ネオ達は、火山地帯から出現した巨大存在を見守る。
全長3500メートル、幅900メートルの陸を歩く多脚の大陸龍は、悠然と大地を歩く。
背中は、ミサイルのような突起が幾つも並び、その合間から…あの発掘された金属生命の化石と同じ形状の者達が蠢いている。
それを見たネオの隣にいるDデミアが
「まさか…本当に…」
ネオにスタンクが
「どうするんだよ?」
ネオは渋い顔をして
「とにかく、見守るしかない」
ブルーズが指を鳴らして
「倒しちまうか?」
デモンティアが
「あんなのどうやって倒す? ものすごい大軍が必要じゃぞ」
ネオが
「止めといた方がいい」
ゼルが
「どうして?」
ネオはレーダー探査で知っていた。
「あの存在の内部、おそらく動力の源だが…ものすごいエネルギーの圧縮体がある。もし、アレを倒したとして、それが解放されれば…地表の全てが消滅する程のエネルギーを持っている」
ヘパティアが
「倒してもマズい、でも…このままだと…」
そう、この巨大な大陸龍亀の先には、ネオ達が根城にしている町がある。
しかも、もう…近くにだ。
ルディリが
「ネオ…方向を変えるくらいは…」
レリスも
「そうですよ」
ドリンとムラマサも頷く。
ネオが渋い顔で
「下手に刺激したくないが…仕方ない」
ネオの背部から、ルディリ、レリス、ドリン、ムラマサが乗る小型のロボット兵器が飛び出し、ネオが
「スタンク達は、町に先回りして避難を」
スタンクは
「任せろ」
と、一目散に走って行く。
残りの発掘を手伝ってくれたドルガ達にネオは
「君達は、安全な場所へ」
と、告げて、ネオ達が乗るロボット兵器達が飛翔して、大陸龍亀へ向かった。
ネオ達が乗るロボット兵器は、飛翔しながら大陸龍亀の前に静止して、その銃口を向ける。
唐突に、大陸龍亀が動きを止めた。
『え?』とネオ達は困惑していると、大陸龍亀は頭部を左に向けて、そちらへ移動を始めた。
町を避けた。
ネオ達は驚き、ルディリが
「どういう事?」
方向を変えた大陸龍亀は、高い山脈へ登ると、頭部を空へ伸ばして周囲を見渡す。
まるで、何かを確かめているようだ。
ネオはハッとする。
「まさか…」
ドリンが
「どういう事だ? 周囲を確認しているような感じだが…」
ネオは再び、ロボット兵器で大陸龍亀の前に来る。
何かを確認している大陸龍亀が、ネオが乗るロボット兵器へ、四つ目の視線を合わせるとネオが爆音で
「おーーーーーーーい 言っている言葉が分かるかーーーーーーー」
と、山に響き渡るネオの声。
大陸龍亀が
”ヒィーーーーーーーーーーーーー”
高周波のような音を放つ。
そこへ、ルディリ達が乗るロボット兵器も来て
「ネオ、どうしたの?」
と、ルディリが。
ネオは
「メイドラン」
と告げると、ネオの操縦席の隣にDIメイドランが来て
「はい。ご主人様…これは…」
ネオは頷き
「高周波音域に変換された信号だ。DIマンティスネオを…」
異星間文明解析研究が得意なDIマンティスネオを召喚して、解析を頼む。
DIマンティスネオは、様々な立体映像を見せると、大陸龍亀がそれに応じて高音域の信号を放つ。
一時間して、DIマンティスネオが
「解析が完了した。こちらから…対話をしてみるぞ」
DIマンティスネオと大陸龍亀が対話をして二時間、DIマンティスネオが
「どうやら、こちらの言語が話せるらしいので、喋って貰うとする」
「そうか」とネオは頷き、乗っているロボット兵器をその場に下ろした。
ルディリ達も着地して、そこへスタンク達が来て
「おい、どうなっている!」
と、スタンク達が来た。
ネオが
「こちらの言語を喋れるらしい」
巨大な大陸龍亀が、四つ並ぶ目をネオ達の近くへ向け
『いやはや、こんなに早く対話を可能にするとは…助かったよ』
大陸龍亀が言葉を喋る。
スタンク達は度肝を抜かれて、Dデミアが
「あの…貴方は…」
大陸龍亀は
『もう…この星に来て数億年弱かのお…』
スタンクが
「マジかよ。長寿ってのも程があるぞ」
大陸龍亀がクリムを見て
『おや…そこの翼を持っている子よ。お主は彼女の眷属かい』
クリムが驚きを見せ
「え? もしかして…女神様を…知っているんですか?」
大陸龍亀が「ほほほ」と朗らかな笑い声を放ち
『そうか…まだ、彼女が座にいるのなら…余計な事は喋らない方がいいな』
デモンティアが
「お主は何者ですか?」
大陸龍亀が
『はて…遙か彼方、遠くの遠くの宇宙の果ての次元の彼方から、この星に住み着いた者さ。数百年単位で、地核へ潜ったり、こうして…大地に出たりと、そんな生活を続けている』
ゼルが呆れ気味に
「数百万年って、どんな単位だよ。千年の長寿のエルフでさえビックリだぜ」
大陸龍亀がネオを見て
『ほう…お主は…この世界の住人…いや、半分くらい、こっちの世界の住人なんじゃなぁ…』
ネオが
「貴方は…名前は?」
大陸龍亀が
『そうだな…旧神ルドラン、永劫のドラゴニアース、世界を統べる大地龍ディオロスとも、幾つもの名前で呼ばれていたさ。昔からの本名は、アースガルド…』
ネオは
「アースガルドさん。貴方の目的は?」
大陸龍亀アースガルドは
『別に、何時も変わらない。のんびり暮らす事さ』
Dデミアは
「本当にそれだけ?」
大陸龍亀アースガルドは
『そうだよ。のんびり暮らして世界を回ってみたいのさ。地上は何時も忙しい、その移り変わりをゆっくりと見詰める。それだけが望みさ』
デモンティアが
「しかし、先程の話を聞く限り、貴方は神やら超常の存在として扱われていた。ならば…積極的に地上と関わった事もあるのでは?」
大陸龍亀アースガルドは
『その通り、こちらが望まないのに、色々と巻き込まれてしまう。そういう事も理解している。だから、望みなのさ…』
スタンクが
「アンタは敵意がない。だが…アンタの体から取れるそれは、ものすごいお金になるんだぜ」
大陸龍亀アースガルドの体から生じる金属生命…いや、アースガルドの体から生じる金属生体産物は、もの凄い資源だ。
ブルーズが
「見た感じ、アンタは色んな戦う為のモノを持っている。そうじゃないのか?」
大陸龍亀アースガルドが
『その通り…。ワシ自身が身を守る力は、この世界に大きな傷跡を残す。だからこそ…色々と今までも巻き込まれる。だが、それでも争いが終われば平和に暮らせた。その傾向は今も変わらんと思うがのう…』
ネオは大陸龍亀アースガルドを見詰めていると、後ろでDデミアとヘパティア、デモンティアが話し合いをして、Dデミアが
「分かったわ。一応、貴方の事を報告させて貰うわ。それから…色々と決めましょう」
大陸龍亀アースガルドが
『そうかい…』
と、告げる。
こうして、大陸龍亀アースガルドは、この地に留まって貰い、Dデミア達は報告を各地の為政者に伝える。
その夜、ネオは大陸龍亀アースガルドと語り合い、隣にドルガもいた。
ドルガが
「いや…本当に言い伝え通りだったなんて…」
アースガルドはドルガを見詰め
『おお…君は…そうか…彼女達の子孫なんだねぇ…』
ネオが
「知っている人が?」
アースガルドが夜空を見上げ
『数百万年前の地上に出ていた時に…私に巫女を付けるとして共にあった娘達がいる』
と、告げるとアースガルドの体の触手のように伸びると、それが人型になり、それはドラゴンハーフとなった。
『ワシは、このように小型の分体を作れる。この小型の分体を彼女達の世話役にしていたら…』
ドルガがフッと笑い
「ああ…つまり、その分体と…」
アースガルドは頷き
『その通り、結ばれて…子をなして…そして、その伴侶となった娘達と共に消えたさ』
ドルガが
「じゃあ、アタシ達の代々代々じいちゃんかね?」
アースガルドは楽しげに
『ははははは、そうだな。こんなに可愛い遠い孫達がいて嬉しいよ』
ネオは
「アースガルドさん。貴方は、この世界の…深部、多分、管理」
と、告げた次に気配を背後に感じて振り向く。
黙って背後を見たネオにドルガが
「どうしたんだい?」
ネオは視覚でなく、何かのエネルギーフィールドに似た反応を感じてレーダー波を飛ばすと、突然に立ち上がり右腕のナノマシン端末から高エネルギー砲身を取り出して構える。
ドルガは困惑して
「ど、どうしたんだい?」
アースガルドが
『彼女達の眷属が来たようだ』
ネオのレーダー波には、物理干渉を防ぐ特殊フィールドに包まれた存在達が幾つも確認出来た。
アースガルドが
『待て、彼ら…そう、君と一緒にいた翼を持つ天使の仲間達さね』
不可視の天使の一人が、特別な加護を緩めると姿を見せる。
それはクリムと同じ天使の者だった。
突如、出現した天使にドルガは困惑する。
ネオが鋭い顔で
「何の用だ?」
天使がお辞儀して
「古き神、旧神ルドラン様にご挨拶を…と」
アースガルドが
『彼女に伝えて欲しい。私は、君の治世を揺るがすつもりはない…と』
天使がアースガルドを見詰めて
「しかし、貴方は旧神ルドラン。強大な力を秘めるお方、世界が混乱するのは必至だと…。それに、もう…」
と、天使がとある場所の空を見る。
ネオとドルガは、その方角を見ると
「なんだ、あれ?」
と、ドルガは驚きを告げる。
ネオは鋭い顔になる。
見詰める先には、無数の飛行船の気球部分を上部にしてつり上げて浮力を得て空を飛ぶ船達、飛空艇の艦隊が迫っていた。
Dデミアが箒に乗って現れ
「大変、アースガルドの事を知らせたら…各地の飛空艇の艦隊が来るってなって…」
走って来たスタンク達も来て
「野郎、連中はこのバカでかいヤツをどうにかしちまうみたいだぜ」
と、スタンクが告げる。
アースガルドは
『やれやれ、やはり…始めは荒事に巻き込まれるか…』
と、告げる言葉には、どこか達観したような感じがあった。
ネオの通信にドラグアース帝国のロンバルディア皇帝が出て
『ネオよ、大変な事態になったぞ。お主達が見つけた大陸龍亀アースガルド殿を巡って戦争が起こるやもしれん』
ネオは厳しい顔をして
「今、こちらへ、アースガルド殿に向かっている飛空艇の艦隊を確認しました」
大きな争いの火種が起ころうとしていた。
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