ネオはルディリと共に、大型船に乗って別の国を目指していた。
帝国から離れ、遠方へ向かう理由それは…。
帝都にて大魔導士戦士ディオが
「ネオ殿、最近、西の遠方にある国でとある魔導具を作ったらしい」
ネオが首を傾げ
「とある魔導具とは?」
大魔導士戦士ディオが
「属性に応じた無効化によって属性の害をなくす、いわゆる、対属性魔導具だ」
ネオが
「つまり…炎なら炎…火の属性、冷気なら氷の属性のダメージを防ぐ魔導具か」
大魔導士戦士ディオが頷き
「現在、伝わっている話によると…火属性のダメージを防ぐリングの魔導具を西の遠方にいる大魔導士デミアという魔女が作ったらしい」
ネオが顎に手を置いて
「なるほど…火のダメージを防ぐなら…嘆きの壁の向こうを攻略する際に…」
大魔導士戦士ディオが
「そうだ。役に立つかもしれん」
その情報を受けて、ネオは、自分が会長である帝国の海運を担う海運財閥エンテイスが海運で使っている全長200メートル越えの大型船の一隻で、西へ…その大魔導士デミアがいる国へ向かった。
海運財閥エンテイスの大型船は、帆の風で動くシステムではない。
この世界に満ちているマナ、特に海に存在するマナを操作して推進力を生み出している。
端から見れば、海水が通るパイプへ勝手に海水が流れて推力を生み出している不思議に見えるが、そのパイプにはネオの世界のナノテクノロジーと、この世界のマナの技術が融合されている高度なシステムなのだ。
帆も無く海を走る大型船に、人々は不思議な感じを受けるも、その大型船がもたらす利益によって自然と受け容れられた。
海運財閥エンテイスの大型船の甲板にいるネオは、近づく大陸へ視線を向ける。
その隣にルディリが来て
「もう直ぐで到着だね」
ネオが
「すまんな。付き添いを頼んでしまって…。ルディリは魔導具に詳しいから…」
ルディリは微笑み
「ぼくも、火属性を防ぐ魔導具に興味があるし、それに…まさか遠方の国まで来られるなんて、冒険者として血が騒ぐから」
ネオが
「しかし、これから行く国は、国王が選挙で選ばれるなんて」
ルディリが
「でも、国政や行政を担っているのがオークって所は共通しているかも…」
ネオが
「自分達の帝国は…皇帝ロンバルディア陛下を頂点として」
ルディリが
「各地に皇帝の竜を中心に各地を担当する竜達がいて、その竜達の下で各地の様々な種族達が選挙によって行政や治世を担っているから。それが…皇帝が竜だから1500年も続いているね」
ネオが
「不平不満とか出ないのか?」
ルディリが
「どうだろう? 結局は、その時の政治や権力は、その時に誕生した勢力がやっているし…竜族は、その土地と民を守る最終兵器みたいなもんだから。魔法の技術開発とか土地開発とかは、竜族が介入した事があるけど…それ以外はノータッチなのが竜族だから…」
ネオが
「要するに、竜族はバランスを取る位置にいるのか…」
ルディリが
「そういう事」
ネオも自分が竜族の一員なので、そのスタンスを貫いているなら従おうと思った。
まあ、実際、そのスタンスは嫌いではない。
そんなこんなで、大型船は停泊する港へ近づいていると
「た、助けてくれーーーーーー」
という、大声が聞こえた。
ネオとルディリが、え!と顔を見合わせると、頭上から
「助けてくれーーーーーー」
と、叫んでいる声が。
ネオとルディリが頭上を見上げるとネオが
「アレは!」
ルディリが
「マナ喰い大鳥の、マンリーターだ!」
一つ足に一つ目の大きな鳥が一つ足にラミアの青年を捕まえて空を滑空している。
マンリーター、通称、マナ喰い大鳥というモンスターで、その大きな一本足に獲物を捕まえると、その足から捕まえた獲物のマナを吸い取り、死んでしまうまで離さない。
排除優先危険モンスターな為に、見つけた場合は、即始末。
勿論、倒した後は、そのコアとなっている魔石や、躯体は、色んな素材に使われる。
そのマンリーターの大きな一本足に掴まるラミアの青年を見てネオが
「ルディリ!」
「任せて!」とルディリが告げた瞬間、ネオの背面からルディリが乗る固定砲台が出て、それにルディリが乗ると照準を、マンリーターに向ける。
轟音と共にマンリーターの動きを抑制する対空戦の砲撃をする。
そして、ネオは脚部と背面にスラスターを伸ばし飛翔、掴まっているラミアの青年を助けに行く。
ルディリの砲撃よって動きが鈍くなるマンリーターへ、飛翔するネオが届き右腕をプラズマソードに変えて、マンリーターの一本足を切り裂き、ラミアの青年を抱える。
「大丈夫か!」
抱えられたラミアの青年は
「ああ、ありがとう。助かった」
ルディリは、ネオがラミアの青年を確保したのを確認して、照準の中心をマンリーターに向け発砲、グギとマンリーターは鈍い声を放って胴体が真っ二つに弾けた。
その上半身だけが、大型船に肉が潰れる嫌な音をさせて墜ちた。
ネオがゆっくりと大型船の甲板に着地して
「お疲れ、ルディリ」
ルディリは固定砲台から下りるとネオの元に来て助けたラミアを見て
「無事?」
ラミアの青年はネオから下ろされて
「ああ…本当に助かったよ」
ネオが
「どうして、掴まっていたんだ?」
ラミアの青年は、ホホを掻いて微妙な顔をして
「ドラグ・アース帝国へ行きたくて…」
ネオとルディリは微妙な顔をする。
排除優先危険モンスターを狩れば相当なお金になる。
確かにここより遠方の帝国へ行く旅費としては十分な程になるだろう。
だが…ネオは
「それだからって、一人で狩ろうとしたのか…。掴まった様子から、手練れではないだろう君は…」
ルディリが
「排除優先危険モンスターは、強いヤツが多いんだ。大人数で、手練れも加えて回数を多くして、お金を貯めてやった方が無難だよ」
ラミアの青年は微妙な顔でホホを掻きつつ
「その…ドラグ・アース帝国へ行きたくて…あのモンスターを利用したんだ…」
「はぁ?」とネオとルディリは疑問な顔をになる。
ラミアの青年は
「ドラグ・アース帝国って竜が統治している国なんだろう」
ネオは頷き
「ああ…そうだが…」
ラミアの青年は鼻息を荒げて
「だったら、オレと同じ爬虫類系だから、超巨大な卵を産む瞬間をみたい、と思ったら! いてもたってもいられなくてーーーーーーー
メスのドラゴンのお尻から捻り出されるデカい卵、最高じゃあねかぁぁぁぁぁぁぁぁ」
ネオとルディリは、はぁぁぁぁ?と無言で青ざめる。
ネオは額を抱えて
「え? 待て…それを見たいが為に…もしかして…あの…大鳥のモンスターを…」
ラミアの青年は自信満々に親指を立て
「その通り! 乗り物にしようとしたら、獲物になっちゃった!」
ネオとルディリは、同時に…コイツ…バカか?と思った。
それでもラミアの青年は興奮したまま
「帝国じゃあ、ドラゴンの雄と雌が、そこらかしこで交尾しているんだろーーーーー
見て見たいじゃあないかーーーーー
オスのドラゴンのぶっといアレに悶えるメスのドラゴンをーーーーー
見て見たいーーーー」
ネオとルディリは、白い目でラミアの青年を見る。
要するに竜族の交尾や出産を、AV感覚で見たいスケベで頭がショートした、かわいそうなラミアの青年なんだろう…と。
ルディリが
「一つ行っておくけど…帝国の竜族は、卵で生まれないから…」
「え!」と衝撃を受けるラミアの青年。
ネオが
「帝国の竜族の竜は、竜谷という立ち入り禁止の場所で、子供を卵ではなく赤ちゃんで産む。それを見られるのは、お産を手伝うメスの竜達だけだから…」
まあ、竜から人間形態でも、普通に人間のお産のように産むので、竜で産むか、人間で産むか…選択は出来る。
まあ、人間で産んだ方が…ベッドとか諸々の施設が整っているので、人型で産む場合が多いが…。問題が無い場合は、頑丈な竜形態で産む事もある。
ルディリが
「因みに、竜の交わりをエッチな視線で見ていると、竜のブレスに焼き殺される。
だから、エッチな視線で見るラミアとかトカゲとかのレプテリアン系は、見ようとして近づいたら犯罪者として捕まるよ…」
ラミアの青年は頭を抱えて
「オウ マイ ゴーーーーーーーーード」
と叫んでその場に泣き伏せた。
ネオとルディリは、軽蔑に近い視線で、衝撃を受けているラミアの青年を見下ろした。
そんなこんなで、港に到着したネオ達は、助けたラミアの青年ナルガミを現地のガイドにお願いした。
報酬は、あの…マンリーターの報酬だ。
流石、排除優先危険モンスターなので100000Gという高額が入った。
ラミアのナルガミは意気揚々に、ネオ達に長期に泊まれる場所を提供する。
その宿屋とは、食酒亭という店だった。
ナルガミが蛇の下半身をくねらせて先を進み
「ここは、メシが美味いんだ」
と、スイングドアを潜ると
「いっらしゃいませーーー」
と、そこで給仕をしている天使の少女が?いや少年がネオを見て
「ああ…」
ネオは、天使の少年の微笑み
「やあ、まさか…ここで出会うなんて…」
天使の少年クリムヴェールは、俯き加減でホホを染めて
「は、はい…お久しぶりです」
ナルガミがネオとクリムの様子に
「知り合い?」
クリムは恥ずかしそうな顔で
「ええ…ちょっと…ねぇ」
ネオは気さくに
「まあね」
ネオとクリムにしか通じないアイコンタクトの微笑みが交わされる。
ナルガミが次に、店主であるアルラウネのツタのいる厨房に来て
「ツタさーーーん」
と、ナルガミが呼ぶと、植物人のツタの触手の一つが来て
「なんだい?」
と、その触手に開いた花が喋った。
その後、ナルガミの紹介で、この食酒亭の二階にある部屋を拠点として貸して貰える事になった。
まずは、一週間分を支払った。
ナルガミの案内で、食酒亭の一階にある食堂に来て
「ここのメシは絶品だぜ!」
ナルガミを正面にネオとルディリが座ると、有翼人の給仕メイドリーが来て
「ご注文は?」
ネオが
「じゃあ、エールと、おすすめの肉料理を三品」
メイドリーが注文をメモして「はーい。お待ちください」と告げた次に
「クリム君とお知り合いですか?」
と、ネオを見る。
ネオは頷き
「ちょっとね。多少の袖も縁の一つさ」
ナルガミが
「この人達、ここから東の遠方の国から来たんだぜ」
メイドリーが
「どこですか?」
ルディリが
「ドラグ・アース帝国って所から」
メイドリーが驚き
「凄い遠方じゃあないですか! 最近、やっと直通の船が来られるようになったって」
ネオが頷き
「それでここに来たんだよ」
クリムも来て「こんにちは…」と恥ずかしそうな顔をお盆で隠して来る。
ネオが微笑み
「さっきも言ったろう」
クリムが照れているのと、そこへ「おい、クリム」とスカートの袖を掴む男がいた。
「何ですか。スタンクさん」
と、クリムが掴んだ男、スタンクを見るとエルフのゼルと何時ものように相席していた。
スタンクがネオを見て
「お、お前…」
ネオが視線に気付き「誰だね?」と覚えがない。
スタンクが
「ドラグ・アース帝国の帝都で、性転換薬の店で」
ネオが記憶を検索すると、性転換薬の店で出会った生意気そうな女を思い出し
「ま、まさか…あの時の…」
スタンクがニヤリと笑み
「おう、あの時の客だ。まさか、あの時に出会った野郎にまた出会えるなんてな」
エルフのゼルが
「あああ! あの時のマキナ族の!」
ルディリが
「ネオ、知り合い?」
ネオが
「まあ、ちょっとな…帝都で」
スタンクとゼルが来て、スタンクが「相席いいか?」と尋ね。
ネオはルディリを見ると、ルディリは頷いたので
「どうぞ」
こうして、ラミアのナルガミ、エルフのゼル、人族のスタンク、マキナ族のネオ、ハーフリングのルディリの五人で話が始まった。
スタンクが
「あんな遠くから、ここまで何をしに来たんだよ」
ネオが
「ある魔導具を探しにやってきたと、その魔導具を作った大魔導士デミアとの協力もお願いしに来た」
ルディリが
「火属性のダメージを防ぐ、火属性防御の魔導具があるって…」
ゼルとスタンクは視線を合わせて、ゼルが
「もしかして…これか?」
と、サキュ嬢のレビューを見せた。
サラマンダーのサキュ嬢に火属性無効の魔導具を使って致したレビューを見て
ネオは微妙な顔で
「まあ、確かに…これだ」
ルディリが
「火属性の体温が高温になるサラマンダーの女の子とする為に作られた魔導具なの?」
スタンクが
「いいや、本来は火属性のモンスターの攻撃を無効化する為に作ったらしいが…それよか、サラマンダーの女の子とやれた方が儲かるからって」
ネオは本来の目的では売れないという現金さに微妙な顔をしていると、ゼルが
「その魔導具が欲しいのか?」
ネオは
「その魔導具も欲しいが、それを作る技術者とも通じたい」
スタンクがゲスな笑みで
「もしかして、サラマンダーの女の子とやりたいから」
ネオは呆れつつ
「違う。とある場所の攻略の為に、そういう魔導具が必要なんだ。火属性のヤツが出来るなら他の属性のヤツも作れるはずだ。その技術を取り入れたい」
ルディリが
「僕たちの国、ドラグ・アース帝国には、土地自体がダメージを与える強い属性を持っている場所が多いからね。その属性のダメージから身を守る為にも必要なんだよ」
スタンクとゼルが顔を見合わせ、スタンクが
「オレ達は、それを作った魔導士の知り合いでもある」
ネオが怪しむ顔をする。
「それは本当なのかね?」
交渉が始まった。
ゼルが
「勿論、紹介するんだから…タダとは言わない」
ネオは冷静な視線で
「で、紹介料は?」
下手な聞き出しより直球がいい。
スタンクが
「なぁ…に。オレ達にアンタ達の心意気を見せて欲しい」
ネオが静かな目で
「ほう…心意気か…」
スタンクが
「アンタ達が、今までエッチしたサキュ嬢の種族の中で、一番良かった種族を、ここのサキュバス街でおごる! どうだい!」
ネオとルディリは、え?と固まる。
大金を要求すると思っていたのに、リリスガール…ここではサキュ嬢を、しかも…一番体験した中で気持ちよかった種族のサキュ嬢をおごるという、アホな条件だ。
ナルガミが
「この二人は凄腕の冒険者なんだよ。それは冒険でもアッチでも凄腕なんだぜ!」
と、女性器の隠語な指の形を出した。
確かに女遊びに入れ込む連中は見た事があるが…これほど、バカとは…。
ネオとルディリは、真剣に交渉しようとした自分達がバカに見えた。
ネオが腕を組み
「おごるのは良いが、私はしないからな」
スタンクが驚き
「どうしてだよ! 男ならやるべきだろうが!」
ネオが呆れた顔で
「私には妻達がいる。三人の妻達は身重だ。心配させる事をしたくない」
スタンクが席から立ち上がり腰を振って
「嫁さんにバレないなら! それこそ楽しむのが男のたしなみだろうが!」
それを別のテーブルで聞いていたメイドリーが「最低」と呟き、クリムはスタンクの言葉が情けなくて恥ずかしくなった。
ゼルが
「まあまあ、スタンク。オレ達だけでも楽しもうぜ」
スタンクが
「そうだな。根性が無いふにゃチンに、男の浪漫ってヤツを教えてやろうぜ」
ネオが呆れつつも
「だが、ここにどんな店があるか…知らないぞ。だから…」
ゼルが「問題ない」として、今まで自分達が書いてきたサキュ嬢のレビュー記事をネオに渡した。
ネオは、サキュ嬢の記事を見て「こうもまあ…」と遊びまくっている現状に呆れつつ、レビュー記事を見ていって
このまま、下手に美味しい思いをさせると、度々、このような事になりかねない。
なので…そうならないように…評価の悪い記事を見るも、死にそうになったりした記事があったりして、かなりアホな方向に頑張っているのを見て追加の呆れを持つ。
肉体的にダメージが少ない、精神的なダメージを…お!
それは精神的なダメージがデカかった寝取られるサキュ嬢店、扉のスキマを発見した。
その寝取られるサキュ嬢店のレビューを見て
なるほど…とネオは思いつつ。
ある事を過ぎらせる。
それは、本国の宇宙での元妻の女の事だ。
実は、ここで三人も妻にして、三人とも自分の子を妊娠した。
それは魔法の検査や、こちらのナノマシンでも自分の子であると確定していた。
それが分かった時に、友人に寝取られた元妻の女の事が過ぎり、黙って去り終わった事に、どこか…後ろ髪を引かれる思いがあった。
そうだ、ここで…その後ろ髪を引かれる思いを断ち切るのと、このエロ連中を黙らせる為に…この店、扉のスキマを利用する事にした。
夕暮れ、ネオを先頭にスタンクとゼルに…どうしてかクリムとナルガミも一緒に来ていた。
ルディリは、ネオの選択を知って嫌な予感がするので、パスして街の散策という名の情報を仕入れに行った。
スタンクはワクワクしていた。
今までのレビュー記事では、自分の趣向が大きかった。
依頼もあったが…他人がどんなエッチで喜ぶのか?とゲスな想像をしている。
ゼルもニヤニヤとして、人のエロ事情を垣間見る事に興味津々だ。
クリムは…スタンクとゼルのエロ所行を知っているので、酷い事になる前に止めるつもりだ。
ナルガミは、何となく来た。
ネオがその店の前に来る。
スタンクは加えていたタバコを落とした。
「マジ…かよ」
そこは、自分に最大のトラウマを刻んだサキュ嬢の店だ。
その店名は、扉のスキマ
寝取りプレイのお店ではなく、自分が設定した話でサキュ嬢が、別の男に寝取られるのを見て、息子をしごくという被虐の嗜好店だ。
なにより、スタンクに当分の間、立ち直れない精神的なダメージを刻んだ店だ。
ゼルにとっては「マジかよ」と顔を引き攣らせた。
スタンクと来て良い思い出がない店の一つだ。
クリムは首を傾げて
「どんなお店なんですか?」
ナルガミは
「うわぁ…マジで…」
クリムのレビュー記事は見ているだろうが、印象にないので憶えていない。
ナルガミは、憶えていた。
ネオがその店の扉を潜りスタンクが
「なぁ…ここ、止めないか?」
クリムは初めてスタンクが止めたのに驚いた。
ネオが
「一番のエロって何だと思うか?」
スタンクが
「そうだな…サキュ嬢と楽しむ事か?」
ネオが残酷な笑みをして
「人の傷を覗く事さ」
スタンクは嫌な予感がして堪らない。
ゼルが
「やっぱり、止めて…」
ネオが
「なんだ? 根性の無いふにゃチン野郎にビビったのか」
煽られてスタンクは
「野郎! ここで引いたら男が廃るってもんだぜ。地獄までつき合ってやるよ!」
こうして、皆は扉のスキマ店へ入った。
受付兼ボディーガードのドラゴン人の女がいて、その隣にあるテーブルで、ネオは設定を書いていた。
その間、スタンクはソワソワして、ゼルは嫌な顔で、クリムは違う感じの店に戸惑っている。ナルガミは冷静に事態を見詰める。
ドラゴン人の受付嬢は、体格が大きく力強いのが分かる。
ドラゴンのような見た目だが、その実はネオが知っている竜族とは違う系統らしい。
ドラゴン人の受付嬢が、ネオの設定が書かれた用紙を見て、眉間を寄せて
「あいよ。少し待ってな」
と、設定の用紙を奥へ持って行くと、店の説明をした。
それを聞いたクリムは、地獄を見たような顔になる。
要するにここは、自分が思い描く女の子が寝取られるのを見てしごく、お店なのだ。
演技中のサキュ嬢にも、寝取る男を演じる淫棒にも、絶対に手を出してはいけない。
この体格がいいドラゴン人の受付嬢は、演技とは分かっても暴力を爆発させる客を押さえるボディーガードだと分かった。
とにかく被虐な事を見続けさせて、それで興奮を得て自分の息子をしごく店なのだ。
そんなお店だと知って、クリムがネオに「止めましょう」と腕を引っ張る。
ネオが優しい笑顔を見せて
「大丈夫だよ」
ネオが選んだコースに、ネオは全員分の料金を払って、これから行われる寝取られる劇を全員で見るのだ。
スタンクがぶつぶつと、何が良くて…他人の設定を見ないといかんのだ…と呟いている。
そして、奥からドラゴン人の受付嬢が来て
「準備できたよ」
ネオが、スタンクに
「タバコを貰えるか?」
ネオがタバコを向けて
「ああ…」
その一つを持ってネオが
「これから見る事は、実際、私が体験した過去の出来事だ」
スタンクがタバコを落とした。
ゼルとナルガミは顔を引き攣らせる。
クリムは青ざめた。
ネオが過去に体験した寝取られた再現が始まった。
そこには、部屋の風景は違うも男と女がベッドで致している風景がある。
まあ、それをそれで見れば、エロいかも知れないが。
その致している二人が
男が
「ああ…アリア…アリア」
女が
「う…はぁはぁはぁ」
と、本当にいたしている、そこへネオが入る。
スタンク達は、入口のカーテンの向こうで立ち止まっていた。
ネオの目の前のベッドでいたす男女、かつて妻と寝取った友人役の男と、寝取られている妻役の女が、はぁはぁ…と合体している。
体勢はバックでだ。
スタンクは、寝取られている妻役を見て、胸くそ悪くなる。
それは、かつて…自分の初恋で、親にまで反抗して結ばれようとした女性と、髪の色までそっくりな女だった。
寝取っている友人役の男と、寝取られている妻役の女が、ネオが入って来たのを見て
「あ、アナタ!」
と、寝取られた妻役の女が絶望した顔をして
「違うの、これは…違うの」
寝取っている友人役の男が
「待ってくれ、話を…これは」
ネオの冷たい目、それは悪魔さえ怯えるような絶対零度の視線で
「続けろ」
寝取られている妻役の女が涙を流して
「違うの…だから…」
絶対零度の視線のネオが
「続けろ」
と、寝取っている友人役の男と、寝取られている妻役の女を睨む。
そうして、バック体勢のまま、寝取っている友人役の男が腰を振り。
寝取られている妻役の女が
「アナタ、違うの。ごめんなさい。本当に違うの、でも、ああ! あああ、はぁ、あああ」
寝取っている友人役の男の動きで悶えてホホを染めている。
寝取られている妻役の女、アリアが
「違うの、本当に愛しているのはアナタだけなの…だから、違うの…う、あああああ」
と、弁明しつつされている事の気持ちよさで悶える。
それでも
「信じて、愛しているのは、アナタだけ、ああ、愛して…ああ、う、あああ、はぁ、ああ」
と、寝取っている友人役の男の息子に、寝取られている妻役の女が快楽を感じている。
ネオは、スタンクから貰ったタバコをくわえて、ふ…と煙を噴かす。
そして、吸う事もなく。
冷酷な顔で、妻が友人に寝取られているのを絶対零度の視線で見詰める。
その脇をタバコの煙が上る。
寝取られている元妻のアリアが
「愛しているのは、アナタだけ、アナタだけなの…これは、違うの…違うの…」
と、否定して首を振っているにも関わらず、時折、気持ち良いのか、悶えている。
寝取っている友人の男が
「頼む、もう…良いだろう。頼む」
と、止めて欲しいと懇願する。
ネオは冷徹に淡々と
「続けろ」
寝取られてるアリアが泣きながら
「ごめんなさい。ごめんなさい。違うの違うの…、ああ! あああ」
と、嬌声を上げてしまう。
ネオが淡々と
「さっき、任務から帰って来た時に、娘の遺伝子検査の結果が来た。オレの娘じゃあなかった」
寝取られているアリアが絶望の顔をして
「そんな、違う。ウソよ…ああ、う…」
と、やられて気持ちよくなっているのを悶える。
ネオはタバコを吹かして
「良かったじゃあないか…そこのお前とやっている男が父親だ」
寝取られているアリアが
「違う、ああ、う、あの子は…アナタの娘よ。だから…」
ネオは、タバコを吹かして
「愛にも限界はある。君とオレとの愛はゲームだった。ありがとう。
もう…ゲームオーバーだ」
と、椅子から立ち上がり部屋から出て行く。
出て行くネオと、青ざめて口を押さえるスタンクにゼル、クリムは真っ白になりその場にへたり座り、ナルガミは遠くを見て今あった事を忘れようとしている。
残酷な、妻を友人に寝取られた劇場を見たスタンク達。
ネオが絶対零度の視線で
「これは、本当にあった出来事だ。
まあ、こうして別れを言う事もなく、友人と元妻のあの女が致しているのを…。
オレは撮影して、いたし終わったベッドルームから出て来た友人と元妻の女が出て。
オレは撮影した映像を永遠と流し続け、無言で出て行く準備をして、出て行った。
それを止めようとする元妻の女に、そこで座っていろ!ってソファーに座らせて…。
思い出の品を全部、ダストシュートに落として、出て行ったさ」
スタンク達は、吐きそうな程の追加ダメージをされた。
ネオは
「寝取った友人だった男は…呆然としていたなぁ…」
と、嗤う顔には、今まで見た事もない残酷さが見えた。
演技が終わったサキュ嬢と淫棒の二人が来て。
寝取っている友人役をしたエルフの男が
「どうでした?」
と、演技が終わって晴れ晴れしている。
空気が違い過ぎて、スタンク達には切り替えられない。
だが、ネオはあの優しい微笑み
「いや…抜群だった。再現度が完璧だったよ」
寝取られる妻役をした妖精のシルキーの女が
「いや…凄いですよね。こんな事を体験して、リアル寝取り情報ありがとうございます」
ネオが微笑み
「今後の、演じる二人の役に立ったかなぁ?」
寝取り役をした男が、妖精シルキーの彼女の肩を持ち
「はい。二人して精進して行きます!」
ネオが手を演じてくれた二人に向け
「因みに、この二人は、この店で専属の、寝取られる女と寝取る男を演じる夫婦だそうだ」
スタンクが口を押さえて
「もう…いい」
メンタルが限界だった。
スタンクとゼルにナルガミは、早々に店を出て行った。
クリムだけ、もう…色んな事が追いつかずに、天使の翼で浮いたまま呆然として思考を停止させていた。
ネオはフンと鼻を鳴らす。
これで、エロい事を求められる事はないだろう。
そして、再び演じてくれた夫婦へ
「ありがとう。これで未練を断ち切れる。今、ここで新しい家族を得たんだ。
でも…前の事が引っかかっていてねぇ…。これで前に進める」
ネオとしては、晴れ晴れしていた。
言いたかった事を口に出来たのだ。未練が切れたのだ。
だから
「二人ががんばってくれたお礼だ」
と、演じてくれた二人にお礼を渡す。それは金貨20枚。200000G、店の料金の三倍以上だ。
受け取った夫婦の夫エルフの男性が
「いや、そんな。こんな大金」
と、返そうとするも、ネオは押し戻して
「受け取ってくれ。私の未練を断ち切ってくれたお礼なんだ」
そして、ネオは思考停止するクリムを連れて店を、寝取られる専門店、扉のスキマを後にする。
その後ろ姿を、あの演じてくれた夫婦が頭を下げて見送った。
凄く、ネオは格好良かった。
その後、サキュバス街を、思考が止まって風船のようなクリムを連れて帰るネオだが、唐突にクリムの思考が動き出し
「さっきの…事、本当に…」
ネオはクリムに微笑む
「状況は違うも、本当にあった事だ」
「う…うぐ」とクリムのかわいらしい顔から大粒の涙がこぼれて、それを拭いながら
「そんな、あんなの…酷いですよ。あんな事…貴方が一番…傷ついているのに…」
ネオは優しくクリムの頭を撫で
「いいんだ。もう…過去の終わった事だ」
優しいネオにクリムは、意を決した顔をして
「ついて来てください!」
と、ネオを引っ張る。
そして、来たお店は、性転換専門店だった。
クリムは、お金を払い、女に性転換して、そして…店のベッドにネオを押し倒した。
受け身なクリムが頑張っている。
ネオは戸惑いつつ
「どうしたんだい?」
受け身な女性より女性らしいクリムが積極的だ。
「ぼくは…ネオさんの心の傷を癒やしたいです」
ネオが困り顔で
「いや…それは…さっきので」
ネオの上にいるクリムが
「あんなの! 心の傷を癒やしたなんて言えません!」
ネオは困り顔だが、クリムは天使だ。きっと天使のサガのような性質が働いているのかもしれない。
天使は神の御使い、人を癒やし、人を助ける者。
傷ついた者を放っては置けないのだろう。
「分かった」とネオは、クリムに任せる事にした。
クリムが潤んだ瞳で
「ネオさん。ぼくに…身を委ねてください」
と、今まで受け身だったクリムが、ネオの為に女性として動いた日だった。
因みに、同行したスタンクとゼルにナルカミは、凹んだ心を癒やす為に、爆乳バストの牛娘店へ行き、巨大すぎるバストの牛娘の胸にしゃぶり付いて、ママから授乳されるプレイをしていた。
結局、スケベなのは変わらなかった。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
次話もよろしくお願いします。