とんでもスキルで真・恋姫無双   作:越後屋大輔

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切り方が中途半端になってしまいました……


第十六席蜀呉、出会うのこと

 劉備の陣地では、さっきの関羽と10才ぐらいの少女が待ち構えていた。

関羽

「待て!お前達は何者だ?ナゼ我らの陣に入ってくる?」厳しい表情で俺達の前に立ち塞がる関羽。

冥琳

「控えろ。こちらにおわすは我らが呉の盟主、孫策様だ……陣を訪れる事は先触れの使者から伝わっているハズだが?」冥琳がムッとした顔で関羽を睨む。その関羽は雪蓮に向き直る。

関羽

「ああ。貴女が江東の麒麟児か……」

雪蓮

「何それ?」

向田

「雪蓮の事を、最近は皆がそう呼んでるんだよ……え、知らなかったの?」そういう俺も、ネットスーパーで買った資料で得た知識だけどね。でも当の本人が知らなかったとは……雪蓮らしいっちゃあ、らしいけどさ。

雪蓮

「全然。へ~、私ってそんな風に呼ばれてるんだ」

関羽

「貴女の勇名は大陸中の響いてますからね」

??

「お姉ちゃん、かっくいいのだー」人懐っこそうな子供が笑顔で雪蓮を讃える。

雪蓮

「あははっ、ありがと……でも、そういう貴女達二人の名は?」

関羽

「和が名は関羽。字は雲長」

張飛

「鈴々は張飛なのだ♪」あれ、張飛って2m近い大男じゃなかったっけ?こっちの張飛は随分可愛らしくなっちゃってるな……

雪蓮

「貴女達が関羽ちゃんに張飛ちゃんなのね……ねぇ、劉備ちゃん居る?ちょっと話したいから、呼んで欲しいんだけど」

関羽

「呼ぶ事は構いませんが……一体どのようなご用件でしょう?」にこやかな笑顔を見せる関羽。しかしその裏に濃度の高い警戒を浮かべて、雪蓮は顔色を窺う。本音を隠して動くって……雪蓮が一番嫌いなパターンなんだけどなぁ……。

雪蓮

「……下がれ下郎」

関羽

「何っ!」ああ……案の定かぁ……。

雪蓮

「我は江東の虎が建国した呉の王!王が貴様の主人に面会を求めているのだ。家臣である貴様はただ取り次げばよい」

関羽

「何だとっ!我らには主を守る義務がある!例え王といえども不信の者を桃香様に会わせられるか!それでもまかり通るというのならば、この関羽が相手となろう!」

雪蓮

「ほお……大言壮語だな、関羽。ならば相手になってやろう」両者武器を構え、一触即発の雰囲気を醸し出す……とは言うものの、多分、雪蓮はからかってるだけだろうけど。そこに、目のパッチリした女の子が駆け寄ってきた。

??

「愛紗ちゃん!どうしたのっ!?」

関羽

「と、桃香様……」

張飛

「愛紗と孫策お姉ちゃんがちょっと喧嘩したのだ。でも二人共本気じゃなかったから、お姉ちゃん、心配しなくても良いのだ」ほお。張飛、よく見抜いたな。

雪蓮

「あら。私が本気じゃないって、どうして分かるのかしら?」

張飛

「武器を構えたのに殺気がないのだ。だから鈴々は安心して見てたのだ」

雪蓮

「ふーん……スゴいわね、張飛ちゃん」

張飛

「お姉ちゃんもなー……」意外に観察眼の鋭い娘だな……張飛が話を続けようとしたところで、別の気配に気づいた俺はそこに視線を移す。

向田

「……そういう事だから、そこのお兄さん達。物騒なモノをしまってくれるかな?」俺は関羽の後ろで拳銃を手に、その銃口を雪蓮に向けていた、先日見かけた現代人風の男2人に話しかける。

隼人

「ふっ。気づいていたか……」

竜馬

「まさか呉にも、俺達と同じような奴が居たとはな」男2人は拳銃を腰に収めてその場を立ち去った。

雪蓮

「え、どういう事?」

向田

「後で教えるよ。それより今は劉備と話す事があるんじゃない?」

雪蓮

「……そうだったわね」

張飛

「愛紗も武器を収めて下がっているのだ」

関羽

「くっ……分かった」張飛と名乗った少女に説得され、関羽は武器を収めて後ろに下がる。

??

「すみません。愛紗ちゃんがご迷惑をお掛けしました……」

雪蓮

「別に構わないわ。どうせ関羽も本気じゃなかったでしょうし」

関羽

「……」どことなく悔しそうな顔の関羽。意外に本気だったのかもな。

雪蓮

「それより……貴女が劉備?」あ~、この娘が……何となくそうだろうなと思ってたけど。

劉備

「え?そ、そうですけど……貴女は?」

雪蓮

「孫策。字は伯符。呉の王よ……ま、呉の王といっても今は領土もなく、家臣も少ないけどね」

劉備

「あ……貴女が孫策さんだったんですかぁ」口を丸くポカンと開けて、劉備と名乗った少女がマジマジと雪蓮を見つめる。

劉備

「あの、それでご用の方は?」

雪蓮

「んー……とりあえず挨拶。後、ちょっとした提案をしにきたのよ」

劉備

「提案、ですか?」

雪蓮

「そ。貴女達、先鋒にさせられたのよね?」

劉備

「はい……」

雪蓮

「どう?勝てる見込み、あるかしら?」

劉備

「……正直に言うと、分かりません。愛紗ちゃんや鈴々ちゃんが居たとしても、絶対的に兵士の数が足りてませんから……董卓さんの軍勢とまともにぶつかれば、きっと負けちゃうと思います」

雪蓮

「そうよねぇ……だったらさ、手を組まない?」

劉備

「へっ!?」

雪蓮

「劉備軍と私達孫呉の軍が先鋒を取れば、兵の数も倍以上になるし。そうするゃ勝てる見込みも高くなるんじゃないかしら?」

劉備

「それはそうですけど……でも……そんな事して、孫策さんには何の得があるんですか?」

雪蓮

「あら。意外としっかりさんなのね」

劉備

「今まで鍛えられてきましたから。えへへ……」そっか……劉備も苦労してるんだな、少なくとも従魔は居ないだろうから、俺とは質が違うと思うけど。

雪蓮

「ふむ……」しばらくの間、何かを考えていた雪蓮が、劉備の顔を見つめながら言葉を続けた。

雪蓮

「良いわ。貴女を信じて、胸襟を( きょうきん )開いてみせましょう。知っているかどうかは分からないけど。呉の土地を奪われた私は今、袁術の客将という身分に甘んじてるわ。だけどこのままで終わらすつもりはない……母様が広げた呉の領土の全てを回復してみせる。その為には、外の味方が必要なの……分かるかしら?」

劉備

「だから私達に協力するんですか?」

雪蓮

「そう……そして劉備。貴女もこれからの割拠の時代を生き抜く為に、どこかで味方が必要でしょう?」

劉備

「……はい」

雪蓮

「お互いの利益が一致していると思うんだけど……私の勘違いかしら?」

劉備

「……いいえ。孫策さんの仰る通りだと思います」

雪蓮

「……なら、協力する?」

劉備

「どうして……私なんですか?」

雪蓮

「貴女が義理堅そうだから……信用できそうっていうのが一番大きな理由。次いで二つ目の理由は、貴女と私達の勢力が、今は五分五分だからよ」

劉備

「……なるほど。分かりました。でも……」

雪蓮

「何かしら?」

劉備

「孫策さんが信用できるかどうか、私にはまだ判断できません」

雪蓮

「ふむ……信義を見せろと?」

劉備

「そうです……」

雪蓮

「良いでしょう。なら見せてあげましょう」大きく頷いた雪蓮は劉備に背を向ける。

雪蓮

「孫呉の闘い振り、その目に焼き付けておきなさい。もし私が信頼するに足らないと判断したのならばそれはそれで良し……いつか戦場で矛を交えるだけよ」

劉備

「……分かりました。では孫策さんの信義、しっかり見させて頂きます」

雪蓮

「ええ。では一刻後に出発って事で良いわね?」

劉備

「はい」

 

 劉備との対面を終えた俺達は、出陣準備に向けて混雑する連合軍の陣地を突っ切り、自分達の天幕に向かっていた。俺はその間、改めて自分の出自を話した。

雪蓮

「じゃあ、剛も元々は異世界からきたって事?」

向田

「ああ。さっきも言った通り、ある国の勇者召喚に巻き込まれてね。それで冒険者をやっている内に、フェルやスイ、ドラちゃんを従魔にした。劉備のトコに居たあの3人がどういう経緯でこの世界に来たのかは分からないけど」

冥琳

「そうか……まぁ、お前が何者でも今更どうこう言うつもりもない」

雪蓮

「うんうん。剛は今まで通りで良いわよ」な、何かアッサリ締められたような気がするんだけど……冥琳とかもっと深く追求してくると思ったのに。雪蓮は……まぁ雪蓮だし、としか言い様がないか。それからは劉備について事を話し合いつつ、俺達は自分達の天幕に向かっていた。

 

雪蓮

「……中々やるわね、彼女」

向田

「彼女って……劉備の事?」

雪蓮

「ええ。うまく乗せられちゃったわ」

冥琳

「まぁ……こちらの言う事は全て疑ってかかってるようだったな。しかしそれぐらい出来ねば、この乱世では生き残っていけまい」

雪蓮

「そうなんだけどね。見た目に反して結構強か( したた )なのがちょっと意外だったのよ」

向田

「それは俺も思ったかなぁ……」見た目はほんわかしてる感じなのに、言動とか思考がスッゴく強かな印象を受けた。

雪蓮

「だけど、ああいう型の人間は、一度信用出来ると認めさせたならば、心強い味方になってくれるわ」

冥琳

「ならばまずは初戦。汜水関で信用を得なければならんな」

雪蓮

「だね……でもどうしよっか?」

冥琳

「汜水関に籠もる敵兵は八万から十万。我らと劉備の軍を併せてもそれには遥かに及ばないわ。また敵は汜水関という難攻不落の関に籠もっている……打つ手なしね」

雪蓮

「打つ手なし?そんなの必要ないでしょ。火の玉になって寄せるだけよ」

向田

「おいおい。最初の主旨と違うんじゃないの?」それじゃウチのトリオと一緒だよ。

冥琳

「向田の言う通り……雪蓮の言葉は戯れ言だから気にせんで良い」

雪蓮

「ぶーぅ。戯れ言なんて酷い!」

冥琳

「酷い発言なのだから仕方ないな……ところで向田。お前の意見を聞かせて欲しい」

向田

「意見って……汜水関をどうやって落とすかって事に対しての意見?」

冥琳

「そうだ。何か案はないか?」

向田

「案ねぇ……」難攻不落と言われる関に籠もっている、8万だか10万だかの敵を倒す方法……んなモンないな。それこそウチのトリオなら楽勝だろうけど。ダメ元で聞いてみるかな?

向田

「一応聞くけど、フェル達を使うつもりはないんだよね」

雪蓮

「ええ。それはなしね」

向田

「だとすると、ない……というか、そもそも前提が間違っていると思う」

冥琳

「どういう事だ?」

向田

「8万だか10万だかの敵軍が籠もる、難攻不落の砦を落とす方法って前提……多分、そんなモノはウチの従魔達にしか出来ないと思う」

冥琳

「……正論だな。ではそこに持って行くまでの棋譜*1を作成するか」

向田

「その方が現実的だろうね……まず第一に。兵力と砦。この2つを切り離す方法を考える。その後で、切り離した兵力と砦、双方に対処する為の方法を考える。最後に、兵力に対処する方法と、砦を落とす方法を考える……って感じかな?」

冥琳

「そうだな……ではまず情報の整理を行おう。汜水関に籠もるのは董卓軍の兵士、八万から十万。それを率いるのは驍将・張遼と猛将・華雄の二人」

雪蓮

「華雄って、母様にコテンパンにやられちゃった武将じゃない……大した事ないんじゃないの?」

冥琳

「さてな。あの時は華雄の同僚が暴走し、部隊が混乱を来した。その隙を文台様によって突かれて敗走したのだが……あの時の闘いを基本にして、華雄の能力を推し量るのは危険だろう」

向田

「人は反省して成長する生き物だからなぁ……過去に手痛い目に遇ってるなら、それを克服したと見て良いと思う」

冥琳

「そういう事だ」

雪蓮

「でもさー。華雄ってそんなに有能な将だっけ?」

冥琳

「こと武に関してはな」

雪蓮

「ふむ……厄介ねぇ……」俺達3人が顔を付き合わせて考えていると、それまで黙っていたフェルが口を挟んできた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*1
囲碁等の対局を記録した物。この場合は相手の出方を想定した作戦と思われる




フェルに何やら秘策があるようです
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