異世界現地調査   作:赤地鎌

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ネオはエルデト病を防ぐ為に…
ちょっとシリアスになってます。


ここでもレジェンド

 それは怒濤だった。

 医療用ナノマシンポッドの中で、感染者であるソールが目を覚ます。

 治療から二時間後だ。

 その間、本当に嵐だった。

 サキュバス街で、次々と感染したサキュ嬢達が出て、ネオが派遣した輸送艦から大量の医療ポッドを運び出して、発病したサキュ嬢達を収容して治療する。

 

 そして、製造した免疫学習用のワクチンを、一斉にこの街にばらまいた。

 注射ではないパッチ式のシール・ワクチンをとにかく、街の人達に処置した。

 

 ソールがポッドの中で目を覚まし、ネオがナノマシン治療液に浮かぶソールに呼びかける。

「大丈夫か?」

 

 浮かんでいるソールは頷くと

「ここは?」

 

 ネオが

「君は、エルデト病の変異種に感染したが、今は…大丈夫だ」

 

 ソールが目を閉じて安堵しているとネオが

「教えて欲しい。君は、どこで…その病気に感染した? 何か、思い当たる事は…」

 

 ソールが思い返して

「二日前…咳をしている鬼人族の男性が…」

 

 ソールの中に入っているナノマシンが、ソールの脳内電気信号を受信して、思い返した人物の正確な顔写真を出す。

 

 ネオはそれを取り

「ありがとう」

 

 

 感染発症から、1日目。

サキュバス街は、大混乱だった。

 簡単なパッチ式シールワクチンを受ける各種族のサキュ嬢達、そして、そのエルデト病のウィルス専門に作った抗ウィルス薬を、サキュ嬢達に配った。

 症状が無くても、一週間ほど飲んで貰う。

 感染を防ぐ為に。

 

 ネオは走った。

 スタンク達の持っている冒険者の伝手を使い、その運んできた鬼人が住んでいる宿屋へ来た。

 そして、その鬼人がいるであろう部屋の前に来て、スタンクが

「おい!」

と、ドアをノックしたが返事が無い。

 

 ネオと共にスタンク、ゼル、ルディルも来ている。

 スタンクとゼル、ルディルは、学習型免疫ワクチンを接種済みだ。

 

 ネオは、鬼のような形相をして、ドアを蹴破った。

 そこに、重症化している鬼人の彼が倒れていた。

「早く、医療ポッドを持ってこい!」

 ネオの怒声と共に、共に隣に浮かんでいたドローンが、早速、街の上に浮かぶ輸送艦から医療ポッドを持って来た。

 

 そして、共にいた仲間を探し出すと、全員が感染して発病していた。

 

 ここに来て、感染して発病した数は、100人を超えていた。

 

 ネオは、走る。

 この街もそうだが、周辺の村落にも、学習型免疫ワクチンと、一週間服用の抗ウィルス薬を配りまくった。

 

 大型システム島アルヴィス級時空戦艦を管理するDIのメイドランが事情を本国の最高議長DIに連絡した。

 

 ネオに通信を繋げた最高議長DIのネシェルが

「ネオ、これは」

 

「うるさい! 後でどうにでも罰は受ける! 聞いてくれネシェル…。発病者が100人を超えた。完全にアウトブレイクだ!」

 

 最高議長DIのネシェルは

「ネオ、いや…ネオデウス1982号305番。君の判断は何時も正しい。よって、本国から生産プラントを派遣する」

 

 ネオがいる街の海上の遙か上空に巨大な時空ゲートが出現、全長が50キロ級の移動式巨大生産プラント宇宙戦艦が出現した。

 

 最高議長DIのネシェルが

「この生産プラント戦艦メタトロンは、君の指揮下に入った」

 

 ネオが

「治療薬と学習用免疫ワクチンの特許解禁を要請する」

 

 最高議長DIのネシェルが

「はぁ…全く、君は人工知性体より高速に演算する。良いだろう、解禁を許可する。ただし…この特許を」

 

 ネオが

「人を救うためにしか使えないようにする」

 

 最高議長DIのネシェルが

「パーフェクト・アンサーだ」

 

 

 ネオは、直ぐにオークで現国王ドン・テーキ達と、技術を持っている悪魔族のデスアビスが集まっている場所に来た。

 直ぐさま、ネオがやっている事が国のトップに伝わったのだ。

 

 ドン・テーキが

「君のやっている事は、越権だぞ」

と、告げた瞬間、ネオがその襟首を片手で掴み上げ

「ああああ! もう、パンデミックになってんだよ! 今、ここで何とかしないと! 億人が死ぬぞ!」

 

「あがあああがががあ」

と、ドン・テーキの100キロ以上あるオークの体が軽々と持ち上げられて襟が締まって窒息しそうになる。

 

 それを八メートル越えの巨体悪魔少女で、現世界の魔王デスアビスが下ろさせ

「落ち着け、冷静に考えろ。本当にそれ程に広まっているのか?」

 

 ネオの殺気が籠もった視線がデスアビスに向けられると、ネオより遙かに大きいデスアビスが恐怖で下がる。

 

 ネオは

「いいか、最初の発症者である人物から話を聞いた。遠方の冒険をして帰って来たそうだ。つまりだ。その間にも感染者がいる。この国以外にも広がっているのは、間違いない」

 

 デスアビスが腕を組み

「だが、治療薬と、そのワクチンに製造には…」

 

 ネオがデスアビスを見上げ

「自分達が持っている免疫学習型ワクチンと抗ウィルス薬製造の特許を開放する」

 

 デスアビスが驚きを向ける。

「お前、正気か!」

 そう、今までに聞いた事もない、免疫に学習させるワクチンなんて特許、バカでも考えれば分かる程の、莫大な資産をもたらす技術だ。

 そして、今回の病気用の抗ウィルス薬だってそうだ。

 本気で資産運用すれば、国家財政がまかなえる程のお金が舞い込む。

 それをこの男、ネオは無料にすると言っているのだ。

 

 デスアビスは究極のバカだと思った。

 

 ネオが

「お前等にとって、人命は軽いだろうが。私にとっては、人命は何よりも重いんだよ!」

 

 魔王であり悪魔族のデスアビスが疑うも、悪魔としての契約を重んじる性質で

「分かった。その学習用免疫ワクチンと抗ウィルス薬の特許を無料として、そちらが望むモノは?」

 契約を持ち出した。

 

 ネオは

「私がもたらした技術、特許で、人を救い続ける事。それだけだ」

 

 魔王デスアビスは、ふぃ…と溜息を漏らす。

 人族の中には、こういうバカ正直すぎるヤツが出てくる。

 そういうヤツに限って世界を救ってしまう。

 良い方向に世界を変える。

 悪魔族にはない、鮮烈で強い輝きだ。

 

 魔王デスアビスが

「我が名、魔王デスアビスの名に置いて契約する。そなたがもたらしてくれた治療の技術は絶対に人命を救う以外に使用しないと」

と、こうして契約が成された。

 

 ネオが微笑み

「この事態が収束した後、その応用技術で、そっちがちょっとは儲けても文句は言わんさ」

 

 デスアビスが微笑む。

 どうやら、究極の大馬鹿だが、賢者のように鋭いようだ。

 

 こうして、この国の政治を担っているオーク党を無視して、一斉にエルデト病の予防包囲網が始まった。

 

 感染発症から二日目である。

 

 

 

 ある村では、多くの人達が苦しんでいた。

 空気感染を始めたエルデト病に犯されて、村人が全滅しそうになっていた。

 

 その鬼人族の村で、同じく感染して苦しむ青年が、苦しむ姉を抱えて

「誰か…助けて…」

 

 そこはネオが滞在するスタンク達の国から遠くである。

 

 青年は死ぬんだ…と思ったが、空に艦隊が通り掛かる。

 そこからネオやルディリが降り立ち

「行くぞーーーー」

 

 そこからあっという間だった。

 村落全員が、医療用ポッドに入れられ治療が行われる。

 

 ネオは、最初の感染者であろう鬼人の青年から帰ってきたルートを聞き出し、その通ったルートにあった村や町に、感染封じ込めを開始した。

 

 三日目にして感染発病者4000人、感染して症状が出た者達20000人。

 パンデミックだった。

 

 ネオが開示した免疫学習型ワクチンと抗ウィルス薬の特許は、悪魔族…デスアビス達の手腕で量産化、さらに他国にまであっという間に広がった。

 

 ネオは、初期感染者の経路を遡り、発病者が出ている街や村に訪れ治療と感染防止を行う。

 

 本国が送ってくれた巨大生産プラント戦艦のお陰で、膨大な治療と感染予防の資材を生産させ投入する。

 

 四日目、感染発病者が4210人で止まった。

 だが、軽微ではあるが…症状が出た者は増え続け80000人を突破した。

 

 その範囲、ネオ達が最初に対処した国の周囲に広がっている。

 

 その間、ドラグ・アース帝国にもネオのやっている事が伝わり、ネオが即座に同じようにドラグ・アース帝国にも同じく免疫学習型ワクチンと抗ウィルス薬をばらまく。

 そのお陰なのか…ドラグ・アース帝国では、発病者が出ていない。

 皇帝ロンバルディアは、ネオの手腕に脱帽するしかなかった。

 

「全く、レジェンドとは…言ったモノよ」

と、皇帝ロンバルディアはネオが、ネオの故郷、本国でレジェンドと言われている由縁を理解した。

 

 

 エルデト病がパンデミックして五日目。

 感染して発病した者達が回復して通常の暮らしに戻る。

 そして、軽微ではあるが症状が出た者達が87654人で止まった。

 

 この間も、ネオは手を緩めない。

 免疫学習型ワクチンと抗ウィルス薬を他国や、遠方までばらまき、感染予防を徹底する。

 

 症状が出た者達が回復、感染者が墜落するように消えて行く六日目が来た。

 

 七日目、世界的なパンデミックを起こす程の病気だったエルデト病の流行が止まった。

 

 ネオは、その日、食酒亭で、落ち着いて食事が取れた。

 そう、エルデト病の世界的流行を防いだ。

 だが、免疫学習型ワクチンと抗ウィルス薬を広めるのを止めてはいない。

 あと、一週間程度、過剰供給にさせて、完全に止めるのだ。

 

 ネオが落ち着いて食事をしていると、ルディリが来て

「お疲れ様、ネオ」

 

「ああ…何とかなったよ」

と、ネオは微笑む。

 

今回のエルデト病による死者はゼロ。

 感染者、発病者はいたものの、その全員が回復。

 もし、ここにネオがいなかったら…確実に、パンデミックして国が一つ消えていた事だろう。

 ネオは、この異世界でも伝説を成し遂げた。

 凶悪で大感染する病気を防いだレジェンドとして…。

 

 

 その頃、ドラグ・アース帝国では、皇帝ロンバルディアが多くの諸外国の来訪者の対応をしていた。

 急遽、来たのは…今回のエルデト病が流行った国々の国家元首達だ。

 

 今回の大流行を防いでくれた事への感謝を告げる国家元首達。

 それを皇帝ロンバルディアは頷いて聞いて、外交的な建前の、今後とも…協力を取っていこう…で締めた。

 

 挨拶と返礼を終えた皇帝ロンバルディアの隣には大魔導士戦士ディオがいて

「ネオはやってくれましたな」

 

 皇帝ロンバルディアは楽しげな笑みで

「ああ…ここでも伝説を作った。全く…」

 

 そこへ「おう!」と魔王デスアビスが来る。

 八メートルの巨体を前に皇帝ロンバルディアは

「久しいの…お主がここへ来るのは、200年ぶりか?」

 

 魔王デスアビスが膝を崩して座り

「今回は戦争ではない。このエルデト病の流行でネオというお前の懐刀に世話になった」

 

 皇帝ロンバルディアが

「ほう…で、どのような?」

 

 魔王デスアビスは

「お前達が、対属性魔導具の技術が欲しいのは知っている。技術提携を結びに来た」

 

 皇帝ロンバルディアが

「資金も欲しいのだろう」

 

 魔王デスアビスは守銭奴な顔をして

「まあなぁ…で?」

 

 皇帝ロンバルディアが

「良かろう。契約を詰めよう」

 

 魔王デスアビスが巨大な手を伸ばし

「では、よろしく」

と、皇帝ロンバルディアと握手した次に

「しかし、まあ…お前の人材欲にはホトホト、驚かされる。あんなバケモノを飼うとは…」

 

 皇帝ロンバルディアが

「して、ネオは…どのように見えた?」

 

 魔王デスアビスがニヤリと笑み

「アレは…とんでもないバケモノを内包しているぞ。して…もし子を成した場合は…」

 

 皇帝ロンバルディアが

「おう、その力が受け継がれるそうだ」

 

 魔王デスアビスが、親指と人差し指をこすり合わせて怪しい笑みで

「じゃあ、少しだけ子種を貰っても…」

 

 皇帝ロンバルディアが

「それは、ダメだなぁ…」

 

 魔王デスアビスが

「ケチ! ちょっとくらい、良いだろう!」

 

「はははははは」と皇帝ロンバルディアは笑った。

 

 

 

 食酒亭のベッドにネオは飛び込む。

 本当に疲れた。

 本国から送ってくれた大型生産プラント戦艦は、その役目を終えて撤収、残っている医療用ポッドは、全員の治療を終えて回収された。

 後は、現地での治療で十分だ。

 本当にこの一週間が勝負だった。

 これを超えれば、確実にもっと広がり、最悪な事になっていたかもしれない。

 

 その安堵でネオは眠りについた。

 

 

 その頃、ルディリは食酒亭の食堂で、大勢に囲まれてネオに関して質問を受けていた。

「アイツは何者なんだ?」

 

 ルディリが

「いや、そのネオは…ねぇ」

と、濁していると、集まった大勢の一人が

「メイドリーさん、エールと店でのおすすめを!」

と、ルディリの前に注文した。

 

 ルディリがもったいぶるように

「聞きたい?」

 

 集まっている大勢が頷く。

 

 ルディリは、エールを飲みながら

「ネオは、そう、伝説なんだよ」

 

 ネオの話をした。

 ネオは、ドラグ・アース帝国の生まれではなく、遠方の遙か遠くの国で生まれ、そこで最強の戦士として戦ったと…。

 ネオの本国は、戦争していた周辺国との和解を成したが。

 その和解条件として、最強の戦士であったネオを放逐する事を望んだ。

 そう、ネオは国さえも恐れる最強、伝説…レジェンドであると…。

 そして、流れ来たドラグ・アース帝国でも、冒険者の中の冒険者、探求者としての称号を持って、皇帝ロンバルディアにも顔が利き、これまでに様々な新素材を発見していると…。

 

 その言葉に周囲は驚きの声を上げた。

 

 それを遠くで聞くスタンクが

「伝説ねぇ…」

 

 メイドリーが来て

「アンタもネオさんを見習ったら」

 

 スタンクが股間を指差して

「この伝説なら沢山あるんだけどなぁ」

 

「バカ!」とメイドリーの折檻が入った。

 

 ゼルは

「伝説? バケモノの間違いじゃあないかねぇ…」

と、呟いた。

 そう、マナを敏感に感じられるゼルにとって、ネオの内在する存在がとんでもないモノであると…察知していた。

 

 そして、スタンクがゼルと共に、サキュバス街に行く。

 あの大流行の時に大騒ぎだった、サキュバス街は、何時ものように桃色な感じだ。

 

 スタンクが

「あんな事があったのがウソみたいだぜ」

 サキュ嬢達が次々と病気に倒れていた状況が目に浮かぶも、それが無かったかのようにいつも通りだ。

 そう感じ入っているとスタンクの背をつつく獣人のサキュ嬢達

「ねぇ…スタンク」

 

 スタンクが鼻の下を伸ばし

「お、お誘いかい?」

 

 獣人のサキュ嬢達が

「スタンク達は、ネオって人と知り合いだよね…」

 

 スタンクとゼルが見合わせ、スタンクが

「そうだが…何だ?」

 

「じゃあ、さあ」とサキュ嬢達がスタンクにある事を耳打ちする。

 

 

 

 ネオが目を覚ますと夕暮れだった。

 昼過ぎから少しのつもりが、かなりの時間を寝ていたようだ。

「まあ、いいや…夕食を取って、ゆっくりとするか」

と、下の食堂へ行こうとするが、ベッドのそばに置いた魔法の通信球から連絡が入る。

 出たのは、皇帝ロンバルディアだ。

「陛下…」

 

 皇帝ロンバルディアが頷き

「元気か?」

 

 ネオは頷き

「はい。何とか…病気の流行は止めました。安堵しています」

 

 皇帝ロンバルディアが

「そのお礼として各地から使者…いや、元首達が来た」

 

 ネオは微笑み

「それは豪勢な…」

 

 皇帝ロンバルディアが

「そちらの国にいる魔王デスアビスから、対属性魔導具に関しての技術提携を結んだ。汝のお陰だ」

 

 ネオは首を横にふり

「大した事はしてませんよ。人命を重んじた。それだけです」

 

 皇帝ロンバルディアが

「お前が帰還した後に…今後の嘆きの壁の向こうに関しての話し合いをじっくりとしようぞ」

 

 ネオが微笑み

「当分の間、帝都にいて、妻達のそばにいたいです」

 

 皇帝ロンバルディアが頷き

「気が済むまでいれば良い。お前の妻達も喜ぶだろう。それと…だ」

 

 ネオが訝しい顔で

「何か問題でも」

 ここ一ヶ月くらい帝国から離れているのだ。何か起こっても不思議ではない。

 

 皇帝ロンバルディアが神妙な顔で

「もし、お前が帝国外で子供を作ってしまった場合は、その娘とお前の子を帝国へ連れて来る事。良いな」

 

 ネオの顔が妙な動きをして

「え? いや…まあ、え? そんな事は…絶対にしないと…」

 

 皇帝ロンバルディアが

「つき合いで、そういう遊びをするのは理解している。性病や妊娠を防ぐ魔法が働いているリリスガール街で、してしまうのは、お前のつき合い上、仕方ない。

 まあ、子供については、そういう色町ではないと分かっている。

 だが、それ以外で…まあ、致してしまって妊娠させた場合は、その女を我が帝国につれて来るのが絶対の条件だ。

 それが出来ないならお前を帝国の外へ派遣はさせない」

 

 ネオが額を抱え訝しい顔で

「その心配は…無用なのでは? それに私には」

と、ネオが服をめくってお腹を見せると、とある魔方陣が刻まれた入れ墨がある。

「これによって、妻達以外は、妊娠させないように力が働いていますから…」

 

 皇帝ロンバルディアが

「だが…その限定不妊の魔方陣のスイッチを切ったりするのはお前やお前の妻達に任されている。お前が…もし、気持ちが動いてしまって、スイッチを切って妊娠させてしまった場合の事を想定している」

 

 ネオは少し不機嫌な顔で

「そんなに自分は、不貞な男ではありませんよ。でも、まあ…つき合いで…そういう事をしてしまうのは、ありますが…。それでも妻達には申し訳ないと…」

 

 皇帝ロンバルディアが

「ネオ、お前がやった事は、お前が思っている以上に世の中に影響を与えた。それだけは自覚して欲しい」

 

 ネオは渋い顔で頷き

「ご忠告、ありがとうございます。重く受け止めます」

 

 皇帝ロンバルディアが

「うむ。で、帰還は何時になる?」

 

 ネオが

「二日後の予定です。もう少し、この辺にある帝都にないアイテムや魔導具を購入してから」

 

 皇帝ロンバルディアは頷き

「分かった。帰還を待っているぞ」

 

 ネオは明るく「はい」と返事をして通信を終えた。

 

 そして、食堂に下りてルディリを探す。

 帰還に関しての話し合いをする為だ。

 ルディリがいない。

「何処かへ出かけたのか?」

 

 そう思っていると、スタンクが

「よう、ネオっち」

 

 ネオが呼びかけられた後ろを、スタンクを見て

「なんだ?」

 

 スタンクが近づき

「いや…ちょっと顔貸してくれねぇ?」

 

 ネオが首を傾げ

「どうしてだ?」

 

 スタンクが

「お前に助けて貰ったお礼をしたって連中がいてさぁ…連れてくるように頼まれたのよ。ルディリのヤツもそこへ先に行っているのよ」

 

 ネオは呆れ顔で

「別に良いのに…」

 

 スタンクがネオの肩を抱えて

「なぁ…来てくれよ。アンタを連れてこないと、オレが叱られる」

 

 ネオは呆れつつ「分かったよ」とスタンクに連れられる。

 来たのがサキュバス街だった。

 

「え?」とネオは固まる。

 その隙にサキュバス街のサキュ嬢達がネオを囲み

「いらっしゃいませーーー」

「本当に助けていただき、ありがとうございましたーー」

「是非とも、わたし達にお礼をさせてください」

 

 各種族のこのサキュバス街のサキュ嬢達に囲まれて、ネオは引っ張られる。

「おい! どういう事だ!」

と、ネオはスタンクを見る。

 

 スタンクはニヤリ顔で

「どういう事だって、こういう事だよ」

 

「ええ!」とネオが驚いている間に、お店に引っ張られていった。

 

 これからネオへのお礼を兼ねたサキュ嬢店巡りが始まる。

 そして、引っ張られるネオの前に

「もう…ムリ…」

と、道ばたに倒れたルディリがいた。

 

 ネオと共に病気流行阻止に働いたルディリがサキュ嬢店巡りをして、精根尽き果てる様が…。

 

 ネオを引っ張る各種族のサキュ嬢達が『さあ、いってらっしゃいませーーー』と最初の一件目へネオを入れるのであった。

 

 ネオはとことん、サキュバス街を堪能させられ、帰って来れたのは次の日の昼後だった。

 

 致しまくってネオとルディリは、股間が痛かった。

 

 結局、この地方での珍しいアイテムとか魔導具なんて買える体力もなく、回復した時には帰還する日だった。

 

 ネオとルディリが乗船する帝国の大型船の見送りに、スタンクとゼルにクリム、ナルガミが来てくれた。

 

 スタンクが

「じゃあ、なあ」

 

 ゼルが

「色々とあったけど、またな」

 

 クリムが

「ネオさん、ルディリさん。また…お目にかかりましょう」

 

 ナルガミが

「今度、帝国に行ったらドラゴンを見せてくれよ」

 

 ネオが

「帝国に来たら、歓迎するよ。エッチなお店ではない所でな」

 

 ルディリが

「また来た時は、よろしくね」

 

 ネオとルディリが乗船しようとした時、上空から高速で動く箒に乗った魔女が下りる。

 それは、大魔導士デミアのデコイではない。

 色んな視覚の目を備えた魔導服を纏う本体のデミアだった。

「ちょっと待ちなさいよ」

と、ネオを止めて、とある包みを渡す。

「今回のソールちゃんの事、助かったわ。そのお礼…」

と、ウィンクする。

 

 ネオは両手で握れる程の大きな包みの中身を見ると、多種多様な魔導具が入っていた。

 微笑んだネオが

「すまんな。ありがとう」

 

 デミアが怪しげな笑みで

「アンタのサンプルをくれれば、もっとあげるわよ」

と、右手の握りを上下させる運動をする。

 

 ネオが顔を引き攣らせて

「却下だ」

 

 

 こうして、ネオとルディリのこちらでの冒険は終わった。

 ネオは離れて行く港を見詰めて

「色々とあったが…楽しかったなぁ…」

 

 隣にいるルディリが頷き

「うん。良い冒険だった」

 

 そして、二人は思い返したが…冒険…まあ、冒険もあったが…あのスタンク達のサキュ嬢巡りが印象深かった。

 

 ネオが

「やっぱり、良い冒険って取り消していいか?」

 

 ルディルが

「そうだね…」

 

 微妙な空気に包まれる二人だった。

 




最後まで読んでいただきありがとうございます。
次話もよろしくお願いします。
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