とあるオタク女の受難(僕のヒーローアカデミア編)。   作:SUN'S

38 / 42
第38話

ヮ月‡日

 

緑谷君、これそこ我が家の地下施設「究極肉体改造室」だ。この箱詰め部屋(スクウェア・ボックス)には物資等は持ち込み厳禁であり、肉体と精神の解離する瞬間を味わうには打ってつけだよ。

 

まあ、議論するより実物を見せた方がいいよね?私と君の目の前にはなにが立っているのか、ソレを視覚化することが第一段階と言える。

 

形状(すがた)造形(つく)り―――。

 

強度(つよさ)測定(はか)り―――。

 

本能(おのれ)強制(しい)る―――。

 

架空の人物と闘争(たたか)おうとする人間なんて数えようとするだけ無駄な行為であるが、その殆んどが限界まで架空の人物と闘争いを再現することをない。

 

ほら、見えてきたでしょう?

 

君の尊敬する偉大な英雄の御登場だ。

 

しっかりと見ておきなさい。

 

ヮ月,日

 

緑谷君、ずいぶんと張り切ってるみたいだけど。あの調子だと夜まで持たないかな?

 

具現化した架空の人物の攻撃を受けた衝撃すら再現してこそリアルシャドーは完全なモノへと至り、そのイメージから蓄積させた行動パターンを現実の人物と重ね合わせる。

 

あのまま自分の技を叩き込める相手に無我夢中って感じだと「虚」と「実」は重ならない。しっかりと現実を思い浮かべなさい。幼馴染みの技を受け、友達の技を受け、戦ってきた強敵の技を受けることができる。

 

まさしく至れり尽くせりだ。

 

過去の英雄を造形り、自身を追い込まないと君の望んでいる「最高のヒーロー」に辿り着くことは出来ない。ほら、君の渇望んだ英雄の攻撃を受けてみなさい。その攻撃は現実より弱ければ自分を限界まで追い込めていない証拠だからさ。

 

ヒーローだって人間なんだ。

 

それこそ恐怖を克服しようと頑張っている人もいる。その人へ自分の思い描いた理想を押し付け、偶像として信仰することは傲慢な行為だと思うよね。

 

ヮ月^日

 

あらあら、まあまあ、箱詰め部屋を浸水させるほど汗をかくとは思わなかったわ。脱水症状って訳じゃあなさそうだけど。今日の訓練はエンドルフィンを自覚して使用することを目標としましょうか。

 

私の場合は学生時代から「瞬き」で発動するように訓練してきたけど。相澤の個性と相性良かったせいか、そのまま使われてるんだよね。

 

ん?まあ、緑谷君なら「笑顔」を発動条件として鍛えれば良いんじゃないかな?なにより緑谷君はオールマイトを尊敬してるんでしょう?

 

それならオールマイトを見倣えばいい。

 

いつだってヒーローって奴等は笑顔じゃないとね。相澤なんてメディア出演を嫌いつつ、マイナーファンを大切にしてるからね。この前のテレビ出演を切っ掛けに女性ファンが急上昇中らしいからね。

 

ん?おお、そろそろエリや治崎さん達のご飯を作らないとダメなんだ。

 

あ、緑谷君も食べていく?

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。