とあるオタク女の受難(僕のヒーローアカデミア編)。   作:SUN'S

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第37話

∋月√日

 

今朝、いきなりオールマイトから緑谷君の強化訓練を行って欲しいと頼まれた。食卓を囲んでいる死穢八斎會の面々に顔を向けると「行っていい」というジェスチャーを返してくれたため、オールマイトの頼みを承諾することができた。

 

一応、エリは連れていくけど。

 

緑谷君の個性「超怪力」を引き伸ばすトレーニングを考えないとダメだよね。なにかヒントを得られるモノはないかな?そんなことを考えつつ、私的趣味の本棚を漁っていると「範馬刃牙」を見付けた。

 

私の知っている漫画やアニメの中では超常的な人物の登場する他の追随を赦さない作品だと思っているが、緑谷君へのトレーニング内容を決めるには打ってつけかもしれないな。

 

考え付いたトレーニング内容に思わずクスリと笑みが溢れてしまう。ああ、早く試したいな。どんな表情を浮かべながら食らい付いてくるのかな?

 

おっと、私はヒーローだった。

 

趣味の範囲を越えるのはダメだぞ。

 

∋月%日

 

緑谷君、いい調子だ。

 

そのままどろどろに溶けるイメージを続けるんだ。なに、心配する必要なんてない。しっかりとイメージすれば見ることは出来るはずだ。

 

君の個性「超怪力」は白味噌として、肉体を沸騰している鍋の中とする。それを適量で溶かし混ぜる感覚を覚えればいい。もしかして、主婦みたいな説明だと分かりにくいかな?

 

ん?おお、なんとなく分かってくれたんだね。それは良かったんだけど。その感覚を忘れないうちに百人抜きを行おうと思います。

 

心配しなくても大丈夫だよ、相手はナノマシンでコーティングされた人形だからね。もちろん、強さはオールマイトの要望通りになった「戦闘特化型」だから安心しなさい。

 

ははっ、何処へ行こうというのかね?

 

しっかりと鍛えるよ、君のことは立派な地下格闘技場の王者として育て上げるつもりだ。

 

∋月Ζ日

 

自分を限界まで追い込めんでいけ、感覚と肉体の0.5秒という時差を抹消するんだ。そう、そのまま身体を捻るように蹴りを放てば全体重を乗せた一撃必蹴となる。

 

ん?おお、常人のモノとは比べ物にならないほど凄まじい風圧だな。どことなくオールマイトの拳圧に似ているような気がするが、緑谷君の蹴圧はオールマイトとは違っている。

 

強烈な一撃なのは変わらないが、緑谷君の場合はタイミングやパワーバランスが悪すぎる。相手の急所を狙うことだって大切なことであり、使えるモノは小石でも空き缶でも折れた歯だろうと使うんだ。

 

それこそ一般人の持っているカバンやネックレスだって使おうと思えば武器となり防具となる。君には相手の動きを予測する動体視力と膨大な知識だってあるじゃないか。

 

なにより自分の個性を使いこなせないことは大人でも聞く話だ。そこまで怯える必要はない。それに緑谷君はオールマイトのお墨付きなんだろ?

 

そこまで怖がることはない。

 

胸を張って前を向けばいい。

 

 


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