とある侍の漂白剤   作:カツヲ武士

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筆が乗ったので更新。
久々の常識フィルター発動回

あくまで作者の常識に則ったツッコミなので
死神社会の価値観がこうだとは限りません。

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嫌いな人は読み飛ばし。


22話。因縁の対決(後)

ガキに「黙って投降すればそれで良し。

もし抵抗するなら痛い目に遭わせる」と

告知したところ、ガキが決死の覚悟を

決めた件について。

 

いや「すまん。一護」じゃねぇよ。

これだから自分に酔ったガキは嫌いなんだ。

 

とは言っても、このまま攻撃を加えたら

間違いなく目の前のガキは死ぬだろう。

 

手加減を加えて痛めつけても、こういう

奴は絶対に仲間を売らんよな。

 

ならどうする? 簡単だ。

庇う相手を選別させてやれば良い。

 

「抵抗する、か。まぁそれもよかろう。

しかし絶望を教える前に一つ聞きたい」

 

「・・・何だ」

 

「お前は何のためにここに来た?

いや、朽木ルキアを奪還しようとして

いるのは知っている。しかしながら、

それはクロサキとやらの願いだろう?

お前が命を懸ける理由にはなるまい?」

 

どうやらアレが朽木ルキアが死神の力を譲渡

した相手らしいからな。

 

なので今回の朽木ルキアの処刑はクロサキが

『自分のせいで朽木が捕まった!』と錯覚

してしまうのも、まぁわからないではない。

 

そんな感じで動揺していたところに

浦原が声を掛けたのだろうさ。

 

浦原の行動もアレだが、まさか死神の力を得て

1年にもならぬ若造に三席や副隊長が負ける

とは思わなんだ。

 

更に滅却師のガキに四席の一貫坂慈楼坊も

負けたと言うではないか。

 

それにこのガキがここに来たと言うことは

これまでに遭遇してきた死神も敗れたのだろう?

 

しかも見た感じ無傷。

 

まったく、この様でよくもまぁ護廷の死神を

名乗れたものよ。

 

一体どれだけの恥を晒せば気が済むのだ。

 

「・・・一護が助けたいと望んだからだ」

 

死神の不甲斐無さに溜息を堪えていると、

ガキがこちらを警戒しつつ徐に口を開いた。

 

と言うか、イチゴが望んだ? 

 

「そのイチゴとはクロサキのことか?」

 

「・・・あぁ、そうだ。あいつが命を懸けて望むなら、俺も協力する。俺はそう決めている」

 

なんとまぁ。

 

友が望んだから自分も命懸けで望む、か。

戦う理由を他人に依存していることは正直

気に入らんが、それに関しては人それぞれ。

俺から特に言うべきことは無い。

 

だがこれなら、殺したり尋問せずとも

情報が抜けるかもな。

 

・・・試してみるか。

 

「ふむ。そもそもクロサキや貴様は此度

何故朽木ルキアが処刑されることになった

のかと言うことを理解しているのか?」

 

まずはこれだな。

 

「・・・彼女が一護に死神の力を譲渡したからだ。と聞いている」

 

「ほう。そこまでは話していたか。

では再度聞こう。それを知りながら

何故貴様等は『朽木ルキアを解放する』

などと寝言をほざくのだ?」

 

「寝言、だと?」

 

ここで怒る?つまりこのガキは中途半端な

情報しか与えられておらず、現実を一切

理解出来ていない。と言うことか?

 

ならば教えてやろう。

 

「聞け。貴様等の国では知り合いが罪を犯して

死刑の判決が出た際「その判決が気に入らん」

と言って問答無用で殴り込み、力づくで牢を

破って罪人を逃がすと言う行為は当たり前の

行為なのか? それは犯罪ではないのか?」

 

室町だの江戸の時代ならまだしも、今の

現世は昭和か平成だろ?

 

「・・・いや、それはない。罪は償う

べきだ。しかし死刑はやりすぎだろう」

 

おいおいこのガキ。何を以てやりすぎだと

判断しているんだ?

貴様等の価値観が絶対の正義とでも言う

つもりか?

 

あぁ、そう言えば伊勢が隊士の中にも今回の

朽木の死刑判決について異を唱える連中が

居るとか言っていたな。

 

・・・主に十三番隊が。

 

でもって、下手に隊長同士が親しいから、

ウチの連中も感化されている可能性も

有るんだよなぁ。

 

よし。これ以上阿呆なことを言わんよう、

周囲にいる隊士連中にもわかりやすく

説明してやろうじゃないか。

 

「やりすぎ。と言うがな。そもそも貴様らは

此度朽木ルキアが犯した『死神の力の譲渡』

と言う罪がどれだけ重い罪なのかを理解して

いるのか? それに朽木ルキアが犯した罪は

それだけではないのだぞ?」

 

「・・・」

 

これは、理解していないな。仕方ない。

 

「今回は私が説明してやろう。隊士たちも聞け。

あれはな。貴様らの国で言うならば、強盗を

相手にして怪我を負った警察官が自分が持つ

拳銃を、通りすがりの民間人に貸し出して

暴漢と戦わせたようなもの。と言えばわかるか?

もしくはテロリストの討伐任務中に負傷した

自衛隊員や特殊部隊に所属する者が、己が持つ

自動小銃を民間人に貸して、自分の代わりに

敵と戦わせた。でも良いな」

 

もう駄目だろ?

 

「それは、いや、しかし・・・」

 

「しかし、なんだ? だがまぁ緊急事態で

そうするしか無かったと言うケースもある。

故に、通常これだけでは死刑にはならん」

 

「なら!」

 

なんで今回は死刑に? ってか?

そんなの決まっているだろう。

 

「問題の本質は朽木ルキアが我々への

報告を怠ったことだ。

本来ならばすぐに自分の状態を報告して

交代要員の要請をすべきところを、

アレは自分の失態を誤魔化すために姿を

眩ませ民間人に継続して戦わせたのだぞ?

もし貴様らの国で警察官や自衛官がそれを

したらどうなる? まともな軍隊がある国

ならば銃殺刑に相当する罪ではないのか?」

 

平和ボケしていると言われる日本ですら

大問題だろうが。

 

他の国なら間違いなく処刑案件だろうに。

 

「・・・・・・」

 

何も答えられないガキに対し、俺は

続けて朽木ルキアの罪を告げる。

 

「そして、我々の法では浦原喜助や四楓院夜一

との繋がりも立派な罪となるのだよ」

 

「・・・喜助さんや夜一さんとの繋がり?」

 

喜助さん。ねぇ。やはり繋がりがあったか。

 

「貴様は知らんだろうが、浦原喜助と言う

死神は過去にこの尸魂界で重罪を犯した

挙げ句、裁判の最中に現世に逃げた犯罪者。

そして四楓院夜一はその逃亡を幇助した罪人だ」

 

「なっ!」

 

ふむ。何も説明を受けていなかった、か。

 

浦原め。何が狙いかわからんが、無関係な

ガキを使うことで此方の良心に訴えかける

策か? 舐めた真似をしてくれる。

 

「貴様の態度を見ればわかる。浦原喜助は

そちらで名前を偽っていないのだろう?

ならば「古い話だから朽木ルキアは

浦原喜助の名を知らなかった」などと

言った言い訳は通じん。

わかるだろう?警察官がいまだ逃亡中の

指名手配犯と仲良くしていたらどうなる?

「知らなかった」で通用するか? 

国によってはそれだけで背信行為となり、

銃殺刑になるのではないか?」

 

中東とかもそうだが、普通に先進国でも

殺す可能性が有るだろうが。

 

「・・・」

 

「そして現世に赴く死神には要注意事項

として浦原喜助の名が伝えられることに

なっている。故に尚更「知らない」では

済まないのだ。

もしも上役が伝達を怠ったのだとしても、

無能と不勉強と言う本人の罪が減じることは

無い。アレが所属する十三番隊とその上役に

「無責任」と言う罪が課せられるだけだな」

 

連中はそんな自分たちの怠慢を棚に上げて

朽木の免罪を申し入れたそうだが、これに

関しては心から「寝惚けるな」と言いたい。

 

「そして朽木ルキアが朽木家の死神であることも

当然無関係ではない」

 

「・・・朽木家の死神?」

 

「そうだ。朽木家は瀞霊廷内でも四大貴族

とまで言われるほどの大貴族でな。

養女とは言えその家名を名乗る娘が、先に挙げた

大罪を犯しておきながら処刑以外の刑罰となった

場合、必ずや『朽木だから罪が軽くなった』と

言う声が出るだろう。

それはつまり今後の尸魂界に於ける信賞必罰の

在り方を歪ませることになる。

だからこそ朽木ルキアは殺さねばならん。

それが尸魂界の法なのだ」

 

目の前の少年もそうだが、周囲の隊士が

それを理解していないと言うのが頂けん。

 

死刑が早まろうが何だろうが、アレが死刑に

相当する罪を犯したことに間違いはないのだ。

 

その裏にある政治的な臭いなど、現場の

兵士が気にすることではない。

 

不満が有るならそれぞれの隊長に言え。

 

で、その隊長も不満を覚えているなら

自身が総隊長なり中央四十六室に対して

訴えれば良い。

 

結果がどうなろうと兵士は従うだけだろうが。

 

「良いか? 現在貴様らが行っているのは、

法によって知り合いが処されることに対し

「気に食わん」と言って他国に不法入国を

し、暴力を以て犯罪者を脱獄させようと

する行為だ。

・・・我々が貴様等を旅禍と言うから

分かりづらい部分もあるのだろうな。

旅禍とは、言いかえればテロリストなのだ」

 

「テロリスト・・・」

 

「そうだ。そして瀞霊廷にはテロリストから

干渉を受けて、一度裁定が下った刑罰を覆す

者もいなければ「犯罪者を開放するから捕ら

えてる場所を教えろ」と言われて、馬鹿正直に

「あそこです」などと教える阿呆もいない」

 

あの門番気取りが例外なんだよ。

 

「・・・いや、それは「いたか?ならば

その死神を教えろ直ぐに処刑してやる」

・・・確かにそんな死神はいなかったな」

 

そうだろうそうだろう。

 

まぁ後でコイツの進路を見て、これまで

コイツと接触したであろう死神を割り出し

聴取するのは確定しているがな。

 

それはともかくとして。

 

「また「犯罪者を解放するのに邪魔だから退け」

などと言われて、素直に道を譲る者もおらん!」

 

「護廷の死神を舐めるな」と周囲の隊士

にも理解できるよう、先程よりも強めの

圧をばら撒けば、それを至近距離で浴びた

ガキは「くっ」と顔を歪めながら膝をついた。

 

自分達が正義ではなく、罪人の側で

あることを理解したのだろう。

 

その目には、先ほどまでの刺し違えてでも!と言った気配はない。

 

ガキの中で自己の正義が揺らいだことを

確信した俺は、再度旅禍の小僧に勧告をする。

 

「最後に問おう。大人しくこちらに従う気は

あるか?抵抗するならここで死ぬ一歩手前

まで痛めつけてから拷問を行い貴様が持つ

情報をもらうだけだ。

だが逆に抵抗しないと言うのなら、簡単な

取引に応じてやろうではないか」

 

「・・・取引?」

 

「そうだ。貴様等の世界では司法取引と言う

のだったか? 今のところ貴様らの扱いは

「浦原喜助に唆された被害者」だ。故に

貴様がその事実を理解し、改心して我らとの

取引に応じると言うのなら、その取引の対象は

貴様一人に留まらん」

 

「それは・・・」

 

「当然クロサキもイシダもイノウエも

命は取らんと約束をしよう。

まぁクロサキは少し暴れているようなので

多少の傷は負うかもしれんが、しっかりと

治療して現世に帰そうではないか。

また現世に戻った後もこちらから貴様等に

危害を加えないようにも出来る。

我々の敵は貴様らを差し向けてきた浦原喜助で

あって、アレに騙された貴様らではないからな」

 

そもそもこいつらってここまで暴れて

おきながら、どうやって現世に帰る

つもりだったんだろうな?

 

それに現世に戻った後に報復される

可能性を考えなかったのか?

 

「帰還・・・か」

 

内心で不思議に思っていると、ガキは

ガキで「今気付いた」みたいな表情をした。

 

おいおい。本当に鉄砲玉として送り込まれて来たのかよ。

 

浦原喜助は本当にクソだな。

 

「もしもこれに応じないなら話は終わりだ。

貴様も、見るからに戦いに向かない少女も

滅却師の少年も、そしてクロサキも。

全員が死ぬか、生きていたとしても死の一歩

手前まで痛めつけた後で、浦原喜助や

四楓院夜一に関する情報を抜くための拷問を

させてもらうことになる。その後は当然、な」

 

言外に「自分の判断で仲間全員を殺すか?」

と聞けばガキは、少し迷いながらも小さな

声で「内容を聞かせて欲しい」と呟いた。

 

・・・釣れた。

 

別にガキの心が折れたわけではない。

 

自分は正義ではなかったことを知り。

友人も騙されている可能性が有ると言う

ことを理解しただけだ。

 

言うなれば自分の力や浦原喜助、四楓院夜一

への信頼よりも、俺や今後のことへの恐怖と

「仲間全員の身の安全」と言う希望に縋った

と言っても良いだろう。

 

それに、実際クロサキが浦原喜助の弟子を

名乗ったことで上層部では殺すよりも

捕虜にすべきって話になっているから、

現時点で俺達が連中を殺さないって

言うのは嘘じゃないしな。

 

ついでに言えば、現時点での俺たちの被害は

訓練と言って甘くみた一般の隊士や、阿散井や

班目と言った戦いを勘違いした雑魚が負けた

だけであって死者などの報告も無いことから、

総隊長とてこいつらを捕虜にした後に絶対に

処刑をする! とまでは考えていない筈。

 

もし総隊長や中央四十六室が処刑を考えていたら? 

 

そのときはこいつらを処刑すれば良いだけの話だ。

 

俺とて浦原喜助と繋がっている旅禍を

生かしたいわけでは無いからな。

 

武器を持って押し入って来た強盗に対して

「武器をしまえば警察に連絡しない」と

交渉した結果、強盗がそれを信じて武器を

仕舞ったらどうする?

 

捕まえるだろ?

 

もし「俺に騙された!」と騒いでも

「敵の言うことを馬鹿正直に信じる

方がアホなんだ」と言ってやるさ。

 

俺の内心を知ってか知らずか、遠くで

見ていた京楽隊長や伊勢は「うわぁ」と

言った表情をしているが、目の前のガキ

はそんな余裕は無いようで、必死で

最善の答えは何か? を考えている。

 

そうそう。精々迷って考えてくれ。

そして願わくば取引に応じて欲しい。

 

潰さないように蟻を踏むのは、力の加減が難しいのだから。




最後の一行が辰房君の本音です。
なにせ殺さずに捕まえて情報を抜くのは確定していますからね。

負傷させたら四番隊にも情報が伝わるし、
そもそも四番隊は席官が裏切っている
ので信用がありません。

ルキア=サンもなぁ。
せめて生存報告くらい自分でしなきゃダメでしょ。
それをしないと職務怠慢だし、自分のミスを
隠蔽しようとしてるって言われても反論はできませんよ? ってお話。
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