とんでもスキルで真・恋姫無双   作:越後屋大輔

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真・恋姫無双原作第2段です。初回なので少し短め、次回から1000.字前後くらい長くなる予定です。


第一席向田一行、海を越えるのこと

 それは俺、向田剛がこの世界の創造神たるデミウルゴス様と初めて出会った日の事。と、言っても直接顔を合わせた訳ではなく、神界からの念話で会話した時なんだが。

デミウルゴス

『ふむ。手始めに儂の加護をやるわい。大したモンではないが、これで新たなスキルが使えるぞ』

向田

「ありがとうございます。で、その加護とは何でしょう?」

デミウルゴス

『うむ、転移魔法じゃ。お主に分かりやすくいうなら【ど○でもド○】というヤツじゃな。実はこのスキルを授けるのは、お主に頼みたい事がある為なんじゃが』まあ、あのしつこい神様達を諌めてくれたデミウルゴス様の頼みなら聞かない云われはないだろう。それに【ど○でもド○】のスキルがあれば、色々便利っぽいし。

向田

「分かりました。俺に出来る事なら」

デミウルゴス

『実はそこから海を越えた別の大陸で、幾つかの小国群同士の間で大規模な戦争が起き始めておる。お主にはいずれかの小国の王に取り入ってもらい、戦争を終わらせてほしいのじゃ』え?デミウルゴス様ちょっと待って下さいよ。何、そのムチャぶり。

デミウルゴス

『その大陸はいわゆる【三國志】の世界観になっておっての。本来のモノとはある点で違っとるのじゃが……上手く立ち回ればお主の願う恋愛運も叶うやもしれんでの。まあ後は頑張ってくれい。では通信を切るぞい♪』それを最後にデミウルゴス様の声が途絶えた。つーか、どうして俺が異世界の三國志世界に!?せっかくカレーリナに屋敷を買ったばかりなのにぃー!

 

 俺はいつものように旅の支度を済ませてから、屋敷と一緒に購入した奴隷(と、いっても事実上、屋敷管理とシャンプー詰め替えの為の従業員だけど)にしばらく家を空ける事を伝える。まあデミウルゴス様から新たに貰ったスキル【ど○でも○ア】を使えば(もうどこ○もド○で良いだろ)いつでも帰って来られるみたいだが、行った先で何が起こるか分からないからね。

 フェルとスイとドラちゃんを連れて、人里離れた山に入り【ど○でも○ア】を発動させる。

向田

「デミウルゴス様に指定された大陸へ」この新たなスキル【ど○でも○ア】。開ける時に行きたい場所を告げれば、この世界中なら文字通りどこでも行けるらしい。しかもよくあるネット小説の転移魔法みたいに『一度訪れた場所しか行けない』事もなく、事前に何らかの情報さえ得られていれば、今回のように初めて訪ねる場所に行くのも可能みたいだ。

 手のひらをかざしてスキルを発動させると、先の空間に穴が開く。どうやらこれが【ど○でも○ア】のようだ。

フェル

『ほう、これがなんちゃらど○か。しかし別の大陸とは、中々楽しみだぞ』

ドラちゃん

『そこにもダンジョンがあるのか?』

フェル

『それは分からん。こやつが創造神様から聞いた話では文化圏とやらが全く違うらしいからな』

スイ

『え~?スイ、ダンジョン行きたーい』

フェル

『そう言うなスイ。ダンジョンはないかもしれんが、戦争が起きてるなら、我らには丁度良い体操ぐらいになるだろう』戦争ですらこいつらには体操レベルかよ……ハァー。俺はため息を吐きつつフェル達と【ど○でも○ア】を潜り、別大陸への一歩を踏んだ。

 

~ここから視点なし~

 

 さて、これから向田一行が訪れようとしている大陸のある国。その城の屋外では、2人の美女が会話していた。

??

「ふむ……もう春じゃというのに肌寒いのぅ」年長そうな美女が呟く。

??

「気候が狂っているのかもね……世の中の動きに呼応して」もう1人、向田より幾つか若い美女が答える。

??

「……確かに、最近の世の中の動きは、少々狂ってきておりますからな」

??

「官匪の圧政、盗賊の横行。飢饉の兆候も出始めているようだし……世も末よ、ホント」若い方の美女は苦笑する。

??

「うむ。しかも王朝では宦官が好き勝手やっておる……盗賊にでもなって好きに生きたいと望む奴が出るのも、分からんではないな」そんな2人の前にいきなり空間に開いた奇妙な穴が表れた。

 

~向田視点に戻る~

 

向田

「ここが海を越えた大陸か……」穴を潜り抜けた俺が最初に目にしたのは、一見すると中華風の服装を纏った2人の美女。確かにデミウルゴス様も【三國志】風な大陸だと言っていたし、元居た大陸はヨーロッパを彷彿させる所だから、中国っぽい国があってもおかしくないけどさ。それにしても2人共いい女だよなぁ……なんて俺が見惚れていると、2人は武器を構えてこちらへ向けてきた。

??

「おのれ化け物!貴様、なに奴じゃ!?」俺より少し年上そうな女性が弓を引いて尋ねてきた。つーか俺、化け物?思わず自分の手やら足やらを確認していると

フェル

『何を惚けている?あやつらが化け物と呼んだのはお主ではなく、我らであろう?』フェルから念話が入る。【ど○でも○ア】を潜る前、フェルには出来るだけ喋らないように頼んでおいたんだよね。だっていきなり喋ったりしたら、それこそ大パニックだろうし。人語を話せるのは機会を見つけてから告白した方がいい気がした。そういやこれまでの旅先ではフェルは神格視されていたけど、こっちではそうとも限らないみたいだ。それに何だかんだ言っても、こいつらとはそれなりに長い付き合いだしあんまり化け物とかって意識ないんだよね。と、いう事はデミウルゴス様やニンリル様達の神話とかも伝わってないんだろうな。

??

「おい、そこの化け物連れのお主。何者じゃ!」年長の女性に再び話しかけられたところで、俺はハッとする。

向田

「すいません、この大陸には初めて来たもので……」それから神様ズの事とかは話さない方向で、こちらの状況を説明してなんとか理解してもらった。

??

「なるほどのぅ。つまりお主はその新しい魔法とやらを試そうとして、その従魔とやらと共に海を越えたこちらへ来てしまった。と、いう事じゃな」

??

「……黄蓋、この人連れて帰らない?お付きの魔獣とやらも役に立ちそうだし」

黄蓋

「また気まぐれを起こされたか?策殿」年長の女性は黄蓋さんっていうんだ、え?ちょっと待てよ。って事はこっちは……

孫策

「先に自己紹介するわ。私は孫策。この荊州南陽の地を治めているのよ」まさか初っぱなから【三國志】の重要人物に出会うとは思わなかった!って、何で両方共女なんだよ!?

 

 孫策さんと黄蓋さんに連れられて、俺達がやってきたのは結構大きな屋敷だった。てゆーか、これ城だよなぁ。流石孫策。とか考えていると、城の門前に長身にメガネをかけた目付きの鋭い美女が控えていた。

??

「お帰り、雪蓮」え、しぇれんって誰?ここにいるのは孫策さんと黄蓋さんを除けば俺、フェル、スイ、ドラちゃんしか居ないんだけど。戸惑う俺をスルーして孫策さんはメガネ女性と話始める。

孫策

「あら。お出迎え?」

??

「帰りが遅かったからね……何かあったの……って何これ!?」メガネ女性はフェルに気づいて、その姿に茫然としている。

孫策

「うん。拾い物をしたの」

??

「拾い物っていうの、これ?」

孫策

「管輅の占い、知ってる?」はぁっ?今度は向こうが俺に分からない話をしている。

黄蓋

「お主がここへ来る前、管輅という占い師が吹聴しておってのだよ。詳しくは屋敷の中で話してやろう」黄蓋さんが教えてくれた。

 

 門に入り、俺は孫策さん達に屋敷の一室に押し込まれそうになる。フェル達が置き去りにされそうになり、孫策さんがフェルの首回りをジロジロ見ている。一緒に行きたい旨を伝えると

孫策

「え?だって動物でしょ?普通は外に繋いでおかない?」すいません、ウチではそんな事してません。つーか、首輪やリードを確認してたんだな。

フェル

『……貴様、我をそこらの動物と同じと見ているとはどういう了見だ?』あ~あ、喋らないでって言ったのに……仕方ないか、並の犬や狼扱いされて、フェルも腹に据えかねたんだろう。俺も覚悟を決めた。

孫策

「喋った!?」孫策さんの目には驚きは感じられたが、そこに恐怖はない。

黄蓋

「なんと!?」

??

「ヒッ!?」黄蓋さんとメガネ女性はビックリして尻餅ついちゃってるよ……。俺はフェル達従魔について改めて説明する。

向田

「あの……見てもらった通り、フェルは人語を話せますし、他の2名も喋れこそしないものの、人語を理解できますので……」

孫策

「分かったわ。それじゃとりあえず、一番広い玉座の間に行きましょ。そこでお互いの今後を話し合うって事でどう?」ご理解いただいて助かります、孫策さん。こうして俺は3人に、玉座の間へと案内される事となった。

 

 

 

 




原作との違い
(恋姫サイド)
・一刀は光と共にやって来た。しかも寝ている→向田がデミウルゴスの依頼を受ける形で転移魔法でやってくる。
(とんスキサイド)
・この時点で向田はデミウルゴスに1500年の寿命を与えられる→転移魔法のスキルを与えられる。時系列的には向田がカレーリナに屋敷を購入した頃。なのでまだゴン爺とは出会っていない。

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