とある侍の漂白剤   作:カツヲ武士

12 / 26
オリ設定・オリ展開
嫌いな人は読み飛ばし


12話。ある日の夜の会話

俺が現世でやらかしてから数十年。隊長や

副隊長の面子も随分と代わったものの、

十三番隊以外の全ての隊に隊長と副隊長が

揃ったのを受けて、そろそろ現世に行こう

かなぁと思っていた時のこと。 

 

「辰房さん。あの噂、聞きましたか?」

 

「噂?」

 

なんやかんやで男女の仲になっていた七緒から

閨にて妙な話を聞かされた。

 

「えぇ。なんでも六番隊の朽木隊長の義理の

妹さんが現世で何かやらかしたらいんです」

 

「朽木隊長の義理の妹?確か十三番隊に所属

していて、朽木隊長からの依頼で平隊士に

留め置かれている少女だったか?」

 

既に始解を修め、それなりに鬼術も使えると

言うことだったので、十三番隊で使わないなら

八番隊で使おうと思っていたのだが、引き抜く

前に朽木隊長から京楽隊長にそんな要請が

されたと聞き、面倒臭いと思って引き抜きを

諦めた記憶がある。

 

「そう、その子です。聞くところによると

現世での任務にあたっていたところ

数ヵ月前に行方不明になったそうでして」

 

「あぁ、それで最近六番隊と十三番隊が騒がしかったのか」

 

義理とは言え隊長の妹だし、何より朽木の

人間だもんな。

 

そりゃ六番隊は元より、預かっておきながら

単独任務に出した十三番隊も慌てるわ。

 

つーか、浮竹隊長の行動がわからんな。

 

朽木隊長の要請を受けて彼女を席官に

しなかったと言うのなら、何故以前俺が

接触した霊圧を消せる巨大虚の群や、

浦原一派が潜む現世にお客さんである

彼女を単独で送り出したんだ?

 

腑抜けたのか、それとも頭が悪いのか。

 

恐らく両方だろうが、それは良い。問題はその娘だよな。

 

「で、現世で行方不明になったはずの小娘が

『やらかした』と言うのはどういうことだ?」

 

現世に渡った死神は絶えずその霊圧を

観測されている。

それが朽木の娘ならば尚更だろう。

 

にもかかわらず行方不明と言うことは、

すなわち死んだと言うこと。

 

それが何をやらかしたと言うんだ?

 

「それがですね。どうやら現世の人間に

死神の力を譲渡したそうなんです」

 

「・・・ほう。死してなお祟るか」

 

何かしらの事故に巻き込まれたのか奪われた

のかは知らないが、間違いなく重罪だな。

 

「いや、その子、死んでないんです」

 

「は?」

 

いや、おかしいだろ。

 

「生きていると言うなら其奴はどうやって

数ヵ月もの間、技術開発局の観測から

逃れたと言うんだ?」

 

一般の死神には間違いなく不可能。四大貴族

である朽木家ならば、プライバシーがどうとか

言って観測から逃れるような手段も有るかも

知れんが、それなら六番隊が焦る理由は無い。

 

「それが良くわかっていないんです。

朽木隊長が直接現世に赴き、彼女を

回収したらしいので、これからの調査に

なるんだとか」

 

「ほう」

 

行方不明になった朽木家の娘を、兄である

朽木隊長が迎えに行くのはわかる。

 

他の連中だと朽木家の名に負けて強制的に

連れ帰ると言う真似は出来んからな。

 

しかし重要なのはそこじゃない。

 

「・・・つまり朽木隊長や技術開発局ですら

知らない霊圧の隠蔽方法が有ると?」

 

「はい。そうなります」

 

そんな技術があれば、霊圧を基準に捜索を

行っている死神の目を欺くことも出来るな。

 

そして朽木の小娘はその技術をもつ存在と

どこで接触した? 瀞霊廷? ありえん。

 

ならば残るは現世しかない。

 

では、現世でそのような技術を持ち、

それを使用する必要が有る存在は誰だ?

 

「・・・ようやく足跡が見つかったな」

 

「はい、恐らく彼女は浦原と接触しています」

 

思わず口元がにやける俺に対し、七緒も

決意を秘めた目をしているように思える。

 

そうだよな。

七緒にとってもリサは赤の他人ではない。

 

さらに浦原の側には、先代の二番隊隊長で

ある四楓院夜一も居るはずだ。

 

それを考えたらこれは砕蜂にとっても

朗報と言えるだろう。

 

「取り調べは二番隊が?」

 

それならそのまま情報を貰えるから楽なんだがな。

 

「いえ、六番隊と十三番隊が合同でするそうです」

 

「・・・そうか」

 

拷問防止のつもりか?朽木の娘で有る以上、

中央四十六室も簡単には手を出せんだろうし

暫くは温い取り調べになりそうだな。

 

「とりあえず砕蜂も探るだろうから、今は

下手に動かずに居たほうが良さそうだな」

 

「そうですね」

 

朽木の娘から浦原一派の情報が流れる危険性

を考慮すれば、身中の虫が動くとしたら今。

 

ならば俺たちは無関係を装いながら

その虫を捜し、潰す。

 

虫が居る可能性が高いのは四楓院夜一の古巣

である二番隊と、浦原の古巣である十二番隊。

 

二番隊の隊長は砕蜂だが、四大貴族であり

前任者である四楓院夜一の名は重いからな。

 

十二番隊に関してはアレだ。基本的な技術で

負けている現状では、相手の裏をかけない

時点で話にならん。

 

盗聴やハッキングのように自覚せずに

情報を抜かれている可能性もあれば、

誤った情報を流されていることに

気付いて居ない可能性も有る。

 

何しろ常時観測している最中に堂々と

行方を眩まされたくらいだからな。

 

しかし二番隊も十二番隊も、どちらも

索敵や調査を担当する部署なのに、その

情報が信用出来ないのは頂けない。

 

・・・まずは自分の足で探すか。

浦原の拠点があったのは西流魂街。

 

これまでも何度か捜索はしていたが、何の

情報も得ることは出来なかった。

 

しかし今回の件で連中が動くなら、瀞霊廷

の中ではなく外にも注視する必要があるな。

 

「七緒、俺は数日空ける。京楽隊長や砕蜂にも伝えてくれ」

 

こう言うときフットワークが軽いのが三席の

良いところだよな。

 

「はい。ただ砕蜂さんには後で辰房さん自身

からお話をして下さいね」

 

「無論だ」

 

なんやかんやで砕蜂とも男女の関係になって

しまったからな。

 

後で「順番を飛ばした分の補填を求めます!」と

言われることはくらいは甘んじて受け入れよう

ではないか。

 

「それなら問題ありません。正式な調査任務

を割り振りますので、外はお任せしますね」

 

「あぁ、中は任せた。わかっているとは思うが・・・」

 

「はい。京楽隊長と砕蜂さん以外の全員を疑います」

 

「それで良い。油断はするなよ?」

 

「勿論です」 

 

ふっ。あの幼子が強くなったものだ。

 

・・・朽木の娘を助けるために浦原喜助が

動くなら良し、動かないなら情報を抜いた

上で現世に奇襲をかける。

 

この百年、長かったのか短かったのかはわからん。

だが漸く一歩踏み出せる。

 

 

 

――こうして辰房は『西流魂街の調査任務』に

あたる為、一時瀞霊廷から姿を消すことになる。

 

それは西流魂街に、瀞霊廷を揺るがす騒動を

引き起こす旅禍が現れる一週間前のことであった。




かなり急ですが、原作突入。
つーか、浮竹隊長はなんでルキアさんを一人で現世に送ったんですかねぇ?

他にも色々とツッコミ所はありますが、
それに関しては次話以降です。
展開予想はお控えください。

亡き婚約者への純愛一途を期待した諸君、残念だったな!

何だかんだて百年経ってますし?
辰房君も男性だし?
迸る熱いパトスを処理しないとねぇってお話。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。