宇宙戦艦ヤマト2199 孤独な戦争   作:とも2199

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宇宙戦艦ヤマト2202とは別の世界線を歩んだ宇宙戦艦ヤマト2199の続編二次創作小説「孤独な戦争」です。「白色彗星帝国編」、「大使の憂鬱」の続編になります。


孤独な戦争3 カイパーベルト

 地球を飛び立ったヤマトとアンドロメダ艦隊は、一路、太陽系外縁を目指していた。

 ガミラス戦争後の地球連邦の太陽系開発は、土星軌道より内側で行われており、天王星や海王星、冥王星といった地球からかなり遠い星は、手付かずの状態となっていた。

 第十一番惑星は、百年ほど前に発見された太陽系最遠の惑星だった。冥王星が、惑星から準惑星に降格されてから暫く後、太陽から最も遠い軌道を描く惑星の新発見があり、太陽系の惑星として登録された。これは、正式名称ではなく、実際には太陽系の第九番惑星であった。火星と木星の間にあるアステロイドベルトがかつて惑星だったと唱える著名な天文学者が、冥王星も含めて十一番目の惑星の発見だと述べたことによって、呼称されるようになったものである。

 

 太陽系外縁のカイパーベルトまでやって来た艦隊は、早速テストの準備に入っていた。

 山南は、通信マイクを掴んだ。

「全艦に告ぐ。五分後に、ショックカノンなどの兵装の射撃テストを行う。各艦、事前の打ち合わせ通り、速やかに準備しろ」

 山南は、マイクを切ると、艦橋の乗員に声をかけた。

「各員にすべて任せる。予定の時刻に主砲発射。すぐにかかれ!」

 山南の号令で、戦術長を中心に慌ただしく準備が行われた。

「砲撃予定座標に移動する。後、三十秒で到達」

「砲撃目標のカイパーベルト天体の小惑星をレーダーで捉えました」

「目標の捕捉開始。照準に捉えた後、自動追尾を設定をする」

 山南は艦長席で、にこにこしながら各員の動きを眺めていた。手には、大きめの携帯端末を持っており、時折それを眺めていた。

「おい戦術長、何か忘れてないか?」

 戦術長の若い男は、山南を振り返ったが、怪訝な顔をしている。

「うん、わからんならいい。続けろ」

 戦術長の男は、何かを思い出したようだった。まずい、という表情で艦内通信のマイクを掴んだ。

「全艦戦闘配置! これは、実弾を使った訓練である!」

 彼は、マイクを切ると、山南の方へ再び振り返って謝罪した。

「す、すいません! 緊張しておりまして!」

「オーケー、まぁいい、続けろ」

「は、はい!」

 山南は、彼が自分の仕事に集中するのを確認して、端末を弄り始めた。

「えーと、ヤマトの戦術科にいた奴は、と」

 端末の画面には、古代や南部、北野などの情報が顔写真付きで表示されていた。

「南部……。南部重工業の御曹司だったのか……。何々、砲術長としての評価A、性格は好戦的? 功績は、と……。ふーん。なるほどなぁ」

 山南は、北野の情報も眺めた。

「おー、こいつはいいね。文句無しだ」

 いや、まてよ、と山南は考えた。

「さすがに、古代の奴、北野を連れて行くと言ったら怒るだろうなぁ」

 山南は、画面を切り替えて、艦の組織図を表示して、南部を戦術長の位置に設定した。そして、現在の戦術長を交代要員に配置した。山南は、にこやかに頷いた。

 これなら、経験不足を補えるし、南部が奴を教育してくれるだろう。ついでに、砲術担当も教育できる。好戦的とか書いてあるが、俺の前でそんな真似を続けるのは無理だろう。

 山南は、満足げに組織図を保存した。そして、艦内の様子を引き続きチェックし始めた。

 

 アンドロメダは、目標に対して平行に砲撃位置につき、砲塔を小惑星帯に向けた。同じように主力戦艦のナガトとムツが少し離れた位置についていた。

 アンドロメダでは、先程の戦術長の男が砲術長に指示を出した。

「砲撃予定時刻になった! うちーかた始め!」

「了解、砲撃開始! うちーかた始め!」

 アンドロメダの全砲門から、主砲が斉射された。同時に、ナガトとムツも砲撃を開始した。主砲は連続発射され、次々に目標の小惑星に命中していった。

 山南は、その様子を見て感慨深けだった。

「今までの艦じゃ、こうはいかなかったなぁ……」

 山南は、キリシマの主砲を思い出していた。波動砲のように、長い時間のチャージをして、やっと一発撃てるだけだったショックカノンが、全砲門で連続斉射するなど、夢のようだった。

 アンドロメダと主力戦艦は、各種のミサイルや、パルスレーザー砲の発射テストを行った。そして、続いて波動砲のテストを行おうとしていた。

「いよいよ、アンドロメダの真の力が見れるって訳か」

 山南を始め、各艦の乗員は、今日のこの時を楽しみにしていた。

 そこに、古代から通信が入っていた。

「おっと……。先輩から、ご意見ってとこかな。スクリーンに出せ」

 アンドロメダの艦橋のスクリーンには、古代が映っていた。遅れて、画面が分割して、大村と井上の姿も映った。四者の同時通信で古代は、呼び掛けて来ていた。

「各艦、波動砲の扱いについて、言わせて下さい。ご存知の通り、イスカンダルと交わした約束によって、ヤマトの波動砲は一時封印されていました。私たちは、その約束の解釈を以て、波動砲の封印を解きました。先日、スターシャ女王と再会した際に、正直、お叱りを受けるのではないかと思っていました。彼女は、我々が波動砲の使用を慎重に考えていることを評価してくれており、皆が幸せになるために使うことを祈る、と言っていました。強大な大量破壊兵器であることを常に意識し、彼女の信頼に応えるよう、心に刻んでおいて下さい。私からは以上になります」

 山南は、古代に返事をした。

「心配するな。皆、わかってるよ。イスカンダルと交わした約束の解釈で、人類の存亡に関わるような重大な問題の対処にのみ使用を許可されている。この試射が、実際に発射する、最初で最後であることを俺も願っている。各艦の全乗組員、今の、聞いていたな? 皆、忘れんなよ。では、これより発射テストを行う。各艦、準備を始めろ」

 山南は、通信を切ると、アンドロメダの乗員にも指示を出した。

 その目標として、一際大きな天体が選ばれ、各艦が一斉に波動砲を発射しようとしていた。

「エネルギー充填百二十パーセント」

「発射十秒前、対ショック、対閃光防御」

 秒読みが開始され、徐々にカウントダウンされていく。

「三、二、一、発射!」

 三隻の波動砲口に、球状の塊が集約され、それが閃光と共に一気に解き放たれた。三隻の波動砲は、それぞれの艦内に轟音を響かせ、一斉に発射された。それぞれの強大なエネルギーの束が空間を切り裂くように進んでいく。そして、突然それは破裂し、大きく傘のように拡がった。波動砲のエネルギーは、細く細かい光のシャワーに変化し、辺り一面の小惑星をすべて破壊していった。そして、目標の大きな小惑星にも命中すると、それは粉々に崩壊していった。

「凄い!!」

 山南は、立ち上がって目標が崩壊していく様子を見守った。

「……なるほど。こいつは確かにヤバい兵器だ」

 艦橋にいた全員が、固唾を飲んで見守った。

 山南は、通信用のマイクを掴んだ。

「全艦、データ収集を怠るな。少し休憩の後、収束モードの試射を行う」

 

 ヤマトでも、波動砲の試射の様子を確認していた。新米が、データを収集しながら、解説をしていた。

「アンドロメダや主力戦艦の波動砲は、拡散波動砲という新型の兵器です。大規模な敵に対して使用することを前提として、ヤマトの波動砲を改良したものです。逆に、エネルギーを集約したヤマトと同じ収束波動砲も発射可能で、状況に応じて、これを切り替えて使うのを想定しています」

 これに、北野と南部が反応した。

「あれ、いいですね! ヤマトも改造してもらいませんか?」

「しかも、アンドロメダなんて二門もあるじゃないか。おい、シンマイ。もしかして、片方づつ連続発射できるのか?」

 新米は、頷いた。

「出来るそうです。しかし、波動エンジンが複数ある訳では無いので、威力は半減してしまうようです」

 南部は、少しがっかりしていた。

「それは、いまいちだが……でも、やっぱりいいよな。古代! 同じ機能に改造してもらうよう頼んでおけよ!」

 古代は、南部を見て困った顔をしていた。

「南部、話はわかったが、他の乗員に示しがつかないから、ちゃんと艦長として接してくれないか?」

「別にいいだろ、まったく、すっかり偉くなりやがって」

 ヤマトは、待機しているのが、今回の役割であり、皆が退屈していた。

 そんな中、一人相原は通常通り、広範囲の通信チャンネルをチェックする装置の表示を確認していた。装置が弱い電波をキャッチしているのに気が付き、音声をヘッドセットのスピーカーで確認した。酷いノイズしか拾っていなかった為、最初は無視しようとした。しかし、指向性の強い特定の方向に向けた電波だった為、相原は時折それを確認するようにした。

 

 アンドロメダは、最後に艦載機の発着訓練を行った。ここでは、ヤマトも協力して、艦載機を発艦させ、小惑星帯での飛行訓練を行った。

 ヤマトからは加藤や山本らが先行して飛び、アンドロメダの航空隊との競争となっていた。

 加藤は、小さな小惑星を避けながら、最高速度で飛ばしていた。

「俺についてこれる奴はいねえのか!」

 アンドロメダの航空隊は、五秒から十秒ほど遅れたところを飛んでいた。加藤の後をコンマ数秒でついてきているのは、結局山本しかいなかった。

「ねぇ、隊長!」

「何だ!?」

 山本は、通信で加藤に呼び掛けた。

「辞めるって本当なの!?」

「そんなの誰から聞いた!」

「皆、知ってるよ! 聞きにくいって、皆が言うから、今私が聞いてる!」

 加藤は、操縦に集中しながら、仕方なくそれに答えた。

「あー、本当だ! 地球で本土防衛軍の空軍に入る!」

「何で!?」

 加藤は、あまり言いたくなかった。だが、言わなければ、仲間にしつこく聞かれ続けるだろう。それは面倒だった。

「うちは、子供が小さいんだよ! 女房も子供も寂しいってさ、この間の休暇の時に言われたんだ!」

「尻に敷かれてんの!?」

「いいだろ、別に! 俺だって、そばにいてやりたいんだよ。宇宙艦隊は、何ヵ月も地球に帰れない。空軍なら、毎日家に帰れる!」

「勝手に決めるなんて、私たちは、どうすればいいの!?」

「俺の代わりなら、お前がいるだろ!」

「私!? 冗談じゃない!」

 加藤は、笑いながら言った。

「お前も、結婚すればわかるさ!」

「そんな相手なんていないよ!」

「知るか、そんなの!」

 二人の機体は、後を追うヤマトとアンドロメダの航空隊を引き連れて、小惑星帯をそのまま飛行し続けた。

 

 予定していたテストと訓練が終わり、艦隊は、カイパーベルトを後にして、内惑星軌道へと帰還の途についていた。

 山南は帰還した後、人員配置について、土方を言いくるめるのを楽しみにしていた。

「そして、暫くすれば、太陽系外への宇宙探査の計画だな。いやぁ、楽しみだ!」

 

 ヤマトでは、相原が通信機の表示を注意深く見るのを続けていた。相変わらず、先程の電波を捉えており、次第に反応は強くなっていた。

 相原は、何かに気づいてヘッドセットの耳を押さえて音声を確認した。

「うん?」

 相原は、次第にノイズが薄れて来て、音声のような音を聞いた。相原は、通信機を微調整して、音を増幅することにした。彼は、小さいが何かの音声が流れているのを確認した。

「艦長……」

「どうした? 相原」

 相原は、古代を呼び寄せた。彼は、もう一つのヘッドセットを取り上げて、古代に渡した。怪訝な表情をしていた古代も、ヘッドセットを頭につけて、その音声を聞いてみた。単調な音声が小さな声で続いていた。

「これは?」

「音声は何かを読み上げているようです」

「外国語だな」

 相原は、少し考えてから言った。

「未知の言語です」

「どういうことだ?」

「指向性の強い電波です。冥王星から太陽系外に送信されています」

 

続く…

 




注)pixivとハーメルン、及びブログにて同一作品を公開しています。
注)但し、以前pixivに連載した小説の加筆修正版です。以前のpixiv連載版とは、一部内容が異なります。
注)ヤマト2202の登場人物は、役割を変更して登場しています。
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