とあるオタク女の受難(僕のヒーローアカデミア編)。   作:SUN'S

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第8話(死柄木弔)

先生以外のヤツと長い時間、触ったり触られたりするのは初めてだった。

 

たしかスピキュールだったか?ヘンテコなライオンの被り物を被ってたし、顔出しNGとか言うヤツなんだろう。

 

「なあ、黒霧……」

 

「なんですか?死柄木」

 

「タコさんウィンナーって美味いんだな」

 

「は?」

 

スピキュール、アイツは東京都西区を拠点としている活性ヒーロー。あれは個人的な趣味なのか、コスプレしてヴィランと戦うことが多い。

 

この前はウサミミ仮面とか言うピンク色のウサギのような衣装を纏っていた、という目撃情報がネット上にあがっている。

 

最近では子供を連れて歩いている光景が目撃されており、一児の母として世間に驚かれている。

 

あの白いチビ、アイツの子供だったのか。

 

「…少し…出掛けてくる…」

 

「えっ、ああ、はい、気を付けて?」

 

アイツは先生以外で俺が触っても壊れなかった。子供まで連れて、クソみたいな慈善事業するヒーローなんて止めれば良いんだ。

 

ああ、楽しいゲーム感覚だったのに…ヒーロー社会を壊す目的が増えた。

 

スピキュール、ヒーローなんて止めればいい。

 

ヒーローなんて弱者を無視するような嘘被り(ヴィラン)だ。偽善を振りかざすだけ、そのあと、壊れた街や死んだ人間なんて忘れていくんだろ?

 

「ん?おお、トムラ君じゃないか」

 

「…ども…」

 

「ふっふっふっ、今回は自信作のだし巻き玉子だ。今日こそ美味いと言わせてやるから覚悟することだな!」

 

「…まあ…期待してる……」

 

気付けばスピキュールの家で過ごすことが増えてきた。白いチビは壊さないように触ってる。まあ、壊すために必要な五指を押し付けてないからな。

 

先生はヒーローと会っていることは知ってるのに、止めようとしないのは何故なんだ?もしかして、スピキュールを利用しようと考えているのか?

 

「さあ、食べてみよ」

 

「…ん…今日も薄味で…不味い…」

 

「やはり、醤油の量を増やすべきだったか…」

 

「なあ、エリは寝てるのか?」

 

自分から白いチビのことを聞くのは初めてだな。そんなことを考えていると「ああ、エリは庭にある花に水をあげてるよ」と答えてくれた。庭の花、この前は花壇なんて無かったような…。

 

この時期にゴーヤなんて育つのか?ボーッと庭の半分を侵食しているゴーヤの壁を見ていると視界の端に白いチビが映り込んできた。

 

「と、とむら、くん、その、これ、あげます!」

 

他のゴーヤより迫力のあるヤツを突き出してきた。まさか、これを食べろってのか?

 

「…はあ……帰ったら食うよ…」

 

「う、うん、ぜったいだよ?」

 

「……おお…約束だ……」

 

おれ、なんで子守りなんてやってんだ?

 

 

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