執務室の前で時間を潰しているけど入りたくない無いなー。お説教ならめんどくさいし、そうじゃないなら真面目な話ということで余計にめんどくさい。

 

そうやって部屋の前でギリギリまで粘ろうとウダウダしてると通路の向こうから司令がやってきてしまう。

 

「時間前だというのに流石だな」

 

「まあ、社会人ですので、五分前行動ですね……」

 

どうせなら五分後でいきたいレベルですけどね……

 

そんなこんなんで執務室に入り応接スペースで机を挟んで話を始める。

 

「話の内容だが、紫香君に奏くんと翼のメンタル面でのフォローをお願いしたいんだ。一ヶ月以内を目標にツヴァイウィングとしての活動を再開する予定だが、未だあの事故の影響があると思われる。二人共最早気にしていないように振る舞っているがまだまだあの年齢では割り切れていない部分も多いと思う。同じ経験をしている君に頼むのは申し訳ないが同性で同じ装者という条件でいうとどうしても君が一番適していると思うんだ」

 

どうやらお説教ではなく若い二人のフォロー依頼のようだ。相変わらず優しい人だ。恐らく私に頼むことすら苦渋の選択なのだろう。私のことなんて気にしなくてもいいのに。

 

「それでしたら、私も気になっていたので指示がなくてもやらせて頂きますよ。あんなきつい現場を見せられてるんです、何もないほうがおかしいですよ」

 

「すまない。俺たちはいつも君に頼ってばかりだな。申し訳ない」

 

「いや、そこは謝罪よりも感謝のほうがありがたいですね。残念ながら私は少女という年齢でもないので頼っていただければ」

 

「そうだな、いつも助かっている。ありがとう」

 

そうして具体的な話を軽く進めて、一段落したところで私が淹れたコーヒーを二人で飲んでいる。これぐらいの話であればいつでもOKだ。はてさて、この後もう一度トレーニングと言う気分でもないし聖遺物関係の資料でも読んで過ごそうかな。

 

「まあ、先程も言ったが君にはいつも助けられている。助けられているが遅刻は良くないよな?」

 

「あっ」

 

「君は大人なのだろう?あまり遅刻ばかりは頂けないな。その辺り拳で語り合おうじゃないか」

 

予定変更、明日は筋肉痛に悩まされそうだ…… そろそろ筋肉痛が二日後に来そうで怖い……

 

 

 

さて今日も一日お疲れさまでした。本当にお疲れさまでした……。 私車通勤なんだから足が震えるまでの模擬戦はやめて欲しい……

 

「まあいいわ、こんな日はいつもの揚げ物に一品加えてビールも豪華に。良いもん食べてさっさと寝ましょう」

 

ささやかなダメな大人の一人パーティーをしながら明日以降翼ちゃんと奏ちゃんにどう接していこうかを考える。引き受けた以上やらなきゃいけないし、司令にも言ったけど業務関係なくあの二人は私の可愛い妹分なのだ。ちゃんと見てあげないと。

 

そう、改めて気を引き締めると携帯に知らない番号から電話がかかってくる。こんな時間にかかってくるなんて何だろう。まあイタズラ電話ならガチャ切りすればいいしとりあえず出ますか。

 

「はい、もしもし」

 

名前なんてもちろん名乗らず気持ちキツめの声を出すと電話の向こうから聞こえてくるのは女の子の涙ぐんだ声だった。

 

「し、紫香さん……、助けてください……」

 

そこから聞こえて来たのはあの日ライブ会場で電話番号を教えた立花響ちゃんの助けを求めるものだった。

 

それを聞いて私は平穏が終わりを迎えた悲しみと、どうにかこの泣いている子供を助けたいという決意が両立し頭を回し始めていた……

 

 

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