とあるオタク女の受難(僕のヒーローアカデミア編)。 作:SUN'S
♡月㊤日
エリの父親である治崎廻さんは死穢八斎會という激減している侠客の威厳を取り戻すため、頑張っているらしい。
エリは母親が蒸発する時、金目当てに連れ出してしまったことを聞かされた。
母親を見付けた時には「あんなの破棄てた」と自慢するように話してきたこと。そのため、エリは父親である治崎さんも警戒しているとのことだ。……なんと言えば良いのか、エリには親の愛情的なモノは必要だと思う。
治崎さんは母親のことを恨んでいるような口調で話しているが、エリを見る目は大切な娘を見守る親の目だということが他人である私でも理解った。
エリを治崎さんに元へ帰そうかと考えたけど。治崎さんは「エリの精神的ケアを行えるのはアンタだけだ。今後ともエリを頼む」と言ってくれた。
その提案はヒーローとしてじゃない。
ひとりの女として引き受ける。
まあ、エリの父親として会いに来ることを条件として申し立てるけどね。
♡月㊥日
治崎さんは人に触るだけで蕁麻疹を起こすらしい。
そのため、完全コーティングを行った食品用ゴム手袋を嵌めながら食事を作っている。
まだ、エリは治崎さんのことを警戒しているようだけど。少しずつ距離を縮めていけば良いだけのことだ。
相澤と前田のお弁当箱を渡すために訪問してきた時は部屋の温度が下がったような気がしたが、気のせいだったらしい。
しかし、なんで相澤達は怒っていたんだ?
あとは爆豪君や切島君は元気そうだったな。それに、もう少しすれば「USJ」を利用する。手頃な料理でも持っていってやるべきだろうか?
ん?ああ、治崎さんはエリと遊んでいて下さい。料理の方殺菌や滅菌しているので問題ないですよ。
最近、なにやら主婦のようなことを行っているような気がしてきたんだが…。後輩のミッドナイトは主婦力の高さに引いていたな。
せめて、女子力と言ってほしいな。
♡月㊦日
エリ達と遊園地に行ってきた。
最近のジェットコースターは速度が凄まじいな。あと少しでエリの被っていた帽子が吹き飛ばされるところだった。
まあ、それよりジェットコースターで治崎さんがダウンするとは思わなかった。他人の座っていたモノや触れていたモノに包まれた所為だな。
あまり公然の場では使いたくないんだが、活性の個性を利用した免疫力の活性化を行わせて貰いました。
たぶん、数日ほど他人の触ったモノに触れても蕁麻疹を出すことは無いと思いますよ?
ん?ああ、免疫力は子供の頃から成長させる方が良いんですけど。私の個性を使うと必要以上に免疫力が付いてしまう時があるんですよ。
まあ、人助けは慈善事業ですからね。称賛や喝采なんて欲しくないです。私がヒーローを止めない理由ですか?
たぶん、私は
こういうの、なんて言えば良いんですかね、決して叶うことのない恋に焦がれたからですかね。
彼は理想を抱いて、救えると願っていたんです。
それでも彼は救える命のために救えない命を切り捨てるしかなかった。多数派を助けるため、少数派を切り捨てる。
偽善と蔑まれようと理想を成すためにーーー。