『人狼』
『狼が二足歩行したような姿であり、その大きさは人より一回り大きい。力は強く、魔法も扱うことがある。
はぁー、どっかの御伽話で見た気がするなぁ? だが残念ながら、コイツのルーツも古代の魔導士が絡んでる。やはりと言うべきか、そいつらも不老不死を求めてこうなっちまったらしい。
知り合いのエルフが言ってたんだがな、あの人狼が死んでも、その魂は残って、それがまた別の狼を捕まえて、そして人狼に化ける。っつー説があるらしい。
いや分かるぜ? 長く生きたいってのはな。
でも獣の身体を使って長生きしようだなんて、相当の動物好きじゃねえと出来ねえぞ?』
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この常闇の森で1番の脅威といえば、人狼である。
人型の狼というその名称通りの容姿であり、それに相応しく人間を大きく上回る身体能力を持つ。
しかも、それなりの知能もある。
故に……。
「奇襲!」
背後で大きく膨れ上がる魔力の感覚に、俺はレイナを退けて石礫を受ける。
その1つ1つは親指程の大きさだが、侮れない。
「くっ……」
石飛礫の数は、この一瞬で見えたので6個程。速度は人の手で投げて出せるぐらいか。
そう、敵は土属性の魔法を扱う。勿論、その攻撃が有効なタイミングで、的確に。
こうして後方から攻撃を仕掛けるのは、本能というより戦略という所に近いのだろう。
「いつっつ……。盾で受けても痛いっての、もう」
これならもう少し上等な盾が欲しかった。
下手な大きさになると近接戦闘で邪魔になりかねないが、この状況では望まずにはいられない。
痺れそうな腕を軽く振って、感覚を取り戻す。
その脇で、レイナが魔力を練り上げる。それの発動までに、俺たちは敵の姿を確認した。
この敵は細い。しかし決して非力ではない。魔素の影響により、細い筋肉はそれでも大きな力を発揮する。
幸運な事に、この一撃を防いだ事に動揺しているのか、俺たちをじっと見るだけで攻撃する様子はない。
「『ボルトミサイル』」
雷属性の追尾魔法。
この世界において、属性毎の相性は存在しない。
しかし、属性毎に持つ特性が、特定のモンスターへ有効だとされることは珍しくない。
レイナが詠唱を完了させて放った魔法は、紫電の軌道を3つ描いて敵に迫る。
それに続き、俺も突撃する。
「ウグァアア!」
俺でも捕らえられるか分からない速度で、ミサイルを回避しようとするが、高い追尾能力と弾速を持つこの魔法が逃すことは滅多に無い。
3歩走っているうちに着弾、次の歩を踏むまでに後の2つも着弾。また2歩進み、後の1歩で大きく踏み込み、
「ッハァ!」
一振り。そして斬り返しでもう一振り。足の根元を狙った斬撃を放つ。
ボルトミサイルによって動きが鈍った所に、俺の刃は問題なく敵を斬った。
雷属性の魔法は、一般的な生物に対してのスタン効果が高い。勿論障壁や耐雷属性装備などで防がれたならば効果が無力化あるいは軽減されるが、人狼にその力はない。
ただ、基本的にはスタンは短時間にのみ効果を発揮する。
俺の攻撃の後、人狼が動きだす。
その初動は、俺を狙った腕の振り下ろし。
「流す……っ!」
こいつの重い攻撃は、まともに受けたら死ぬ。盾越しでもそれは少ししか変わらない。「死ぬ」が「最悪死ぬ」に変わるだけだ。
盾で受ければ腕諸共叩き折られる可能性があり、実際は死にかけると言うのが正しい。この場合次の攻撃につながる隙を生むから実質死ぬ。
だから流す。避けれれば良いけど、無理に姿勢を逸らしたらバランスを崩すから、崩さない程度の軽い回避の動作に、受け流しの動作を交える。
「ガァ!」
「こう!」
上手く行った!
鋭い爪を伴う腕が振り下ろされる所を、やや斜めに盾を構えて、受けた瞬間に横へ力を加えた。
腕が痺れるような感覚は残るが、十分うまい受け流しだ。
システムやスキルの加護があるとは言え、素人の俺がここまでやれるなんて!
感動を覚えつつも、敵の攻撃後の隙を使って距離を取る。
互いの間合いから離れ、少しの睨み合い。
そこへ割り込んだのは、俺の後ろで詠唱を再開していたレイナだった。
「『アイスジャベリン』」
「ギャン!」
突き刺さる魔法に伴って、再び前へ踏み込み、腹の辺りを横薙ぎに切り裂く。手応えは深く、改めて見るとレイナの放ったジャベリンは胸を貫いていた。
急所の心臓にまで届いていたのだろうか。敵は胸に刺さるそれを引き抜こうとして……そのまま後ろへ倒れた。
「……よし、消えた」
「はあぁぁ……ちょっと疲れました」
「ちょっと2発魔法を撃っただけじゃないの?」
「戦闘の緊張感は何時になっても慣れませんよ……。それにこれで5体目です」
それは、まあ分かるかもしれない。
俺に関しては一種の興奮状態に入るから、戦闘中はそこまで気にはならないのだが。
『スキル「受け流し」を習得しました』
『スキル「盾術」を習得しました』
『スキル「剣術」のスキルレベルが上昇しました』
「っとと、一気に来た」
戦闘中は通知も息を潜めるからな。戦闘中で成長したら終了後に一気に来るのだ。
これで5戦目だが、ようやく習得出来たのは受け流しと盾術。2つともこの森へ入って1戦目から使っていた技術だ。
「魔石は……あった、回収っと。そうだレイナ、お陰さまでスキル習得したよ。『受け流し』と『盾術』」
「逆にスキルもないのによく出来ましたよね。もしかして似たゲームを以前やってたりしませんか?」
「残念ながらこれが最初なんだよね」
「あ、そういえば会って直ぐにそう言ってましたっけ」
……確かに言ったな。
それにしても、彼女の言う通り俺の戦闘技術は数字以上である。俺が現実で武術を習っていれば自然なことなのだろうが、あいにくとそんなのは習ってない。
ゲームで見かけた戦術を見様見真似するぐらいか。
「私も驚きだよ。いや、大魔法使いだからある意味当然かも」
「はいはい大魔法使い大魔法使い。というか魔法関係ないですよね?」
まあそりゃそうだが。
「それで……そろそろ見えるんじゃない?」
「はい。……依頼されている魔花が群生している一帯は、木が滅多に生えないそうです。日が出ていたら太陽光が降り注いでるでしょうね」
「ランタン消したら光が見えたりしないかな?」
思いつきの提案だったが、レイナがなるほどと頷いた。彼女としても有効だと思えるらしい。
「1回やってみますか」
「そうだね」
物は試しだ。2人揃ってランタンのツマミを回して光量を下げる。
魔素による影響の一種か、木々の枝から垂れる木の実が所々光っている。光源として利用するにはこれの2000倍程欲しい所だが、完全な漆黒では流石に目立つ。
僅かな光がポツポツとみえる森の中、ある方向に赤く滲んだ光が見えた。
「……あ、見えた。あっちだね」
「夕陽の赤い光ですね。見つけられてよかったです。あそこで必要量を採ったら帰りますか」
「うん。……ところで、あの実ってなんなんだろう? 暗闇でぼんやりと光ってたけど」
ランタンの光を再び明るくして、見定めた目的地に向かって歩き始める。
暗闇の中で微かに光っていたあの木の実は、俺の目が狂っていなければこぶし大ぐらいの大きさだった。
「確か資料にこれの絵が載ってましたね」
「え、それ知らないんだけど」
「だってケイさんモンスターと魔花の項目とちょっとしか見てないじゃないですか」
……確かに、関係なさそうな所は飛ばした気がする。
「あの実には魔力が豊富に含まれてますが、魔素の濃度が高くないと、その魔力は霧散してしまいます」
「あ、じゃあ持ち出しても使えないんだ」
「一応少しは残るので、幾らか集めて凝縮すれば、魔力回復ポーションとして精製できます。こっちのポーションは魔花製と違って、やや酸っぱめのリンゴ味で美味しいんですよ。魔花と違って、持って変えるには嵩張りますが」
「酸っぱめリンゴ味……」
そのうちコーラ味のポーションが出るのだろうか。
俺は期待しないが、怖いもの見たさはある。でも見るだけ、飲もうという気がしない。
「採っていくのは納品分と私達で使う素材分で良いでしょう」
「わかった……お、明るい」
魔花の群生地に足を踏み入れると、太陽の光が地面に降り注ぐ──と言っても今は夕陽で斜めになっていて、地面にまで届いている所は少ない──程度の広い所に出る。
足元はどこも魔花で満ちていて、足の踏み場に迷う程だ。
「なんというか……綺麗を通り越して、若干気持ち悪いね」
「妙な深みのある紫色ですよね。これが沢山集まってると、ちょっとおどろおどろしいです」
地面に向かって垂れ下がる花弁と、そこから垂れる複数のヒゲのような物。
特徴的すぎて間違えようが無いぐらい、それが放つ雰囲気は独特だった。
どれも資料通りの見た目だし、識別する知識も無い俺が採集しても、恐らく問題ない。
レイナの手際を見習って、俺も1つ1つ摘んでいった。
戦闘描写について。(2回目)
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ブラボー(良い又は好みの表現、文章)
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肯く (良い所は無いが、悪くはない)
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ブー (不満。表現等に不十分を感じた)
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どれにも当てはまらない。その他。
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黙って(アンケートは不要である〉