とある侍の漂白剤   作:カツヲ武士

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21話。因縁の対決(前)

「旅禍が来たと言うから誰が来たかと

思えば貴様一人か。一瞥以来だな」

 

「お前は・・・」

 

道すがら死神から聞いた、朽木ルキアが囚われ

ていると言う建物を目指して進んでいる最中、

黒崎からチャドと言われる少年、茶渡泰虎は

以前遭遇した巨漢の死神と再度向き合っていた。

 

茶渡としては、あの時、一護と門番の戦いや

その後に現れた細目の死神による門番への

説教や攻撃などと言った話の流れに着いて

いけなかったのは今でも仕方がないこと

だとは思っている。

 

しかし、問題はその後だ。

 

突如として現れた彼が、一護と戦った門番を

粛清した後に自分たちに向けて放った火の鳥

のようなもののせいで、それから自分たちを

庇う為に夜一が負傷してしまった。

 

その時、彼が言った「いつから貴様らが対象外だと錯覚していた?」

と言う言葉は、今でも耳の奥に残っている。

 

そうなのだ。彼ら死神にとって自分たちは

侵入者にして犯罪者の仲間なのだ。

 

ならば直接戦っていなくとも、向こう

から敵視されるのは当然ではないか。

 

それなのに自分たちはのんびりと一護の

戦いを観戦して、気を抜いてしまった。

 

緊張を維持していなかったが為に、攻撃を

受けた時も咄嗟に動くことができなかった。

 

あのときの無力感を忘れてはいないし、

忘れてはいけない。

自分達はそう心に刻みつけたのだ。

 

油断を無くす切っ掛けとなった相手を

前に警戒する自分を見て何を思ったか、

死神は一つ溜息を吐いてから口を開いた。

 

「前は名乗ってなかったな。護挺十三隊、

八番隊第三席副隊長補佐、円乗寺辰房だ。

旅禍よ、貴様らが何の為に我らに挑んできた

のかはすでに理解している。

故に結論から言おう。朽木ルキアは諦めろ。

それと、大人しくするなら殺しはせん。

騒ぐなら死ぬほど痛い目に遭わせるがな」

 

「なん・・・だと・・・?」

 

今この死神は何と言った?

 

「三席? 副隊長では・・・無い?」

 

「私が副隊長?あぁ、情報源は

浦原喜助か四楓院夜一か。

まぁ普通に考えればそうだろうよ」

 

「普通に?」

 

つい口に出してしまった言葉に対して

反応する死神を前に、茶渡は瀞霊廷に

侵入する前日にした皆との会話を思い返す。

 

 

 

~~~~~

 

 

『あの時、瀞霊廷の中にいた細目の死神は

三番隊の隊長でな、死神の中でも指折りの

強者じゃ』

 

「アレが隊長か。確かに兕丹坊もそう言ってたな」

 

一護が苦い顔をしながらそう呟く。

 

『次いで、儂らに鬼道を放って来た巨漢の

方は、儂が知る限りでは第三席じゃった。

しかし今は副隊長になっておるはずじゃ』

 

「「副隊長・・・」」

 

巨漢が生み出した火の鳥の標的にされた

石田と茶渡は揃って呻くような声を出す。

 

2人は片手間と分かるような一撃で自分に

明確な死のイメージを与えて来た存在が、

向こうの最高戦力ですらないと言う現実を

知り、自分たちが敵に回したモノの強大さを感じていたのだ。

 

『じゃが、アヤツがあれだけの鬼道を放てる

ようになっておるとは知らなんだ。

あの威力はそんじょそこらの副隊長が放てる

モノではない。それを考えればヤツの実力は

既に隊長クラスと言っても良いじゃろうよ』

 

「あれが隊長クラスの実力、か」

 

聳え立つ壁の高さを思い、苦虫を噛み潰したか

のような表情をする石田。

 

そんな石田を前に、一護は別の可能性を考える。

 

「・・・アイツも隊長って可能性は無いのか?」

 

『む? それはどういう意味じゃ?』

 

「いや、実はあのとき・・・・・・」

 

何か根拠があるのか?と問う夜一に対し

一護が言うにはあの時、門が下りる前に

巨漢の死神が細目の死神に対して何か

文句をつけているようだったと言う。

 

もしも副隊長なら隊長に対してもう少し

従順じゃないのか? と言うのが現世で

六番隊の隊長、副隊長と遭遇した経験が

有る一護の意見であった。

 

『ふむ。まぁ朽木ならそうかも知れんな。

しかし隊長と副隊長の関係は型に嵌った

ような関係だけではない。

それに死神の場合は年齢の関係もある。

故に態度だけで向こうの関係や階級を

決めつけるのは危険じゃぞ』

 

平子と猿柿。六車と真白と言った例を

間近で見て来た夜一は、しみじみと

隊長と副隊長の関係についてを思い返す。

 

「年齢? あぁ、そうか。死神って

見た目と年齢が比例してないんだもんな」

 

朽木ルキアを知る一護からすれば、

彼女が50を超えていると言うのも

信じられないくらいだが、それが

事実である以上否定するつもりはない。

 

『うむ。そうじゃな。それと先任や

後任という関係もあるしな』

 

夜一が言うには、細目の死神は100と

少し、少なくとも200は超えていない

はずだが、巨漢の方は200年以上は

生きているそうだ。

 

実力主義を標榜する死神の場合、年功を

重視するわけでは無いが、同程度の実力

を持つなら先達を敬うようなところがある。

 

それで言えば、細目の死神が副隊長に

なる前から巨漢の死神は副隊長だった

ので、先輩と後輩と言う立場の可能性も

あるとのこと。

 

『それにヤツは隊長が着る羽織を着とらんかったじゃろ』

 

「羽織?」

 

『そう。あの細目の、市丸が着ておった

白い羽織のことじゃ。

余程の事情が無い限り、隊長が任務に就く

際はアレを羽織るのが死神の習わしじゃて』

 

「あぁ。なるほど」

 

隊長として着ることが義務付けられて

いる羽織を着ていない。故に彼は隊長

では無いと言う夜一の意見に、一護も

納得の意を示す。

 

ただ、それに何の意味が有ると言うのか。

 

「だけど、あの人が隊長さんじゃないって

ことは、隊長さんはあの人よりも強いって

ことなんだよね? そんな人が少なくても

13人もいるんでしょ?」

 

「「「・・・・・・」」」

 

文字通り自分たちを片手間で殺せる実力を

持った相手が、敵の最高戦力ではない。

そしてそれ以上の戦力が向こうには沢山いる。

 

井上がそのことを指摘すると、一護も石田も

茶渡も、揃って表情を曇らせた。

 

意気消沈する子供たちを見て、夜一は

(やっと事の重大さに気付いたか)と

内心で溜息を吐きながら、今後の方針を

伝えることにした。

 

『そうじゃ。だからこそ隊長や副隊長との

戦闘はしてはならぬ。

故に、今後は朽木ルキアを救出すること

だけを考えて、出来るだけ目立たぬように

動くことを心掛けよ。

特に一護。先だってのように、何も考えず

に死神に挑むような真似は断じて行うな』

 

「・・・あぁ」

 

あのとき、奇襲を仕掛けていれば無傷で門を

突破出来ていたと言うのに、わざわざ門番と

戦い、無駄に音を立てたせいで強者を呼び

寄せてしまったと言うことを自覚している

一護は、夜一からの念押しに対し、反論する

ことなく大人しく返事を返す。

 

自分たちの目的は死神の打倒ではない。

朽木ルキアの救出なのだ。

 

「だけどよぉ。向こうに入った後で、また

アイツと出会ったらどうすりゃ良いんだ?」

 

その思いを再認識して「無駄な戦闘はしない」

と心に決めた一護だが、それでも向こうから

やってくる場合もあるだろう。

(実際は自分たちから向こうが待ち構えて

いる場所に飛び込むのだが)

 

その時はどうする? と一護が問えば、

夜一は少し悩んでから『・・・その場合は

降伏か交渉するしかあるまい』と答えた。

 

彼女の本音の部分では『諦めろ』と言いたい

ところであったが、まさか協力者に過ぎない

少年たちに『自分たちの計画の為に死ね』

とも言えず、中途半端な指示となってしまう。

 

「つまり、諦めろってことかよ」

 

だが一護とて遊びで死神の本拠地に乗り込む

わけではない。

夜一が何を言いたいかを理解し、あえてそれを

口に出すことで、意識の共有を図る。

 

「井上、チャド、石田。聞いての通りだ。

これから先は本気でヤバイ」

 

「黒崎君?」

 

「ルキアを助けたいってのは俺の我儘だ。

それに付き合わせてお前たちまで危険な

目に遭わせるわけにはいかねぇ。

だからここで・・・」

 

「おいおい、正気か黒崎?」

 

待っていてくれ。苦渋の表情を浮かべながら

そう告げようとした一護に石田が声を掛ける。

 

「ここまで来て待たせるってなんだ?

それにそもそも僕は死神と敵対する

滅却師だぞ?

死神が強いことも、ここが危険なことも

承知の上でここにいるんだ。

・・・まぁ、あの時ろくに動けず夜一さんの

足を引っ張ったことについては謝罪するしか

ないが、それでも君に心配されるような

筋合いはない」

 

「石田・・・」

 

一護が何かを言う前に、石田はハッキリと自分の意見を告げる。

 

「そうだな。俺とてそのくらいは知った

上でここにいる。今更待てと言われてもな」

 

「そうだよ! ここで待ってた方が辛いよ!

それに黒崎君も茶渡君も石田君も回復とか

出来ないでしょ? 誰かが傷付いた時に

私が居ないと駄目だと思うんだけどなぁ?」

 

自身が口下手であることを知っている茶渡は

この流れに乗ろうと口を開く。するとこの

深い空気を吹き飛ばそうとしたのか、井上も

あえて軽い口調で一護に対して自身の有用性を

主張する。

 

「チャド、井上・・・すまねえ」

 

自分一人で行く。そう心に決めていた一護で

あったが、皆の声を聞き、心の中でさっきの

自分に『何を恰好つけてんだよ!』と悪態を

つきながら、皆の覚悟を軽んじていたことを

謝罪する。

 

『まったく、仕方のない連中よな』

 

そんな少年たちを見て、彼らを巻き込んだ

側の人間である夜一もまた心の中で謝罪し、

一つアドバイスをすることにした。

 

『もしもの時は大人しく降伏して『儂や

喜助に騙された』とでも証言せよ。

さすれば殺されることはあるまい』

 

「夜一さん、それは・・・」

 

一護も石田も茶渡も薄々と感じていた

ことではあるが夜一や浦原喜助は、

死神と何かしらの接点が有るらしい。

 

そのことを隠しながらも、己が危なく

なったら自分たちの名を使えと言って

くれた夜一に対して、一護らが感じたのは

隠し事をしていることへの不信感では

なく、隠し事がバレるかもしれないにも

関わらず自分たちの安全を考えてくれる

ことへの感謝であった。

 

 

~~~~~

 

目の前の男は副隊長ですらない。

 

その事に内心で驚愕しながらも、茶渡は

自分がどう動くべきかを考える。

 

「私の役職などどうでも良かろう。

で、こちらはすでに要求を伝えたが、

大人しく捕まるつもりはあるか?」

 

この場合、大人しく捕まると言うことは

夜一や喜助を売ると同じことだ。

 

茶渡には信頼を預けてくれた相手を売ると言う選択肢は、ない。

 

「・・・そこを退いてくれないか?」 

 

降伏は出来ない。ならば残るは交渉となる。

 

しかし、このとき茶渡は自分が大きな

勘違いをしていることに気付いていなかった。

 

それは、目の前の巨漢が突き付けた

要求は『大人しく従うか、それとも

抵抗して捕まるか』の二択だけであり、

その中に『交渉』と言う文字が無かった

ことだ。

 

相手の要求を無視すると言うのは、それが

出来るだけの力を持つ者の特権である。

 

そして茶渡泰虎と言う少年には、目の前の

死神からの要求を無視できる力は、ない。

 

「この私に旅禍である貴様を見逃せと?

浦原喜助と繋がりが有る貴様を見逃せと?

・・・寝惚けるな」

 

「ぐっ!」

 

今まで何も感じなかった巨漢の死神から

突如として発せられた霊圧に押し潰され

そうになりながら、茶渡は己の失敗を悟る。

 

「旅禍に負ける死神も阿呆なら、死神に

交渉を持ちかける旅禍も阿呆よ。

貴様がここに至るまでの道中どのような

死神と遭遇し、何を勘違いしたのかは

知らん。しかし先ほども言ったはずだ。

貴様はここで終わりだ、とな」

 

大人しく従わないなら死ね。

 

そう言わんばかりの圧力に、明確な

死の気配を感じ取った茶渡はただ一言

「すまん、一護」と呟いた。

 

 




夜一さんは他の死神に興味が無かったので
現役の二番隊の隊長をして居たときは
上級貴族でもなければ隊長格でもない
辰房のことは書類上のことしか知りませんでした。

なので「リサが居なくなったら三席だった
辰房が副隊長だろ?」
と言う程度の情報しかもってません。

リサはリサで、誰が藍染の鏡花水月に
かかっているかわからなかったので
辰房の情報は誰にも与えてません。ってお話。
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