終止符は流星が如く   作:A.H

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続けて3話です。
ガラクタ山での一件、どうなったんでしょうね?
本編どうぞ!


第3話 「最高の晩餐」

 今日は気持ちの良い天気である。

 こういう日は深呼吸を

 

「ゲフっ!」

 

 するとむせた。

 いつも通り砂埃が酷い街である。

 

「兄貴、大丈夫すか?」

 

 康太が心配する様に声をかけてくれた。

 

「お、おう…相変わらず空気悪いな…。」

 

 首回りに掛けているスカーフで咳を抑えながら、空気汚染の原因である工場を見る。

 

「魔物の奴ら…空気が汚くなるって理由で人間様の住処の近くに工場設置しやがって…しかも、造られた物の所有権は魔物だけの物なんだろ?汗水流して人間様が集めた資源を勝手に使うなんてな、不平等にも程があるぜ。なぁ、康太」

 

「でも兄貴、汗水流して働いてないじゃないすか」

 

「うっ…」

 

 心痛くなりながら俺は頬を指でポリポリと掻く。

 康太は、俺に正論をかました後に金槌を握り直して作業を再開した。

 

 昨日のガラクタ山での出来事。

 あれから、兄貴、兄貴と呼んでくるちびっ子達から貧民街で必死に撒こうと逃げたのだが、甘かった。

 いつも逃げた先ににアイツらが待ち構えていたのだ。

 俺という人間を毎日観ているという訳か、頭の中を見透されてる気分だ。

 子供の観察力のえげつなさを思い知らされる。

 そんな鬼ごっこを日が暮れるまでやり続け、心が折れた俺はとうとうちびっ子達に兄貴と呼ぶことを許してしまった。

 自宅の天井の修理を条件として。

 

「どうだ康太、終わりそうか?」

 

「ふぅ…いやぁ、難しいっすね大工さんって」

 

「そろそろ、俊彦と彩花ちゃんが支給品のパンを貰って帰ってくるはずだ。それまで頑張ってくれ。」

 

「よっしゃ!頑張りますよ!」

 

 もうすぐ飯とわかった途端に康太の仕事のペースが上がっていった。

 

「あんま急いでやると釘と指間違えて打つぞ〜」

 

 俺は一声心配をかけておくと同時に天井の修理の具合を見る。

 

 はは…釘の刺さりがところどころ甘いな…

 

 あの修理の様子だと貼り付けられた板は明日まで保たないだろう。

 だが、一生懸命やってくれてる様子に余計なことを言ってはコイツの成長の邪魔になるだろうと感じ、とりあえずは、温かい目で見守ることにした。

 仕方ない、ちびっ子達が帰った後に俺が修理しておくとしよう。

 

「あ、そうだ。兄貴はなんで支給品自分で貰いに行かなかったんすか? 暇そうにしてるから行けばよかったのに」

 

「んー? ああ、それはだな…」

 

 理由としては簡単、仕事もしてない青年にやるパンは無いという訳だ。

 ここ最近18歳になったのだが、支給係のおばちゃんにとうとう

 

「アンタ、いつまで仕事しないで暮らすつもりだい!? アンタにやるパンなんてないよ! さっさと仕事しな!!」

 

 と叱られてしまい、パンを貰えなくなってしまったのだ。

 それでも働きたくない俺は、変装などをしてなんとかパンを貰い続けたのだが、最近変装を見破られるようになってきてしまい。

 この様に、ちびっ子達に貰いに行ってくれる様に頼むという哀れな現状になったという訳だ。

 と、説明すれば良いのだが、こんな事を穢れ無き少年に学ばさせる訳にはいかない。

 

 とすると…

 

「…試練だ」

 

「え?」

 

「非常事態による困難極まる状況で人混みを攻略して支給品を無事に受け取り持って帰るという試練だ。俺は敢えて、あの二人だけに行かせたのだ。俺の助言無しにどこまでやれるかを試したという訳だ!!」

 

 どうだぁ! この完璧な内容!

 

「つまり、働いてない兄貴が行ったところでパンは貰えないから彩花と俊彦に頼んだという事ですね。」

 

「んがっ!!!? 」

 

 なんだこいつ!!全部お見通しってか!?

 

「…ああ、そうだよ正解だ正解」

 

「ははははっ! 兄貴わかりやすいっすよね」

 

「えっ そうかぁ? 」

 

 頭を掻きながらそんなこと少しでも信じたくないという疑惑の目で康太を見てやる。

 

「でも、騙し切れてないっていうか…そういう分かりやすい嘘ついちゃう人は良い人なんだと思いやすよ。だから兄貴は良い人っすよ。」

 

「おいおい、仕事もしないろくでなしを良い人判定するのはちょっと優し過ぎるぞっと。」

 

「あいてっ!!」

 

 康太の額に俺のデコピンが炸裂。

 

「なにするんすかぁ!」

 

「はっはっはっは!ほらほら、二人とも帰ってきちまうぞ〜出迎え出迎え〜」

 

 俺は康太の背中をポンポンっと押してやる。

 

「もぉーなんでデコピンなんてするんすか〜?」

 

 一方康太は少し赤くなった額を手で抑えている。

 

「さぁ、なんでだろうな〜。」

 

 ばーか、恥ずかしいんだよ。

 

 でも、ありがとうな康太。

 

 家の扉を開けて直ぐのところで少し待つと人数分のパンを抱えた彩花ちゃんと俊彦が帰ってきた。

 

「お待たせしました〜。」

 

「いやぁ、人混み凄くて大変でしたけど何とか貰えましたよ〜。」

 

 彩花ちゃんと俊彦は達成感に満ち溢れた笑顔を見せた。

 

「よし、良くやったぞお前ら! 偉い偉い!」

 

 二人の頭をわしゃわしゃと撫でてやる。

 

「えへへ、ありがとう星絆さん」

 

 彩花ちゃんは可愛いらしい笑顔でぴょんぴょんと喜んでいる。

 

「星絆の兄貴も何かしてたんすか?」

 

 彩花ちゃんとは別に冷静な反応をしてくる俊彦。

 

「えっ? あー、えっとだな…」

 

「兄貴ったら、オレに天井修理任せっきりでサボってたんだぜ。」

 

 両手を頭の後ろに回しながら康太は笑いながらそう言った。

 

「あ、ばかっ!」

 

 慌てて康太の口を抑えようとしたが遅かった。

 

「えー! ずるい!!」

 

「兄貴も一緒に来てくれれば良かったのにぃ!」

 

 二人に服の裾をグイグイっと引っ張られる。

 

「あわわ! ごめんごめん! 俺のパンやるから許して!」

 

 そう聞くと二人はやったぁ!!と飛び跳ねた。

 

 トホホ…まぁ仕方ないよな。

 

「兄貴ぃ〜。」

 

 –––ギクッ

 

「オレも、働いたんすけど…?」

 

 康太がそろーりとコチラに顔を出してきた。

 

「も、もちろん!三等分でお前ら仲良く食って良いぞ!!」

 

 許可を受けた3人は仲良くハイタッチをしている。

 

「やれやれ…よしお前ら、ちゃんと井戸水で手を洗ってくるんだぞ。」

 

「はーい!!」

 

 3人は仲良く返事をし、井戸の方に向かって行った。

 

 さて、俺は部屋の片付けでもしてくるかな。

 

 俺は、部屋に戻り康太が作業に使っていた梯子、自分の荷物を邪魔にならないところに置くことにした。

 

「よし、こんなもんかな」

 

 これで四人満足に食事出来るペースは出来ただろう。

 

 しばらく待つと、ちびっ子三人組がお喋りをしながら帰ってきた。

 

「よし帰ってきたな、座れ座れ〜」

 

「あ、梯子片付けてくれたんですね!兄貴、ありがとうございやす!」

 

「まぁ、このくらいはしとかないとな」

 

 三人は自分達が決めた位置に腰を下ろし、彩花ちゃんが人数分のパンを、俊彦は人数分の水を汲んだコップをみんなに渡した。

 

「あれ、俺にもくれるのか?」

 

 先程、俺のパンは三等分にしてみんなに渡すと言ったのだが、何故か彩花ちゃんは俺にパンを渡してくれた。

 

「だって星絆さんお腹空いてるでしょ?大丈夫だよ私達は一つずつのパンで。」

 

 彩花ちゃんはそう言うとニコッと笑顔を見せる。

 康太と俊彦も納得する様に「うん、うん」と頷いている。

 

「お前ら…」

 

 ぐぅ…優し過ぎかよコイツら…

 

「ありがとうな、でも俺腹空いてないから食べて良いぞ!ほらほら」

 

 先程約束した通り三等分してちびっ子達に渡していく。

 

「えぇ? 本当に大丈夫なんすか?兄貴」

 

「無理してませんか…?」

 

「兄貴…本当に頂いて良いんですか?」

 

 三人はそれぞれ心配した表情で俺を見てくる。

 

「大丈夫だぜ! ほら、康太! 俺が嘘ついているように見えるか?」

 

「う、うーん、嘘は付いてなさそうっす…」

 

 気持ちの満足感が、俺の腹を満たしてくれているようだ。

 

「さぁ育ち盛りのお前らは沢山食べて大きくなれ!」

 

「じゃ、じゃあ…」

 

「う、うん、私も!」

 

「ありがとうございます! 兄貴!」

 

 いつぶりだろうか…他の奴とこうやって…まぁ俺は水だけになるが、食事をするのは久々だ。

 

 本当に今日は良い日だ。

 

 ←to be continued

 

 




進展が遅過ぎる…?
本当に申し訳ございません(殴

そろそろ…動くはずです。
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