【完結】産屋敷邸の池に豆腐を落とせば、鬼舞辻無惨を津波が襲う   作:【豆腐の角】

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 今回の話を読むにあたって、メモ用紙を用意することをオススメします。
 何故なら、筆者が(予定通りに)遊んで書いた結果、人間関係が複雑骨折を起こしており、突っ込み所を把握するのが大変だからです(笑)
 しかし、後悔はしていない。
 
 あと、原作を読んでる人なら気付ける程度の伏線が仕込まれています。
 まあ、気付けるじゃろ。
 
 それでは、本編をどうぞ。
 


小波はやがて波へと育つ(柱合会議編)

 昔ながらの風情(ふぜい)(あふ)れる日本家屋。

 その奥の間に、鬼舞辻無惨はいた。

 黒を基本とした着物に身を包んだ姿は惑うことなく()()のものだと言えるが、間違えてはいけない。

 外見はどうあろうと中身は無惨で、元の性別は男である。

 この外見は、屋敷の本来の持ち主を模倣したものだ。

 もちろん、その人物はすでに無惨の腹のなかである。

 

「……む」

 

 無惨の感覚が、増やした鬼が死んだことを告げた。

 ただそれだけなら日常茶飯事の出来事なのだが、今回、無惨の感覚が死を察知した鬼は十二鬼月(じゅうにきづき)の一角である。

 さすがの無惨も顔を(しか)める事態だった。

 

「死んだのは……響凱か」

 

 苛立ちを抑えながら、無惨は死んだ鬼を特定する。

 そして、長々と息を吐き出した。

 

 鬼殺隊にも苛々(いらいら)させられるが、すぐに死んでいく下弦の鬼にも苛々させられる。

 だが、今回の件には(わず)かながら無惨の苛立ちを抑えられる要素が混ざっていた。

 

「まあ、いい。所詮、響凱(やつ)は十二鬼月の下弦。それも末席(最弱)(ろく)だ。最近は人を食べる量も減っていたからな。十二鬼月の面汚しから数字を剥奪する手間が省けたと思えばいいか」

 

 そう言って、無惨は頭の中から死んだ鬼(響凱)のことを消し去った。

 そんな些末なことよりも、研究のほうが大切なのだ。

 十二鬼月の空いた席を埋めるのも、後回しでいいだろう。

 そんなことを考えながら、無惨は三角フラスコの中身をスポイトで吸い上げて、持っていた試験管のなかへと流し込む。

 

 無惨の悲願は太陽光の克服だ。

 そのために必要だと思われる『青い彼岸花』の情報は、(いま)だに噂すら聞こえてこない。

 貿易会社や富豪の(つて)を使って海外からも情報を集めているが、こちらも(かんば)しくなかった。

 その一方で、太陽を克服した鬼の作成も成果が出ていない。

 そればかりか、鬼を作り出しても鬼殺隊に倒されてしまうことも増えてきた。

 無惨が不要と断じた鬼の処分を任せていると考えれば溜飲は下がるが、十二鬼月に手を出されるなら少し考えなければならない。

 

(十二鬼月の上弦は、ここ百年以上は変動していない。それに対して下弦は入れ替わりが激しすぎるな。……いっそのこと、下弦を解体してしまうか?)

 

 これ以上、余計なことに思考を割きたくないと考えた無惨は、次に下弦の鬼が倒されたら下弦の鬼全員を処分することを内心で決めた。

 

 それが実際に実行されたのは、ほんのちょっとだけ先(季節が移り変わるヒマすらなかった)のことである。

 

 ◆◇◆

 

 浅草を離れて数日が経った、ある日のこと。

 珠世らの護衛をしながら移動していた黒死牟のもとに、鎹鴉(かすがいがらす)が一通の手紙を運んで来た。

 差出人の名は産屋敷(うぶやしき)耀哉(かがや)

 最近お馴染みになってきた、鬼殺隊の当主からである。

 

 もしも、この場に(かくし)の後藤がいたら『また勘なんだろ、わかってるよ‼』と言って泣き崩れたかもしれない。

 なお、本当に悪いのは耀哉に神 託(ダイレクトメール)を送りまくる神仏である。

 

 閑話休題

 

 耀哉からの手紙を受け取った黒死牟は、その内容に目を通す。

 なかには、いくつかの驚くべき内容が書かれていた。

 

 まず最初に驚いたのは、浅草で別れた炭治郎が下弦の鬼を討ち取ったという内容だった。

 数名の隊士による合同任務だったらしいが、炭治郎が単独で(くび)を斬ったらしい。

 負傷はしているらしいが、相手が下弦の鬼なら当然である。

 むしろ、普通なら入隊して間もない隊士が斬れるような相手ではないのだ。

 

 炭治郎が戦っている間、累は重傷者の手当てをしていたらしい。

 鬼の棲む家のなかが戦場になったことや血鬼術(けっきじゅつ)の影響もあり、戦闘には加われなかったようだ。

 この戦いで救われた民間人は()()で、現在は累が町まで護衛している、と手紙には書かれていた。

 

 そこまで手紙を読んだ黒死牟は、一旦 顔をあげた。

 

 別れてすぐに下弦の鬼に出会(でくわ)すとは、やはり、炭治郎は鬼殺の定めのもとに生まれてきたのだろうか? 

 もしくは、炭治郎が連れている禰豆子が引き寄せたのかもしれない。

 禰豆子は、耀哉の勘が『助けるべきだ』と判断した子供だ。

 少なくとも、黒死牟はそう考えている。

 そのような存在だからこそ、より強力な鬼を引き寄せ続ける運命にあるのかもしれない。

 

(無惨に始まり、私と累に出会い、二年の時を経て再び無惨を見つけ、珠世殿と出会った。そして此度(こたび)は下弦の鬼か。……改めて考えると、なんとも凄まじき巡り合わせよ)

 

 事の重大さを認識した黒死牟は、累(あて)に『炭治郎の治療が済むまでは、禰豆子を連れて離れた町で待機するように』と手紙を出した。

 禰豆子の存在が強力な鬼を引き寄せるのなら、怪我人と一緒に居させるのは危険だと判断したのだ。

 黒死牟自身も、珠世の護衛が終わったあとに合流できるようにもしておくべきだろう。

 

 次いで、耀哉には『炭治郎に柱を同行させるべきだ』と一筆(したた)めることにしたのだが、その心配は杞憂であったらしい。

 

 耀哉からの手紙を読み進めてみると、炭治郎が呼吸法の基礎技術である『全集中の呼吸・常中』を修めきれていないことを理由に柱には就任させず、代わりに柱の継子にする、と書かれていたのだ。

 どの柱の継子にするかは決めかねているようだが、その判断は正しいものだろう。

 柱の継子になれば、何かしらの事情がない限りは協同で任務にあたることになる。

 ならば、もしも十二鬼月に出会っても、生存できる可能性は高い。

 出会った十二鬼月が上弦の鬼だと不安が残るが、そこは誰がついても同じだろう。

 

 その代わりに問題になると言えば、禰豆子の存在がそうである。

 極々一部に存在が知れているとはいえ、黒死牟と累のことは現在も秘匿されたままだ。

 禰豆子の存在もまた、秘匿するべきだろう。

 

 とは言え、炭治郎は禰豆子と共にあることを望むだろうし、その意を()んだうえで柱の継子にするならば、その辺りの事情を知る者でなくてはならない。

 

 黒死牟はそう考えていたのだが、耀哉の考えは違うようだ。

 何故なら、手紙には『柱合(ちゅうごう)会議に出席してほしい』と書かれていたからである。

 つまり、耀哉は禰豆子の存在だけでなく、黒死牟と累のことも公開するつもりなのだ。

 鬼からの被害者が集まる鬼殺隊の屋台骨が揺らぎかねない案件だが、耀哉は大丈夫だと判断したらしい。

 それが勘によるものかは不明だが、おそらくはそうなのだろう。

 

(もしや、蝶屋敷の一件が予想以上にうまくいっているのか……?)

 

 黒死牟の脳裏に一人の女性の顔が浮かぶ。

 その顔を思い出した黒死牟は、嬉しいような悲しいような、なんとも言えない微妙な顔をした。

 

 気を取り直した黒死牟は、耀哉からの手紙を読み進める。

 すると、その文末にはこう書かれていた。

 

『そろそろ()()殿()を抑えきれなくなってきたから、蝶屋敷に顔を出してくれると助かるなぁ。今、黒死牟殿のすぐそばに手土産(てみやげ)、もとい、ちょうどいい(おとり)、もとい、関心を引ける人物がいるはずだから、いいよね?』

 

 手紙を読んでいた黒死牟は、書かれていた内容に思わず頭を抱える。

 

 確かに、彼女と珠世は()()()()()()()()()だが、現在は特殊な状態なため、一方的なものだと言えるだろう。

 彼女の存在を珠世が知ったとき、どのような反応をするのかは、正直な話、黒死牟にも想像がつかない。

 

 あと、今の彼女には『とある野望』があるようなので、あまり会わせたくないなぁ、というのが黒死牟の本音である。

 

 旧交を温める分には構わないのだ。

 だが、彼女が(かか)げる『とある野望』のせいで、黒死牟自身にとって良からぬ事が起きることがほぼ確定している。

 それを上手く避けることが出来るのか、と不安を感じているのだ。

 

 だが、耀哉がこうして手紙に書いたということは、そうしたほうがいい、ということである。

 産屋敷(うぶやしき)家の直感力を知っているだけあって、避けることは出来そうにない。

 下手に逆らって、物事が悪い方向に流れても困るのだ。

 

 黒死牟は長々とした息を吐き出すと、腹を(くく)ることにした。

 どうせ避けられぬ事態であるならば、意を決して向き合うしかないのだ。

 

「珠世殿……少し……話がある……」

 

 こうして、黒死牟は珠世を連れて産屋敷邸と蝶屋敷に出向くことが決まった。

 幸いだったのは、黒死牟が柱合会議に参加するのは炭治郎の怪我が癒えてからになる、ということだろうか? 

 鬼殺隊に味方する鬼の公開と、炭治郎の継子問題をまとめて議題にあげて、反対する者を煙に巻こうとしているのかもしれない。

 

 何はともあれ、炭治郎が動けるようになるまでの期間を、黒死牟は不安を払拭(ふっしょく)するように鬼殺に精を出すのであった。

 

 なお、鬼にされた男性のこともあり、愈史郎は新たな隠れ家で留守番を任されることになる。

 もちろん、珠世が鬼殺隊の元に行くことには大反対していたが、結局、決定が覆ることはなかった。

 

「珠世様ぁぁぁ‼」

 

 ◆◇◆

 

 某所にある産屋敷邸。

 鬼殺隊の当主たる産屋敷耀哉の住まいであり、柱合会議が開かれる会場でもある。

 ここに来るためには複数人の(かくし)鎹鴉(かすがいがらす)の案内が必要不可欠であり、その人員も定期的に入れ代わるために、位置を特定することはほぼ不可能だ。

 

 なお、耀哉の親友たる後藤は別(だから、なんで俺は別枠なんだよっ‼)である。

 

 産屋敷邸の庭は広さもさることながら、庭師によって風情ある素晴らしい景色が作り出されていた。

 桜や銀杏(いちょう)など、四季によって表情を変える樹木が表情を変える様を楽しめるよう配置されているし、なにより、()()()にはたくさんの鯉が泳いでいる。

 

 そんな庭が、柱合会議に出席する者たちの集合場所だった。

 

 池に架かる石橋を、一人の女性が歩いている。

 蝶の形をした髪留めをした女性は、その長い黒髪を(なび)かせながら上機嫌に鼻唄を歌っていた。

 

 彼女の名は胡蝶カナエ。

 鬼殺隊の最高剣士である『柱』の一人で、『花柱』に就任した女性だ。

 そして、蝶屋敷の実質的な女主人でもある。

 

 彼女が上機嫌な理由はいくつかあるのだが、そのひとつは『月柱の存在を公開すること』が決まったからだった。

 

 胡蝶カナエは柱に就任する以前から、『人と鬼は仲良くなれる』と公言して(はばか)らない狂人である。

 少なくとも、鬼の被害者が集まる鬼殺隊のなかでは、それが彼女に対する認識だった。

 だが、どれだけ鬼を斬り、どれだけ悲惨な現状を見ても、カナエの意思は変わらない。

 その様も合わせて、益々(ますます)狂人であると認識されていったのだ。

 

 しかし、彼女は狂ってなどいない。

 彼女はただ、知っているだけだ。

 鬼に身を(やつ)してなお、人を守るために鬼殺を続ける存在がいることを、知っていただけなのである。

 

 突然ではあるが、胡蝶カナエは普通の人間ではない。

 確かに、彼女は人間の両親から生まれた、純粋な人間ではある。

 だが、彼女は()()()()()を持って生まれてきていた。

 それも、()()()の記憶を持って、である。

 なお、生まれたばかりの彼女に記憶の混乱などなかった。

 何故なら彼女、いや彼女たちは寿命を迎えたあとに辿(たど)り着く場所において、()()()()()()そうなるように仕向けたからである。

 

 もちろん、一部の神仏たちからは危険人物(ヤベィ奴)だと認定されたが、豆腐で悪乗りしていた神仏たちからは『面白くなりそうだからいいじゃん』と軽いノリで了承されていた。

 その結果、不思議な耳飾り(ポ○ラみたいなもの)のチカラで二人の魂はひとつに溶け合い、輪廻の輪へと戻されたのである。

 

「はやく来ないかなぁ、巌勝(みちかつ)様。あなたのカナエが待ってますよぉ?」

 

 そう言って、カナエは花のような笑みを浮かべた。

 

 今生(こんじょう)での名は胡蝶カナエ。

 前世での名は継国(つぎくに)カナエ。

 ならびに、栗花落(つゆり)カナエ。

 

 黒死牟こと『継国巌勝の正妻』と『初代・花柱』の魂と記憶を受け継ぐ彼女は、一日千秋の思いで夫の帰りを待っていた。

 

 ちなみに、そんな彼女が掲げる野望はただひとつ。

 途絶えてしまった『継国家の再興(目指せ、子沢山!)』である。

 

 ◆◇◆

 

(ここの敷居を(また)ぐのも、随分(ずいぶん)と久しぶりだな)

 

 そんなことを考えながら、錆兎(さびと)は産屋敷邸の門を(くぐ)る。

 

 数日前、錆兎は救援要請を受けて駆けつけた場で、下弦の鬼を斬っていた。

 その功績をもって、柱に復帰することが決まったのである。

 

 ちなみに、その救援要請を出したのが炭治郎だったことには驚いた。

 先日、手紙で下弦の鬼(響凱)を斬ったと書いてあっただけに、十二鬼月と連戦しているなど誰が考えるだろうか? 

 運が良いのか、悪いのか、判断しづらい話である。

 

 とにもかくにも、久し振りに参加することになった柱合会議だ。

 その議題のなかには、錆兎の柱再就任に関する話も含まれている。

 

 会場である産屋敷邸の庭に向かうと、すでに幾人かの人影があった。

 そのなかには見知った顔もあれば、見知らぬ顔もある。

 見知らぬ者たちは、錆兎が柱を辞したあとに就任した新たな柱たちだろう。

 ちなみに、錆兎が水柱だったころから柱として活動し、現在も在任しているのは『岩柱』である悲鳴嶼(ひめじま)行冥(ぎょうめい)と『音柱』である宇髄(うずい)天元(てんげん)の二人だけである。

 そのころに比べれば、鬼殺隊の戦力は大幅に増大していると言えた。

 

 錆兎のことには気付いたが、顔を知らない者たちは首をかしげている。

 だからだろうか。

 錆兎のことを知る天元が率先して声をかけた。

 

「よぉ、錆兎! 久し振りじゃねぇか! 下弦の鬼を派手に仕留めたって聞いてるぜ!」

 

「お久し振りです、宇髄さん。相変わらず派手ですね」

 

「元・水柱が再び柱として復帰するとは、とても喜ばしいことだ」

 

「悲鳴嶼さんも、お変わりないようで」

 

 宝石類を身につけた派手な(天元)と、合掌しながら数珠(じゅず)を鳴らす(行冥)が錆兎に挨拶をする。

 それで錆兎が何者なのか理解した者たちが、次々と挨拶にやってきた。

 

 一通りの挨拶が済んだあと、錆兎は一人だけその輪のなかに加わらなかった人物に目を向ける。

 

「久し振りだな、義勇」

 

「錆兎……」

 

 少し離れた位置に突っ立っている親友(義勇)に、錆兎は声をかけた。

 

「水柱として、しっかりとやってるみたいじゃないか。俺は安心したぞ」

 

「大したことじゃない」

 

「ああ。柱ならば皆、当然のようにやっていることだ。だが、だからと言って誰もが出来るわけじゃない。そんなに自分を卑下(ひげ)するな」

 

「ああ」

 

「ところで、真菰(まこも)はどうした? 日輪刀(にちりんとう)が濃い白色に染まったから『(かすみ)の呼吸』を学ぶと言い出したときは驚いたが、あっという間に柱にまでなっていただろう。まだ来ていないのか?」

 

「真菰はもういない」

 

「義勇……お前の言葉が色々と足りていないのは知っているから驚きはしないが、その言い方だと真菰が死んだようにしか聞こえないぞ」

 

 久し振りに会った義勇は相変わらず口下手なのか、色々と言葉が足りていない。

 しかし、それでこそ義勇だと感じる ある種の境地にいる錆兎は気にしなかった。

 義勇のことを知る柱たちは、会話を成立させている錆兎に驚きの視線を向けている。

 その視線だけで、義勇がどういう目で見られているのかを、錆兎は察してしまった。

 

「──で、真菰はどうした?」

 

「真菰さんは少し前に引退しました」

 

 錆兎と義勇の会話に割り込んできたのは、現・霞 柱の(柱就任最短記録が消えた)時透無一郎だ。

 無一郎が言うには、鬼との戦いの最中に逃げ遅れた人を(かば)った際に、脚をやられてしまったらしい。

 

「僕も継子として現場にいたのに、真菰さんに怪我をさせてしまいました……」

 

 そう言って、無一郎は肩を落とした。

 彼なりに責任を感じているらしい。

 

「無一郎……」

 

 錆兎は励ましの言葉をかけようとしたが、その前に無一郎は自力で立ち直った。

 

「だから、()()はとりますっ‼」

 

 ふんすっと荒い鼻息とともに、無一郎は握り拳をつくる。

 勢いに圧された錆兎は戸惑いながらも『そ、そうか。まあ、頑張れ』としか言えなかった。

 無一郎の言う()()がどういう意味を持つのか。

 錆兎がそ れ を(おね×ショタ or ショタ×おね)知るのは、まだ先のことである。 

 

 真菰に関する話が一段落した直後、新たな人影が庭先に現れた。

 全身に刀傷を負った男で、雰囲気からして堅気とは思えない。

 その人物を見て、義勇は言葉の爆弾を投げつけた。

 

「義兄さん」

 

 その瞬間、空気が凍りついた。

 

 錆兎ですら、理解の及ばぬ発言だった。

 誰もなにも発しない時間が過ぎ、やがて、刀傷を負った男の全身に鳥肌が立つ。

 

 そして、空気が()ぜた。

 

「その呼び方は止めろ冨岡ァ‼」

 

 凄まじい怒号が鼓膜を叩く。

 錆兎が耳を押さえて顔を(しか)めていると、事情を知っているらしい女性──胡蝶カナエが二人の関係を説明をしてくれた。

 

「あの人は『風柱』の不死川(しなずがわ)実弥(さねみ)さん。冨岡さんのお姉さんである蔦子(つたこ)さんの旦那さんです」

 

「義勇の姉? ……いやいや。義勇からは死んだと聞かされていたような……?」

 

 錆兎は(あご)に手を当てて、過去の記憶を思い起こそうとする。

 そして、思い出したのは次のような言葉だった。

 

『俺の姉は、幸せになるはずだった未来を鬼によって奪われた。だから、俺は鬼を許さない』

 

 しばし考え、錆兎は自分の思い違いを理解する。

 

「つまり、死んではいないが、幸せになる未来とやらを奪われた?」

 

 錆兎の呟きを聞いたカナエは納得したように手を打った。

 

「蔦子さんは、幼かった冨岡さんを庇って背中に大きな傷を負ってしまったんですよ。それが元で翌日の結婚式は取り止めになって、最終的には結婚の話自体も流れてしまったとか」

 

「ああ、それで『幸せになるはずだった未来を奪われた』という発言に繋がるのか」

 

 錆兎は納得したように腕を組む。

 毎度お騒がせな義勇の口下手だが、解読すると納得がいって気持ちがいい。

 

 なお、そう思えるのは錆兎を含めて極少数である。

 

「義兄さん。おはぎだ」

 

「まずは その呼び名を止めろォ‼ おはぎなんぞ誰が食う……いや、待て。まさか、それは蔦子の手作りか?」

 

「ムフフ……」

 

「チィッ! 蔦子め、冨 岡 に 余 計 な 知 恵(弟と旦那の仲を取り持つ姉 兼 妻の気遣い)をつけさせやがって……って、量が多いな!? さては会議中に皆で食べてもらうつもりで作りやがったな? おい、冨岡ァ。蔦子からだっつって屋敷の使用人に渡してこいィ」

 

「わかった」

 

 義勇がおはぎの詰め込まれた重箱を包んだ風呂敷を片手に庭から出ていく。

 その背中を見ながら、実弥は盛大にため息を吐いた。

 

「……やべェ。蔦子が絡んだときだけ冨岡が何を言いたいのか理解できるようになってきやがった……」

 

「……不死川。お前はきっと、疲れている」

 

 普段のねちっこさをどこかへやった『蛇柱』の伊黒(いぐろ)小芭内(おばない)が、肩を落として落ち込む実弥の肩を叩く。

 なお、小芭内の珍しい様子を見ていた『恋柱』の甘露寺(かんろじ)蜜璃(みつり)がキュンと胸を高鳴らせていたが、残念ながら(小芭内)は気がついていなかった。

 

「限定的とは言え、義勇の言いたいことを理解するとは。なかなかやるな!」

 

「なかなかやるな! じゃねぇんだよォ、おいィ‼ つぅか、そう言うてめェは誰だァ!」

 

 親指を立てる錆兎の姿が(かん)(さわ)ったのだろう。

 実弥は噛みつくように反発する。

 

「落ち着け、不死川。そいつは元・水柱の錆兎だ」

 

「俺も初めて会ったが、なかなか話せる男だぞ! 冨岡の少ない言葉のなかに込められた意味も、しっかりと理解していた! ()()している胡蝶の妹でも解読に苦心しているというのに、よもや、あれほどまで意志の疎通が出来るとは思わなかった! 世の中は広いな!」

 

 そう言って、『炎柱(えんばしら)』の煉獄(れんごく)杏寿郎(きょうじゅろう)は大声で笑う。

 何やら聞き捨てならない内容が含まれていたような気もするが、気のせいだろうか? 

 

「冨岡さんは私の妹と同棲しているんですよ。つまり、未来の義弟ですね」

 

 そう言って、カナエが満面の笑みを浮かべる。

 思ってもみなかった親友の変化に、錆兎は驚いた。

 女性と同棲していることもだが、話を聞くと、告白したのは義勇からだったらしい。

 

 その口説き文句が『毎日、鮭大根を作って欲しい』というのは義勇らしいが、それを蝶屋敷に訪れている人の目がある場所で(今で言う壁ドン! しながら)やったそうだ。

 ちょっと見てみたかったと思った錆兎は悪くない。

 

「派手な告白と言えば、不死川もだろう? 俺は嫁たちから聞かされたクチだが、確か……『傷だらけの男と傷物女で似合いだろうがァ! てめェは黙って俺のところに嫁に来ればいいんだよォ‼』だったか?」

 

「人様の色恋沙汰を話のネタにするのはやめろォ‼」

 

 実弥が顔を真っ赤にして叫ぶが、周りはニヤニヤとしながら見ているだけだ。

 

 ちなみに、蔦子に嫁に来いと言った後日、義勇が(蔦子)の弟だと知った(紹介された)実弥は愕然(がくぜん)としたらしい。

 

 そうしていると義勇が戻ってきた。

 その(かたわ)らには、錆兎もよく知る人物の姿もある。

 

「おお、炭治郎か。怪我は平気か? もう大丈夫なのか?」

 

「あ、錆兎さん! 先日はありがとうございました!」

 

 錆兎の言葉を聞いて、その場にいた全員の視線が(後藤)に背負われた怪我人(炭治郎)に集中する。

 

「あいつが竈門炭治郎か。鬼殺隊に入ってすぐに下弦の鬼を斬るたぁ、派手なことしやがる」

 

「うむ! そのうえ、先日も下弦の鬼に出会っている! あまりにも強い鬼にばかり()いすぎるが故に、お館様が心配なさるのも理解できるな!」

 

 天元と杏寿郎の発言は()()()を除いて、この場にいる者たちの心の内を代弁していた。

 繰り返すが、約一名を除いて、である。

 

「その花札みてぇな耳飾り。……そうか。最終選別で、俺の弟の腕を折りやがったのはてめェかァ! 竈門炭治郎ォ‼」

 

「えぇっ!?」

 

 炭治郎を見て、 実弥 (その約一名)がキレた。

 驚く周囲を余所(よそ)に、肩を怒らせながら歩いてきた実弥は、その手を炭治郎の頭に伸ばし、

 

「──よくやったァ! 誉めてやるゥ‼」

 

 荒々しく撫でた。

 

「えぇ!?」

 

 これには周囲だけでなく、当事者の炭治郎も驚き、次いで困惑する。

 わけがわからない。

 疑問符を浮かべて困惑する周囲を代表して、錆兎は実弥に問いかけた。

 

「弟の腕を折った炭治郎を怒らないのか?」

 

「怒るわけがねぇだろォ? こいつが弟の腕を折ったのは、俺の弟がお館様のご息女に乱暴を働きやがった(殴ったり、髪を引っ掴んだりした)からだァ。お館様のご家族に怪我をさせるような奴は、俺の弟じゃねぇんだよォ‼」

 

 実弥の言葉に、周囲は納得する。

 なお、約一名だけ気まずそうに視線をそらす者(やらかした兄をもつ無一郎)もいたが、そこには誰も気付かなかった。

 

 ◆◇◆

 

 産屋敷邸の室内に場所を移し、柱合会議が始まった。

 最初の議題は錆兎の柱再就任である。

 

「錆兎。君が再び柱として戻ってきてくれたことを嬉しく思う。どうか、これからも人々のために(ちから)を振るっておくれ」

 

「はい! お任せください、お館様!!」

 

 簡単ではあるが、こうして錆兎は再び柱として返り咲いた。

 

 柱としての呼称は『(ぜん)柱』である。

 その由来は『水の呼吸』から派生した、二刀流による呼吸法『漸の呼吸』からとられた名だった。

 漸、という文字を選んだのは錆兎自身だ。

 漢字としては『(ようや)く』や『(すす)む』と読むことができ、意味合いとしては『徐々に進む』というものがある。

 数年間、悩み、苦しみ、迷いながらも歩んできたからこそ、錆兎はこの文字を選んだ。

 そして何より、この『漸』という字には『水』を意味する『さんずい』が使われている。

 水の呼吸を修めた者として、(鱗滝)との繋がりを外したくはなかった、という側面もあった。

 

 錆兎の柱再就任の儀も終わり、会議は次の議題へと移る。

 

「皆、気付いていると思うけど、改めて伝えておこうか。錆兎が柱に復帰したことで、在任している柱の人数が定員の九人を超えた」

 

 その場にいた炭治郎以外の全員が、僅かに頷いた。

 錆兎を柱に再任する話は鎹鴉からの連絡で周知されていたため、どうなるのだろうかと疑問に思っていたのだ。

 

 ちなみに、柱の定員が九名なのは、『柱』という漢字が九画で成り立っているからである。

 

 耀哉(かがや)はやや置いて続きを話し出した。

 

「柱の定員をどうするのか。それについては『柱』という制度を制定した本人に意見を聞こうと思う」

 

「本人、ですか?」

 

 蜜璃が疑問の声をあげると、耀哉は悪戯(いたずら)を仕掛ける子供のような顔をする。

 

「そう。今から三百年ほど前に、バラバラだった鬼狩りたちを纏めて『鬼殺隊』という組織の強固な地盤を作った方を呼んであるんだ。……じゃあ、入ってもらおうかな」

 

 耀哉がそう言うと、(ふすま)のひとつがすっと開いた。

 そこにいたのは、強大な気配を隠しもしない六つ目の鬼だ。

 今の今まで気配を殺していたらしい。

 

「なっ!?」

 

 錆兎の腰が僅かに浮き、刀へと手が伸びる。

 だが、不思議なことに錆兎以外の柱たちは目を見開くばかりで動こうという気配が見えない。

 

「義勇!?」

 

 慌てた錆兎は傍にいた親友へと声をかけるが、当の義勇は『どうした?』とでも言うような目でこちら(錆兎)を見ている。

 

「いや待て義勇! 鬼だぞ鬼! しかも俺が勝てなかった六つ目の鬼だ‼ お前にも話してあっただろうが‼」

 

 錆兎は『思い出せ!』とばかりに話かけるが、義勇はいつもの無表情を崩さず、むしろぼんやりとした様子だ。

 まさか、何かしらの血鬼術(けっきじゅつ)を受けているのか? 

 そう思い至った錆兎は焦る。

 そんな錆兎の焦りなど知らぬとばかりに、義勇はいつもと変わらない様子で口を開いた。

 

「錆兎。月柱の黒死牟殿だ」

 

「んん!?」

 

 義勇の言葉を、錆兎は理解できない。

 まあ、今回の件に関しては仕方のない話でもあるのだが。

 

「あぁ、あれが胡蝶姉が地味に繰り返して言ってた六つ目の鬼か。聞いてた通りの派手な面構えだが、この派手な気配を殺せるとかやべぇな。譜面が完成したとしても一人じゃ勝てる気がしねぇ」

 

 そう言う天元の表情は引き()っている。

 カナエ以外の柱たちも個人差はあるものの、似たようなものだった。

 そんななか、一人だけ皆とは違う行動をする者がいた。

 無一郎である。

 彼は慌てた様子で平伏すると、一礼してから挨拶をした。

 

「お、お久し振りです、ご先祖様!」

 

 ご先祖様? と、事情を知らない者たちの頭上に疑問符が浮かぶ。

 困惑する周囲を余所(よそ)に、無一郎と黒死牟の会話は続く。

 

「無一郎か……元気そうで……なによりだ……有一郎は……息災か……」

 

「は、はい! 今は炎柱のもとで継子をしています!」

 

「そうか……お館様のご家族に……粗相は……なかろうな……」

 

「もちろんです! ご迷惑をお掛けし(あまね様に水をかけて追い返した)たのは、あの一件のみで、あれもぼっ……私の身を案じてのことですし! 兄も反省しています‼」

 

「ならばよい……精進いたせ……」

 

「はい!」

 

 黒死牟との会話が終わると、無一郎はホッと息を吐いた。

 かなり緊張していたらしい。

 

 無一郎との会話が一段落したところで、意外な人物から声があがる。

 その意外な人物とは行冥だった。

 

「黒死牟殿の声には聞き覚えのある。もしや、十年ほど前にお会いしたことはございませんか?」

 

「む……その声は……もしや……寺の住職をしていた……行冥和尚(おしょう)では……」

 

「ああ。やはり、そうでしたか。あの時、黒 死 牟 殿 に(縁壱に渡した笛は)手 作 り し て(うまく音が鳴らなかったから)い た だ い た(ちゃんと作り方を学んだ)尺八は、今でも愛用させていただいております」

 

「そうでしたか……いつかまた……笛の共演でも……」

 

「そうですな。喜んで、お付き合いしましょう」

 

 行冥と黒死牟は(ほが)らかに笑いあう。

 だが、周りの人間は与えられた情報が斜め上すぎて混乱していた。

 

 尺八()仲間だったなんて、誰が予想できるか。

 

 そんな周囲の状況に対して、耀哉は更に畳み掛けるような発言をする。

 

「来てもらったのは黒死牟殿だけじゃないんだ。……紹介しよう。かつて鬼殺隊に所属していた鬼の医者、珠世さんだ」

 

 耀哉の紹介に合わせて、襖の向こうから珠世が現れた。

 彼女はそのまま黒死牟の隣へと座ると、一礼してから挨拶をする。

 

「医者の珠世でございます」

 

 その様子を見てカナエが目を輝かせているが、彼女が何かを言うよりも速く、杏寿郎が笑いだした。

 

「よもやよもや、だ! 煉獄家にある古文書に記された方々にお会いできるとは思わなかった!」

 

「煉獄家には、お二人のことが記された書物が残っていたんですか?」

 

 一時期は継子という師弟関係だったこともある蜜璃が問うと、杏寿郎は『うむ! ただし、保存状態はあまり良いとは言えんがな!』と笑う。

 その発言を聞いて、黒死牟は『日の呼吸を記した書物』の状態を察してしまった。

 

 会話が一段落したと見た耀哉は、オマケとばかりに紹介を続ける。

 

「それと、累と禰豆子だ。あと数名、鬼殺隊に協力してくれる者たちがいるけど、今日、ここに来てもらったのは彼らだけだ。皆、仲良くしてもらえると嬉しいな」

 

 いつの間にやら、黒死牟の隣に座っていた累と、その膝の上にいる禰豆子に視線が向く。

 なぜか禰豆子は小さくなったままだったが、ご満悦な表情を浮かべているため、炭治郎はあえて触れなかった。

 

 さて、ここまで連続して情報を与えられ、混乱するなというのは酷である。

 現れた鬼が一人だけならまだしも、四人も現れたうえに身内と言える柱のなかに接点のある者が次々に現れ、さらには『まだいるよ』と言われれば無理もない。

 

 そんな状況のなか、錆兎は義勇に視線を向ける。

 先程、義勇は黒死牟のことを知っているような発言をした。

 だが、錆兎には知らされていない。

 そして、天元の『胡蝶姉が繰り返して言っていた』という発言は、黒死牟のことは柱のなかでは知られた話である、ということを意味している。

 つまり、引退した真菰も知っている、ということだ。

 

(知らなかったのは、俺だけ……?)

 

 愕然とした錆兎は、ふと、炭治郎を見た。

 柱ではない炭治郎も混乱しているだろうと、そう思ったのである。

 だが、現実は無情だった。

 

「炭治郎は……」

 

「えっと、すみません。知ってました」

 

 炭治郎(ブルータス)、お前もか。

 

 この時の錆兎が受けた衝撃は凄まじかった。

 あまりのことに、錆兎の口から『俺は……嫌われている?』なんて言葉が出てくるくらいには衝撃だったのだ。

 

「落ち着け錆兎。今回の件は派手に間が悪かっただけだぞ」

 

 天元が慰めの言葉をかけるが、錆兎の耳に届いていたのかは謎である。

 

 そんな錆兎に(あわ)れみの視線を向けながら、小芭内は耀哉へと問いかけた。

 いくら鬼殺隊に協力していようが、鬼は鬼である。

 以前から話を聞かされていた(話を聞かなかったら笑顔で威圧された)柱ならまだしも、鬼殺隊の隊士には受け入れがたい話だと思うからだ。

 だが、耀哉は再び悪戯を仕掛ける子供のような顔をして言ったのである。

 

「じつは、以前から蝶屋敷で働いてもらってる方がいるんだ。小芭内は利用することが少なかったから気付かなかったみたいだけど、病棟にお世話になったことがある隊士は皆、察していたようだよ? ねぇ、実弥」

 

 耀哉の言葉に、実弥の肩が僅かに跳ねた。

 

 なお、柱が怪我をすることは稀である。

 

 とくに鬼殺隊最強と(もく)される行冥と、技巧派の義勇と小芭内は怪我をすることが極端に少ない。

 杏寿郎は実家である煉獄家に()()()()()がいることもあり、 医者 と 介護人 を 兼ねた者 (人並み外れて辛抱の利く体だと自認する家系)が常駐している。

 そのため、怪我をしても蝶屋敷には行く必要がないのだ。

 ほかの柱も似たようなもので、例え怪我をしても擦り傷程度なので、蝶屋敷に行ったことのある者は少なかった。

 

 蝶屋敷の病室や処置室にまで行ったことがある柱は、しのぶと交流のあった義勇と、刀傷の絶えない実弥くらいだろうか? 

 あとの柱は屋敷の使用人に頼めばこと足りるので、蝶屋敷の近くには寄っても、屋敷のなかにまで入っていく必要がなかったのである。

 

 ちょっとした例外は、蝶屋敷で開かれる女子会に参加している蜜璃だったが、彼女はあまり気にしてなかったらしい(周りが気にしてないから大丈夫だと思ってた)

 耀哉が公表した今でも、彼女は『そっか、おばさまのことかぁ』と呑気(のんき)に構えている。

 鬼に対する恨みの無さが、蜜璃の態度に現れていた。

 

「蝶屋敷に鬼が? ……どういうことだ、胡蝶、不死川」

 

 小芭内が鋭い視線を向ける。

 だが、カナエはさらりと受け流して言った。

 

「すべてはお館様と相談して決めたことです」

 

 なお、蝶屋敷に鬼を受け入れた背景には表 向 き な 理 由(人を食べない鬼という存在の証明)の他に彼女の掲げる『野望』が関わっているなど、おくびにも出さない。

 

 場の緊張感が高まるが、それは行冥が手を叩いたことで霧散する。

 

「話が大きくずれている。議題は柱の定員に関するものであったはずだ」

 

 蝶屋敷に鬼がいるのは問題だが、月柱の件やお館様の了承がある以上、今は黙認しろ、と言外に言っているらしい。

 

「そうだったね、行冥。場を混乱させてしまってすまない。……じゃあ、黒死牟殿から何かあるかな?」

 

 耀哉から水を向けられ、黒死牟は頷いた。

 

 なお、何故か柱合会議に毎回のように同席させられる後藤が『いや、混乱させたのはオメェだろ』という視線を耀哉に送っていたのは余談である。

 

「柱の定員数は……『柱』という文字の……画数が九画だという……それ以上の意味は……ありません……財政的な不安がない限り……定員数を増やすことに……問題はないでしょう……」

 

「なるほど。それなら、何名まで増やそうかな?」

 

 耀哉に問われ、黒死牟は悩んだ。

 例え柱の定員を倍にしても、その地位に相応しい人材が居なければ無意味である。

 増やすにしても、その上限はそこまで多くは出来ないだろう。

 ならば、『柱』の画数を定員数にしたように、理由のある上限を設けるべきだ。

 

屋敷(お館様)を支えるべき()……故に……最高剣士の地位を……『柱』と定めたのが……そもそもの始まり……ならば……『支える』という字を足して……『支柱』……支という文字は……四画ですので……増やす上限は……四名で如何(いかが)でしょうか……」

 

「なるほど。誰か、意見のある子はいるかい?」

 

 黒死牟の発言を聞いた耀哉は、今度は柱たちに意見を求める。

 すると、カナエが手を挙げた。

 

「私の妹であり、継子である胡蝶しのぶは鬼の(くび)は斬れませんが、独自に開発した毒を(もっ)て下弦の鬼を一体討伐しています。今までは柱の定員ということで継子のままでしたが、定員数の上限を上げるのなら、柱に昇格させていただけないでしょうか?」

 

「そうだったね。なら、しのぶを柱に昇格させることにしよう。屋敷はどうしようかな?」

 

「屋敷に関しては、蝶屋敷を増築する形のほうが何かと便利だと思います。何より、しのぶには任務より研究のほうを優先してほしいのです。柱に推薦するのも、研究の資金的な理由が強いので……」

 

「なるほどね。任務については錆兎や黒死牟殿たちが加わる予定だから、問題はないかな? それで、しのぶ以外に条件を満たしている子は居たかな?」

 

「鬼を五十体以上討伐した、という条件でなら該当者は多数います。……ですが、十二鬼月と戦えるのか? と言われると、誰も彼もが少々実力不足かと」

 

 行冥が数珠を擦り合わせながら報告する。

 耀哉は『そうか』と残念そうに呟くが、下手な人物を柱に昇格させるわけにもいかない。

 柱の任務は平隊士のそれとは危険度が違う。

 実力の伴わぬ者をあてても、すぐに命を落とすのが目に見えるほどに危ない話が多いのだ。

 

 柱の定員数と昇格についての話が一段落した時、(おもむろ)に珠世が手を挙げる。

 

「柱の皆様にお願いしたいことがあります」

 

 そう前置きして始まった珠世の話は、それを聞いていた全員に少なくない衝撃を与えた。

 珠世が長い年月をかけて研究している、鬼を人間に戻す薬。

 眉唾物(まゆつばもの)とも言える話だが、禰豆子のことにまで話が及ぶと、全員の表情が変わった。

 何故なら、禰豆子の血鬼術は鬼に由来するものだけを焼き尽くす、親殺しとも言える代物だったからだ。

 上手くすれば、人を鬼に変化させる『無惨の血』だけを殺し、人間の部分だけを残すことも出来るかもしれない。

 そのうえで、禰豆子自身の体質変化も(いちじる)しい。

 このまま変化していけば、より安全な形で人間に戻れる薬を作れるかもしれない。

 

「もし、人間に戻れる薬が作れなくても、現在の禰豆子さんの血鬼術は、無惨に有効打を与えることが出来ると思われます。血の研究が進めば、彼女の血鬼術以外にも『親殺し』が出来る薬が作れる可能性もあるのです」

 

 無惨の討伐は鬼殺隊の悲願だ。

 そして、珠世からの依頼は『無惨に近い血を持つ鬼の血液採取』である。

 要は『十二鬼月を見つけたら、討伐するついでに血を採取してほしい』ということなので、鬼殺隊としてやることは変わらないのだ。

 柱ほどの実力者たちなら難しい話ではない以上、依頼を断る必要はない。

 

 珠世から採血用の短刀が各々(それぞれ)に配られ、会議の議題は次へと移る。

 

 その後、柱合会議は夕刻まで続けられた。

 鬼殺隊にとって転換期と言える会議は、日暮れを迎えることで幕を閉じたのである。

 

 ◆◇◆

 

 大正こそこそ噂話(壱)

 

 胡蝶カナエ

 

 あの世に逝った継国カナエと栗花落カナエの魂がポ○ラ合体して生まれたのが胡蝶カナエという、とんでもない設定のもとに生まれた女傑(じょけつ)

 そんな存在がいたら、鬼が来ても怖くない。

 おかげさまで、ご両親は健在で蝶屋敷で薬師をしてる。

 

 前世の記憶とか継国家の再興とか家族にはちゃんと話してあるうえに、了承済み。

 鬼ぃちゃんに逃げ場はない。

 

 蝶屋敷や任務先で共に働いた隊士に布教活動していたのも、堂々と鬼ぃちゃんを迎え入れるため。

 着々と地盤は固まっている。

 おかげで実弥と炭治郎は楽が出来た。

 ただし、代償(?)として二人の母親が狙われることに……。

 

 継国家の血筋を増やすために側室候補を集めている。

 とくに、未亡人(葵枝さん)とか旦那さんに恵まれなかった奥様(不死川家の母親とか○○家の母親)とかが狙い目。

 鬼ぃちゃんはそのうち『人妻殺し(キラー)』と呼ばれるだろうね。

 

 お(いたわ)しや、兄上……(棒読み)

 

 最近では(しのび)の奥様友達から『“吉”の付く花街にいい感じの(花魁)がいたけど、見に来てみる?』とか連絡を受けた。

 そのうち、(かくし)の姿で調査に乗り出す予定。

 

 

 

 大正こそこそ噂話(弐)

 

 元・霞柱 真菰

 

 手鬼のいない最終選別からは無事に帰ってきた。

 ただ、真新しい日輪刀を握ったら濃い白色に染まって吃驚(びっくり)する。

 青くなると思ってたから、予想と違って愕然とした。

 師である左近次からは『適性が低い呼吸法にこだわって死ぬよりも、適性の高い呼吸を学んで生きてほしい』と説得される。

 なので、呼吸法を学び直した。

 適性が高いだけあって、あっさりと覚えて霞柱にまで登り詰める。

 

 そのうち、時透真菰になる予定。

 

 ちなみに、キメツ学園物語の設定の影響を受けて、黒死牟と行冥の楽器仲間に数えられている。

 

 

 

 大正こそこそ噂話(参)

 

 霞柱 時透無一郎

 

 霞柱に真菰が在任してたので、柱就任最速記録は(つゆ)と消えた。

 その代わりに運命の人を見つける。

 継子になって行動を共にしてたら惚れていた。

 年上のお姉さんが醸し出す色気と()()に惹かれたわけではない。

 

 無一郎

(心頭滅却、煩悩退散! 真菰さんを変な目で見ちゃだめだ……っ‼)

 

 真菰

(顔を真っ赤にしてる無一郎も可愛いなぁ。そうだよね、男の子だもんねぇ)

 

 怪我をした真菰が引退を表明したあとに、精一杯背伸びをして告白する。

 告白の内容が胸中の琴線に触れたらしく、真菰にひとしきり笑われたあとに受け入れられた。

 

 無一郎

「真菰さん! 僕の子供を産んでください‼」

 

 真菰

「ん、いいよ。無一郎の子供、産んであげる」

 

 現在は霞屋敷にて同居中。

 

 

 

 大正こそこそ噂話(肆)

 

 風柱 不死川実弥

 

 本来なら炭治郎が歩むはずだった道を代わりに歩み、柱にまで上り詰めた男。

 炭治郎とは違い、鬼をつれて任務をしていたわけではないので、蛇柱が話を知らないのも無理はない。

 

 ちなみに、鬼にされてしまったのは原作通りに母親。

 禰豆子と同じような形で飢餓状態を克服している。

 

 要は、花柱の狂人じみた思想の拡散と不死川家の奮闘があったからこそ、現在の鬼殺隊は『人を襲わない鬼』に関して原作よりも寛容になっているのだ、ということ。

 

 その代償(?)として、不死川家の母親は花柱に(側室候補として)狙われることになった。

 

 弟との確執はあるようで、じつはない。

 詳しくは次回の更新で。

 

 本作での実弥は既婚者。

 

 蝶屋敷に傷の縫合に来て、たまに世話をしてくれたのが蔦子だった。

 ほかに縫合の出来る子は、一部を除いて実弥の外見を怖がって近付いてこないから仕方ない。

 何回か会ううちに普通に話すようになった。

 

 この時点でお互いに気になっていた模様。

 

 任務で蔦子が元々住んでいた地域に行った際に、蔦子の過去を知ってブチキレる。

 帰って早々、蔦子に突貫し、なんやかんやあって最終的には押し倒した。

 無理強いは良くないと叱られたが、そうでもしないと蔦子は踏ん切りがつかなかったろうとも言われて、最終的にはよくやったと誉められる。

 

 後日、蔦子から『弟の義勇です』と紹介されて愕然とした。

 

 実弥

「なん……だと……?」

 

 現在は風屋敷にて同居中。

 

 

 

 大正こそこそ噂話(伍)

 

 不死川蔦子 (旧姓・冨岡)

 

 水柱・冨岡義勇の姉。

 結婚直前に鬼に襲われ、当時の水柱に助けられた。

 その際に背中に大きな傷を負い、それが元で結婚の話が流れる。

 ただ結婚の話が流れただけならよかったのだろうが、そこまでの流れが悪すぎた。

 

 蔦子は町でも評判の美人であり、結婚の相手も家柄と顔のいいお坊ちゃん。

 そういった事情もあり、元々嫉妬していた者たちが悪意のある噂を流した。

 例をあげると『蔦子の傷は野盗によるもので、女性としても傷物にされたらしい』といった感じのもの。

 そういった噂に尾ひれや背びれ、胸びれがついて泳ぎ回った結果、愛し愛されていたはずの男性には『外聞が悪い』と捨てられ、周囲からは好奇と悪意、さらにはねっとりとした嫌な視線を向けられ、身の危険すら感じた蔦子は住み慣れた土地を離れることになった。

 

 その際に負った心の傷は深く、人間不信と恋愛恐怖症を(わずら)っている。

 

 年齢的にも行き遅れになりそうな頃に実弥に出会い、傷の縫合やら雨のなかで子犬を拾ったりやら、色々あってお互いに惹かれていく。

 

 とくにアニマルセラピー(義勇は動物が苦手だから縁がなかった)は効果があった模様。

 

 その後、蔦子の過去を知ってブチキレた実弥が『俺が幸せにしてやらぁ‼』と襲来。

 人間不信やら恐怖心で作られた心の壁(A.T.フィールド)を暴風の(ごと)く吹き飛ばして、身も心も丸裸(意味深)にされた。

 蔦子の(身体)の深い所に届く言葉(日輪刀)と熱い思い(意味深)を受けて、最終的には(日没から日の出まで)耳元で愛の言葉を囁かれて承諾(屈服)する。

 

 さすがはスケベ柱。

 やることがスケベですね。

 

 蔦子

「年下の子に押し倒された挙げ句、あんなに滅茶苦茶にされるなんて……!」

 

 実弥

「うるせェ! 幸せにしてやるから、黙って俺について来いィ‼」

 

 ?? 

「無理()いは良くない。だけど、よくやった! さすがは私の息子!」

 

 義勇

(姉さんを捨てた男よりマシだし、本人も幸せそうだからいいか)

 

 現在は風屋敷と蝶屋敷を行き来する生活をしながら、旦那と弟の仲を取り持とうと奮闘中。

 

 

 

 ◆◇◆

 

 

 

 大正こそこそオマケ話

 

 しのぶ

(うぅ……新型の顕微鏡が高すぎる……お給金で買えなくはないけど、それをするとほかに手が出なくなるし……)

 

 義勇

「……」(鮭大根食べた帰り)

 

【数日後】

 

 しのぶ

「え!? これをくれるんですか!?」(困惑)

 

 義勇

「(姉が蝶屋敷で)世話になってるからな」

 

 しのぶ

(蝶屋敷では見たことない人だけど、鬼殺隊の人みたいだから貰っても大丈夫かな? ──はっ! ま、まさか! 姉さんに近付くために私から懐柔しようとしてる? 『将を射んと欲するならば、まずは馬を射よ』って言うし……させるものですか! 私の実験に付き合わせて、姉さんには近付けさせないようにしてやる! これなら一石二鳥でしょ‼)

 

【数日後】

 

 しのぶ

「冨岡さん、冨岡さん! 新しい薬が出来たんで、試しに行きたいんです! 付き合ってくれますよね!?」

 

【数日後】

 

 しのぶ

「冨岡さん、冨岡さん! また新しい薬が出来たんで──」

 

【数日後】

 

 しのぶ

「冨岡さん、冨岡さん! また──」

 

【数日後】

 

 しのぶ

「冨岡さん、冨岡さん──」

 

【数日後】

 

 しのぶ

「冨岡さん──」

 

 ………………。

 …………。

 ……。

 

 カナエ

「うちの妹がごめんなさいねぇ」

(鮭大根を出す)

 

 義勇

「(鮭大根が食べれるから)別にいい」

 

 しのぶ

「(姉さんとの距離が近い気がする……)」

(ムカムカ)

 

【数日後】

 

 しのぶ

「やった……毒で下弦の鬼を倒したぁ‼」

 

【帰宅後】

 

 しのぶ

(下弦の鬼を倒せる毒が完成したのは、冨岡さんの協力あってこそよねぇ……よし、お祝いってことでどこかに食事にでも──)

 

 蔦子と話す義勇(いつもより柔かな表情)

 

 しのぶ

「──!」(心臓が跳ねあがる)

 

 蔦子と話す義勇(笑顔)

 

 しのぶ

「──!!」(落雷が落ちたような衝撃を受ける)

 

 しのぶ、その場を逃げ出す。

 

 しのぶ

(うわぁ……! なんで逃げ出したの私! なんで逃げ出したの私!? 冨岡さんは姉さんに近付く悪い虫! そうでしょ!? ああ、いや、さっきのあれを見ると、本命は蔦子さんだった? ああ、もう! この際、どっちでもいいわ! どう足掻いても現状は変わらないしっ‼ あぁ……! 冨岡さんを遠ざける役をしてたはずの私が、逆に惹かれてたなんてぇ……‼ 一生の不覚にもほどがあるしょう‼)

 ↑自己分析が得意な子

 

 カナエ

「あらあら、しのぶ。どうしたの?」

 

 しのぶ

「うわぁん! 姉さぁん!! 斯々(かくかく)然々(しかじか)ぁ‼」

(大泣き)

 

 カナエ

「そっかぁ、しのぶも恋しちゃったのねぇ」

(事情を知るからこその微笑ましげな笑顔)

 

 しのぶ

「笑い事じゃないのにぃ……!」(涙目)

 

 カナエ

「そうねぇ……それなら、まずは今までの御礼も兼ねて、しのぶが鮭大根を手作りしてあげればいいじゃない。そこから様子を見ましょう!」

(満面の笑み)

 

【少し時間を戻して蔦子と義勇の会話】

 

 蔦子

「最近しのぶちゃんと居ることが多いけど、どんな感じかしら?」

 

 義勇 

「(鬼殺を頑張る)良い娘だと思う」

(しのぶの見た、いつもより柔らかい表情)

 

 蔦子

「あら、義勇がそんな顔をするなんて珍しいわね。義勇にも春が来たのかしら?」

 

 義勇

「?」

 

 蔦子

「……これは自覚も何もないのかしら?」

 

 義勇

「(姉さんが言いたいことが)よくわからない。けど……」

 

 蔦子

「けど?」

 

 義勇

「(一緒にいるのは)嫌じゃない」

(しのぶが見た笑顔)

 

 蔦子

「あらまあ……」(吃驚(びっくり)してる)

 

 義勇

「?」

 

 蔦子

「義勇。絶対にしのぶちゃんを手離しちゃ駄目よ? ほかの男になんて渡しちゃ駄目なんだからね!」

 

 義勇

「……どうすればいい?」

(しのぶが他の男といる場面を想像して嫌だった)

 

 蔦子

「そうねぇ……なら、こういうのはどうかしら?」

 

【数日後】

 

 しのぶ

「あの、冨岡さん。今までの御礼を兼ねて鮭大根を作ってみたんですけど……」(もじもじ)

 

 義勇

「そうか」(微妙に表情が明るくなる)

 

【食後】

 

 義勇

「ひとつ、大事な話がある」(しのぶに近付く)

 

 しのぶ

「ひゃい!?」

(顔を真っ赤にして壁際まで後退(あとずさ)る)

 

 義勇

「? ……なぜ逃げる?」

 

 しのぶ

「にっ逃げてません! 冨岡さんが近いだけです‼」

(顔真っ赤)

 

 義勇

「(話が出来ないから)逃げるな」

(壁ドン開始)

 

 しのぶ

「──っ‼」(顔真っ赤&お目々ぐるぐる)

 

 義勇

「俺のために毎日、鮭大根を作ってくれないか?」

 

 しのぶ

「あっ? えっと? えぇ?」(大混乱)

 

 義勇

「……嫌か?」(吐息がかかる距離)

 

 ざわつく食堂、見守る周囲。

 影から応援する姉二人。

 

 しのぶ

「わ……わかりましたよ! 作ればいいんでしょ! 作れば‼」

 

 義勇

「? 何を怒っている?」

 

 しのぶ

「こんな事されたら私っ! もう冨岡さんのところにお嫁に行くしかないじゃないですかぁ‼」

 

 義勇

「嫌なのか?」(素)

 

 しのぶ

「嫌じゃないですよ馬鹿ぁ! 冨岡さんの馬鹿ぁ‼」

(嬉し恥ずかし大泣き)

 

 




 
 今回は普段より割り増しのツッコミ所満載でお送りしました。
 読んでくださってありがとうございます!
 
 豆腐の影響で鬼殺隊の隊士全員、精神的に余裕のある人が多くなっています。
 おかげで春が来る人の多いこと(笑)

 不死川家の母ちゃん、名前をどうしよう()
 
 オマケ話は両親と姉が死んでないから、原作の胡蝶しのぶより感情の起伏が激しいのだ! という感じの話。
 
 初めてジャンプ作品以外のネタを入れてしまった気がする()
 しかし、心の壁って言ったらあれくらいしか浮かばなかったのだよ……スマヌ。
 
 次回は『蝶屋敷編』の予定。
 
 よろしければ、またお願いします。
 

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