ウチのキャラクターが自立したんだが。リファインド   作:馬汁

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ここからは、リファインドじゃない方に校正是正修正程度の変更を加えております。
つまり普通に割と違うけど大まかな流れは大体一緒。4割ぐらいは。

ただ問題があって、昔の気力マシマシの私と比べて現在の私は気力サアゲサゲなので、コピペからの編集ぐらいまでなら躊躇が全くなくなってる。
いや、そも。変える必要もあんまりないと思うんだが。


第二章 怪盗紳士イツミ・カド
開幕 俺の声


 閉じられた視界、頭を包む窮屈な硬い感覚。

 頭のあたりを触ると、ヘルメットのような感触が伝わってくる。

 それを両手で挟むと、ゆっくりと持ち上げる。

 

「……」

 

 光を遮るヘルメットを外すと、視界が解放されたように光が入って来た。

 

 身体を見下ろせば、少女らしい胸の膨らみはどこにもない。後ろ髪を触っても、ポニーテールはどこにもない。

 何も映さないTV画面を見れば、俺の姿が映っていた。今までの"ケイ"の姿はどこにもない。当然だ、彼女は実在する者ではないのだから。

 

 戻ってきたこの身体、()()()は、間違いなく創也である。

 

 

 さて、『ゲームは1日1時間』という言葉がこの世にある。

 主に子どもたちに対して戒めるメッセージとして用いられるが、このゲーム、『ヴァーチャルファンタジー』では似て異なる言葉が存在する。

 

『ゲーム内は1日1時間』

 

 理解が早い人間なら、もう説明は要らないだろう。これはゲームと現実間の時間の流れを示している。

 俺がゲーム内で過ごして来た時間は、数日と少しぐらいだろうか。しかし現実では、数時間ちょっとしか経っていない。

 そのせいで時間の感覚が狂う事もある。現実で少しの間を過ごしても、向こうではかなりの時間が経っている事だってある。

 

 だが、VRゲームではそれが常識。ゲーム内時間イコールリアル時間、というゲームもあるにはあるが、基本的には時間は同期していないのが普通だ。

 

 さて、部屋でぼーっとしているのもなんだ。夕飯時だからログアウトしたんだ、食事が出来ているか母にでも聞きに行こう。

 

 

 居間にきてみれば、母がココアを飲みながらくつろいでいた。既に先に食事は済ませていたようで、俺の分は向かい側に用意されていた。

 

「あら、創也。お早う」

 

 お早うと言われ、慌てて窓の方をみる。外は暗い。次いで携帯の時計を見るが、晩飯時だ。明らかにお早うという時間ではなかった

 何かの間違いで、朝までゲームをしていたのかと勘違いしてしまった。俺は目の前の母を、恨む様な目で見つめる。

 

「変かしら? あの被り物を被っている間、本当に静かだったのよ。まるで寝てるみたいだったから、お早うが良いのかしら、って」

 

 それにしたってお早うは……って待て、俺があの世界にいる間、母は俺の部屋に入って来たのだろうか。絶対に入るなとは言っていないが、勝手に侵入しないでほしい。

 

「あら、不満そうな表情だけれど、部屋に入ったのは掃除する為だったのよ? 少しぐらい良いじゃない」

 

 絶対に嘘だ。俺個人、ごちゃごちゃしたものを嫌っている為、部屋は綺麗に保たれているのだ。掃除する余地など無いはずだ。

 

「うふふ」

 

 ……なるほど、今理解した。この母絶対わざとだ。

 今思えば、俺の黒歴史ノートが発見されたのは、キャラクタークリエイトから戻って来たときである。そのことを考慮すると、その時点で母は俺の部屋に侵入していたと言うこととなる。

 

 自らの失態に頭を抱え、今後ゲーム中の部屋のセキュリティについてどうしようかと考え込む。

 

 

「……ねえ」

 

 何だろうか、急に改まって。今俺は母に対する侵入対策を考えているところだ。

 

「あの本って、大事な物なのよね?」

 

 う……、その話は俺の急所、或いは弱点に当たる。出来ればこの話はよして欲しい。

 さあ、どうやって俺のこの思いを伝えようか、なんて思っていると、母が発した言葉が俺の意識に割り込んで来た。

 

「それにあの字、創也が高校生ぐらいの頃の文字だったわよ」

 

 ああ、そうだ。あの本は過去の俺が書いたのだ。少なくとも今の俺は、同じ様な失態などしない。

 少なくとも、()()()は……。

 

「……ねえ、思い出したりしないかしら?」

 

 何を、とは今更な事を問う必要など無かった。

 俺は口を噤んだまま、首を横に振った。

 

 

 ・

 ・

 ・

 

 

 現実での食事休息を終え、俺は再びゲームへと戻ることにした。

 自室へ戻ろうと、その扉を開いたところで、後ろから声をかけられた。

 

「ねえ、創也」

 

 なんだ、とでも言う様に後ろを振り返る。

 また黒歴史ノートの話でもされたら、俺は黙って部屋に入るところだったのだが。

 

「私も、そっち(VRの世界)に行って良いかしら?」

 

「……」

 

「私、創也の声を久しぶりに聞きたいのよ」

 

 その言葉を受け、俺は目を見開いて母を見つめた。

 しかしその言葉を理解すると、俺は目を和ませて、しかし口は苦笑する様な形にして頷いた。

 

 母がこちらに来るのは良いのだが、残念な事に、向こうに居るのは俺ではなく、"ケイ"なのだ。

 

 

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