異世界現地調査   作:赤地鎌

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 ネオ達は、遭遇してはいけない存在に遭遇した。
 


久しぶりに…

 アネロがミレアに驚きを向け

「そんな、ミレア…どうして」

 

 ミレアは淡々とした感じで

「久しぶりね…アネロ」

 

 アネロが

「何をしているんだ?」

 

 ミレアはネオとグレンを見て

「私達の務めを果たしているのよ」

 

 ネオが鋭い顔をして

「まさか…ソームンドの…」

 

 ミレアは不気味に笑み

「心配しないで、そのソームンドの連中、もう…私達、罪喰いの聖女達が皆、浄化してあげたから」

 

 アラーニャが出て

「浄化って、皆殺しにしたんどすか?」

 

 ミレアが肩をすくめて

「ええ…愚かな罪人を狩る為には、同じく愚かな罪人の権力者の下にいた方が効率が良かったのよ。でも、残念、ソームンドの連中は私達を都合が良いコマにしようとしたから…これで浄化させたの」

と、告げた瞬間、不可視にしていた喰手触手を実体化させた。

 

 グルルルルルルル

と、ミレアの背から伸びる不気味に唸る喰手触手。

 

 アネロが

「何があったの? ミレア…」

 

 ミレアが首を傾げて

「アネロ…私、アナタと結婚して幸せな家庭を築きたかった。でも、出来なかった。それはどうして何だろう? そう、考えた結果…この世にいる罪人が全て悪いって分かったの。だから、罪人を浄化する手伝いをする事にしたわ」

 

 サーフェが

「そんな事、本当に意味があるんですか?」

 

 ミレアがサーフェを見て

「んん…どうして、そう思うの?」

 

 サーフェが

「どうして、その罪人が出てくるのか? それを根本的に治療しない限り、永遠に罪人は出続けます。確かに罪を犯すのはよくありません。ですが…どうして罪を犯すのか? それを理解して防ぐ事で、罪人を、罪を犯す人を減らせるはずです」

 

 ミレアが皮肉に笑み

「確かに、貴女の言う通りよ。でも、どんな事になっても罪人は生じる。なら、その後始末をする存在は必要でしょう。ゴミ掃除もできないクセに…。それにアナタの言葉…じゃあ、アナタの大切な人が私に殺されれば…同じ事が言える?」

 ミレアの顔が、悪魔の笑みになる。

 

 それにサーフェや隣にいたアラーニャが恐怖で全身が硬直する。

 これは…自分達がいる世界に生きていない。

 それを感じさせた。

 

 ネオがグレンを、アネロ達へ弾いて

「離れろ! コイツは…ヤバい!」

 

 アネロがグレンを受け取り

「アナタは!」

 

 ネオは構えて

「やれるだけやるさ!」

 

 ミレアがネオを見詰め

「さっきから、これを知っているような感じだけど…」

と、喰手触手を横に下ろして撫でる。

 

 ネオが厳しい顔で

「ああ…知っている。だからこそ…会いたくは無かった」

 

 ミレアが頷き

「そう。だから…この子は、アナタを見た見たときに、興奮していたわ。まるで会いたかった恋人が目の前にいるように…」

と、喰手触手を撫でる。

 

 ネオが両腕からナノマシンの装備、プラズマソードを伸ばし

「恋人? 冗談を言うな…その…それを持っているヤツに、オレ達の宇宙が、世界が滅ぼされる寸前までになったんだぞ。敵の間違いだろう」

 

 ミレアが消えた。

 いや、縮地という俊足で、ネオが反応する速度以上で、ネオの懐へ入り

「そう、じゃあ、久しぶりの仇敵との再会、楽しんで」

と、ネオの腹部に正手を叩き込む。

 

 それにネオは反応して、胸部のナノマシン端末から防壁装甲を展開、それにミレアの正手が突き抜けた。

 言葉の通りだ。防壁装甲を透過して突き抜けた。

 存在そのモノを、別次元に変更して、防壁装甲を通過、ネオの胸部、心臓の上にあるネオデウスのコアへ正手が向かう。

 

 それにネオは反応して、ミレアの左ホホを蹴って自分の体勢を無理矢理に変えて避けた。

 

 ミレアはネオの蹴りを受けても平然としている。

 

 ネオは、蹴った右足にヒビが、ナノマシンで強化してある骨格にダメージが入る。

 

 直ぐに避けたネオは、体勢を整えつつ、急いで回復ナノマシンで足を治す。

 

 ミレアは静かに、ネオを見詰める。

「慣れているのね?」

 

 ミレアは、一挙一動で止まる。

 明らかにこちらを試しているのだ。

 

 ネオが厳しい顔で見詰める。

 このままでは、まずい。もっとネオデウスの力を引き出さないと…。

 

 ミレアがアネロとラモスのラミア達を見て

「あの人達を殺せば…アナタは、本気になるかしら?」

 

 アネロが驚きを見せる。ラモスのラミア達が守ろうと構える。

 

 ミレアが残念そうな顔で

「ああ…アネロ、アナタ…罪を犯したのね…」

と、喰手触手が伸び上がってアネロと、アネロと同じラモスのラミア達の伴侶を、花弁の如き三つの獣眼で凝視する。

 

 ミレアは、アネロの罪を暴露する。

「ああ…アネロは、この街に来た後、荒れて…何人かのラモスのラミア達の女の人達を強姦したんだ…。かわいそう…罪人になって…私が浄化してあげる。そして、他の男の人達も…同じ事をしたんだ…。罪人がぁぁぁぁぁぁぁ!」

 悪魔の狂気を浮かべるミレアが…いた。

 

 アネロは、それを見て愕然とした。

 自分のせいだ。ミレアを不幸にした。だから…彼女は…。

 

 ミレアの喰手触手が

 ゴオオオオオオオオオオオ!

と、嬉しげに唸る。

 ここには、罪人がいる。四大罪科、殺人、強姦、窃盗、詐欺の中で強姦を犯した罪人達がいる。

「あははははははははははは!」

と、無邪気で残酷な笑顔をするミレア。

 

 ネオは胸部を触り

「ネオデウス・アヴァリアスに接続、高次元解釈から我に高次元の事象解力を」

 胸部に触れた両手に閃光の如き光が宿る。

 ネオは疾走する。

 両手に、高次元の力を宿してミレアに、罪喰いの聖女へ迫る。

 そして、ネオの繋がった高次元の力が、ミレアと繋がる喰手触手の元を探ると、完全にミレアと喰手触手が融合して切り離し不可能だった。

 殺すしかない。

 殺さなければ、この街にいる男性達は皆殺しにされる。

 

 ミレアがネオに反応して突きを放とうとするが

 

「おやめください」

 

 ミレアとネオの間に空間断裂が出現して、そこからシスターが現れた。

 

 ネオは瞬時に方向転換して距離を取る。そして…シスターを見た瞬間、驚愕に顔を染め

「お前…生きていたのか!」

 

 シスターはネオに微笑み

「ええ…久しぶりですね。アラタ中尉、いえ…今は…中佐? 大佐?」

 

 ネオは警戒したまま無言だ。

 

 シスターが微笑みながら

「アラタ中尉、アナタがいる事を、アマカス大尉は喜んでいましたよ」

 

 ネオは恐怖を引き攣る顔で

「アマカスは…お前も生きていたのか…。リー情報官」

 

 シスターは馴染みある、昔の自分の名前を言われて嬉しげに

「そう、名前を言ってくれるのは…アナタしかいませんね。アラタ中尉…」

 

 ミレアがシスターを見て

「シスター。この者達は?」

 

 シスターが首を横に振り

「貴女の目的は、見定める事。できたはずでしょう?」

 

 ミレアは冷静な顔になり

「申し訳ありません。昔の幼なじみが罪人に堕ちた事に耐えられず…」

 

 シスターは頷き

「心中、お察ししますが。我々は…」

 

 ミレアは頭を下げ

「我々は、統率が取れた罪人狩り。申し訳ありません」

 

 シスターが頷き

「帰りましょう。それと…」

と、ネオを見て

「今は、何という名で?」

 

 ネオが無言でいると、ミレアが

「ネオ…と彼は呼ばれているようです」

 

 シスターは微笑み

「ネオ。この新しい世界で、新しい貴殿に会えた事に感謝を…」

と、告げた瞬間、空間断裂がミレアとシスターを飲み込んで消えた。

 

 二人が去った後、ネオはその場に崩れた。

 本当に、去ってくれて良かったからだ。

 

 

 ミレアの襲撃が去り、何とか診療所を復旧、そして、病気を駆逐したネオ達が帰還する日が来た。

 

 アネロが診療所へ来た。

 グレン達や、ネオ達に独白する。

 アネロの言っていた事は、間違いではない…と。

 自分のように連れて来られた男性は、荒れる事があって…。

 自分達の倍もあるラモスのラミアの女なら簡単にはね除ける事は簡単だ。

 だが、アネロは怒りに任せて何人かのラモスのラミア達を襲ったと…。

 まあ、その後、襲ったラモスのラミア彼女達は、アネロの伴侶のハーレムにいると…。

 

 自分の意思で納得して来た場合は、そうなる事はないらしいが…。

 アネロのように戦争での事で連れてこられた場合は、そういう事が起こる…と。

 

 アネロは頭を抱える。

「私のせいです。ミレアが…あんな事になったのは…」

 

 そこへスタンクが来て

「アンタがくれたお守りのお陰で生き延びた」

と、襟首の間からアネロがくれた十字架を取り出す。

 それは凹んで曲がっていた。

 ミレアの正手がそれに当たって致命傷を避けてくれた。

 

 スタンクが

「アンタがそう思うなら、そうならないような方法を、編み出してくれ」

と、告げる。

 

 アネロは頷き

「はい。がんばってみます」

 

 

 そして、帰還の日。

 グレン達はスキュテイアー運送のケンタウロス達の馬車へ、ネオ達はネオが変形した輸送戦闘機で。

 ネオ達は、新型のウィルス開発の技術の譲渡と、実績を終えたので、そのままドラグアース帝国へ戻る。

 

 グレンが別れ際に

「色々とありがとうございます」

 お礼を告げる。

 

 それを受けるスタンクとゼルにクリム。

 スタンクが

「なぁ…に、何時かおれっち地元に来たら、色々と案内してやるぜ」

と、ヤバい指の形を見せて笑む。

 

 それにゼルは笑い、クリムは恥ずかしさで頭を抱えた。

 

 グレンは微妙な顔で、サーフェが鋭い顔をしていた。

 

 グレンは、輸送戦闘機のネオに

「ネオさんも、ありがとうございます」

 

 輸送戦闘機のネオは

「また、何時か…」

 

 ネオ達が乗る輸送戦闘機は飛び上がって、ドラグアース帝国へ飛んで行った。

 

 

 ネオの輸送戦闘機内でゼルが

「しかし、大陸を跨ぐとこんなに色々と違うとは…」

 

 クリムが

「まあ、ここまで離れる事は無いですからね」

 

 スタンクが

「まあ、色々と経験できたし、楽しかったぜ」

 

 クリムが

「こっちにも、僕たちのような大陸の魔法が伝わると良いですよね」

 

 ゼルが

「そうなったら、オレ達、レビュアーズの活動範囲も広がって楽しみが増えるな」

 

 輸送戦闘機のネオが

「そうだな。色々と経験になった。経験は貴重だ」

 

 スタンクが頷き神妙な顔で

「そうよ。オレ達の成果は、この大陸では異種族の女の子が全体的に大きいから、異種族で大きなサイズの女の子と致したい場合は、こっちに来いだな!」

 

 輸送戦闘機のネオが

「お前達の探求力には、感心させられるが…。そっちの方ってのが…何かなぁ…」

 

 スタンクが胸を張り

「やっぱり、男はこっちの強さがモノをいう!」

と、自分の股間を指差した。

 

 ネオは呆れる。

 

 

 最新レビュー 別の北大陸編

 

 スタンク、人族

 今回は、遠くの大陸まで来たぜ。

 どうやら、北の寒い地方ゆえか、全体的に異種族の女の子が大きい。

 オレ達が見慣れている異種族の女の子より倍くらいの体格だが。

 何の問題もない! 

 だが、まだまだ、避妊や病気を防ぐ技術が未発達ゆえに、やる時は注意!

 

 ゼル、エルフ族

 やはり、寒い地方なのか、体が大きな異種族の女の子が多い。

 それも各異種族の全体的に大きめだ。

 オレ達のいる大陸が南方に近いので、異種族での体格差は当然だと思っていたが

 ここでは、異種族である事は、体格が大きいというのと同じだ。

 だが、夜の頑張りに問題は無いも、やはり、避妊や性病の技術は未発達。

 今後のこちらからの技術移転を急務として欲しい。

 

 クリム、天使

 自分の住む地方では、あまり体格差は異種族同士でもありませんが。

 こちらは如実に異種族同士で体格差がありました。

 とくに人に近い異種族ほど、人と同じ体型で。

 人に遠い形態の異種族ほど、体格が大きくなる傾向にありました。

 自分の好きな異種族で体格が大きな方が好みの方には、良いかもしれません。

 ですが、やはり、病気や妊娠を防ぐ魔法が未発達なので、それが難点だと思います。

 

 

 

 ネオがいた宇宙超技術文明。DI達の会議

 

「ネオからの報告を見たか?」

 

「ああ…まさか、あの者達が生きていたとは…」

 

「空間相転移爆発で消滅したと…」

 

「んん…どうする? 対処を…」

 

「どう対処するのだ? 今の我々では全く歯が立たない存在だぞ」

 

「何れにせよ。経過を見守るしかあるまい」

 

「まさか、審判の獣神達が生き残っていようとは…」

 

「サタンヴァルデット…罪人を喰らう高次元存在…」

 




 最後まで読んで頂きありがとうございます。

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