とある侍の漂白剤   作:カツヲ武士

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6話。ことの顛末

「は?リ・・・矢胴丸副隊長を含めた隊長格全員が死亡?」

 

「・・・あぁそうだ」

 

緊急の隊首会から数日後、業務をしながら

リサの帰還を待つ俺に、京楽隊長が今回の

任務に参加したメンバーの顛末を告げて来た。

 

全員死亡。それは確かに有り得ないことではない。

 

なぜなら俺たちは死神だから。

 

警察官であり軍人でもある俺たちは

常に死と隣り合わせの世界にいる。

 

虚を殺す以上、自身が殺されることもあるだろう。

 

それは席官である俺や副隊長であるリサも同じだ。

 

故に任務で死ぬことが有るということは

理解している。

しかし、いくらなんでもこれはおかしいだろう?

 

「隊長格・・・いえ、違いますね。隊長が、

六車隊長を合わせれば隊長が4人ですよ?

4人の隊長が居て全滅ですか?」

 

「・・・そうなるね」

 

有り得ない。

 

俺が最初に思ったのはそれだった。

 

そもそも『隊長格』と『隊長』の間には

確固たる実力差がある。

故に隊長を殺せるなら副隊長である

リサだって殺せるだろう。それはわかる。

 

しかし、だ。もしそのようなことが

出来る虚が居たならば、今頃瀞霊廷

全域に緊急避難勧告が発せられ、

全ての死神に対して出動命令が出るはずだ。

 

それなのに今の瀞霊廷は、何も異常が

無かったかのように整然としている。

 

もしかして虚を殺ったのか?

それとも隊長が相打ちに持ち込んだ?

そう考えるも、それならそれで

隊長と相打ちになるほど強力な虚の

存在は、貴重な情報として我々に

開示されるはずだと思いなおす。

 

つまり敵は虚ではない?

 

虚ではないのに隊長を4人も殺す存在?

それでいて公式発表しない?

 

そんな存在は・・・

 

「もしかして下手人は、死神・・・なんですか?」

 

それも隊長を殺せるレベルとなると

相手も隊長、もしくは実力を隠している

だけで隊長格の実力を持った存在だ。

 

そして倒された方法は奇襲だろう。

 

正面から戦えば4人の隊長を討ち取る

のは至極困難だし、そもそも隊長達が

命懸けで戦うようなら卍解をしているはず。

 

しかし隊長達が卍解した場合の霊圧は

凄まじいので、どれほど遠くで戦って

いたとしても、全く気付かないなんてことはない。

 

それなのに俺はここ数日でそんな

霊圧を感じてはいない。

 

つまり隊長たちは奇襲により万全の

状態では無いところを打ち取られた

と考えるのが自然だろう。

 

それか、斬魄刀による特殊効果で嵌め殺された、か。

 

虚の在り方と同様に、斬魄刀の能力も

単純な物理系から鬼道系・状態異常系

とその在り方は千変万化と言っても

良いからな。

 

初見の敵がいきなり物理反射してくるパターンだってあると考えれば、これも考慮すべきだろう。

 

しかし、今の俺が気にするところは

それではない。

誰がリサを殺したのかってことだ。

 

「殺気が漏れ出てるよ・・・ふぅ。ホント、怖いねぇ」

 

何を言ってやがる。

 

「部下を殺されても、表面上の冷静さを保てる貴方ほどではありませんよ」

 

「言うねぇ」

 

まだ百年程度しか生きてない若造

の俺では、数百年隊長として君臨する

この人の精神性には遠く及ばない。

 

そう。殺気が出るだけ俺は未熟なんだ。

・・・とは言ってもなぁ!

 

「婚約者を殺されて殺気の一つも出さないほど、俺は大人じゃありませんよ」

 

俺も死神だ。任務中に死ぬ覚悟はある。

しかし仇を討たないとは言ってない!

 

「一応言うけど、もう下手人は捕まってるよ」

 

なんだと?ちっ。つまり俺の手で仇は討てないってことか。いや、待て。

 

「捕まった?殺されたではなく?」

 

隊長4人と副隊長3人を殺した下手人を

捕えただと?どうやって?

いや、流石に無傷ではないだろうから、

重傷を負ったところを援軍か何かが

到着すれば捕らえることも出来る?

 

なんか腑に落ちないところもあるが

まずはその下手人について聞くのが先だ。

 

「では、これから下手人は処刑されるのですか?」

 

そうじゃなかったら俺が殺してやるけどなっ!

 

「そうだね。今は中央四六室が裁判中だ」

 

「裁判?あぁなるほど」

 

動機やら隊長達の殺害方法やら何やらを

軒並み吐かせて、数千年投獄をした後に

殺すつもりか。

 

永劫の苦しみを与えてから殺すと考えれば、

そのほうが俺が何かやるよりも相手を

苦しませることが出来る。

 

クソっ。仇を取ってやりたいが、罪の重さを思い知らせるにはそっちの方が良さそうだな。

 

おそらく隊長も俺がここまで考えると

見越して情報を開示してきたんだろう。

 

だからせめてもう一つ、情報を貰おうじゃないか。

 

「で、その下手人の名前は?」

 

そいつが万が一、億が一でも何らかの

恩赦を勝ち取ってシャバに出てきたら

有無を言わさず殺す。

 

どんな司法取引をしていようと、

どんな技術を隠し持っていようと、だ。

 

「下手人として捕まったのは、十二番隊隊長の浦原喜助だよ」

 

「は?」

 

一二番隊隊長だと?やはり隊長が・・・

いや、待て。確か調査隊には猿柿副隊長も

参加していたはずだろう?

 

まさか自分の隊の副隊長ごと殺したってのか?

 

「君の気持ちは分かる。ただ僕たちは後ろではなく前を向かなきゃいけない」

 

呆然とする俺に、京楽隊長は何も言わず

ただ辞令だけを差し出してきた。

 

【円乗寺辰房を八番隊副隊長に任ずる】

 

俺に、リサの、矢胴丸副隊長の代わりとなって京楽隊長を支えろと言うのか。

 

本当なら拒否したい。

 

婚約者を亡くしたのだ。暫くは心の整理を付ける時間が欲しいと思う。

 

だが、今回の件で死んだのは

リサだけではない。

他の隊の隊長や副隊長も死亡した上に

一般の隊士にだって被害が出ている。

 

その穴を埋める為にも、動ける死神は

全力で動く必要があるだろう。

 

それなのにリサを言い訳にして他人の

足を引っ張ることはできない。

 

「謹んでお受けいたします」

 

「・・・そうかい。これからもよろしく頼むよ」

 

「はっ」

 

こうして俺は婚約者を失い、副隊長になったのだった。

 

 

 




人間味が薄い?だって死神だもの。

基本的に死が近い世界ですし、みんな100年以上生きてますからね。
内心ではどう思っても、その辺のお子様みたいに取り乱したりはしないと思うんです。

そんなこんなで副隊長に昇進。
欝な話はさっさと飛ばしたいですなぁってお話。
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