とある侍の漂白剤   作:カツヲ武士

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15話。門番ってなんだっけ?

「何やってんだあいつら?」

 

俺が京楽隊長等に天挺空羅で情報を伝達

する為に場を離れている間に、旅禍の

連中は兕丹坊が守る白道門へ、正面から

乗り込んでいた。

 

そうなると当然白道門を守る兕丹坊が

出てくるわけで・・・

 

「ぐわっはっはっは!」

 

正面から自分に挑んでくる旅禍に対し

馬鹿でかい声で笑い声を上げる兕丹坊。

 

・・・もはや潜入でも何でも無いな。

 

この状況になっても周囲に隠密機動が

居ないと言うのがよくわからん。

 

そんな俺の疑問を余所に、旅禍の中から

クロサキと呼ばれた死神が一人で兕丹坊

の前に立つ。

 

自分に対して一人で来るのか? と矜持

を傷付けられたような顔をする兕丹坊で

あるが、あの少年は上位席官クラスの

霊圧を隠しもしていないぞ?

 

俺が知る限りでは兕丹坊は良くて上位

席官に届かない程度の実力しか無い筈

だったのだが、少しは強くなったのだろうか?

 

そう思っていた時期が俺にもありました。

 

「万歳!兕丹打祭!」

 

崩しも何もなく、正面から技名を叫んで

斧だか斬魄刀だかわからん中途半端な

モノを旅禍の少年に叩きつける兕丹坊。

 

その仕草からは、増長と過信。そして

油断と慢心が伺える。

 

「・・・あれではな」

 

いくら何でも稚拙に過ぎる。

 

兕丹坊が斧を叩きつける度に周囲には

砂塵が舞い、ドドドドドドドドドドと

言う音が響いているが、あれに何の意味

が有るというのか。

 

潰すなら全身全霊の一撃で潰せ。

潰せないなら横薙ぎや別の攻撃パターンで相手を崩せ。

 

無様。あれが瀞霊廷を守る門番だと

言うのなら、今すぐにでも罷免し、

各隊の上位席官が持ち回りで門番を

担当したほうが良い。

 

「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 

自分の攻撃でテンションを上げているが、

派手にやればやるだけ無様さが強調される。

 

そもそも兕丹坊は気付いているのだろうか?

 

クロサキに集中するあまり、他の四人が

完全に意識から外れているではないか。

 

敵は門番を殴り倒してでも瀞霊廷に侵入

しようとしている旅禍だぞ?

 

向こうが1対1と言ったからといって

それを真に受けてどうする?

 

・・・門番を見ればその国の質が分かる

と言うが、あれを見て我々が評価される

のかと思うと、頭が痛くなる。

 

総隊長には護廷に誇りを持つならば、

まずこういうところから意識改革を

する必要がある。と提言させて貰おうか。

 

少なくとも、無能や阿呆に門番をさせるのはダメだと声を大にして言わねばならん。

 

「ふぅふぅ。どうだべ! 跡形も無くなったか?!」

 

跡形も無くなったら「どうだ」も何もあるまいに。

 

それに、だ。

そもそもあいつはその目で何を見ている?

図体か?それなら草鹿副隊長も雑魚か?

手応えは無かったのか? 

硬い物に攻撃したらわかるだろ?

向こうは受け流しとかしていないぞ?

 

一体何を以て兕丹坊が「勝った!」と

豪語しているのかさっぱりわからん。

 

少しでも霊圧を探る気があれば少年が

微動だにしていないこともわかるだろうに。

 

それともアレか?

野菜の惑星の王子様の「やったか?!」

みたいな感じでお約束を踏襲しないと

ダメなルールでも有るのか?

 

それに旅禍は何をしている?

 

お前らの目的は門を抜けることじゃないのか?

 

なんでお行儀良く一騎打ちを観戦している?

 

さらにクロサキ。

なぜ隙だらけの兕丹坊に攻撃をしない?

貴様らは尸魂界に遊びに来たのか?

 

「・・・終わりか?」

 

「なっ! お、おらの万歳兕丹打祭が?!」

 

「ならこっちから行くぞ!」

 

「ふ、ふん、調子に乗るな!」

 

「ふっ!」

 

「あ、あぁぁぁぁ! オラの斧がっ!」

 

「あ~。えっと。なんかスマン」

 

「・・・・・・おめぇ良い奴だな」

 

・・・・・・

 

(な ん だ こ の 三 文 芝 居 は)

 

目の前で繰り広げられている門番と侵入者

が繰り広げる油断慢心のオンパレード。

 

兕丹坊の雑魚さ加減や、その雑魚相手に

イキる少年の姿は、もはやコントと言わざるを得ない。

 

双方の間抜けさ加減に思わず溜息を

吐きそうになった俺は、とりあえず

連中の手足を切り捨てようと、

一歩踏み出したのだが・・・

 

そのとき、俺の目の前で不思議なことが起こった。

 

「さぁ、通れ!」

 

はぁ?

 

俺は目の前で起こったことが信じられず

思わず思考停止をしてしまう。

 

あの阿呆何を考えている?

 

呆然とする俺の目の前では、

門番である兕丹坊が、

無傷である兕丹坊が、

まだ戦える状態の兕丹坊が、

己の判断で己が守護する白道門を開け

旅禍を瀞霊廷に招き入れようとしていた。

 

いやいやいや、これはない。

 

門番の仕事は許可の有るものを中に入れ、

許可の無いものは命を賭けてその侵入を

阻むものだ。

 

それがなんで勝手な判断で旅禍を

瀞霊廷に招き入れようというのか。

 

・・・今までもこんな勝手をしていたのか?

負けたら命惜しさに門を開いていたのか?

 

しかもあの阿呆は己の行動を正しいと

思い、その正義を疑っていない。

 

あれは自覚がない悪だ。

賄賂を貰って門を開けるよりもタチが悪い。

 

あんなのが平然とのさばっているから

何時まで経っても死神は温いのだ。

 

百年前の隊長格の大量消失に始まり、

現世に浦原が居るにも関わらず学生

だけを現世に送り込む教師然り。

 

数十年前に、十番隊の隊長である

志波一心が現世で消息を絶ったと

言うにも関わらず、預かり物の

朽木の娘を単身で現世に送り込み、

いざ何かあったら「行方不明になった!」

と慌てる浮竹隊長然り。

 

これだけ旅禍が暴れても現地にこない

死神連中然り、自分が旅禍に負けたにも

関わらず、援軍を要請しないどころか

命惜しさに門を開ける門番然りっ!

 

温い。温すぎる。

このような現状はさすがに見過ごせん。

 

「あぁ・・・こらあかん」

 

――綱紀粛正の一環として兕丹坊を

切り捨てようとしたとき、瀞霊廷の

内部から、のんびりとした京都弁が

聞こえてきた。

 

その言葉とほぼ同時に兕丹坊の左腕が切断される。

 

「嗄啊啊啊啊啊啊啊啊啊!」

 

「・・・あかんなぁ・・・門番は門あけるためにいてんのとちゃうやろ」

 

まったくもってその通り。

 

突如現れ、兕丹坊の腕を切り落とした

三番隊隊長である市丸ギン隊長の言葉に

俺は心から頷いた。

 

しかし当の兕丹坊にはその自覚が無いようで

 

「ぅうぅ・・・おらは負けたんだ。

負けた門番が門を開けるのは・・・

あたりめぇのことだべ!」

 

は?

 

「何言うてんねや?わかってへんな。

負けた門番は門なんかあけへんよ。

門番が負ける言うのは・・・死ぬゆう意味やぞ」

 

これまたその通りとしか言えん。

 

「ううう・・・」

 

市丸隊長の圧力を受けて怯える兕丹坊。

しかしその程度の覚悟で門を開けたと

言うなら初めから門など開けねば良いのだ。

 

とは言え、兕丹坊が旅禍を前にして

門を開けたままと言うのは、護廷の

名に傷が付く。

 

それに市丸隊長が敢えて兕丹坊を

生かしているのは、俺に殺れと言う

ことだろう?

 

いい加減連中の三文芝居は見飽きた。

 

さらに市丸隊長の攻撃に反応出来ない

ことから、向こうの力もわかった。

 

連中に隠している力は、ない。

 

あとはヨルイチを名乗る猫だが、あれに

関しては尋問の必要が有るので、今は殺さん。

 

だが裏切り者の兕丹坊。お前は駄目だ。

 

「ふっ!」

 

「お?」

 

兕丹坊を守る為なのか何なのかは知らんが、

突如クロサキが市丸隊長に斬りかかった。

 

あちらは市丸隊長に任せてもよかろう。

まずは殺すべき相手を殺す。

 

「崩山演舞」

 

「なっ?! あぁあぁあぁぁ?!」

 

瞬歩で阿呆懐の中に入った俺は、

始解と同時に連続攻撃を行い、兕丹坊を細切れにした。

 

抵抗? できるはずもない。

 

「あ~あ、殺りおった」

「は?!」

「「「え?」」」

「な、なんじゃと?!」

 

山のような巨体を誇り、その巨体と

残った腕で白道門を支えていた兕丹坊が

いきなり現れた俺に細切れにされた

ことに意表を突かれたのか、外にいた

四人の動きが止まる。

 

「阿呆が」

 

敵を前にして呆ける阿呆どもに対し、

俺は降り注ぐ兕丹坊の肉片を消し炭に

するついでに挨拶代わりの鬼道を放つ。

 

「受けろ鳳凰の羽ばたきを。

破道の三十一・改。赤火鳳翼天翔!」

 

本来は技名を叫ぶのは事前動作告知や

明確な隙になるから控えるべきだと言う

持論を持つのだが、俺が未熟なせいか

鬼道の改に関しては、その技名を口に

出さないと技が安定しないので仕方なく。

そう、仕方なく技名を告げることにしている。

 

・・・断じて大魔王ムーヴや車田ムーヴがしたいワケでは無い。

 

そんな言い訳はともかくとして。

 

俺の手のひらに生じた炎は鳳凰の形を象り

降り注ぐ兕丹坊の血肉を消し炭にする。

 

そして俺は右手で薙ぐような動作を行い

生み出した鳳凰を門の外へと向かわせた。

 

「え?」

「むっ」

「なっ!」

「くっ」

 

「いつから貴様らが対象外だと錯覚していた?」

 

兕丹坊と戦っていないから?

市丸隊長と刀を交えていないから?

 

だから自分が狙われるはずかないと思ったか?

 

甘い。貴様等は現時点で瀞霊廷に武器を

持って潜入しようとしている賊だろうが。

 

旅禍(テロリスト)に前衛も後衛も無い。ただ滅ぶべし。

 

俺の意志で放たれた鳳凰は未だに呆然と

立ち竦む三人と一匹へと襲いかかる。

 

「井上っ!」

「チャドっ!」

「石田っ!」

「夜一さんっ!」

 

炎に包まれる仲間を見て、市丸隊長と

斬り合うために白道門の内部に侵入

していた旅禍の少年の悲痛な声が響く。

 

甘い。本当に甘い。

危機感が足りないと言っても良い。

 

コイツ等、この期に及んで自分達が

死なないと思って居るんじゃないか?

 

ならばその妄想を抱えたまま死ね。

 

「安心しろ。向こうに止めを刺したら次は貴様だ」

 

恐らく捕虜にするために手を抜いている

市丸隊長には悪いが、捕虜は一人いれば良い。

 

更に言えば捕虜に力のある存在など要らん。

故にそいつはここで仕留める。

 

「そんなことさせるかよっ!」

 

門を支えていた兕丹坊が、消滅したため

重力に従い落下してきた白道門を左手で

支えながら、俺は後先考えずに突っ込んで

来た少年に対し、『面倒が省けた』と

笑みを浮かべるのであった。

 

 




兕丹坊は誰がどう見ても命惜しさに
門を開けておりますので、真っ当な
死神なら殺しますよね。

それに対して原作主人公君が逆切れしておりますが、そもそもの元凶は彼らです。

そして旅禍って死神から見たらただの
テロリストですからね。
故に、現時点では原作主人公やそれに
協力した兕丹坊に対して遠慮をする理由がありません。

チャド(その他)の霊圧が・・・ってお話
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