とんでもスキルで真・恋姫無双   作:越後屋大輔

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かなり強引ですが、フェル達がやっと参戦します。


第十九席向田、遂にトリオを解き放つのこと

~その頃の華雄達(視点なし)~

 

 孫策、劉備の軍にこっぴどくやられた華雄、張遼とその部隊。

兵士(モブ)

「華雄将軍!もう……もう前線が持ちません!」

華雄

「くっ……」

兵士(モブ)

「ここは一旦、兵を退くのが上策かと!」

華雄

「こんな……こんな結果、誰が認めるか!華雄隊は集合しろ!再度突撃を仕掛ける!」張遼は尚意地を張り、喚き散らす華雄を怒鳴り付ける。

張遼

「阿呆!そんなんやっても無駄や!」

華雄

「無駄ではない!無駄では……!」

張遼

「……認めたくないって気持ちはよー分かる。けど認めなくても負けは負け。それは事実や……ええ加減納得せい」

華雄

「うう……嫌だ……嫌だっ!二度も孫家の旗に背を向けるなど、私の誇りが許さん……!」

兵士(モブ)

「将軍!お悔しい気持ちは分かりますが、命あっての誇りではありませんか!ここはすぐに後退しましょう!」

張遼

「……どうするよ?」

華雄

「……分かった。下がる……虎牢関で再戦し、次こそ孫家の血を大地に撒き散らしてやる……!」

張遼

「……よし。ならウチらは虎牢関に移動すんで!各員、追撃を警戒しつつ、ウチの旗についてこい!」

兵士達(モブ)

「「「「応っ!」」」」後ろ髪引かれる思いで、華雄は張遼の後ろについて、虎牢関へ逃げていった。

 

~孫陣営~

 

思春

「孫策様!敵の旗が後退していきます!」

雪蓮

「了解。追撃はしなくて良いわ……良いでしょ、冥琳」

冥琳

「ああ。闘いは汜水関だけでは終わらんからな……奴らは虎牢関に退却したのだろう。ならば我らも兵力と体力を温存しておこう」

明命

「了解です。では部隊をまとめた後、汜水関に入城します」

雪蓮

「よろしくね……剛、どうかした?」

向田

「ん……なぁ、2つほどちょっと提案があるんだけど」

冥琳

「どうした」

向田

「この闘いの一部始終をさ……各地に喧伝するのってどうだろう?」

雪蓮

「以前の黄巾党みたいに?」

向田

「ああ。ただ今回は、何人かの兵士さんを旅人に変装させて、各地方の主要都市……特に荊州方面に向けて放つんだ。それで、孫策軍の活躍で勝利っていう、この闘いの状況を伝え歩く……どうだろう?」

冥琳

「良い手だな……黄巾党の時と言い、そんな事を良く思いついたな」

向田

「俺が思いついたっていうより……俺が住んでいた世界の昔の英雄が良く使った手なんだ。この前も、フッと思い出してさ。どうかなぁって」

冥琳

「会心の一手だろう。すぐに準備する……穏。兵士の選抜を頼む」

「了解でありまーす♪」片手を上げて返事をした穏が、パタパタと足音高く立ち去っていったのと入れ替わりに、劉備が息を切らしながらこっちに駆け寄ってきた。護衛に関羽と張飛、例の3人組をつけている。

 

~向田視点に戻る~

 

劉備

「孫策さーん!」劉備は雪蓮の目の前まできて、一旦呼吸を整える。一方3人組は全く息が乱れてない。鍛えてんだろうな、この人達。なんか俺とウチのトリオの鏡像を見ている気分だ。

劉備

「孫策さん、ご協力ありがとうございました」

雪蓮

「いえいえ……どう?これで私の事、信じてくれたかしら?」

劉備

「はいっ♪」

関羽

「ちょ、桃香様!そのように素直に信じてしまってよろしいのですかっ!?」

雪蓮

「あら。酷い言い方するのね、関羽は……私が信用出来ないって言うのかしら?」

関羽

「……信用する、しないの問題ではないでしょう。英雄に真の友人など居ません……居るのは利用しようとする輩のみ」

雪蓮

「当たり前でしょ、そんなの……私だって劉備の友人になろうとは思ってないわよ?だけど共通の敵が居るのならば、手を握る事は簡単でしょ?」

劉備

「共通の敵、ですか?」おいおい、この娘何にも分かってないのかよ?

雪蓮

「そう。私達が勢力を伸ばしていく上で、一番の強敵となる者」

冥琳

「人を揃え、資金を揃え、天の時を待っている北方の巨人の事だ」

スイ

『巨人さんならダンジョンに居るよ~』1人、場違いな発言をするスイ。

向田

『スイ。巨人って言っても体が大きい訳じゃないよ』雪蓮達の会話の腰を折らないように、俺は念話で説明をしようとする。

スイ

『んー。スイ、よく分かんな~い』……ま、スイには難しかったか。話の続きを聞かせてもらおう。

劉備

「えーっと……袁紹さん?」この娘はアホなのか?北方の巨人といえば、曹操しか居ないぞ。現代人トリオもズッコケてるし。

雪蓮

「わお!可愛らしいボケだこと」いや、天然だろ、これ。

劉備

「えっ、違うんですか!?」本気だったのかよ!

関羽

「桃香様!北方の巨人といえば、曹操に決まっているでしょう!」

劉備

「ええっ!?曹操さんなのっ!?」……ホント。蜀の皆さん、心中お察しします。

冥琳

「……関羽。お主のところの大将は、中々面白い発想をする人間だな」

慶子

「イヤァ、それほどでもぉ~」何、その嵐を呼びそうな5才児的なボケは?

竜馬

「褒められてねーよ!それにテメーじゃねぇ!」

隼人

「恥を晒すのは1人で充分だ……!」

関羽

「……周瑜殿には返す言葉もない」そりゃそうだろう……。

劉備

「うー、でもでも。曹操さん、良い人でしたよ?」何を言ってるんだこの娘は。(呆)大体戦乱の世では、個人の善悪とか関係ないぞ。自分に異を唱える者は排除するのが当たり前であり常識。そうしなければ、明日の命をも知れないっての。それぐらい俺だって分かる事だぞ。

雪蓮

「良い人とか悪い人とか、そういうのが関係あるんじゃなくて……曹操が目指すモノは何?」

劉備

「……何だろ?」

関羽

「ちょ、桃香様!?」

雪蓮

「はぁ……ちょっと同盟の話、考え直させてもらおうかなぁ……」

劉備

「あぅ……」

冥琳

「……劉備殿。劉備殿はナゼ、旗揚げをした?そしてどのような世界を目指している?」雪蓮に呆れられる劉備に、冥琳が助け船を出す。こういう時の冥琳は頼りになるよな。

劉備

「私は……弱い人達が苦しんでいるのを見ていられなくて。どうにかして助けたいって思ったんです。だから私は……みんなが安心して、笑って暮らせる世界にしたいです!」ふーん、志は高いんだな。でもそれだけじゃ何も出来ない。何をどうしようとも、それは必ず何らかの犠牲の上に成り立っているんだから。劉備にその覚悟があるのかどうか?俺もそこまで言える人間じゃないけどさ。

冥琳

「なるほど……ならば曹操とは敵対するという事だな」

劉備

「ほえ?どうしてです?」

冥琳

「曹操が目指すのは、恐らく魏一国による天下統一……いつかは劉備殿や我々の領土へ侵攻してくるだろうからな」

劉備

「あ、なるほど……」

冥琳

「その時になって慌てるよりも、お互いの利益の為に手を結んでおくべきではないかな、と。私達は提案しているのだよ。この天下を二つに分割し、劉備殿と孫策の二人が、互いに干渉せずにそれぞれの領土を治める……それこそが平和への道筋だと思っているからな」

劉備

「うーん……愛紗ちゃん、どうかな?」劉備は困り顔を関羽に向けて、相談、というより助言を求める。

関羽

「孫策殿や、呉の軍師殿の仰る( おっしゃ )事は正鵠を射ていると思います」

張飛

「鈴々もさんせーなのだ!」

劉備

「……なら私に(いな)はないよ。孫策さん。これからもよろしくお願いします」

雪蓮

「うん。こちらこそよろしくね」微笑みを浮かべながら、劉備と雪蓮はがっちりと握手を交わした。どうにか2国の同盟が結ばれて、ホッとする俺。

 

竜馬

「なぁ。1つ聞いて良いか?」3人組の1人が俺に話しかけてきた。

向田

「えっ、俺?」

隼人

「そう、あんただ。どうやってこの世界にきた?あっちの世界で奇妙な奴に遭遇しなかったか?」

向田

「あー……実はさ、俺……」俺はこの世界にきた原因や、どういった経緯でフェル達を仲間にしたか、等を彼らに説明した。

隼人

「ほう……異世界召喚に巻き込まれたのか」

竜馬

「あんたも苦労したな」互いに話をしている内に、どうやら彼らも元は俺と同じ現代日本からきたらしい。但し召喚された訳じゃなさそうだ。

慶子

「……それでね、その少年を追いかけてきたら、いつの間にかこの世界にきてたって訳なのよ」そう説明するのは吉田某さんを彷彿させる女性、巴慶子さん。一緒に居る2人の男、太い眉でボサボサ頭が北郷竜馬さん、切れ長の目をした長髪が及川隼人さんというそうだ。

竜馬

「ま、お互いの大将同士が手を組むんだ。俺達も仲良くやろうぜ」見た目はイカついけど、実は気さくな竜馬さんに背中を叩かれる。ハッキリいって、祭さんより痛い。

隼人

「少なくとも、今の内はな」隼人さんは斜に構えているところがあるな……3人の中で、一番警戒心が強そうだ。

慶子

「ゴメンなさい、隼人は誰にでもこんな態度だから。気にしないで」……慶子さんはどことなく、某吉田さんよりカレーリナの屋敷で雇っているタバサに似ているかも。勿論彼女と違って、豹獣人ではないけど。それにしても、彼らがこの世界に来るきっかけとなった少年とやらは一体……気になるな。今度デミウルゴス様から神託があったら聞いてみよう。

 

 やがて、汜水関を完全に制圧した連合軍は、すぐに虎牢関へ向けて出発した──。

 

 虎牢関へ向かう途中で、冥琳から意外な話を聞かされた。

向田

「先鋒が変わったってホント?」

冥琳

「ああ。劉備の部隊と私達の部隊は後曲に配置変えだ……先鋒は袁紹と曹操が取るらしい」

「初戦で劉備さんと私達、大活躍でしたからねぇ。焦ってるのかもしれません」

雪蓮

「ま、ちょうど良いんじゃない?斥候の話じゃ虎牢関には飛将軍呂布が居るって事だし」

明命

「はっ。虎牢関に籠もるのは飛将軍呂布。そして董卓の懐刀、賈駆という話です」

思春

「それに張遼と華雄も汜水関から退却し、虎牢関に入ったとの情報があります……苦戦は必至かと」

冥琳

「ふむ。袁紹と曹操がどうやって虎牢関を落とすか……見物(みもの)だな」

雪蓮

「……つまんないわね」

向田

「ん?何が?」

雪蓮

「袁術ちゃんよ。あいつ、まだ動いてないでしょ」

冥琳

「そうだな。袁紹を上手く操っているんだろう……確かに面白くはない」

「袁術さんの部隊が無傷っていうの、後々の事を考えれば厄介かもしれませんねぇ……」

雪蓮

「……剛。何か良い考えある?」

向田

「俺ぇ!?……うーん」雪蓮達が求めているのは、この闘いで袁術の部隊が消耗する事だろう。

向田

「袁術の部隊にも損害を与えるってなると……まずは袁術を引っ張り出す必要がある。となると……袁術のバカさもとい考えなしもとい……ってまぁバカさを上手く煽る、ってしか方法はないかも?」

冥琳

「口先で踊らせるという事か?……今回は無理だろうな。既に袁術が吹く笛の音で袁紹が踊っている。奏者が踊り子と同じ躍りを踊らなければならない道理はない」

向田

「うーむ……なら無理やり巻き込むしかないか」

冥琳

「そういう事だ」

向田

「……袁術の部隊ってどこに配置されてたっけ?」

「袁術さんは、後曲に居る私達の更に後方に陣してますねー!」

向田

「結構距離があるなぁ。けどまぁ、あまり関係ないか」

雪蓮

「距離が関係ないって……どういう事?」

向田

「なぁ、この闘いが終わったら、本格的に袁術潰しにかかるだろ?ならそろそろフェル達を投入しても良いかなと思ってさ。袁術が居るところまでフェル達に敵を追い立てさせる。これだけ距離があっても、こいつらなら余裕だろうからな。ええと……まず、曹操と袁紹の先陣に割って入って、闘いの途中で大崩れしたフリをして敗走するんだ……袁術の陣まで。で、追いかけてきた敵を逆にウチの従魔達が煽る」

「うわぁ~……危険というよりも、無謀って言った方が良い作戦ですねぇ……」

向田

「まぁ確かにそうかもしれない……だけど後方で高見の見物(けんぶつ)を決め込んでいる人間は、どうやったって舞台に昇ろうとは思わないだろうし。なら無理やり舞台に乗せる必要があるだろ?それにフェル達なら、少なくてもこっちの危険は低くて済むし」

冥琳

「舞台に乗せる為には、芝居を潰してでも力尽くで脚本を変えねばならん、か……それしか方法はないようだな」

雪蓮

「じゃ、そうしましょ」

向田

「うぇ!?……自分で言っておいてなんだけど、こんな素人意見じゃ不味いんじゃないの?」

雪蓮

「あら。自分の策に自信ない?」

向田

「そうじゃないけど……」

ドラちゃん

『遂に出番か。待ちくたびれたぜ』

フェル

『牧羊犬代わりとはな。まぁ何もしないよりはマシだな』

スイ

『わ~い♪やっと暴れられる~』あーもう、ウチの子達やる気満々だよ。

冥琳

「ふむ……向田よ。お前の言った作戦が、今の我々に取り得る唯一の策だ……やってみるしかないだろうな」

雪蓮

「大丈夫。軍の指揮は上手くやってみせるから。剛は従魔達の手綱をお願い」そう言って雪蓮は俺の肩を叩く。

思春

「正直、足手まといになるのだが?」思春に冷たく言い放たれるが

フェル

『何を言っている?我らは貴様らの指揮になぞ従わんぞ。それが出来る者はこやつだけだ』フェルに凄まれて、表面上はポーカーフェイスを保つ思春だったが、額からは冷や汗を垂らし、足がガクガク震えている。

雪蓮

「興覇、怒らせちゃダメよ。明命。念の為、剛を守ってあげて」

明命

「御意。剛様。よろしくお願いします」

スイ

『え~?あるじはスイが守る~!』あれ?スイが明命にヤキモチ?

向田

『まぁまぁスイ。俺と一緒に明命も守ってよ、スイなら出来るよね?』

スイ

『わかった~』

向田

「そういう事で。明命、こちらこそよろしくお願いするよ」

雪蓮

「よし。じゃ作戦も決まったし。時機を見て割り込んでいきましょうか」──と、雪蓮が言うのと同時に、前線に張り付いていた斥候さんが戻ってきた。

斥候(モブ)

「袁紹、曹操の部隊が虎牢関に取り付き、戦闘を開始しました!」

冥琳

「了解した……雪蓮。動くぞ」

雪蓮

「ん……じゃあ行きましょ、剛」

向田

「ああ!」こうして俺達は虎牢関の闘いに紛れ込む事になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




久し振りに原作との違い
・向田と蜀についた現代人との会話
・袁術の元へ敵軍を引っ張ってくる作戦にでる→更にフェル達に追い立てさせる。
・思春に足手まといと言われる一刀→フェルの神経を逆撫でしてガクブルな思春。
・明命は一刀を守る→向田がスイの機嫌を取る。

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