とある侍の漂白剤   作:カツヲ武士

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テーレッテー♪
ネタ回です。(いつものこと?)

オリ設定、オリ展開。
嫌いな人は読み飛ばし。


10話。お前のような三席が居てたまるか

「八番隊第三席副隊長補佐、円乗寺辰房である」

 

「お、俺じゃねぇ。私は、真央霊術院六回生檜佐木です!」

「同じく蟹沢です!」

「同じく青鹿です!」

 

「うむ。今日はよしなに頼む」

 

「「「はいっ!」」」

 

伊勢と砕蜂を鍛えること20年。

今では砕蜂が卍解を習得し、予てより目標と

していた二番隊の隊長となった。

そして彼女と競っていた伊勢も副隊長として

ふさわしい実力を得たと判断した俺は、

以前から予定していたように伊勢に

副隊長の座を譲り、その席次を三席とした。

 

これは、傍から見れば後進に抜かれた未熟者に対する降格人事になるのだろうが、本質は違う。

 

俺は浦原喜助と四楓院夜一を探し出し、

その首を斬る為に三席になったのだ。

 

何が言いたいかわからない?

 

いや、普通に考えて、もし俺が副隊長のまま

地上に出れば隊の業務に差支えが出るだろう?

 

更に言えば、副隊長以上の死神が現世に赴く

際は、その身に自身の力を抑える限定霊印を

刻むと言う制度が有る。

 

だからこそ俺は副隊長ではなく三席になったという事だ。

 

何せ俺の目的は浦原たちの発見ではなく、殺害だからな。

 

その上で、もしも俺が現世で浦原たちを発見して

戦闘になった場合、自分の力を五分の一まで落とす

限定霊印を刻んでいる状態で、

隊長格8人(副鬼道長含む)を一蹴した連中を

相手に後手に回ることになるんだぞ?

 

しかも当然向こうは限定霊印の存在を知って

いるのだから、追っ手が来たら霊印を解除する前に叩こうとするはずだ。

 

つまり、戦いは短期決戦になる可能性が

非常に高い。そうなったら、俺は間違いなく負けるだろう。

 

そのため、制度の抜け穴として、霊印を

強制されない三席となる必要があったわけだ。

 

一応、他の霊的な存在に悪影響を与えない

だけのコントロールも出来ると言うことを

証明する必要もあったが、それらの問題を

クリアしたことで、今回の現世行きに於いてのみ

例外的に霊印を刻まないことを認められたという事情があるけどな。

 

しかし・・・そもそもの話だが、総隊長も

四十六室も何故今まで浦原喜助を野放しにしていたのかがさっぱりわからん。

 

四楓院夜一はまだわかる。四楓院家が何かしらの干渉をしたのだろう。

 

しかし浦原喜助は何故だ?その研究も然る

事ながら、隊長が現世に逃げたのだぞ?

当然限定霊印など刻まずにな。

 

何の制約もない浦原喜助によって現世の

霊的な存在にどれだけの影響を与えることになるのか考えないのか?

 

逃亡者である浦原喜助が死神の法を守る

可能性は限りなく低いだろうことを考えれば、

なんとしても捕縛して牢獄に繋ぐべきではないのか?

 

そんな想いを四十六室にぶちまけたところ、

向こうも浦原には思うところがあったらしく、

色々な制限付きではあるが、限定霊印を

刻まないままでの調査の許可が下りた。

 

そして現世に渡るタイミングを計っていたら、

丁度学院の生徒による実習が行われることを知り、特別講師として便乗したと言うわけだ。

 

・・・向こうが実習生に手を出さんとも限らんし、まぁ護衛を兼ねて、な。

 

そんなこんなで現世に来たのだが、所詮は学生と言うかなんと言うか。

 

「み、みょーん!」

 

霊の鳴き声が聞こえる。

・・・きっと彼女は二刀流が得意な剣士になるに違いない。

うむ。どこぞの庭には要注意だな。

 

俺がそんなアホなことを考えていても、

時間は進むし実習は進んでいく。

 

「ほらそこ!ちゃんと殺らねえから魂魄が痛がってるんだ、しっかりやれ!」

 

「は、はい!」

 

檜佐木六回生が後輩に指導をするのは良い。

後輩も初めての魂葬なら拙いのも当然だ。

 

しかし・・・

 

「なぁ蟹沢六回生?」

 

「はいっ!」

 

俺は実習生に指導をしながらも俺から

アトバイスを貰える位置をキープして居た

(ついでにチラチラとこっちを見ていた)

蟹沢六回生を呼びつけると、さっきから疑問に

思っていたことを確認することにした。

 

「今の学院は、六回生に巨大虚の相手をさせるのか?」

 

もしそうならいくらなんでもスパルタ過ぎ

だと思うのだが、危機感を煽ると言う意味

では間違いではない。

 

下手な隊士よりもよっぽど実戦的だなぁ。

と、学院の方針を決定した担当を褒めようと思ったのだが・・・

 

「え?いや、流石にそんなの無理ですよ!」

 

どうやらそれは俺の勘違いらしい。

 

となると、問題は俺らの周囲に展開している

巨大虚の群れは何か?と言う話になる。

 

(まさか初っぱなから当たりか?)

 

いきなり向こうから接触してきたか?

と思った俺は、とりあえず足手まとい達に

指示を出すことにした。

 

「緊急事態発生。これより諸君の指揮はこの私

八番隊第三席、円乗寺辰房が執る。

実習生たちは三人一組で防御結界を張るように。

六回生の三人は、その結界の完成度を確認して採点を行え」

 

「え?あの、それはどういう?」

 

「緊急事態だと言った。命令を復唱し、

実行しろ。それとも、学院の六回生は

緊急時であっても三席の命令には従えぬと?」

 

グダグダ抜かして足を引っ張るなら、命令不服従の現行犯で物理的に地獄を見せるぞ?

 

「し、失礼しました!これより実習生は

三人一組で防御結界を張ります!

そして私たち六回生は、その結界の

仕上がりを確認して採点を行います!」

 

「うむ。急げ」

 

「「「はっ!」」」

 

突然の指示に実習生たちや蟹沢六回生が

何やら質問をしようとしてくるが、強権を使い黙らせる。

 

今のところ相手の射程外なのか、向こうに

も何か都合が有るのかわからんが、

潜んでいる連中からは仕掛けてくる様子がない。

 

そのため多少の余裕が出来た俺は、

今も怪訝そうな顔をしている連中に

状況を教えてやることにした。

 

「青鹿六回生」

 

「はっ!」

 

「今の状況を理解しているか?」

 

「じょ、状況でありますか?」

 

「何のことか分かっていない、か。では檜佐木六回生、蟹沢六回生はどうか?」

 

「も、申し訳ございません!」

「私もです!」

 

ふむ、駄目か。

 

学生だから未熟なのは当然なのだが、

こんな未熟者を地上に送り出し、更には

実習生を引率させるとは、学院の教師は

一体何を考えている?

 

箝口令が有る為、細やかな罪状は知らない

にせよ、浦原喜助らが地上に潜んでいる

ことくらいは知っているだろうに・・・

 

帰還したら真っ先に学院の教師どもの頭を

叩き潰してやる!

そう思いながらも、俺は実習生たちに現状を

端的に伝えてやることにした。

 

「今、我々は巨大虚の群れに囲まれている。

私が居なければ間違いなく全滅していたな」

 

それも数百の群れか。自然発生ではありえん。

つまりは罠よな。

 

「「「はぁ?!」」」

 

三人の六回生は今さらになって斬魄刀を抜き

周囲を警戒しだすも、隠れている敵を発見

することは出来ないようだ。

 

さて、これは誰を狙った罠なのか。

学生を相手にするには大掛かりすぎる。

 

さりとて俺を狙ってこの数を差し向けてきた

可能性は・・・無いだろうな。

浦原たちは俺の力を知らんし、もしも

知っていたならこの程度の雑魚は送ってこないはず。

 

と、なると狙いはやはり学生になる。

この場合連中は、学院の生徒を殺すことで

瀞霊廷の連中の顔に泥を塗る為だけに

仕掛けてきたと言う可能性になる、か。

 

この腐れ外道共がっ!

 

「あ、あの、円乗寺三席、ほ、本当に我々は巨大虚に囲まれているのですか?」

 

内心で憤りを覚えていると、いくら探しても

巨大虚を見つけられない青鹿六回生が俺に

そんな確認をして来た。

 

その様子からは、緊張感と油断が垣間見える。

あぁ、緊急時の避難訓練か何かと思ったか?

 

残念だが事実だ。

 

「良い機会だ青鹿六回生。君たちに霊圧を

隠蔽している相手の察知方法を教えてやろう」

 

俺は教師では無いんだがな。

 

そう思いながらも、後輩である彼らに

死んで欲しいわけでもないので、

最低限の教育を行うことにした。

 

「基本的な話だがな。どれだけ本体の霊圧を

隠蔽しようとも、周囲の霊子は誤魔化せん。

故に不自然な流れを辿れば隠れている相手の

位置もわかる。たとえば・・・あそこだな」

 

「えっと、あそこ?ですか」

「・・・あっ!」

「本当だ、霊子の流れがおかしい!」

 

そう言って空中の一点を指差してやれば、

他の連中も気付いたのか、実習生の中

からも具体的な違和感を指摘する声が上がる。

 

うむうむ。中々優秀な奴が居るようで何より。

 

完全に霊圧を隠蔽出来ることの弊害だな。

そこだけ妙な空白地帯が出来るんだよ。

 

だから、それなりに霊圧を察知することが

出来るなら、そこに何かが居ると言うのは

簡単にわかるわけだ。

 

隠すな。誤魔化せってな。

 

「わかるか?あの大きさを見れば、隠れている

相手は間違いなく巨大虚だとわかるだろう?」

 

「た、確かにそうです!失礼致しました!」

 

「謝罪は受け入れよう。しかし戦闘中に敵から注意を逸らすな」

 

「は、はいっ!」

 

俺の言葉の正しさを理解した青鹿六回生が、

俺を疑ったことを謝罪し頭を下げてくるが、

ここはすでに戦場だ。

 

敵から目を逸らすべきではない。

 

そう教えてやれば、周りの連中も

気を引き締めたようで、防御結界の出力を高め始める。

 

うむ。これで他人事だと考えるようなら

普通に死ぬからな。

最低限の教えは出来たと思うとしよう。

 

「では、次。戦場に於いて『自分が見つかっていない』と勘違いしている阿呆がどうなるかを教えよう」

 

間抜けが生き残れるほど甘い世界ではない。その教材となれ。

 

 

~~~

 

 

『発射』

 

辰房が一言発すると、虚空を指差していた

彼の手から巨大な光線が出現し、

虚が潜んでいたと思わしき空間を貫く。

すると・・・

 

「ぐ、ぐぎゃぁぁぁぁ!」

 

その場所から体に大きな穴を開けられた

巨大虚が現れ、光となって消えていった。

 

檜佐木も青鹿も蟹沢も、当然実習生たちも。

自分達が見たこともない威力を誇る鬼道を使い、

あっさりと巨大虚を消滅させた辰房を

呆然とした目で見ていた中、一人の生徒が声を上げる。

 

「え?まさか今のは?!」

 

「「知っているのか雛森!?」」

 

「た、多分だけど、今のは破道の八十八。飛竜撃賊振天雷砲・・・だと思う」

 

「「は、破道の八十八?!」」

 

「多分だけど・・・でも他に掌からあんな

威力が高い光線が出るような破道は無い

はずだし・・・

でもでも、八十番台の詠唱破棄だなんて

普通は不可能だよね?それも三席でしょ?」

 

実習生でありながら鬼道の才に定評がある

雛森も、流石に本物を見たことが無いので

自信無さげに俯きながら考察を続ける。

 

そんな彼女に対して、この場で唯一答えを知る存在が言葉を掛けた。

 

「ふむ。八十番台の鬼道など見たことも

ないであろう実習生が、よくぞその解に

辿り着いたものだな。その研鑽は見事である」

 

「そ、それではやはり!」

 

術者である辰房からの言葉を受けて、

雛森はバッと音が出るくらいの勢いで

顔を上げるも、残念ながら雛森の予想は外れていた。

 

「しかし残念だったな。今のは飛竜撃賊震天雷砲ではない・・・白雷だ」

 

「「「?!」」」

 

「そ、そんなまさか!」

 

先程の桁外れの鬼道が、破道の四番に当り

基礎中の基礎とも言える白雷であることを

告げられた面々は、内心で「ありえん!」と

叫ぶも、とうの辰房はどこ吹く風と言わん

ばかりに周囲を睥睨しながら、こう告げる。

 

「同じ鬼道と言えども使う者の霊力の

絶対量でその威力は大きく異なる。

故にある一定以上の実力があれば、白雷が

一番てっとり早く虚を殺せるのだよ。

なにせ雷速だしな」

 

「いや、え?」

「それはそうですが」

「いくらなんでも」

 

さらりと告げられた辰房的常識に混乱する

生徒達を放置し、何故かテンションが

上がっている辰房は、未だに隠れて隙を

窺っている阿呆どもに追撃を加えようとしていた。

 

「そして、私が使う飛竜撃賊震天雷砲は

他の者が使うモノとはまるで違う」

 

そう言って右手の掌の上に一つの立方体を作り出す。

 

「え?掌の上に四角い・・・鬼道?」

 

傍から見れば何の方向性も無く、ただ

そこに在るだけの立方体だが、鬼道の

適正が高い雛森だけはそれが鬼道だと気付くことができた。

 

「よく見たな実習生よ。これが私の『飛竜撃賊震天雷砲』だ」

 

辰房が術の名を告げた瞬間、立方体から

爆発的な霊圧が解き放たれ、潜んでいた

虚たちの隠蔽が強制的に解除される。

 

「「「ギ、ギャーーーー」」」

 

「ほ、虚!」

「こんなに?!」

「くそっ!」

 

「落ち着け!全員結界を強化しろ!」

 

「「「え?」」」

 

「わからねぇか!巻き込まれるぞっ!」

 

「「「あっ!」」」

 

虚の出現に慌てる実習生たちに対し、

檜佐木は今危険なのは虚では無く、

辰房が放つ鬼道で有ることを叫ぶ。

 

それと同時に虚たちも「その術を発動させてなるものか!」と辰房に襲いかかる!

 

しかしその時、辰房が常と変わらぬ

ような表情で左手も前に出す動作をした。

 

その挙動を見た周囲の者たちが

『まさか?!』と思っていると

、周囲の予想に反することなく、

辰房の左手にも同じような立方体が

出来上がってしまう。

 

「「「・・・・・・」」」

 

想定外の事態と周囲を圧する霊圧に、

虚たちすら動きを止める中、

術者で有る辰房は、眈々と術を展開する準備を行う。

 

「この技の想像を絶する威力と、優美なる姿を見て、俺はこう名付けた」

 

両手に溜め込まれた莫大な霊圧がその場を

支配する中、辰房にしては珍しく己の技名

や、その来歴を口にした。そして・・・

 

「受けろ虚よ。破道の八十八・改『多重震動式(マルチプルパルス)天雷砲』!」

 

辰房の叫び声と同時に、彼の両手の上に

留まっていた立方体から無数の光が出現し、

動きを止めていた虚たちを貫いていく。

 

「「「ギ、ギャァァァ」」」

 

 

防御も隠蔽もお構いなしに光が虚を貫き、

強制的に消滅させていく様子はまさしく光の蹂躙。

 

この一撃に耐えることが出来た巨大虚は一体も居なかった。

 

・・・ちなみに辰房は技名を自動追尾式(ホーミングレーザー)震天雷砲

にするかどうかを悩んでいたのだが、

それは伊勢だけが知る秘密である。

 

「すげぇ・・・」

「これが八十番台の鬼道・・・」

「これで・・・三席?」

 

周囲に潜む虚が全てなぎ払われ、静寂が

支配する中、実習生の中でも力がある

阿散井・雛森・吉良が呆然として呟くと、

 

「おいおい。俺、この人らの後輩になるのか?」

「・・・頑張れ」

「私は基礎から勉強しなおさなきゃ」

 

なまじ卒業生として現役の死神に近い

立場である檜佐木・青鹿・蟹沢が

今の自分との実力差を自覚して、肩を落とす。

 

そして離れてこの場を観測していた者たちも・・・

 

「・・・隊長、ボク副隊長ですけど、あんなん普通に無理ですよ?」

 

糸目の男は『アレと比較されても困る』と

言う意味を込めて上司に声をかければ、

彼に隊長と呼ばれた男もややズレていた

メガネのブリッジを中指で押し上げつつ、

内心の動揺を表に出さぬように言葉を紡ぐ。

 

「・・・八番隊元副隊長の円乗寺辰房、か。

まさか八十番台の詠唱破棄に加え、二重展開

とも言える技術や術式の改良までしている

とは・・・完全に無警戒だったね」

 

 

 

辰房がこの事件に関わったことにより、

この場を利用して虚の実験をしようと

目論んでいた某隊長とその部下が彼に

目をつけることになる。

 

このことが数十年後にどのような意味を持つことになるのか。

 

未来は誰にもわからない。

 

 

 




現世に危険分子が居るとわかっておきながら、学生だけで現世に向かわせるって・・・死神はどれだけ迂闊なんでしょうねぇ。


ちなみに隠れていた虚たちの声。

『ふっ、アイツバレやがったぞ』
『しょうがないさ、アイツだし』
『だな、アイツは俺たちの中で最弱』
『アイツを倒して油断したところを叩く』

って感じです。

辰房の声? 振動に指向性を持たせることで、特定の相手にだけ聞こえるようにする技術ってありますよね?

つまり、自分はバレてないと思っていたもよう。

自信満々な三席が居るので、六回生は援軍要請をしていないため、現場にヨン様は現れませんでしたってお話。



確か斑目=サンは限定解除してませんでしたよね?
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