祖龍だけど、一人は寂しいのでハンターになります。 作:やいやいのやいの
「このランポス、絶対何かがおかしい…!こんなのが群れを成しているっていうの?」
「はぁ…はぁ…、確かに…変だぜこいつは。おいチサ、まだいけるか?」
「まだまだいけるわ。…けど、支給用の砥石もそろそろ…」
「確かにそのランポス、ランポスにしては強そうですね!」
「「そう思うなら手伝って!!」」
3人の魂の叫びが轟いた。
4人はまだ知らないことだが、今相手にしているモンスターはランポスではない。その親玉…“ドスランポス”である。
ランポスを率いて常に群れて行動する彼らは、『D』ランク級のモンスターだ。
しかし通常のドスランポスよりも幾分か体格が小さく、ランポスとあまり変わらない体格の為に同じ檻に放り込まれていたのだ。
「どうやって撃つんですかね。こう?」
バン!
「きゃあーーッ!ちょっと、私の真横抜けてったけど!!?」
「だから的が小さいんですよ!当たらなかっただけ褒めてくれてもいいじゃないですか!」
「だけどその子が言ってることも一理あるわ!えーっと…アーシャちゃん、よね?一旦離れて体制を立て直すのもアリじゃないかしら?」
「チサ、あたしはまだ大丈夫だ!」
「だめ、あなたもこっちに来なさい」
ぐえ、と声を漏らしたヒビキの首根っこを掴んで引きずり、チサはドスランポスから離れた。
アーシャとミラも流れでそこに集まり、4人で敵さんを警戒しつつ話し合う。
「…私の見立て何だけど、あのランポス…多分、ドスランポスだわ」
「……やっぱりね、特徴が似てるとは思っていたのよ。私以外にも思ってる人がいてくれてよかった」
そんな2人にヒビキは首を傾げる。
「ドスランポス?って何だ?」
「さっきの2組が倒したやつの親玉よ。ランポスより遥かに強靭な爪を持ってるって聞くけど、こうして見ると確かに…って思うわね」
「ドスランポスですよね?早く狩りましょうよ!」
「あんたはもう少し危機感を持てばどうなの?ドスランポスよ?Dモンスターなの、私達はE。この意味がわかる?」
「EとかGとかよく分かりませんけど、とにかく倒しましょうよ。こんなとこで話し合って何か変わるんですか?」
「あんたねぇ…あー、なんだかこいつと話してたら無駄にビビってた私が馬鹿みたいじゃない」
「え?ビビってたんですか?ドスランポスですよ?」
「あーもう!うるさいわね!!ちょっとあんた!こいつ何とかしてよ!」
「面白いから放置で!」
うぐぐぐゥ…!!とヒビキの笑顔に青筋を浮かび上げるアーシャだが、すぐに気を取り直して太刀を構えた。
「…とにかく、あいつを倒さなきゃ私達は終わりって事でしょ。ムシャムシャ齧られて腹の中でこの赤目と心中なんて死んでもごめんだわ」
「赤目って私のことですか?あなたも赤いじゃないですか」
「うるさいわね!!…どうする?チサ」
「そうねぇ…。えっと、ミラ…ちゃん?ミラちゃんのそのボウガン、使用できる弾は何があるのかしら」
「さっき教えて貰いましたけど、通常弾だけの試験用なんたら〜って事です。頑張れば弾に雷纏わせられると思います!」
「通常弾と電撃弾か…」
実際はミラの言ってることは冗談でも何でもないが、他3人には冗談だと捉えられてしまったようだ。
「もう撃っていいですか?」
「まだ何の作戦も練ってないでしょ!」
「だけどこいつの言う通りだぜ、早くやんないと…奴さんこっちに狙い定めてる」
ドスランポスの鋭い瞳が4人を射抜く。
先程まではキョロキョロと辺りを伺っていただけなのだが、ここに来て狙いを絞ったようだ。
「撃ちますよ、えい!」
「ちょ……。えっ」
「「えっ」」
バチバチとボウガン全体に電撃が走り、それが銃口に集中して放たれた弾丸は物凄い速度でドスランポスの胴体を容易く射抜いて吹っ飛ばした。
流石に死ぬまでは行ってないが、一撃でドスランポスを転倒させたのだ。
「い…今の…電撃、弾?」
「あれが眉間に当たれば…もしかすると一撃で倒せてたのかしら……いえ、今はそんなことより…!!」
「ああ、チャンスだぜッ!!」
通常の電撃弾とは一線を画すその砲撃に、3人は一瞬だけぽかんとするが今がせっかくのチャンスだ、逃すわけにはいかない。
「あたしから行くッ!!うぉおおおりゃぁあ!!!」
ズドンッ!!
「スタンしたッ!まだ起き上がってこないぞ!!」
「なら次は私が…!!…はぁッ!」
片手剣を倒れて目を回すドスランポスの目玉に突き刺し、地面に縛り付けた。なかなかえぐいお姉さんである。
「…最後は、任せて…!」
そんな端から見れば凄く可哀想なドスランポスの前に仁王立ちしたアーシャが、太刀を上段に構えて思い切り振り下ろした。
結果、ドスランポスは首と体がさよならバイバイ、いくらドス系とは言えここまでお膳立てされてしまえば首チョンパなど訳なかったのだ。
「あ、あなた達…これは…!?」
「え、えぇ〜!?もう終わってる…?」
駆け付けてきたサーシャと係員がドスランポスの惨状を見て口元を引きつらせた。
「おわった〜、どうでしたか?」
1人、未だに状況の分かってない古龍(自称)がいるが、サーシャはそんな事を気にしている場合ではなかった。
ドスランポスとは言え、初心者が4人集まった所で勝てるようなモンスターではない。
しかも持たせている装備の質だってランポス用の物だ、ドスランポスに攻撃が通るわけが…。一体、何がドスランポスを倒す決め手になったのか…?
サーシャはドスランポスの体に空いた弾の貫通穴を見ながらそう思ったのだった。