宇宙戦艦ヤマト2199 孤独な戦争   作:とも2199

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宇宙戦艦ヤマト2202とは別の世界線を歩んだ宇宙戦艦ヤマト2199の続編二次創作小説「孤独な戦争」です。「白色彗星帝国編」、「大使の憂鬱」の続編になります。


孤独な戦争4 冥王星

 古代は、山南らに相原が傍受した通信の件を報告していた。アンドロメダのスクリーンには、四者通信で画面に各艦長が映っていた。

「こっちでも通信を確認した。皆の意見を聞かせてくれ」

 ムツ艦長の井上が回答した。

「パトロール艦隊に見に行かせるか、我々で調査に行くか、ですね。今回はテスト航海なので、我々の準備が十分とは言えません。判断は山南司令にお願いしたいです」

「ふむ。大村は?」

「もしも、未知の敵が潜んでいるとしたら、一大事です。一旦、冥王星方面に、無人探査機を飛ばしては?」

「なるほど。古代は?」

「すぐに行くべきでしょう。航空隊による偵察を進言します」

 山南は、各艦長の顔色を窺った。さすがに、古代は、肝が据わっている。しかし、皆、ガミラス戦争で、痛い目に合っており、腰が引ける気持ちもわからなくはなかった。

「俺は、さすがに見過ごす訳にいかない発見だと思う。ついでに、今回のテストの仕上げに悪くない事案だと思う。まずは、冥王星方面に進み、発信源を探ろう。念のため、土方総司令に連絡を入れておく。俺達は、地球の歴史上でも、最強の艦隊を率いている。恐れるものなど無いはずだ」

 山南は、各人の反論が無いのを確認して言った。

「よし! 全艦、予定を変更して、冥王星付近の調査を行う。警戒体制で目標に向かう!」

 全員がスクリーン越しに敬礼で応えた。

「あ、そうだ、古代」

「何でしょう?」

「お前んとこの船務科の通信長、何て名前だっけ」

「相原ですが……?」

「相原くんね。うん、わかった」

 ヤマトでは、唐突に通信が切れてスクリーンの映像が消えていた。古代は、山南が単に相原を評価しているだけではないと気が付いていた。古代は、複雑な表情で、仕事に没頭する相原を見つめた。

 その相原の席に、新米の交代要員として技術科に控えていた桐生美影が呼び出されていた。

「相原さん、どうされました?」

「新米から聞いたよ。桐生さん、ガミラス語を覚えたんだって?」

「あ、はい。皆、翻訳機を使ってるから、あんまり役に立ってないですけどね」

 相原は、謎の通信の件を桐生に説明した。

「未知の言語ですか? うーん。それだとどうかなぁ?」

「現場に着く前に、何でもいいので何か手掛かりが掴めないかと思って、君を呼んだんだ。既に、艦の電算機で解析させたが、新しい情報は無くて困ってるんだ」

「うーん。……とにかく聞いてみますね」

 相原は、彼女にヘッドセットを渡した。桐生もそれに耳をあてて、その音声を確認した。相原は、黙って桐生の様子を窺った。

「どうだい?」

「確かに、聞いたこと無い言語ですね」

 桐生は、腕組みして暫し考えていた。

「気になりますね。一応、今まで録音した部分も含めて、一通り聞いてみましょうか」

 相原は、頷いた。

「それは助かる。頼んだよ」

 相原は、艦長席に振り返って古代に話しかけた。

「あぁ、艦長、通信の到達先の方向も調べました。銀河系の中心部に向かっています。この方角は我々にとっては、未知の領域です」

「中心部だって!? まさか、例のボラーとガルマンがある方向なのか?」

 古代は、少し驚いていたが、それを見た相原は首を振った。

「ガミラスから提供された、天の川銀河の星図と照らし合わせてみました。近い方向ですが、ちょっとずれているように思います」

「そうか……。もし、二大星間国家が関係しているなら、一大事になる」

「その為のアンドロメダ艦隊じゃないんですか?」

 古代は、苦笑いした。

「ヤマトを含めても、たったの四隻の艦隊で、あんな巨大な国家の相手になるとは思えないよ」

 古代は、そうは言ったものの、あのイスカンダルの大航海を成功させた沖田艦長を思いだし、こんな考えじゃ叱られるな、と考えていた。

 

 それからしばらくして、ヤマトとアンドロメダ艦隊は、冥王星付近に接近していた。

 山南は、航空隊による偵察を命じようとしていたが、ここへ来て練度の問題について頭を悩ませていた。山南は、悩んだ結論を、艦の戦術長と通信長に伝えた。

「航空隊による偵察を行う。精鋭を三名選抜して発艦させろ。後、ヤマトにも連絡して、そっちからも二機選抜して発艦させてくれ」

 

 既に、冥王星の近くまで接近したヤマトとアンドロメダから、コスモタイガーⅡが五機飛び立った。彼らは速度を上げて、一気に冥王星に降下していった。

 冥王星の上空を飛行する五機は、途中で別れて飛び去った。

 ヤマトからは、山本と篠原が出ており、アンドロメダの航空隊と、手分けして発信源を探ろうとしていた。

「何か通信、途絶えちゃったみたいだね」

「いつ、再開するかわからない。引き続き傍受出来るように注意して行こう」

 山本は、メ二号作戦で古代と二人で飛んだ時のことを思い出していた。あの頃は、地球滅亡の危機の最中で、未来がまったく見えなく不安な日々を過ごしていた。そんな時に古代と交流を深め、徐々に仲良くなり始めており、辛い現実の中でも希望を胸に抱いていた。

「それなのに……」

 彼女にしてみれば、雪に横から奪われたも同然だった。あの時、もっと積極的に行けば良かったのだろうかと、今でも時々後悔をするのだった。

「玲ちゃんさぁ」

 突然、篠原が思考に割り込んで、山本は我に返った。

「あ、あき……。まぁいいです。何ですか?」

「いい加減、俺たち付き合っちゃわない?」

「は?」

「そのつれない反応……傷つくなぁ」

 山本は、タイミングが悪すぎる、と思っていた。

「付き合いません」

「なんで?」

 山本は、風防越しに横を飛ぶ篠原の機体を、思わず見てしまった。

「何でって、もともと、そういう関係じゃないでしょう?」

「そういう雰囲気になった時期もあったじゃん?」

 山本は、それを否定することは出来なかったので、答えるのをやめた。

「あれ? おーい」

 篠原は、しつこく山本に呼び掛け続けた。納得する答えが得られるまで、黙りそうもなかった。

「何か面倒くさい感じですよ、篠原さん」

「そう? うーん、じゃあ、やめる」

 急に篠原は黙り込んだ。

 山本は、彼が適当そうな言動を繰り返しつつも、実は繊細な感覚を隠しているのを知っていた。今の話も冗談っぽく言いながらも、傷付いているような気がしていた。山本は、小さくため息をついて、篠原に話しかけた。

「私は、今は気持ちの整理がついてないので、そういうことを考える気になりません。そのうちに整理がつくかもしれないけど」

 篠原は、少し嬉しそうに言った。

「そう? じゃあ、それまでは、ナビ子ちゃんと遊んでるよ」

 篠原は、機体のAIをアクティブにして話しかけた。

「ナビ子ちゃんさぁ、俺と付き合わない?」

「その命令は、受付けられません」

「皆、つれないなぁ」

 

 ヤマトでは、相原の席に桐生が座って、音声の確認を続けていた。横に立っている相原が話しかけた。

「どう? 桐生さん」

 桐生は難しい顔で、ヘッドセットから流れる音声を注意深く聞いていた。

「うーん。手掛かりぐらいは」

 相原は、すぐに古代を呼び寄せた。

「艦長!」

「何かわかったか!?」

 桐生は、相原の席に座ったまま、照れたように笑っていた。

「い、いやぁ。どうかなぁ?」

 古代は、相原の席にやって来て、桐生の横に立った。

「音声のところどころに、ガミラス語らしき音を見つけました。日本語でいうと万歳みたいな意味の『ガーレ』です。普通は、大きな声ではっきりと言う言葉なのですが、この音は、ぼそぼそとした声なので、たまたま似た発音だっただけかも知れません。だから、あんまり自信が無いかな……」

 古代は、それを聞いて考え込んだ。

「ありがとう、桐生くん。実は、場所柄もあって、もしかしたらガミラス人かもしれないと考えている。例えば、未知の言語に聞こえるのは、暗号だからでは? とかね」

 桐生も、それを聞いて唸った。

「うーん。艦長、ごめんなさい。そこまでは、すぐには判断出来ません」

 相原は首を捻っており、古代に言った。

「でも、ガミラス人だとしたら、今、地球の方で待機しているデスラー大使の護衛たちの中の誰かってことですか? 何の為にこんなことを?」

「わからないから、調べるんだよ。相原、この件を、可能性の一つとして、山南司令に伝えておいてくれ」

「わかりました」

 

 その頃、篠原の操縦する機体が、何かを捉えていた。

「見ろ!」

 冥王星の氷の海から、突然何かの強力なエネルギーが上昇していた。

「あれは!」

 山本もそれをはっきりと見ていた。氷の海を突き破って空へと伸びるそれは、かつてメ二号作戦の時に目撃した反射衛星砲の光だった。

「本機の真下に、人工物を発見」

 機体のAIが篠原の宇宙帽のスピーカーから伝えた。

「何!?」

 篠原と山本の注意が、反射衛星砲の光に向いている最中、地上の対空砲台からの攻撃を受けていた。一瞬のことで、篠原はぎりぎりで回避したが、山本の機体は被弾してしまった。

「玲!!」

 コスモタイガーの主翼がもぎ取られ、山本の機体は空中で炎を吐き、回転しながら墜落していった。途中、山本がコックピットの脱出装置で機体から離れるのが見えたが、対空砲の砲火が激しく迫って来ており、篠原は、その場を逃げ出すしかなかった。

「くそ!」

 篠原は、すぐにヤマトに連絡をした。

「こちら篠原! 反射衛星砲と思われる攻撃が上空に向かうのを発見! 山本機は、地対空砲台からの攻撃で被弾して墜落! しかし、脱出した模様!」

 

 山南は、ヤマトから謎の通信がガミラス人の可能性あり、の連絡を受けたばかりのところに、追い討ちをかけられていた。

「全艦、全速でその場を離れろ! 狙い撃ちにされるぞ!」

 反射衛星砲の強力なエネルギーが、冥王星の反対側から主力戦艦ナガトに向かっていった。ナガトはそれを間一髪で避け、エンジンノズルをかすめた。

 アンドロメダでは、通信長が報告していた。

「ナガトは、無傷です! 損傷はありません!」

 続けて、矢継ぎ早に次の連絡が届いていた。

「ヤマト艦載機から入電! 反射衛星砲の発射地点の座標が送られて来ました! あわせて攻撃要請があります!」

 山南は、瞬時に判断した。

「全艦、一旦反射衛星砲の射程範囲外の宙域に向かう! 百八十度反転、退避!」

 ヤマトでも、相原が篠原に連絡を入れた。

「篠原機に通達! 至急ヤマトに戻れ! 繰り返す、至急ヤマトに帰艦せよ!」

 連絡を受けた篠原は、地上に墜落後、爆発して炎を上げる山本機の周辺を飛び回っていた。

「馬鹿野郎! 玲を見捨てろっていうのか!」

 激昂する篠原に対して、古代が直接通信で呼び掛けた。

「篠原! 山本は必ず救出する! 頼むから、まずは一時撤退してくれ!」

 篠原は、古代の必死の形相が頭に浮かんだ。

「くそっ! 何てことだ!」

 篠原は、機体を一気に上昇させ、冥王星の空に消えた。

 

続く…

 




注)pixivとハーメルン、及びブログにて同一作品を公開しています。
注)但し、以前pixivに連載した小説の加筆修正版です。以前のpixiv連載版とは、一部内容が異なります。
注)ヤマト2202の登場人物は、役割を変更して登場しています。
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