今週は筆の調子が良い。
……コロナとか、インフルとかに感染してないよね?(挙動不審)
前、筆の調子が良かった時は風邪だったんよ(震え声)
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昔から、よく考える子供だって言われた。
幼い頃、何かを考えると誰かに強く呼ばれない限り意識が戻りにくかった。最初は考えすぎだと両親は思っていたが、成長するにつれて深くなる集中力に不穏な気配を感じて病院で検査したら、自分は普通の人とは違うモノを持っていたらしい。
周りは少し違う自分を好奇の目で観察され、幼かった自分でも居心地が悪かった事を覚えている。
それでも両親は自分を受け入れ、自身の後を追う一歳下の明るい弟に慕われ、ごく普通の暖かい家庭に恵まれた事を嬉しく思った。
……自分が小学三年生の時に母さんが、この世を去るまでは……
優しかった母さんの死因は叛罪者から受けた傷だった。
自分と弟を庇って、受けた傷が原因だった。
その日を境に幸せが冷たく、崩れ始めたのだと思う。
優しく厳しかった父さんは自分と弟を見向きもせずにひたすら仕事に没頭し、弟の明るさは嘘のように消えていた。
少しずつバラバラになっていく家族を自分は見るだけしか出来ない日々、それが本格的に動き始めたのは母さんが亡くなって一年後だった。
『初めまして、歩くん』
仕事から帰ってきた父さんの側に見知らぬ女性がいた。
『今日から彼女を母さんと思いなさい』
『よろしくね』
『……え……!?』
『…………』
突然の出来事に戸惑う自分、弟は父さんを冷たく睨み付けていた。
理由を聞いても、父さんは答えてくれなかった。その態度に弟は噛み付き、毎日喧嘩が絶えない日々が始まった。
そんな日々が進むと自分は中学生になり、父さんと弟の仲は冷えきっていた。自分だけでも繋げなきゃいけないと必死に取り持とうとするも、効果は期待できない。
何より、自分にはそんな暇が無い事もわかっていなかった。
『何だ日向、分からんのか? じゃ、後ろの奴答えろー』
『え、今……』
『チッ』
幼少の頃から持っていた過度の集中力が反応の邪魔をしていた。
考えればわかる問題がすぐに答えられなくなり、教師からは呆れる視線になっていくのは遅くなかった。
『日向もそう思うだろ?』
『やめろって』
『え……あの……』
クラスメイトとの会話もすぐに答えられず、答えようとすれば深く考えてしまい、
『何アイツ、ノリ悪』
『ウゼェから話しかけんなってさ』
『違う……今、考えて……』
訂正しようと言葉を繋ごうにもクラスメイトは聞く耳持たずに離れていき、孤立していった。
……ノロマとよく言われた。
……自分には、世界の速度が速すぎる。
……何も言えぬまま、人は離れていく。
……そして誰一人、自分を振り向く人はいなかった。
それでも、振り向く人がいるかもしれない。重ねた努力は裏切らない事を信じ、真面目に生きてきた。
……だけど……
『…………』
現実は甘くない事を知ってたハズなのに、期待してしまった。
『日向の奴、滑り止めだってよ』
『だっさ……あんなに勉強してたくせに』
『俺、寝不足で受かったんですけど』
人一倍勉強してきたつもりだ。でも、第一志望には届かなくて--……いつも遊んでるように見えた人は……受かっていた。
『要領わりーんだよ。あいつ』
『才能もなくね?』
『それな!』
心ない言葉が、自分に降り注いだ。例え否定しても、その言葉がより凶悪になる事を知っていた自分には耐える事しか出来なかった。
『いいか歩。社会に出れば結果が全てだ』
第一志望に届かなかった自分を父さんは厳しく咎めた。だが、こちらの顔を見ようとせず、背を向けて叱る。
『母さんも悲しんでいるぞ』
その言葉に自身の内側から何かが溢れだそうとするが、下唇を噛んで耐える……後から自分が怒っていた事に気付いた。
『
GHP値が高かった理由から父さんに滑り止めとして大暦高等学校が合格した数日後に荷物を持った弟--日向
『……悪いなアニキ……俺、家を出ていく』
『……え……』
自分に別れを告げ、渉は家を出ていった。
『渉! まって、待ってくれ!』
あまりの衝撃に景色が黒く染まっていく。急いで家を飛び出し、走りながら渉に手を伸ばすが届かず離れていく一方だった。
『……渉……待ってくれ……頼むから……』
離れていく後ろ姿に自分が暗闇に取り残される。そのまま、深い闇に沈んでいくような感覚が自分に襲いかかった。
『……頼むから……一人に……』
声が掠れ、小さくなっていく。自分の身体も黒く染まり、闇に呑まれていく感覚に恐怖し、おもむろに上へ手を伸ばした。
その手を暖かいナニカが握り、意識が浮上する。
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「……ん……?」
目を覚ました日向は上半身を起こし、周囲を見渡す。修学旅行よろしくに規則正しく並べられてた布団はクラスメイトの寝相で荒れていた。
寝相が良い人もいるが数える程度で殆どはイビキをかいたり、寝相が悪かったり、どんな過程があったのか組体操よろしくなオブジェになっている人がいた。
「……夢……だったんだ」
夢と同じように伸ばしてた手を握ったり開いたりして確認し、昨日の“全身ショッキングピンクフラッシュ事件”で自身が笑いすぎて酸欠になって意識を失った事を思い出し、苦笑する。
静かに立ち上がり、起こさないように踏み場を確認して部屋を出た。
「オハヨー!!」
「ッ!?」
いきなり大声で呼ばれ、急いで振り返るとクックルーがこちらを見ていた。どうやら早起きしたのは自分ではなくクックルーが先だったようだ。
「オハヨー!! ヒュウチャン!」
「おはようございますクックルー。皆さん寝てるので、静かに話しましょう」
「……ワカッター」
日向の言葉にクックルーは小さな声で答え、一人と一匹は洗面所で顔を洗い、クラスメイト達が起きるまで会話する為に食堂へ歩いていった。
~歴史トリビア~
忠犬ハチ公は野犬狩りで何度も捕まっていた。