祖龍だけど、一人は寂しいのでハンターになります。   作:やいやいのやいの

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採取クエストに行こう!

「おい、あの子どんだけ食うんだよ…」

「可愛いのにあの大食らいじゃ…声かけたくてもかけらんねぇよ」

 

 

集会所内のクエストカウンターの前には丸テーブルがそれはもう大量にあり、その中でもカウンターに1番近いテーブルでむしゃむしゃと食べ物を頬張る人物がいた。何を隠そうミラなのだが、その可愛らしい容姿とは裏腹にめちゃくちゃな大食漢であった。

 

せっせと動き回るアイルーコック達に、積み重なっていく無数の皿は正に圧巻の一言に尽きる。その細い体のどこに入るのかと周りのハンター達は見ているだけで胸焼けを起こしそうになっていた…。

 

「おかわり!」

 

「あ、あのー、ハンターさん、もうそろそろ食料が尽きそうニャ…ここらで勘弁…」

 

「おかわり!!」

 

「ニャ〜…」

 

とぼとぼと厨房へ戻る料理長『ニャラ』の背中には哀愁が見て取れる。

そんな彼女(ニャラ)を見兼ねたエリート受付嬢(サーシャ)が、仕事を仲間に託してミラの下へとやってきた。

 

「ミラさん、食料は無限にある訳ではないのですよ、あまり食べ過ぎては周りのハンターさんも困ります」

 

「え〜、まだ食べれますよ、私!」

 

「そういう問題ではなく…」

 

どう言えば良いのか、この天然バカ古龍(自称)には言葉が通じないのではないかと最近サーシャは思ってきた。

 

あの闘技場事件から早一週間が過ぎて、講師を務めていたサーシャを含めた闘技場の関係者が後処理に追われる日々も既に過ぎた事だ。

…しかし、サーシャにはどうしても気になる事があった。それはあの時見たドスランポスの“銃創穴”。あれは、どう考えてもおかしいのだ。

何故なら、サーシャが講習生に配った弾はランポス用の通常弾…しかもLv1の無限に撃てるあいつである。決して貫通弾なんかではない。

 

「……とにかく、これ以上食べるのならミラさん自身で食料調達してもらう事になりますよ!」

 

「食料調達…!甘美な響きです!行きます!!」

 

「行くんかい」

 

思わず突っ込んでしまったが、この少女は本当に何を考えているのか分からない。一体何が彼女の琴線に触れたのだろうか。

 

ハンターは、基本狩猟クエストを好む。食料調達のような採取クエストは全くと言っていいほど人気が無く、ギルドとしてはほとほと困り果てているのだ。

と言うのも、採取クエストだって元は依頼人がいる訳で…ずっと放置しているとその依頼はキャンセルされる訳だ。ついでに依頼人のギルドへの信用もデリートなのである。

 

そんな採取クエストだが、初心者には大人気だ。

何故なら中級者以上にとっては狩猟クエストの合間に採取をすればいいだけなのだが、初心者はその狩猟クエストを満足にこなす装備が揃っていない。

という訳で初心者の基本は採取クエストで素材を集めて装備を作ってからモンスターを狩るぞ!という感じである。

 

「なら、丁度よかったわ。私も薬草を切らしてたのよ、着いてっていい?」

 

「あたしも連れてけー!」

 

「そんなこんなで、私もお願いね」

 

丁度近くにいた闘技場メンバーが集まってきた。あの事件からこの4人で集まる事が多くなってきているのは、やはり死線を共に乗り越えた仲だからだろうか。

…ミラに関しては死線どころか記憶に留めているかも怪しい所だ。

 

3人がやってきた途端に輝くミラの顔にサーシャは首を傾げるが、何もそこまで深く考える必要はない、ただ此奴は人が沢山いれば喜ぶ奴ってだけなのだ。

 

「姉さん、そういう訳だから何かクエスト紹介してくれない?」

 

「アーシャ…。そうですね、4人で受けるのなら…」

 

サッとどこからともなくメモ帳を取り出してぱらぱら捲っていく。そういう細かい所もエリートには必要なテクなのだ、社会に出るならメモ帳は必須だぞ!

 

「特産キノコの納品クエストがありますね、数は10個以上ならいくらでも構わないとの事です」

 

「キノコ!いいですね、スープにしましょう!」

 

「こら、納品クエストよ」

 

「大丈夫ですよアーシャ、10個以上納品した後の余りをニャラさんに渡せば希望の料理を作ってくれますから」

 

それを聞いて更に目を輝かせるミラ。頭の中は食べ物の事だらけであった。

 

「すぐに出発しますか?それとも準備しますか?」

 

「すぐに行きます!」

 

「そうね、特産キノコ取るだけなら大丈夫でしょ。2人もそれでいい?」

 

「ええ、ヒビキもいいわよね」

 

「いいぜ!早く行こう!」

 

4人はサーシャにギルドカードを渡してカウンターに向かう。その際ついでにミラは会計を済ませた。…足りなかったので3人に借りたのは別の話だ。

 

「こちらが今回のクエストになります」

 

 

 

『お師匠さんの為に』

 

・特産キノコ10個以上の納品。

 

達成条件➖特産キノコ10個以上の納品

失敗条件➖クエスト受注から1日以上が経過。特産キノコの納品数10個以下

 

依頼人:師匠思いのアイルー

《最近、お師匠さんの元気がないニャ…それもこれも突然アイナに現れた大食い女のせいニャ…!許せないニャ!…それはそうと、お師匠さんの元気がない原因の食糧不足を是非解決して欲しいのニャ!特産キノコが10個あれば大丈夫ニャ、それ以上でも嬉しいニャ!》

 

 

 

 

「「「…………」」」

 

結局原因こいつじゃんか…。

クエストを確認した3人は心の中でそう思ったのだった…。

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