オリ設定・オリ展開。嫌いな人は読み飛ばし!
「円乗寺辰房。15歳です」
「そうかい。ご丁寧にどうも。僕は護廷十三隊・八番隊隊長の京楽春水。それでこっちが・・・」
「矢胴丸リサや」
「よ、よろしくお願いします」
十三で死神を育成するための学校である
真央霊術院に入学して二年。
此度俺は目出度く学院を卒業し、就職先の
隊長と副隊長に挨拶をしていた。
え?早い?いや、冷静に考えても見ろ。
俺は現役の死神であり、彼らを鍛える
立場でもあった父親から、直接教えを
受けてたんだぞ?
現役の死神ですら音を上げるような鍛錬を
して来た俺が学院で何を学べと?
あぁいや、死神としての基本だったり
歴史とか技術とかは学んだよ?
だけど実技ではどうしても学生レベルを
凌いでいたし、斬魄刀も比較的簡単に
解放することが出来てしまったこともあり、
他の生徒の劣等感を煽ってしまうと判断
された俺はさっさと飛び級で卒業させ
られてしまったのだ。
6年必要なところを2年で卒業?!
それなんて主人公?!
などと思うこと無かれ。
世の中には俺と同じように2年で学院を
卒業したヤツが居るのだ。
それも五大貴族が一角、志波家の関係者だってんだから驚きだ。
もうソイツが主人公だろ?と思った俺は悪くないはずだ。
だから学院に居たときに八番隊の隊長から
直接スカウトされて配属された俺も
決して特別では無いのだ。
同じ資質を持つ者同士が争えば、勝敗を
分けるのはきっちり基礎を学んだか
否かなのだから。こうして飛び級を
してしまったことはマイナス要素にしか
ならないんじゃないかって勘ぐっている。
しかし、学院を追い出されるように卒業
した以上は働く必要が有るし、京楽隊長は
父親にも根回しをしていて、向こうからは
『しっかり務めを果たせよ!』なんて
言葉を掛けられているので、今更嫌だとは
言えないという事情もあった。
そんなこんなで卒業と同時に就職先が
決まったわけなのだが、八番隊における
俺の境遇は少し、いや少し所ではなく
おかしいと思わざるを得ないものであった。
「それで、あの隊長?」
「うん?どうしたのかな?」
「私が6席ってどういうことでしょうか?」
おかしくない?俺、学校を卒業したばかりの新人っすよ?
「おや?席次が不満なのかい?いやぁ、やる気が有るってのは良いねぇ!」
「違います!」
わざとか?!と言いたくなるような曲解を
された俺は、思わず声を上げてしまう。
「あぁ、アンタの気持ちはわかるで。けどな?
こっちもそん歳で始解を習得した天才を席官に
しないなんてことはできんねや」
「はぁ」
矢胴丸副隊長がそう言ってくるが、
天才と言われてもなぁ。
どう考えても俺個人の才能ではなく、親の
英才教育の賜物としか思えない俺は自身に
過剰な期待を掛けられているように感じてしまうわけでして。
「それにアンタは書類仕事も出来そうやしな」
「そうそう!書類って大事だよねぇ!」
「アンタが言うな!」
なんだ?急にドツキ漫才を始めたぞ?
「・・・えっと」
いきなりの展開にリアクションが取れず
茫然としていたら、矢胴丸副隊長が眼鏡を
かけなおしながら俺に話しかけてくる。
「あぁ、すまんな。隊長がこんなんやから
隊員もこんなんが多くてなぁ。どーしても
真面目に書類仕事が出来るのが欲しかったんよ」
「はぁ」
詳しく話を聞けば、なんでも京楽隊長は仕事が
出来ないわけでは無いが、その性格から結構
仕事を溜め込んでしまう悪癖があるんだとか。
隊長がそんな感じなもんだから、部下の中
にもずぼらな奴が多くなってきており、
矢胴丸副隊長としては、綱紀粛正の意味も
込めて、若造の俺を席官に抜擢したとのことだった。
確かに書類を提出しても受理されないと言う
環境なら、急いで書類を作るような人間は
減ってしまうのは理解できる。
そこで変な癖がついていない俺を働かせる
ことで、他の隊員の尻を叩くつもりだと
言うのも良い。
席官の中には始解を修めていない人も居る
みたいなので、純粋な武力も期待できる。
こう言った事情から俺が特別扱いされる
ことになったんだとか。
・・・ちなみに、俺がもし調子に乗るようだったなら、身の程を教える気満々だったらしい。
確かに死神ってのは武力(暴力)を必要と
する職業だし、軍隊みたいなもんでも有る
んだから、それも過剰では無いとは思う。
また、出動する際の現場は命懸けの戦場
なのだから、上下関係に厳しいのも納得だ。
だけど敢えて言わせてもらおう。
サツバツし過ぎじゃないですかねぇ?!
それに、だ。重要な問題が有るぞ。
「しかし矢胴丸副隊長」
「なんや?」
ギラッした目で「口答えする気か?」って
感じの視線を向けて来る副隊長だが、
これは指摘せねばならんだろうと思った
俺は、思ったことを口に出す。
「俺がいくら真面目にやっても隊長が書類を
受理しない限り状況は好転しないのでは?」
「・・・せやな」
「あはは!リサちゃん、一本取られたねぇ!」
「アンタが言うな!」
頭を抱えた矢胴丸副隊長に京楽隊長が
笑いかけ、またドツキ漫才が始まった。
どうやら俺の職場は俺が思った以上に緩くて賑やかな場所らしい。
俺は内心でやれやれと呟きながらも
噂に聞く十一番隊のような場所じゃ
なくて良かった・・・と心から安堵したのであった。
どうやら時系列は原作開始前(少なくとも100年以上前)らしい。ってお話。