とあるオタク女の受難(僕のヒーローアカデミア編)。 作:SUN'S
雄英高校付近―――。
住宅街とは言えないほど空き家の多い町並みに困惑しながら歩き続けていると活性女と白チビが公園の真ん中に突っ立ってるのが見えた。
「バクホー君、遅いぞ」
「爆豪だっつてんだろがァ!!」
「それでは二つ目の技を伝授してやろう」
「無視かよ!?」
活性女と言葉を交わすだけでイライラしやがる。落ち着け、今はコイツから取れるモンを取り尽くす。取り尽くしてからブッ殺す。
イチイチ、コイツのアホみてえな言動に悩んで考えんのは疲れる。
はあ、デクみてえなオタク知識とか必要ねえってのに知識は強さを支えるパーツだとか面倒くせえことばっか言いやがる。
なんだ、デクとおんなじクソナードか?
「次の技は天魔空刃脚。飛び上がり、空を蹴って相手を蹴る。分かりやすくて簡単な技だな」
「アホかあァ!?個性使わねえで空なんぞ蹴れる訳ねえだろ!!俺でも分かるわ!!」
「いや、オールマイトだって空を蹴って跳ぶだろ?それと同じではないか」
「知るかァ!!第一、ナンバーワンヒーローと前まで中学生だったガキで比べんなあ!!」
どうやんだよ、空なんぞ蹴ったことねえぞ。ジャンプすりゃあ良いのか?
クソ、マジで訳分かんねえ。
白チビとボール遊びしてる活性女を睨むと、白チビがボールを拾い上げようとした瞬間だけ睨み返してきやがった。どんだけ視野広いんだよ。
「仕方無いな、手本を見せてやろう」
活性女は手本を見せると言いながら飛び上がり、空を蹴り潰して落ちてきた。
いや、今のは蹴るじゃなかった。
明らかに空気を踏み台にしてやがった。空気を踏む、蹴るんじゃなくて踏んでんのか?
イメージするのも難しいとか意味分かんねえし、どう考えても空気を踏むとか無理だろ。
個性使わねえで高く飛び上がることは出来るが、空気を踏み台にすんのは無理だな。
「バクオー君、難しいなら個性使っても良いぞ。君には早かったようだ」
「は?出来るに決まってんだろ、このボケえぇ!!俺様に不可能は存在しねええぇ!!」
無理?出来ねえ?そんなモンで止まる程度でヒーローになれる訳ねえだろうが!!
小難しいことを考えんな、飛び上がって空気を踏み潰す!!これだけ考えろ!!活性女に出来ることが俺様に出来ねえ訳がねえ!!
「飛んで空気をブッ潰す!!」
今の感触、足の裏に硬い壁みてえなヤツが出来た?それだけじゃねえ、さっきの場所から少しだけ身体が前に動いてやがる。
「エリ、努力とは才能を凌駕する。まあ、彼は才能がある上に努力している訳だが…」
「…さいのう…どりょく…」
「バクホー君、君の個性と相性は良いだろ?空気を蹴れば加速する。攻撃を放つ寸前に自分の後方を爆破すれば蹴りの威力も上がる。素敵な技だろ?」
癪に障るなセリフばっか吐きやがる。
綺麗事並べれば上に立てると思ってんじゃねえよ。
活性女、お前の技術を根こそぎ奪ってからブッ潰してやる。覚悟しとけ、俺はテメーを踏み台にしてオールマイトを越えるヒーローになってやる。