とあるオタク女の受難(僕のヒーローアカデミア編)。 作:SUN'S
第1話
〇月∀日
昨晩、素肌を隠すように包帯を巻き付けた少女をゴミ捨て場の近くで拾った。
決して、誘拐してきた訳ではない。子供の好きな食べ物を検索したが、1位から100位までオムライスが陣取っていた。なんでだよ、チャーハンだって美味しいだろ。
そんなことを考えているとスプーンの持ち方がヘタクソだったため、後ろから指示するように身体を重ね、動かし方を教えてやる。
この少女は放置子ってヤツなのだろうか?警察に保護して貰った方が私は誘拐犯と思われたくないし、そこまで事情を知っている訳でもない。この子の親を名乗る人間を見付けたら引き渡そう。
うん、そうしよう。その前に食べ方を直させないと部屋が汚れるな。あと、そんな汚ない服は捨てよう。う~ん、私の使っていた古着だが、使えそうなヤツはあるだろうか?それよりも今時の女の子には婆臭くて嫌なのでは…。
あんまり、そんなことを考えるのはやめよう。
〇月-日
職場には休むことを伝えたし、子供服でも探しに行くとしようか?しかし、私は今時の女の子が着るような衣服には疎いのだ。
そういうわけだ、着たいと思った服や靴を私のところまで持ってくるんだ。
よしよし、それじゃあ、見てきなさい。
私は食器や補助付スプーンとか見てくる。
はてさてはて、クマとウサギだと彼女が喜びそうなとはどっちだろうか?
うむむ、間をくり貫いてペンギンという打開策もあるわけだが。そうなると女の子の好みじゃなかったとき、なんとも言えない空気になるな。
ん?ああ、服を選んできたのか。ふむ、もう少しだけ買う量を増やしても大丈夫だぞ?それと下着は持ってきたのか?やっぱり、忘れてたのか。仕方無いな、私のセンスだが選んでくる。
なに、少しばかり衣服を選ぶのは自信がある。
〇月%日
少女の名前を聞くことができた。漢字は分からないため、私は彼女のことを「エリ」と呼ぶようにしてる。しかし、彼女を拾ってから三日ほど経過しているのにニュースにも捜索願いすら出てきていない。
まあ、難しいことを考えていても仕方無いな。それより彼女の、エリの栄養失調だった肉体を治すことを優先しよう。彼女の親はマトモな食事すら与えていないのか。身体を洗っているとき、スポンジ越しに触れたところは骨と皮だけだった。
ん?エリ、そろそろ眠らないと起きられなくなるぞ。いや、私は書類整理を終えてから眠るよ。はあ、書類整理は朝でも出来る。
今日は、さっさと寝ようか。
なに、心配することはない。私は書類整理の達人だからな。書類整理などヴィランをボコるより簡単な作業だよ。