宇宙戦艦ヤマト2199 孤独な戦争   作:とも2199

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宇宙戦艦ヤマト2202とは別の世界線を歩んだ宇宙戦艦ヤマト2199の続編二次創作小説「孤独な戦争」です。「白色彗星帝国編」、「大使の憂鬱」の続編になります。


孤独な戦争8 接触

「こちら山本二等宙尉。現在、ガミラス冥王星基地の生存者、ガリア少佐らに囚われ、拘束されている。彼らは、既に戦争が終わり、地球とガミラスが同盟を結んだという説明に納得しなかった。我々地球人との徹底抗戦の構えをしている。我々を信用し、これを撤回するには、ガミラス人の責任ある立場の者との会談が必要だと要求している。それが果たされるまで、私は解放されないそうだ。速やかに、彼らの要求を叶えることを望む。以上」

 ガリア少佐は、通信機のマイクをオフにした。山本は、彼の顔を不快そうにして窺った。

「こんな内容でよかったのか?」

 ガリア少佐は、頷いた。

「十分だ。返答あるまで、下がってお前は静かにしていろ」

「ふん」

 山本は、不満そうにしていた。彼女の手首には、手錠がはめられていた。通信機から離された山本の周りには、モーガン大尉らが集まっていた。

「不自由な思いをさせてすまん。この星系に、ガミラス人は本当にいるのかね?」

 山本は頷いた。

「彼の要求に相応しい人物がいる」

「そうか……。早く来てくれればよいが」

 果たして本当に来てくれるだろうか、と山本は少し心配もしていた。もし、来るとすれば、半年前のガミラス艦の乗っ取り事件の時に出会ったガゼル提督が恐らく来るだろう、と予想していた。あの事件の救出作戦後に少しだけ話したが、豪胆な態度で信用できる人物だと彼女は好印象を持っていた。メルダも、父親の友人だった為か、彼には頭が上がらないようだった。

 山本は、彼らザルツ人の面々を眺めた。皆、疲れきっており、痩せ細っている。恐らく、備蓄していた食糧が底をついているのだろう。太陽系内の侵略や、遊星爆弾による地球攻撃の実行部隊だったとは言え、強制的に従軍したという彼らの告白を聞き、山本は複雑な思いだった。ここで起こったガミラスとの戦争で、両親や、兄明生を失ったことは忘れることは出来ない。にもかかわらず、彼らも、あの戦争の犠牲者だったのだ。そう自分に言い聞かせ、無理にでも納得しようと努めるしかなかった。それでも、もしかしたら兄の死の原因を作った者が、この中にいるかもしれない。そう思うとやるせない気持ちになっていた。

 山本は、小さくため息をついて、気持ちを切り替えようとした。

「みんな、国に帰れたらどうするんだ?」

 山本は、ザルツ人たちに尋ねた。モーガン大尉は、少しだけ優しい目をして言った。

「わしは、もう退役する歳になってしまった。引退して、孫の面倒を見るのを生き甲斐とするかな」

 その話に、他の三人も乗ってきた。イリア少尉は、少し遠くを見る目で話し出した。

「私も、家族に早く会いたい。あと、ノランがどうしてるか心配。今どうしてるかな。ゾラン中尉も心配ですよね?」

 ゾラン中尉と呼ばれた中年の男は、嬉しそうに笑っていた。

「まぁな。ノランは俺の息子なんだ。イリアより年下だが、息子は小さい時から家族ぐるみで仲良くさせてもらっている。あいつが成人して軍に入ったという報せを、国を出るときに聞いた。その後、立派に任務をこなしているか、戻ったら沢山話をしたい」

 ヤーソン少尉は、皆に言った。

「俺は、戻ったらガミラス人の連中に言ってやりたい。こんな辺境の地で見捨てられて、どんな思いをしていたか、世間に訴えるんだ」

 イリア少尉は、また彼のことを呆れた顔で見ていた。

「あんたは、会いたい家族とか、恋人とかいないの?」

 彼は、イリア少尉に見つめられて、少し照れたように目を反らした。

「こ、恋人なんていない。家族とかもどうでもいい。俺は、出来れば、もう一度シュルツ大佐に会いたい」

 その一言で、皆んな、押し黙った。彼らにとって、かつてこの基地の司令官だった男は、ずいぶんと慕われていたらしい。

 

 ちょうどその頃、遊星爆弾の飛来が終わり、迎撃をしていた主力戦艦ナガトとムツは、山本からの通信を傍受していた。大村は、艦の通信長に依頼して、冥王星から遠く離れてしまったアンドロメダに、亜空間通信で呼び掛けた。

「山南司令、冥王星基地が、コンタクトをとって来ました。撃墜されて安否が不明だった山本二尉が通信で呼び掛けて来ております。彼女は人質になっているようです」

 少し遅れて、スクリーンに山南と古代が映った。

「人質だと? 困ったことになったな……」

「ええ。しかし、山本が無事だったのは、本当によかった」

 古代は、安堵の表情を浮かべていた。

「彼らは、やはり終戦を知らなかったのか?」

「はい。山本二尉の連絡では、間違いないようです」

「なるほど。それで? ガミラス人の偉いさんを呼べと?」

「はい」

「こっちは、惑星間弾道弾の始末が、たった今終わった所だ。今からそっちに戻る。土方総司令に先程確認したら、地球にいたデスラー大使の護衛艦隊は、既に地球を出て冥王星に向かっているそうだ。あの大使が、直々に来てくれるそうだ。大使が話せば、この件はすぐに解決しそうだな」

「そうですね」

「だと、いいんですが……。私は、山本が少々心配です」

「まぁ、俺たちも刺激しないように、少し大人しく待とう。穏便に済むのに越した事はない」

 

 ヤマトでは、安否が不明だった山本が無事だったことと、人質になっているという情報が艦内を駆け巡った。

「隊長、俺、第一艦橋に顔出してもいいかな?」

 航空隊の待機所では、報せを聞いた篠原が心配そうにしていた。加藤は、その申し出を考えていた。

「そうだな。俺たちの出番は一旦無さそうだ。俺も心配だから、一緒に上に行くか」

 

 その頃――。

 

 ランハルトを乗せたガミラス護衛艦隊は、一路冥王星を目指していた。

「目的地は、エッジワース・カイパーベルトと呼ばれる小惑星や天体群のある宙域です。ワープで進めるのは、ここらが限界でしょう。通常空間を行きます」

 戦闘空母ダレイラのバルデス艦長が、ランハルトに説明していた。

 ランハルトは、黙って頷いた。

「艦長! 地球艦隊から入電。ガミラス冥王星基地に、我軍の未帰還兵が残留していることが判明しました。また、地球人の航空隊のパイロットが人質になっています。彼らは、我々の高官との対話を要求しているとのことです」

 バルデス艦長は、彼から詳しい説明を聞いて、ランハルトとガゼル司令に報告した。

「聞いての通りです。大使に来てもらったのは正解だったかと」

 ガゼル司令は、ランハルトに見えないように苦笑いしていた。

「そうだな。お手並みを拝見させて貰おう」

 ランハルトは、ガゼル司令の嫌味が聞こえていたが、彼をひと睨みしただけで、それについては何も言わなかった。

 ガミラスと地球との間の友好関係に関わることだと言うのに、軍人という奴は、何も分かっていない。

 彼は、心の中で悪態をついた。

「地球人との間に、これ以上の軋轢が起きないようにするのは、俺の最優先の仕事だ。俺に任せてくれ」

 ランハルトは、艦橋の窓の外を眺めながら、冥王星で、どのように話しかけるべきかを考えていた。

 

続く…

 




注)pixivとハーメルン、及びブログにて同一作品を公開しています。
注)但し、以前pixivに連載した小説の加筆修正版です。以前のpixiv連載版とは、一部内容が異なります。
注)ヤマト2202の登場人物は、役割を変更して登場しています。
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