魔法少女で魔女の救済戦線 作:キューラ
─スッ──
「ウグッ…」
丑三つ時─古来より鬼や死者が現れると言われる魔の時間。闇に包まれた神社の境内に刃物の音が響いた。そこに居るは境内の階段に座り込む少年が一人。
──手首から大量の血を流し、片方の手に血がついた刃渡り10cm程の果物ナイフが握られている。
「…アハハ…真っ紅だ…」
自ら切り裂いた手首から絶えず流れる紅い血に薄れる意識の中、視線を向けてそう呟いた。
この少年の名は明石夕凪(あかし ゆうな)、今年中学二年生に上がったばかりだった。
ある夏祭りの日の夜、共に祭りに来ていた密かに想っていた幼馴染みを探して境内の裏に行った時、偶然にも目にしてしまったのだ───幼馴染みと親友がキスをする瞬間を。自分の幼馴染みへの想いが音を出して崩れていくのがわかった。そこで夕凪はそっとその場から立ち去り家に走った。
「…裏切り者」
その日の夜中、幼馴染みからメールが来ていた。内容は“なぜ私を置いていったのか”だった。それから夕凪は部屋に置いてあった果物ナイフを持ち、近所の神社に向かった。そこに着くと自分の手首を果物ナイフでかっ切ったのだ。そこで自分の携帯が鳴る。開いてみると幼馴染みからだった。血にまみれた手で携帯をつかみ通話ボタンを押す。
『ちょっと夕凪!何であそこに置いて行ったの?』
「あはは…それは…ごめんね」
最後に聞く声が自殺に踏み切らせた幼馴染みだとは何と皮肉な事か。
『…夕凪?大丈夫?声が掠れてるよ?』
「…ねぇ、千尋…」
『な、何よ!』
「…僕はさ、君が…好き、だったよ」
声を掠れさせながら昔からの想いを伝えた。
『ゆ、夕凪?何よそれ…コキュウガアライ!…今何処にいるのよ!?』
どうやら僕の状態が伝わったのか場所を聞いてきた。
「…昔、さ…いっ、しょに…遊んだ…神社さ…」
『あ、あの神社ね!待ってなさい!!今から…』
「も、う…無、理…だよ…」
『何で!!』
「…意識が…さ…無くなって…きてる、んだ…」
実はもう夕凪の意識が消えかかっていた。
『何でよ…何で!!』
微かに涙声が聞こえてきた。
「…自分の…意思、だよ…千尋…さよ…な…ら…」
『夕凪?夕凪!?ゆうな!?』
夕凪は別れを告げると遂に意識が途切れ、夕凪の手から滑り落ちた携帯からは千尋の夕凪を呼ぶ悲痛な声が響いていた。
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「うぅ…夕凪、何で!なんでぇ…!」
夕凪の電話から神社に急いだ千尋の目に入ったのは神社の境内に倒れ込み、血まみれで倒れている幼馴染みである夕凪の亡骸であった。