とある侍の漂白剤   作:カツヲ武士

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クリフトぇ……

オリ設定・オリ展開。
嫌いな人は読み飛ばし


9話。ザラキはラスボスに通用しない。

「くらえ!『終撃っ!』」

 

わざわざ声を出すなと言うに・・・

 

「くっ。来たかっ!」

 

攻撃の予兆を教えたことにはなるが、

そもそもあの技は鬼道を纏って体術を

繰り出すだけなので、どこぞの虎殺し

のように『水月だ』とか『側頭部』だのと

言った感じで明確に攻撃箇所を教えない

限りは完全に防ぐのは難しい。

 

「ぐ、ぐわぁぁぁぁぁ!」

 

実際に伊勢の攻撃を防ごうとした相手が、

その攻撃を受けきれずに打撃を喰らって

吹っ飛んでいるのもそのせいだろう。

 

うーむ。たとえテレフォンパンチでも、

相手が対応出来ない速度で殴れば問題

ないのはこうして証明されてるんだから

アレはアレで良い・・・のか?

 

伊勢に霊力を纏って殴りつけると言う技術を教えて早10年。

 

ようやく彼女もあの技術を実戦で使える

レベルで利用できるようになった。

 

最初は何故か肩とか背中の死覇装が弾け

飛んで無駄にお色気を振りまいていたが、

それも今ではしっかりと制御出来ており、

霊力が無駄に外に出ていないのがわかる。

 

しかしなんだな。卓越した鬼道の才能と、

状況把握能力が有る伊勢でさえあんなに

苦労すると言うのは意外だった。

 

やはり死神としての常識が足を引っ張ったのだろう。

 

結局技名を叫ぶことで術式が安定

したので、伊勢はあの技術を使う

際に技名を叫ぶ癖が出来てしまった。

 

今は安定して使えるようになるのが先だと

思ってるから見逃しているが、いずれ

しっかりと矯正してやろうと思っている。

 

あぁ、ちなみに技名は『終撃』にした。

これは元ネタのスベリオ・・・最終の反撃

から取っているのは言うまでもあるまい。

 

そんな曰く付きの技名はともかくとして。

 

技術を習得した伊勢に対して教育役である

俺は、白打と鬼道を重点的に鍛える事に

したんだが・・・そこである死神が接触

して来た。

 

俺としても伊勢に同性の友人が出来るのは

良いことだと思っているので、伊勢と接触

する分には特に反対することは無かったんだがな。

 

どうも向こうの狙いは最初から俺だった

らしく伊勢と仲良くなった後、

その死神が俺に弟子入りを志願してきたんだ。

 

最初は断ろうとしたんだぞ?

 

そもそも俺は剣術の師範であって、

死神としての教師でも何でもないんだからな。

 

だが伊勢から頼まれたことも有り、結局伊勢と一緒に鍛える事になったんだ。

 

その死神の名は、砕蜂。二番隊の第三席だ。

 

この砕蜂の弟子入りの細かい流れを言うならば、

 

まず彼女は斬魄刀の始解は習得済みであり、

爪みたいな形で、活かすには剣術よりも

体術が必要になるような感じの斬魄刀だった。

 

そこで彼女はこれまで大前田副隊長の

下で瞬歩と白打を学んでいたのだが、

最近は大前田副隊長の技量を越えて

しまったようで、色々と行き詰まりを感じていたらしい。

 

そんな中、女性死神協会の会合に

参加した伊勢と話す機会が有って、

なんやかんやで意気投合したんだとか。

 

もっと細かく言えば、元々女性死神協会

の中で、伊勢は俺に虐待されているという

風聞があったらしく、その事で砕蜂が

詳細の確認をしたらしい。

 

で、伊勢としては虐待ではなく、しっかり

と成果が出てる鍛錬だ!と言い張った結果

簡単な手合わせをすることになり、

そこで伊勢が圧勝してしまったわけだ。

 

ここで手合わせになるのが死神が脳筋と言われる所以だと思うが、今はいいか。

 

その際に使われた技術に衝撃を受けた

砕蜂が、俺に師事を頼んできた。

と言う流れだ。

 

ちなみに現在の二番隊は隊長であった

四楓院夜一が逃亡したことで

かなり肩身の狭い立場となっている。

 

そりゃそうだよな。

 

死神の中でも監察や憲兵みたいな役割

である二番隊の責任者が、犯罪者と

駆け落ちしたような状況だ。

 

そりゃ立場も糞も無くなるわ。

 

で、今の二番隊の隊長職は空席となっており、

残された大前田副隊長が隊長の仕事を代行しているようだ。

 

俺としても隊長の仕事の煩雑さは知っているので。大前田副隊長の苦労は分かるつもりだ。

 

故に、胃と頭を痛めながら日々の業務を

行っているであろう彼の負担を減らすこと

になると言うなら、彼女の鍛錬を受け持つ

くらいの協力をすることも吝かでは無い。

 

何より、基本的に危機感が乏しく普段から

温い鍛錬しかしていない死神たちの中で、

しっかりと上を目指して修練する砕蜂に

関心したのも事実だ。

 

四楓院夜一への復讐心がその原動力と

なっていることに、勝手に親近感を

抱いたのも当然無関係ではないがな。

 

それに砕蜂は伊達に二番隊の上位席官ではない。

 

純粋な白打や瞬歩の技術は伊勢よりも

高いから、伊勢にとっても良い刺激に

なるんだ。

 

何せ今のアイツの訓練相手が務まるのは

八番隊では俺と隊長だけだし、その隊長

だって、姪っ子相手だから手を抜いて

しまうから鍛錬にならんのだよ。

 

流石に開幕の終撃で腹をぶち抜かれて倒れる

演技はやりすぎだと思ったが、あれはあれで

伊勢に技の危険性を知らせるには良かった

かもしれん。

 

おかげで砕蜂相手にも手加減出来るように

なったし。

 

全力でぶつかることしか教えて来なかった

俺は、一人の剣士としても教育者としても

まだまだ未熟と言うことだ。

 

そんな未熟者が伊勢や砕蜂と言った

才能豊かな若者を導いて行けるのだろうか?

 

「円乗寺ぃぃ!今日こそ斬らせろやぁ!」

 

内心で自身の未熟さに不安を感じて

いたとき、八番隊の修練場に招かざる

客人が訪れて来た。

 

(また来たか)

 

それは長身で痩躯と言うほどでは無いが、

ある意味理想的に絞られた肉体と、戦闘に

対しての飽くなき渇望を持ち合わせるが、

技術が拙く、死神にありがちな舐めプを

することで自分のポテンシャルの全てを

台無しにしている死神であった。

 

「嫌です」

 

心も技も未熟で、力任せの戦い方しか

できない死神と立ち会っても何の

得も無いことを理解している辰房は、

あっさりと彼からの挑戦を拒否する。

 

「そもそも貴方、弱いじゃないですか。もう少し鍛えてから来てくださいよ」

 

腕力はどうか知らないが、それを活かす技術と精神力がなければ、戦いには勝てない。戦いに勝てないなら弱者だ。

 

弱者と立ち会うくらいなら、刀禅を行い

精神修行したり、精神世界で斬魄刀と

鍛錬をしている方が余程有益じゃないか。

 

こういった理屈から、辰房は目の前の乱入者

に対してまともに取り合う気はなかった。

 

「・・・・・・あ゛?」

 

面と向かって弱者呼ばわりされた死神は

蟀谷に青筋を浮かべて殺意を向ける。

 

その殺意は修練場に居た伊勢が思わず

身構える程で有ったが、しかし辰房に

言わせれば、その行為自体が無駄な

行為でしかない。

 

むしろ「そんなことをするくらいなら無言で斬りかかれ」と言いたいところであった。

 

「なめるなぁ!」

 

殺意を向けられても腕を組んだまま動かない

辰房に、『まるで価値が無い』と言う目を

向けられた死神は、斬魄刀を抜いて斬りかかる。

 

だが舐めてるのはその死神である。

 

崩しも無ければ構えも無い。ただ感情の

ままに斬りかかる姿になんの価値が有ろう?

 

さらに言えば、この死神は始解すら修めて

いないので、この攻撃は正真正銘ただの斬撃だ。

 

故に辰房は始解をせずに彼をあしらうことが出来た。

 

『鏡門』

 

「ぐっ!」

 

内側からの衝撃には弱いと言う弱点を持つが

外部からの攻撃に対して非常に強固な効果を

発揮する結界を作り、死神の斬魄刀に当てる。

 

反射された衝撃でバランスを崩した死神に対し、辰房は躊躇いもなく追撃の一手を放つ。

 

『白伏』

 

「クソっ・・・」

 

意識を強制的に刈り取る術を当てることで、乱入者を昏睡状態に落とす。この間、僅か二秒も経っていない。

 

「馬鹿な!鎧袖一触だと?!」

 

「流石副隊長です!」

 

事の一部始終を見守っていた砕蜂が驚愕し

伊勢が俺を褒めて来る。

しかし、この程度で褒められてもなぁ。

 

心も技も無い獣を、向こうの苦手分野で

あしらっただけの話なので、面と向かって

褒められても微妙な気分にしかならんよ。

 

「わざわざ術名を口にして対処法を

見せてやったんだ。もし今後自分らが

絡まれた場合は、こんな感じで捌けよ?」

 

獣の癖に舐めプする半端者が。せめて教材になってくれ。

 

「はい!」

「は、はい(いや、無理だろ!相手は雑魚では無いのだぞ?!)」

 

 

斬魄刀も抜かずに乱入者をあしらう辰房の

姿を見た伊勢七緒は、頬を赤く染めて返事

をしたのに対し、漸く自分で歩ける程度に

回復した砕蜂は、頬を引きつらせながら

返事をした。

 

 

勢いよく修練場に乱入したものの、

あっさりと撃退された挙げ句、教材

扱いをされることになったこの死神。

 

砕蜂が心の中で叫んだように、彼はただの雑魚ではない。

 

彼こそは始解を使えないにも関わらず、

その規格外の強さを認められて正式に

隊長となった男。

 

その名を更木剣八と言った。

 

十一番隊の隊長であり剣八の名を継いだ男が弱いはずがない。

 

しかし、己を高める為に毒でも喰らうことを厭わない辰房と、戦いを楽しむ為に己を弱体化させることも厭わない更木剣八の相性は、周囲が思っている以上に悪かっただけの話である。




挑発からの物理反射。ピヨッた所に即死魔法。
人修羅やライドウすら殺せるコンボが炸裂です。

超スロースターターのザラキさんを倒すなら、一合目で斬るか、鬼道ですよね。

意図的に自分の力を弱めてる上に、卍解前の主人公にすら負ける状態ではウチの辰房君には勝てませんってお話。

京楽隊長?ハハッ。

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