貴方に最後のアイの唄を【鬼滅の刃】   作:みの典

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「こんにちは。はじめましてだね。上弦の零、嵬羅(ガイラ)。」

 

『はじめまして!産屋敷のひと!お館様…だよね?』

 

「そうだね。私は「お館様」とみんなに慕ってもらっているね」

 

『みんな…じゃあ偉い人だね!その偉い人がなんで私に会いに来てくれたの?』

 

「君がどんな鬼なのか気になったからね」

 

『あらあら。なんで気になったの?』

 

「君は上弦の零だろう?何故こんな牢獄に大人しく幽閉されているのかと思ってね」

 

『そうだねえ。私は上弦の零だから、無惨の次に強いからね』

 

「私が気になっているのはそんなに強い君がなんでこんな扱いを受けても、目の前にいる元来の宿敵、鬼殺隊の当主を殺そうとしないのか、ということだよ」

 

『わあ!そんなことを聞きたいの?』

 

「私達にとっては「そんなこと」では済まないからね」

 

『確かに、私には今すぐここをぶっ壊して鬼殺隊みんなをあの世に送ることくらい簡単だよ?』

 

「じゃあ、なんでそれをしないんだい?」

 

『決まってるじゃない?あんたたちには苦しみ抜いて死んでほしいからだよ』

 

「急に口調が荒くなったね。そっちが本心かい?」

 

『ふふふ。そうかもしれないわね。』

 

『私の血鬼術はね、『輪廻転生』といってこの術を使った相手みーんながあの世へ行って、輪廻転生するんだよ』

 

「さすが上弦の零。強い血鬼術を持っているんだね」

 

『そうだよー。ねえ、お館様。転生した後の世界ってどんなのだと思う?』

 

『転生した後の世界はね、元号が三つも変わっているんだよ。それで、戦争はしちゃいけません!ってお国の決まりで決まってるの!大きな建物がたっくさん並んでて、飢え死にする人なんて日本にはいない。誰かが誰かを殺しても、すぐ捕まる。そんな、桃源郷のような世界なんだ!』

 

「もう一度聞くよ。何故、その血鬼術を使って私達を皆殺しにしないんだい?」

 

『だって、輪廻転生したら貴方達が地獄で苦しまないじゃない?そんなの、私としては許されないのよ!』 

 

「何故私達が地獄へ行くと?」

 

『じゃあね、それを教えてあげれるために少し質問。』

 

 

 

『鬼殺隊は、どうして鬼を斬るの?』 

 

「なにを聞くのかと思えば。鬼殺隊が鬼を斬るのはね、鬼は許されない生き物だからだよ」

 

『なんで許されないの?』

 

「それは…『ひとを、喰うから?』そうだよ。」

 

『ひとを、喰うから。ね。だからだよ。私が鬼殺隊に苦しみ抜いてほしい訳は。』

 

「?どういうことだい?」

 

 

『貴方達人間だって喰うでしょう?牛、鶏、豚。生きるために』

 

「…」

 

『生きるために、生きるために、たた喰っているだけなんだよ』

 

『考えてみたら簡単なことでしょう?人間が食物連鎖のピラミッドの頂点に立てなかった。それだけだよ。牛、鶏、豚が人間を殺しているようなもの。あとは、貴方達の一族が、絶えることぐらい。』

 

「やはり、君とは分かりあえないようだ」

 

『こっちからごめんだよ。【お館様】?』

 

「……いずれ遠くない未来、鬼舞辻無惨が私を殺しにやってくる。その時、私達はこの屋敷を爆発させる。君は、爆発のその瞬間まで鬼舞辻無惨を此処に留めておく、いわば餌だ。」

 

『あらあら、素晴らしい計画だこと。』

 

「その態度では、君はここから逃げる気など全く無いのだろう。存分に、有効活用させてもらうよ。」

 

『おっけーおっけー。私としても、あいつの最後が見れるんなら幸せかもね』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーー願わくば、私が逝くその前に貴方に最後の唄を届けられますように。

 

 

 

 

     

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

産屋敷邸の、座敷にて。

 

鬼殺隊当主の、声が響く。

 

「__さて。」

 

「かなた、くいな。」

 

彼、産屋敷輝哉が呼ぶと、綺麗に重なり合った声が応えた。

 

「「はい。」」

 

それをまるで当たり前かのように聴いた彼は、

 

「【視て】いたんだろう?不思議に思ったところはあったかい?」

 

 

そう、不可思議な紋様の紙を額へ付けた自身の娘達に向かって問い掛けた。

 

一人が答える。

 

「【輪廻転生】という血鬼術に関して、少し不可解な点が見受けられました。」

 

それを、もう一人が引き継いで話す。

 

「彼女は、まるで【輪廻転生】したことがあるかのように転生後の世界を語っていました。」

 

娘の言葉に、顔を縦に揺らしながら聞いていた彼は、全くその通り。とでも言うような声音で言った。

 

「やはり、彼女にはなんらかの抱えた過去がありそうだ。誰かが、心を溶かしてやらなければならないね。」

 

彼の心に思い浮かんだのは、まるで日の光のような、赤みがかったある一人の少年だった。

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