とあるオタク女の受難(僕のヒーローアカデミア編)。 作:SUN'S
「どうした、オールマイト。笑顔を忘れているぞ」
今の私はオール・フォー・ワンの言葉を聞き流せる精神ではない。心を蝕むように師匠との記憶が溢れるように出てくる。私は、私が、貴女から受け継いだ
カチリ、時計の針が進むような音が聴こえてきた。ゆっくりとうつ向くように腰部を見る。数ヵ月ほど前、パワーローダー経由でスピキュールより渡されたネオタイフーンだ。ふと、彼女の言伝てを思い出した。ピンチな時ほどヒーローは強くなり、大切なモノを守るために心火を燃やす。
「オール・フォー・ワン、私は絶望したりしない。何故ならばヒーローは何時だって笑顔で居なきゃならないんでね!!」
「やはり、君とは合わない。今持ちうる最高の個性を寄り合わせ、君を殺そう」
私は右腕を左斜め上へ突き上げ、左腕を折り曲げながら腰元に握り拳を留める。
「変身!!」
ゆっくりと腕を右側へ動かしていき、左腕を突き上げながら構えを反転させる。竜巻のような突風が起こり、傷だらけの身体を覆うように、マッスルフォーム並みにガッチリとした装甲を纏う。
私と言えば筋肉ということか?そんなことを思いながらワン・フォー・オールを発動している時とは違って肉体への負担を軽減することが出来るが、出し惜しんでいてオール・フォー・ワンに勝つことが出来るか?
「仮面ライダーとは懐かしい。差詰、僕はショッカー大総統というところか」
オール・フォー・ワンの言葉は分からないが私のことを「仮面ライダー」と呼び、更には装甲のことを懐かしいと言っている。
スピキュール、君は何者なんだ。
「まあいいさ、君の燃えカスのような残り火だけじゃあ僕には勝てない」
「いいや、私が勝つ」
オール・フォー・ワンの右腕は惨たらしく醜く肥大化していき、もはや人間のモノとは思えないほどグロテスクなモノへと変貌していた。勝つ、ここで死のうとも緑谷少年の行く末を見れずとも、私は貴様を倒す。
「ゼエェアァアァァッ!!!」
私の振るう右拳とオール・フォー・ワンの複合個性の怪腕が衝突する度に倒壊しているビルの残骸が吹き飛んでいる。頼む、ワン・フォー・オール。私の役目を全うするまで、もう少しだけ灯っていてくれ。
「オールマイトォッ!!!」
「ぐっ、オォオオオオォッ!!!」
オール・フォー・ワンの怪腕を打ち払うように左右の拳を叩きつけ、ヤツを追い詰めるように前進していく。
「なぜだ、君を殺すために奪い取り寄り合わせた個性だというのに、なぜ勝てないんだ!!」
そんなモノ、決まっているだろう。
「覚えておけ、オール・フォー・ワン。ヒーローってヤツは守るモノが多いほど強くなる!!」
「君はバカなのか?そんな不必要なモノを守って強くなるなど有り得ない!!」
「だからこそだよ。人間って生き物は不必要なモノほど大切に思う。私が来るのは、お前が、ヴィラン共が不必要だというモノを守るためだ!!」
ワン・フォー・オール、今こそ使うぞ。オール・フォー・ワンに全身から残り火と言われたワン・フォー・オールを掻き集めるように右拳に蓄えていき、激昂ゆえに判断力を低下させたオール・フォー・ワンに向けて放つ。
「
さらばだ、ワン・フォー・オール。