だからこそ調査する。
その日、一緒に金属生命の化石を発掘運搬をしてくれる人員が来てくれた。
ドルガの話では四十人くらいと言っていたが…100人もいる。
しかも90人は各種族の女性ばかりだ。
ネオがドルガに
「四十人くらいって言っていたが…」
ドルガが面倒くさそうに
「いや…その…他の各種族の女連中が噂を広めてねぇ。稼ぎたいって女達が来たんだわ」
スタンクはネオに
「これくらいの人数がいれば発掘も楽になるじゃん」
ネオは今日来た人員を見ると、アラクネや山羊、巨人、オーガ、ケンタウロスと移動に関して問題ない面子ばかりだ。
「確かに、彼女達のような種族なら…」
ドルガが
「良いのかい? こんなに居ちゃあ報酬が…」
ネオが
「その心配はない。まだまだ、地中に埋まってる。むしろたくさん来てくれて好都合だ。昨日に分けた分け前より多くなる筈だ」
ドルガがホッと安堵して
「そうかい…良かったよ」
こうして、新たな発掘隊一同は、山道を進み二時間弱で、発掘場所に到着。
Dデミアやヘパティア、デモンティアの三人の指揮監視の下で金属生命の化石を発掘し続け、ネオはルディリ、ドリン、レリス、ムラマサ、クリム、ドルガを連れて周辺の調査に行った。
スタンク達は化石発掘を邪魔されない為の護衛に残るが…スタンクは化石を発掘する各種族の女性達に粉を掛けていた。
ネオ達7人は、山々を進み様々な場所をレーダー測量する。
クリムが
「どうして、周辺を調べているんですか?」
ネオに尋ねると、ネオは鋭い顔で
「この山脈地帯、おかしいと思わないか?」
クリムは「ええ…」と山々を見る。
クリムには普通にしか…
「そうですか?」
ネオには違和感があった。
自然に出来た丘陵や、山間もあるが…一部分、そう…まるで何か巨大な存在が通って山が崩れたような跡が見えるのだ。
ネオは超宇宙技術文明時代に、度々、自然の場所を訪れていた。
だからこそ違和感がある。
この世界も山脈といった自然地形が形成されるパターンは、自分の故郷と同じ理論で形成される。
自然の浸食。
だが、その浸食とは思えない程の形跡があるのだ。
ネオは集めたデータを入力して、人口海洋島都市エンテイスに転送して、DIメイドランに解析させて、発掘現場へ戻る。
Dデミアが来て
「周辺の調査はどう?」
ルディリが
「他にも同じように金属生命の化石が埋まっている場所を発見したよ」
ドリンが
「ここには沢山あるらしい」
Dデミアが
「つまり、ここはそういう生命達達が繁栄した所って事ね」
レリスが
「だとしたら…どうやって代謝する為の鉱物を得ていたのでしょうね?」
そこへデモンティアが来て
「おそらくだが、我々のように地中の鉱物を植物のように食べる存在がいて、それを食べる存在がいて、そして…食べた存在が死んで地面に落ちて、それを分解、植物のような存在が取り込むという、循環を形成していたかもしれん」
ムラマサが
「そうなら、植物の形態をした金属生命の化石が出てくる筈だよなぁ」
Dデミアが
「たまたま、見つかっていないだけかも」
ルディリ達は顔を合わせ、ネオがエンテイスの通信を待っていると…ネオの前にDIメイドランの立体映像が出て
『ネオ様、解析が終わりました』
ネオが
「結果は?」
DIメイドランが
『ご推察の通りかと…』
ネオは頷き「分かった」と告げて
「みんな…話を聞いてくれ」
と、全員を招集させた。
ネオは集めたデータを解析させたのを立体映像にして全員に見せる。
この地域一帯の山脈の詳しい立体映像データを前にスタンクが
「詳しく調べたもんだなぁ…」
ゼルが
「しかし、まあ…まだまだ埋まっているみたいだな…」
立体映像データには、まだまだ埋まっている金属生命の化石の位置が示されていた。
ネオが冷静に
「この山脈地帯全体を調べて見て分かった事がある。まずは…これを…」
とあるデータを重ねる。
それは山々の間を示したマークの様に見える。
カンチャルが
「これが何の意味があるの? 普通の山の間を示したようにしか見えないけど…」
ネオが
「山と山の間が開く理由は、長年の風雨の浸食、山体崩壊、地震による隆起、その他の天災といったような事で山脈の間が開く事がある。だか…」
ネオは別のデータを重ねる。
それは赤い山々の間と共に青い部分のマークがされる。その数はかなりでだ。
Dデミアが
「このマークは?」
ネオが
「これはそういう自然的な災害や、何らかの戦争による崩壊以外で間が開いた部分を示している」
ブルーズが
「ほとんどの山の間がそうだな…」
スタンクが
「何で開いた場所なんだ?」
ネオが鋭い顔で別のデータを投影させる。
それは、何かの長いムカデのような形状である。
ゼルが
「なんだこりゃ?」
ネオが
「結論から言う。恐らく、全長三キロ、幅八百メートルの巨大な多脚生物のような存在が通り続けた影響によって形成された山間だ」
全体から『はぁぁぁぁぁ』と呆れと驚きのような声が放たれる。
スタンクが
「おいおい、そんな巨大なバケモノ…いると思うのか?」
ゼルが
「長寿のエルフとして生きて来たが…そんな、ドデカいヤツに会った事がないぞ」
悪魔族のデモンティアが
「同じく万年長寿を誇る悪魔や魔族達の歴史を見てもそんな存在がいたという記述はない」
ネオが鋭い顔で
「いや、いる…間違いない。それを考慮すると、どうして金属生命の化石があるのか理由になる」
ルディリが
「どんな理由が?」
ネオは鋭い目のまま
「自分達は、これを地上で栄えた金属生命の化石だと思い込んでいる。その前提が間違いだったんだ。この金属生命の化石は…この巨大な存在が生み出す防御機構、免疫のような存在なんだ」
スタンクが肩をすくめて
「おいおい、突拍子もないだろう…それ」
ネオは動じず
「だが、道理が合う。金属生命の化石にはそれを捕食していたであろう食物連鎖の形跡がない。つまりだ…免疫のように働いていて…その本体から栄養供給され活動していた。本体から離れると、その栄養補給がないから死んで化石になる。生殖のような器官も免疫による自己増殖の機能と考えれば納得する」
ブルーズが
「じゃあ、そのドデカいヤツの化石が何処かに埋まっているのか?」
ネオは首を横に振って
「いいや…化石になんてなっていない。ソイツは生きている、今も…」
と、ネオは立体映像データを進めると、その映像、つまり巨大な存在が通った形跡が山脈奥地の火山地帯へ続いているとなっている。
スタンクが額を抱えて
「おいおい、つまり…その巨大なヤツは、火山の中、マグマダイブして…偶に地上に出てくるって事なのか?」
ゼルが呆れに笑い
「確かにマグマに強い種族はいるぜ。サラマンダーとかリザードマンとか、悪魔系も火属性持ちなら耐えられるが…マグマの底へ潜っていけるヤツなんて聞いた事が無い」
ヘパティアが
「突拍子もない理論です。まだ、実は金属生命の化石と元となっている金属生命は、地中の巨大な空洞、地下世界で暮らしていて、何処かに空いている地上との出入り口から出ている方が信憑性があります」
Dデミアが
「まあ、面白い説ではあるけど…余りにも飛躍した理論は、冷静な判断でされたとは思えないわね」
否定の声が出てくる。
スタンクが、何も言わないネオの仲間、ルディリ、ドリン、レリス、ムラマサに
「なぁ…お前達から何か言った方が…」
四人は沈黙で、レリスが
「ネオは、我らのドラグアース帝国で多大な功績を打ち立ててきた。私はネオを知っている酔狂でモノをいう人物ではない…と」
Dデミアが
「話はそこまでにして」
と、話題を変えて
「ネオ達が調べてくれた地質データで、まだまだ金属生命の化石があるって分かったから、新たな申請をしないといけないわねぇ…」
デモンティアが
「これは当分の間…ここが高価な素材となる金属生命の化石の産地になりそうですな」
ネオが言うべき事を言って黙っていると、ドルガが来て
「アンタ…アタシの話を…」
ネオがドルガを見詰め
「君のおばあさん、君の祖先達が伝えていた事は事実だ。間違いない」
ドルガは鼻が痒くなる程に嬉しかった。
信じてくれる人がいる。
その日の金属生命の化石を取り終えて、運搬する一同。
そして、根城にしている町で、金属生命の化石を渡して報酬を受け取り、手伝った百名には昨日より多い九千万Gの報酬を個々が手にした。
それでまたスタンク達が遊びに行くと「お…」と地面が僅かに揺れる。
スタンクが
「地震?」
その揺れはゆっくりで長く続く。
十分以上も緩やかな揺れが続き、収まった。
カンチャルが
「火山が活発になる時には、こんな緩やかで長い地震が多くなるって聞いた事がある。地中のマグマが動くかららしいよ」
「へぇ…」とスタンクが納得する。
スタンク達は遊びに行って、他のメンバーは食事を終えると、ネオはドルガから話を聞く為に別の店に行く。
ドルガの出身地を聞くと、やはり…あの巨大な存在が通った道の傍にある村だった。
そして、その伝わる巨大な龍亀についても聞いた。
言い伝えでは、太古の時代の古い神でもあり、この地で暮らす地神である事。
地中へ潜るという事も聞いた。
ネオは話を真剣に聞いて頷き、ドルガは嬉しかった。
ドルガが
「アンタ…家族は…?」
ネオは遠くを見るように
「妻が…四人、三人からは子供が産まれて、一人は妊婦だ。そばに居てやりたいが…色んな仕事を押しつけられて…」
ドルガは頷き「そ、か…」と呟いた次に
「どのくらいまでいるんだい?」
ネオが日程表を取り出し
「後、一ヶ月半くらいかなぁ…。でも、新たに化石が見つかったから…どうなるか…」
ドルガは不意に、帰って欲しくないように思ってしまった。
パチンって顔をドルガは叩く。
ネオはそんなドルガに
「どうしたんだ?」
ドルガはカラ元気で
「いいや、アンタの手伝いをしていっぱい稼がせて貰おうってね!」
ネオは微笑み
「ああ…頼む。まだまだ、大量にあるから、よろしく頼む」
翌日、また、100人くらいの異種族の現地民達の協力によって金属生命の化石の発掘と調査を行う。
新たなポイントに到着して、魔導具で地中の調査を開始すると…また、地震だ。
昨日と同じゆっくりで長い地震だ。
スタンクが
「まさか…火山が噴火する前兆じゃないよなぁ…」
カンチャルが数キロ先にある火山地帯を指差し
「大丈夫だよ。何かあってもこの距離なら」
その指差した火山地帯の火山が爆発する。
轟音と噴煙を上げる火山達。
ネオの目の前にDIメイドランの立体映像が出て
「どうした?」
と、DIメイドランにネオは尋ねる。
DIメイドランは
「大変です。昨日からネオ様の助言通りにこの一帯の宇宙上へ、探査監視衛星を配備させて監視していましたが…」
と、隣に別の立体映像が投影される。
それは噴煙を上げる火山の深部探査レーダーの映像だ。
映像にはマグマの巨大な一帯と、その中を泳ぐ何かの存在が…
巨大な爆発が響き渡る。
噴火した火山達が崩壊して、赤熱を放つマグマの海が噴出、そして…そのマグマの海から巨大な存在が
DIメイドランが
「ネオ様の想定通りです。全長3500メートル、幅900メートルの生命体らしき存在です」
爆発崩壊した火山地帯のマグマの海から、背中に無数のトゲを持ち銀色に光る小大陸のような巨体、ワニの如き頭部と顎門、そして…無数の鋭い爪を備えた足達を持ったそれが…大地に降り立ち
ヴォオオオオオオオオオ
大地に我ありと咆哮を上げた。
それを見た全員が唖然として、スタンクは「ウソだろう…」と加えていたタバコを落とすも、ネオが拾って消してスタンクに始末をさせる為に渡して
「言ったろう。事実だと…」
と、ネオは確信を告げた。
言い伝えの大陸龍亀が出現した。
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